飛越高山採集の風景

採集地:岐阜県飛騨地方〜富山県

2005.10.1

毎年、ヒメオオルッキングは9月末が最後と考え、10月に入ってからは捨て採集として下見を兼ねオンシーズンに行けないところへ向かうのが常である。しかし、今年は虫全般に発生も遅れていたこともあり、確実に狙えるところへ向かうことにしたいと思った。

そこで、今回は前々から行こうと思っていたのが飛騨地方のポイントである。以前近くは入ったことがあったが、その時は少し採れただけであった。その後、毎年地図で眺めこの環境ならいるはずと勝手に期待していた場所である。しかし、採れるか採れないかは歩いてみないことにはわからないものである。

この日は大阪のT氏にご同行頂いた。T氏とは2002年に同じく飛騨地方でヒメルッキングをしているが、その時はあまり芳しく無かった。あの当時は私もヒメオオ採集に慣れていないというのもあったかもしれない。深夜に合流して私の車で現地へ向かった。早朝5:30頃には目的地に到着。支度を整え早速6:00頃から歩き出すこととなった。

歩き出してみると長袖でも肌寒い。やはり9月とは気温も急に変わってきている感じである。少し進むと林道は獣道と化しこのまま進めるのかといきなり不安がよぎることとなる。それでも我々は先へ進むこととした。

30分程歩いた頃だろうか、柳に止まるヒメオオを見つけた。比較的容易な位置なので簡単にネットに収めるとまあまあのサイズである。まだ標高は1000M程しか無いが、環境さえ良ければいるという事なのだろう。これで一安心といきたいが、ここから先は道も険しさを増していったのだった。

ブッシュを掻き分け進んでゆく
飛騨産ヒメオオクワガタ♂
ブッシュを掻き分け、途中道に迷いながらも歩いていった。藪に熊が潜んでいても全くわからない環境である。所々綿花らしきものも落ちている。材も豊富に転がっている。割りで入っても楽しめそうな場所である。

そして1時間ほど経過した頃ようやく次が現れた。目の前に止まっている。背後の木にも止まっている。T氏も上に付いているのを見つけた。慎重に順次ネットに収めていった。手にするとこちらも前胸が広くしっかりした個体である。それとここの個体は顎が短く太い特徴がある様である。

その後もこの回りを隈無く探すと潜んでいる♂を発見。こちらは採り逃してしまったが、順調な出だしだった。♀がここまで視られていないのはやはり時期的に終わりを意味しているのだろうか。
ヒメオオクワガタ♂トリプルヒメオオクワガタ♂綿花
更に進むが、もはや前進が不可能になってっきていた。最後のポイントでやっとこの日初の♀をみつけネットに収める。続いて♂も獲られた。

下山途中でも♂1頭を追加して車に戻ったのは10:00頃であった。この場所では9♂1♀とこの時期ではまあまあな成果が獲られた。サイズ的にも50OVERが3頭と良い内容である。

結局予定地点までは到達できなかったが、それなりに楽しめる内容で満足のいくものである。

思ったより早く下山できたため、続いては思い切って北上し富山県へ向かうこととした。
ヒメオオクワガタ♀

約1時間のドライブで飛越国境を越え、富山県へと入った。この地は昨年訪れているが成果のでなかった場所である。

標高を上げる途中で一本の柳に止まるクワガタを見つけた。網に入れると一瞬コクワかと思ったが、ヒメオオだった。標高はまだ710Mしかなく、こんな低標高で採集したのは初めての経験である。

その後、目的の標高まで走ってみたが、追加は獲られなかった。富山は今年の8月にも惨敗しているだけに、たとえ1頭でも貴重なラベルが手に入った事は大変満足のいくものである。

その後は再度岐阜県へ戻り、旧知のポイントを回ることにした。
富山産ヒメオオクワガタ♂

午後からはまた飛騨エリアで仕切直しである。まず向かったポイントは歩いてみると新鮮な踏み跡が沢山残っており、今朝にでも採集者が入った事が伺える。

柳に囓り跡も多いのだが、虫が全然見られない。標高もややあるためか、紅葉も進んできており、柳も黄色くなっているものが多くなっていた。結局3時間ほど散策して見つけられたのはヒメオオ♀1頭だけだった。次第に霧が濃くなり雨も落ちてきたので車へ戻り、最後のポイントへ向かうのであった。
最後に向かったのは3年前にT氏と唯一採集できたポイントである。16:00を既に回っており、時間的にはもうギリギリである。

車から降りて確認してゆくと小さな♂が目に入った。スジクワかと思ったが、ヒメオオだった。続いても1♂を追加することが出来た。たいしたポイントでもないのだが、ちゃんといるところにはいるものなのである。

これで、この日はお開きとして林道脱出を試みたが、危うく崩落カ所で立ち往生するところであった。

その後は順調に京都への帰路を急いだのであった。
ヒメオオクワガタ♂ヒメオオクワガタ♂奥飛騨といえば合掌造

今回は新規開拓も上手くゆき、今まで採れなかった富山でリベンジを果たすことが出来た。数的には10月という事を考えると良くできた方なのだろう。来年はもっと良い時期にこの飛騨エリアを回ってみたい。その時は効率よく効果的な回り方もしなければならないだろう。それと今回以上のポイントも必ずあるはずなので開拓しなければならない。
いよいよ次週でルッキングは打ち止めであるが、次週はただのドライブに終わる公算が大きいであろう。なので、来期に繋がる所へ行こうと思っている。
◆本日の採集成果:(飛騨)ヒメオオクワガタ♂12♀2 (越中)ヒメオオクワガタ♂1