甲斐・信濃採集の風景

採集地:山梨県〜長野県

2005.9.17

この週末は出張で名古屋の街に来ていた。栄公園周辺は以前とはすっかり様変わりしており、私が学生時代まで過ごした街の変化に少し戸惑いを覚えるものだった。仕事も終わり久しぶりとなる実家へ向かった。深夜1:30に約1時間の仮眠で目覚めると、いか氏からのメールが入った。もうすぐ春日井ICとのこと。この日は寝坊せずに出てきている様子。ということは成果はいまいちなのだろうか・・(笑

予定通りに2:00に合流してI氏のジムニーで出発となった。目指すは昨年惨敗している山梨である。中央道を順調に進みやがて山梨県へ入った。この頃になると夜が明けて来た。二人とも睡魔に襲われPAで仮眠することにした。

1時間ほど寝ただろうか・・暑い。日差しが差し込み、閉めきった車の窓ガラスが曇って息苦しい。慌ててドアを開け酸素を吸い込む。これでようやく目が覚めた。高速を降り、第1の目的地へ向かった。山間部へ入り道はぐんぐん標高を上げていく。ようやくブナも柳も見えてきた。車を止めてルッキングを行うことにしたが、何も虫が見られない。柳があるたびに止めてチェックしてゆくがさっぱりだった。いつしか峠まで差し掛かっていた。ここから先が本命と見込んだ場所なのだが、植生が悪くなってしまった。ラベルのある林道は車止めで進入できない。この植生では歩いて入るリスクを犯してまで探すのも時間の無駄に思えたのでここは諦め一旦このエリアから外れることに決意した。

車の運転を交代して私がここからハンドルを握る事になった。候補地は他に2か所ほどあったが、山の状態からして先程の場所より良いとも思えない。時間は10:00になろうとしていた。山梨で採集を続けるか、もはや諦め長野で再起をかけてみるかの選択に悩んだが、町まで降りたところで私は高速の入口へと車を進めた。初戦敗退でおめおめ引き上げるのは情けないが、このままこの地で続けるより午後からの敗者復活戦に掛けてみたかった。
山梨といえば葡萄貴重なブナ富士山が・・

先程走った中央道を戻り、長野自動車道で一気に次の目的地へと近づいた。今度は間違いなくヒメオオにあえるだろう。先行採集者が入っていたら厳しいかもしれないがそれでもボウズは無いはずである。この時点で山梨での惨敗はもはや過去のものになっていた。

標高を上げ、目的地まで到着したのは12:00を回っていた。いつも付いていない柳も一応みてゆく事にしたが、先行者のような車が止まっていたところもあった。先に拾われてしまったかもしれない。不安を胸に更に進んで期待の柳群へと近づいた。2人で隈無く探すとやはりいました。ヒメオオが付いてます。その後も気になる木をチェックしてゆくとポツポツではあるが、ヒメオオが採集できた。
次は準本命の林道へ徒歩で入っていった。ここでははじめのうちは、いそうでいない状態が続いた。やがていつもは引き上げる辺りまで来たのだが、更に進むといかにも良さそうな場所がまだ奥に控えていた。早速I氏が1頭を見つけた。♂のヒメオオだった。

その後も大型の♂を彼が見つけた。これはあとで計測すると54mmあった。長野県ラベルでは過去最大の個体だった。この日の彼は調子がよくテンポよく見つけていく。それに対して私はなんか精彩を欠き、ポツポツしか見つけられない。まあ、それはさておきこの地ではいつもより調子よく採集出来たことが大変満足だった。
長野県産54mm
15:00もいつしか回り、最後に本命のポイントへ入っていった。先程までは薄暗くなっていたのに晴れ間が差して空も明るくなってきた。西日で少しルッキングしづらい中でもポツポツと虫を見つけながら歩いていった。ここではアカアシが比較的多くみられたが、ヒメオオはやや期待はずれな結果で終わってしまった。しかし、この日は午後からの半日でこのエリア過去最高の20頭のヒメオオを採集できたのは期待以上の上出来な結果であった。おまけに54mmという大型個体にも巡り会えて嬉しかった。やはり、山梨を早々に切り上げてのルート変更が功を奏して結果に結びついたのだろう。

その後はI氏にハンドルを渡し、峠を越えて群馬県へと向かった。明日はいよいよ未知の上州採集である。県境を過ぎると硫黄の匂いが鼻につく。やがて山の下に町が見えてきた。草津の町だった。ここで食料の買い出しや温泉で汗を流し車を止めて寝ることにした。明日は今日の山梨以上に苦戦を強いられるかもしれない。しかし、初めての山へ行くというのは実に新鮮でわくわくするものである。そんなことを考えているとあっという間に眠りについてしまったのだった。



山梨は全くのボウズが2年連続で続く結果となってしまった。標高の高いところまで道はいくつもあるのだが、ブナが基本的に少ない。柳もそこそこあるのだが、アカアシさえ見つけられない。実にルッキングは厳しい印象がある。ギネスの58mmは山梨ラベルだというが、嘗ては個体群が多く存在したのであろうか?

一方長野県は山岳地が多い県だけにもっと探せばいろいろなところでヒメオオも採集できるだろう。まとまった個体群がいるのは限られるのだろうけど。
◆本日の採集成果:ヒメオオクワガタ♂15♀5、アカアシクワガタ♂8♀3