加賀ルッキング&灯火採集の風景

採集地:石川県加賀地方

2006.9.2

朝焼けの光の中に・・・ ■9月1日(金)移動日

今期二度目の石川ルッキングの機会が来た。この週末I氏が東北遠征の予定だったのでライトと発電機を持っていっていたが、遠征は断念した様なので一緒に石川へと誘いを入れるも別車で行くとの返事だった。

私は帰宅後、準備を済ませ独り車を走らせた。1:00頃にはインターを降りて街灯を一応見ながら行ったが、まったく虫はいなかった。やがて目的地付近まで来ると13℃の表示。日中は暑いのだが、夜間の冷え込みはかなり厳しいものがある。もはや街灯のチェックは諦め先を急ぎ車を止めて眠りについたのだった。


■9月2日(土)昼の部

朝は5:00頃に目が覚めてしまった。朝焼けが美しい。6:00にはI氏からの結論のメールが入る事になっている。朝飯も食べ終わり待っているとメールが入った。早朝起きられなかった様で昼頃来るという。この時点で別行動が決まった。私はすぐさま標高を上げポイントへと向かったのである。

ポイントへ到着し、身支度を整え出発した。はじめは肌寒く半袖の上に長袖も着ていたが、やがて体も暖まる頃には陽射しも強くなり暑くなってきたが、風は涼しく心地よいものである。

肝心な虫の方は一頭もみられない。ルッキングはこのところ本当に厳しい状態が続いている。本日入っているポイントは過去にも訪れた事のある場所なので実績のある木は期待していたが、その考えは甘かった。

網は柄とまだ組み合わせていない。虫を見つけたら準備するつもりだった。このままでは捕虫網ではなくただの登山杖で終わってしまいそうだった。

やがて標高も1500M近くまできていた。そろそろ折り返しだった。蒼い空から降り注ぐ太陽の陽射しが気持ちよい。クワガタはいったいどこへいってしまったのだろうか。下りも諦める事なく探したつもりだが、網の出番は一度もなく皆無に終わった。疲労のみが体に残ってしまった。

山からあがり、晩の灯火場所を探しに車で林道の奥へと踏みいれた。植生や環境も申し分ない場所が見つかった。欲を出して更に進むと道はかなり危険な状態になってきた。さすがにこれ以上進む事も叶わず、Uターンを試みたが、切り返しているときに路肩が崩れ、右前輪を脱輪してしまった。私の車はFF車なので、最悪な状態だった。

フロント底は地に着きジャッキも入れられない。下手にもがけば崩落が広がりズルズル転落の危険もある。や〜、どうしたものか・・・。携帯も圏外で近くまで来ているI氏に救援要請もできない。焦った頭を冷やして冷静に考え、ハンドルを内側一杯まで切ったところに大きめの石を宙ぶらりんのタイヤと地面に噛ませてゆっくりアクセルを回すとタイヤが石を噛み脱出する事が出来た。窮地から脱出できてようやく生きた心地がした。しかし、車の右下は凹んでしまっていた。

ルッキング日和な天気なのだが・・
山を眺めて歩くのみ・・
窮地から抜け出して・・(汗
頭上にシルエット発見!アカアシネットイン
オニヤンマ

その後林道を下ると頭上の柳に止まる虫を見つけた。やっと網の出番が訪れた。するする差し込みポトリと落ちる感触はいいものである。入ったのはアカアシだったが、別にヒメオオでなくとも嬉しい瞬間だった。

林道から抜け出し温泉へと向かった。I氏も今は別なエリアへ入っている様である。私は遅い昼飯をとり、温泉へ入って一息つき、I氏の到着を待つ事にしたのである。

気がつけば車にはオニヤンマが止まっていた。


全方位照射 ■夜の部

17:30頃にようやくI氏が到着した。驚いた事にヒメオオを数頭採集していた。新しい網の調子がいまいちでロストが多かった様だが午後からの短時間で楽しんでいた様である。それにひきかえ私は日ノ出からいったい何をしていたのだろうか。

合流後は灯火の候補場所へ向かった。林道奥で2か所に分かれて張ってはどうかと提案するがI氏は20:00かそこらでとっとと帰るという。ならば分けては撤収が面倒だし、意味もないので1か所でやる事にした。

18:30頃には設置完了し、点灯。奥の山、手前の斜面、背後の斜面と全方位にライトを振り分け設置した。標高975mとやや高いが、この時期でも何かは来そうな環境だった。

ミヤマクワガタ♀コクワガタ♀アカアシクワガタ♂
ヒメオオクワガタ♂ 19:00を回った頃、まだ完全に暗くなりきっていないが、早くも飛来があった。コクワガタ、ミヤマクワガタ、アカアシクワガタと思ったよりも飛んで来る。そして19:35にはヒメオオクワガタの♂も飛んで来た。ただ、日没後は気温の低下が心配だった。昨夜の様に寒い位にまで下がるとしたら早い時間帯しか勝負にならない。

続いて19:48にはヒメオオの♀やオニクワガタ♂も飛来した。
I氏にとってもこの飛来は予想外だった様で、とっとと先に帰るつもりだったのが帰るに帰れない様になってきていた。

しかし、楽しんでいられたのも20:00頃までで、この時間帯を境に急に冷え込んできた。気温のチェックを頻繁に行うと10分に1℃程度落ちていった。20:30の時点で18℃を切った。体感的にはもっと冷えてきており、寒いくらいになってきている。もはやこれまでと見切りをつけ、メインのライトから順次消灯し片付けに入った。すると、そこへなにやら舞い降りた。一見、コクワガタかと思ったらヒメオオクワの♂だった。この冷え込み具合で、まだ舞っていた様である。

機材の撤収を終えると林道を抜け、ようやく舗装路まで出た。ここで、I氏とは別れた。ゆっくり行くから先にと言われ先に行ったが、結局街灯回りをゆっくりみていた為、高速に乗った時にはI氏が先を走っていた。まるで、ウサギとカメの絵本のような一日だった。

ヒメオオクワガタ♀
コクワガタ♂オニクワガタ♂ミヤマクワガタ♂
撤収中にヒメオオ飛来 日中イカ氏採集のヒメオオ♂♂♂

◆本日の採集成果:ALF
ルッキング採集
・アカアシクワガタ♂1♀1

灯火採集
・ヒメオオクワガタ成虫♂2♀1
・アカアシクワガタ♂1♀1
・コクワガタ♂1♀2
・ミヤマクワガタ♂2♀5
・オニクワガタ♂1
今シーズンはほんとうにヒメオオのルッキングについては全く成果に恵まれない。私の集中力の問題もあるのだろうが、入るポイントに恵まれていないというのも感じる。
それと、脱輪などというトラブルは今後無きように注意しなければならない。山奥で人も来ないような場所なら尚更である。今回は運良く脱出出来たからいいようなものの、あんな所で動けなくなっていたらと思うと・・・