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肥後高山採集の風景 |
■2005.11.4 | |
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このところ週末になると出張が続いていた。岡山、広島そしてこの週末は鹿児島へ来ていた。鹿児島の地を踏むのは昨年の春以来2回目である。前回は車での移動だったのでかなり時間を要したのだが、やはり飛行機は早い。フライト時間は伊丹から55分しかかからない。あっという間に鹿児島空港に着陸して降りたってみると暑い。さすがに南国である。半袖でも十分なほどで私の住む京都とはかなり気温の違いがあるのを肌で感じる。早速レンタカーを借り、一路鹿児島市内へ向かった。
鹿児島市内で仕事を済ませると既に夜となっていた。翌日は熊本南部の高山へ向かうつもりでいたので、早々に鹿児島市内から離れ、高速道路に乗り北を目指して進んだ。途中のSAで独り夕食を摂り熊本県へと向かった。 |
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■2005.11.5 | |
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前日の晩に熊本県まで移動をすると目的のインターで降り、温泉で汗を流してさっぱりする事にした。その後はエンジンを止めて朝まで寝ることにした。11/5は午後から天候が崩れそうなのが多少気がかりであった。 山間部に近いというだけあって夜は案外冷えるもので、何度か深夜に目が覚める。エンジンを掛けると暑くて、切ると寒くてと悩まされている間に朝が来た。 コンビニで食料を入手して朝食を片手に車を走らせる。今回の車はナビがあるから楽勝かと高をくくっていたが、いざ近づいてみると山間部の林道は表示されないではないか・・役立たずなナビである。あとは記憶と感で進んでゆくがなんとか迷うこともなく辿り着けた。 終点で車を止めて支度を整えいざ出発。時間は丁度7:30になっていた。まだこの辺りはブナは少ないが、倒木があったので叩いてみるとクロツヤムシが出てきた。クロツヤからスタートというのはいかにも九州らしい。続いてはキュウシュウオニクワガタが転がり出てくる。オニに混じって時々少し体型の華奢なスジクワガタも出てくる。一見似たようなサイズで区別がつきにくいが、3齢なら見慣れてくるとすぐにわかるものである。高山で倒木から出てくるオニとスジの関係は対馬のキンオニとコクワの関係と近い様な気もする。 その後も次から次へとこのキュウシュウオニは出てくるので、ウォーミングアップはそろそろ打ち止めとして先を急ぐことにしなければならない。この日の本命であるキュウシュウヒメオオを探さないとならないのである。 |
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歩き回るが、なかなかいい朽ち木に巡り会えない。春に入った昨年よりは見通しも多少良いのだが、九州の亜高山帯ではブナ林の床は笹ではなく、低木の常緑樹(ミカン系)がしっかり生えており、本州のブナ林より歩きにくいものである。あと、完全なブナ林ではないので倒木に近づいてみるとブナではなくツガやトチノキ、カツラなどだったりもする。 そんな中、ようやく良さそうなブナの立ち枯れを見つけた。斧を入れると食痕が早速出てくる。しかも太く堅い食痕だった。間違いなくヒメオオのものである。ここから慎重に割り進むとそこそこのサイズの幼虫が出てきた。追加もいくらか出たが、成虫は出てこなかった。やはりキュウシュウヒメオオの成虫はそう簡単には出ないものである。 |
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更に先へと進んでゆく。やや古いが、またいい感じの立ち枯れがあった。斧を入れるとちょっとさっくりした感触でいまいちな感じだったのだが、さっきよりも大きな食痕と坑道の空間がが出てきた。先を探ると幼虫を発見。お尻がとにかくでかい。オオクワの大型級な特大幼虫だった。思わず期待して慎重にほじくり出して取り出すと、期待の特大ヒメオオ幼虫じゃない事に気がつく。顎が湾曲して太いのだ。それはキュウシュウヒメではなく、ミヤマクワガタの幼虫だった。期待しただけになんだかやられた感じで(地雷を踏むじゃないけど・・)凹んだが、気を取り直し先へ進むこととした。 次に見つけたのは若干早めな感じの立ち枯れ。割ってみるとアカアシクワガタらしき幼虫が水分を含んだところから出てきた。更に成虫の亡骸も現れたのでやはりアカアシなのだろう。この木は諦め近くの倒木を叩いてみることにした。すると今度はキュウシュウオニとクロツヤムシばかりで太い食痕は現れない。気が付くとオニ用に用意していた小区画のタッパーも満杯となり、もうオニとクロツヤはおなか一杯なのだった。 |
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時間も気が付くと13:00を回っている。天候はまだ持っていたが、あまりゆっくりもしていられない。それに久しぶりの材採集で腕も疲れてきていた。あとは採れていないキュウシュウヒメオオの成虫とミナミツヤハダがこの山にいるのかはわからないが、その2種をターゲットに最後の散策を試みるが、思ったよりこの2種の敷居は高いようで見つけることが出来なかった。 根気も無くなってきてしまったので、雨に降られる前に山を降り、ひとまず温泉へ向かった。さっと汗を流したあとは、高速に乗り熊本の市内の方へ向かった。一度熊本城を見てみたかったのだが、熊本市内へ到着したときには薄暗くなっており、城周辺の駐車場も閉まってしまい、本当に眺めるだけとなってしまった。しかし、私と同郷の加藤清正公の造った熊本城を眺められただけでも良しとしよう。 その後は熊本の街を散策して翌日朝のフライトで京都へ戻ったのであった。 |
熊本は昨年に続いて2度目となった今回。前回に比べやはり飛行機というアクセスは一瞬で便利なものであるが、苦労なくやってこられるという点では緊張感や採集での集中力という点では気が乗りきらないものがあったのも事実である。 それは当然成果として現れるものだが、まあ仕事での出張の延長という場面では致し方ない所なのかもしれない。もっと時間がとれるなら鹿児島からほど近い島に渡るというのも選択肢はあったのだが、限られた時間で楽しむにはやや時間が足りない。やはりそういった所にはついでではなく、計画的に時間にも余裕を持って望みたい所である。 |
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◆本日の採集成果:キュウシュウヒメオオクワガタ幼虫5、アカアシクワガタ幼虫4、スジクワガタ幼虫3、 ミヤマクワガタ幼虫1、キュウシュウオニクワガタ幼虫60、クロツヤムシ成虫20、ハナムグリ幼虫5 |