某高山採集の風景

採集地:某地方

2005.9.23

先々週の爆採集ポイントへ再度挑むことになった。今回は私といか氏とO氏の3名。O氏といか氏は別車で現地集合なので私は一足先に単独で移動して仮眠していた。4:30に目を覚ますと既に到着しており、私の車で目的地へ近づくことにした。

約1時間後の5:30には車を降りいよいよ採集のスタートである。先々週かなり採集していただけにある程度は期待が出来るものの時期的にもピークは過ぎているだろうし、30頭も採れれば御の字とこのときは思っていた。天気は曇り空で午後は雨になるかもしれない。こんな日は午前中勝負なのだが、この日は3人で丹念に見てもなかなか黒い塊は見つけられなかった。暫く歩いてようやくO氏が虫を見つけた。だが、小さい。スジクワガタの♂だった。その後暫くは何も採れない状態が続いた。やはり先々週の光景の再現は難しい様だ。
スジクワ♂ヒメオオ♂オオヘリカメムシ
ヒメオオ♂55mm

1時間以上歩いてようやくヒメオオをI氏が見つけた。ルッキング初参戦のO氏へお手本を見せてもらおうとI氏に網を渡したが、網に入らず自然リリースとなってしまった。続く個体は私がしっかり網に押さえ更に先を急いだ。その時頭上を見ていたI氏が「でかい。カブトみたいや〜」と。私も見上げると確かに大きい。慎重に網を差し込みネットインするとヒメオオのペアだった。網を降ろし間近で見るとかなり大きい。その場でノギスを取り出し測定すると55mmある。材割りでは56mmが最高だが、ルッキングでは過去最大のサイズだった。序盤から早くもクライマックスの様な展開に3人とも興奮してしまった。これでこの日の覚醒は始まってしまった。

その後は柳のあるたびに立ち止まって探す。すると単独だったりペアだったりとあっちの木にも、こっちの木にも付いている。同じ木に複数付いていることもあるので網を出す前に慎重に他にもいないか確認してから採集していった。

この日のI氏は目が見えている様で見つけ辛いところも良く見つけていく。私は更に踏み込み取りこぼしの無いように探っていく。O氏は魚が専門なのでクワガタ採集はあまりされないのだが、フィールド経験が豊富な為、センスがよい。少し慣れればコツを得た様でネットにヒメオオを納めていった。あっという間に私のルアーケースは埋まってゆく。だんだん先々週の採集を再現している様な夢の様な状態になってきていたのだった。

ヒメオオペア
アンブレラキャッチヒメオオペアペアでネットイン
虫を見つける。→写真を撮る。→周囲を手分けして探す。→網に納める。→ケースに入れる。→記録を付ける。

この一連の行為を3人で手分けして行い進んでいくのだが、数が採れ出すとなかなか進行ペースはあがらない。こういう時は時間もあっという間に経過してゆく。もっと採れないと予想していただけに嬉しい誤算だった。
ヒメオオ♂ヒメオオ♂ヒメオオペア
ヒメオオ♂ヒメオオ♂ヒメオオ♂
ヒメオオペア 更に進んで御神木ポイントへ到着した。するといきなりペアが2組も付いている。更に辺りでも前回同様な数が付いている。一体ここはどうなっているのだろう。都合十数頭をここで追加したときには50頭を越えていた。O氏のルアーケースもかなり埋まってきている。このままでいけば前回並の数になりそうな勢いだった。

そんなとき、採集を続けていて面白い光景を目にした。大きさも同じくらいの2頭の♂のヒメオオが近寄っていく。どうなるのかと観察していると死闘が始まった。結構強気で挟みあっている。華奢なイメージのヒメオオも樹液を巡ってこんなにも闘うものなのかと感心してしまった。前回はキイロスズメバチと闘っている場面に遭遇していたが、それより面白い。

他でも♀を抱えた大きな♂に上からちょっかいを出している小さな♂がいたが、こちらは小さい♂は簡単にあしらわれていた。実に面白い。柳の細い幹の勝負なら案外ヒラタクワガタなどより強いのかもしれない。

あと、また頭上で枝上に乗る大きな個体を見つけたが、網が届かない。ジャンプしても届かない。木を揺らしても落ちてこない。確実に大きな個体なのでO氏に私は肩車をしてもらうことにした。I氏にも支えてもらい騎馬戦の様な格好で網を伸ばすとなんとか届いた。数回押し上げてようやくネットに落ちてきた。しかしここまでする採集というのも初である。
ヒメオオのシルエット
またもや御神木で8頭採り!!ヒメオオ1♂2♀ヒメオオペア
網を差し出すO氏ペア+1♂1♀を複数の♂が狙ってる・・
ヒメオオペア 今回はさすがに♀が減ってきているのか複数のペア付きは少なくなっていたが、あちこちの木で得られた。気が付くと先々週の行きでの採集数の83を越えてしまった。そして最上部へ到着した際は100頭も越えてしまっていた。今回は♂の比率が高いので自ずと大型の♂も多く採れている。しかし、感覚的にはそんなに採集している気はしないのが不思議である。完全に麻痺してきているのかもしれない。ここで大半の♀と中〜小型の♂は尽くリリースを行った。

30分ほどの休憩の後、下ってゆくことにした。日差しも厳しく快晴無風でやけに暑い。採集の方はさすがにコンスタントに採ってあがったためか、あまり得られなくなっていた。あまり採れなくしかも暑い中では集中力を維持するのは難しい。O氏の降りるスピードが上がっていく。O氏は沢へ入り込みナガレヒキガエルやサンショウウオを見つけては喜んでいた。どうも、もうヒメオオ採集には飽きてきている感じだった。I氏はブナに付くヒメオオを見つけて喜んでいた。私は最後尾から今まであまり見ていない木を中心にルッキングを続けていった。オオバヤナギやダケカンバ、ハンノキでも得られた。

ヒメオオペア
最後までルッキングに集中して歩いていたので、気が付くと車を止めた地点まで降りてきていた。時間は16:00。丁度10時間半が経過していた。採集数はヒメオオだけで133頭という数をカウントしていた。これに対してアカアシはかなり少なくなってしまったようで前回の半数程度でしかない。O氏にとってはこちらの方が新鮮で貴重な様子だった。

下山後は温泉で汗を流し、体もかなり楽になった。ここでO氏とはお別れである。私とI氏は明日の目的地へ向けて移動を開始したのだった。


今回の採集も予想以上の成果を得ることになってしまった。ヒメオオ採集の自己記録を再度更新するものとなった。総数で150頭というとんでもないものである。しかしこの某ポイントの爆発力は凄いものがある。55mmを筆頭に54mm、53mm、52mm各1頭。50mmOVERは合計14頭もいた。
♂と♀の比率の変化も面白いものである。1:1から2:1へと変化している。一方アカアシは終焉に近いのだろうか見かける数もぐっと減ってしまった。前回は全てをその場でリリースしているのにである。

自宅に帰って今思うと、こんな経験はもう出来ないのかもしれない。貴重な経験に感謝したい。
◆本日の採集成果:ヒメオオクワガタ♂90(MAX55mm、50mmOVER-14頭)♀43、アカアシクワガタ♂14♀2、
スジクワガタ♂1