加賀高山採集の風景

採集地:石川県加賀地方

2005.7.9

昨夜は福井で灯火採集をして、石川まで移動し仮眠していた。気がついたら朝6:00。2時間ほどしか寝ていないが、目的のポイントまで車を走らせた。到着して朝食をとり、薬を飲んで出発。薬は抗生物質などで、八丈島以来扁桃炎にかかってしまい、体調はすぐれない。なのにこんな事を続けていては、治るものも治らないのかもしれないが、それでも行きたいと思うのだから仕方がないのかもしれない。



ここは過去2回ほど来たことがある場所だった。この日は天気予報では午前中は持ちそうなので、ある程度上まで上がるつもりでいた。

久しぶりにみる柳は青々とした元気なものだった。しかし、虫は全くみられない。もちろん時期が早いのは承知の上なので、坊主の可能性もあると思っていた。なのでこの日は1頭目が出るまで長いのだろうと覚悟していたが、ひょんな事から1頭目と遭遇した。

歩いていると、草むらにブナの倒木が転がっていたので、思わず八丈の癖がついたのか裏返してみたくなった。すると、クワガタがいたのです。アカアシ♀でしたが、いきなりのことでこちらが驚きです。その後も柳のルッキングはさっぱりなので、調子に乗って倒木を見つけては起こしてみるが、そんなに甘いものではなく、その後は厳しい状態だった。

ゆっくりではあるが、ずいぶんと歩いていた。なんか、ヤナギがあっても付いている気がしない状態になっていた。そんな状態の時、目の前の木を見ると黒いヒメオオが目に入った。落とさない様に慎重に網を指し入れ無事にネットイン。

その後もこの近くで、2頭目のヒメオオを発見。こちらはなかなかの大物である。私も手が震えるくらい緊張したが、こちらも無事にネットに収めた。顎も擦れているが、立派なサイズのヒメオオだった。

蝶は良く飛んでいるが、その後の柳ルッキングはまた何もいない状態。柳以外の樹もチェックして行くが、ヒメオオやアカアシの姿は確認できないでいた。
アカアシクワガタ♀
ヒメオオ発見!
次は大物
こちらも大物かも?
そろそろ採集も上限かと思っていた時、細い新芽の先に大きなクワガタが付いているのを見つけた。シルエットで一見してミヤマクワガタと確認出来るが、標高は1450m程であり、嘗て私達はこの石川県のエリアの高山ルッキングで獲ていないだけに少し驚きである。しかも樹液に付いているのでもなく、小さな枝先の葉に隠れている姿は滑稽だった。ネットインして手にするとこれまた大物。顎はエゾ型に近い。昨夜の福井では全てフジ型に近いヤマ型だっただけに、この変化も面白いものである。

しかし、ミヤマクワガタはいつみても格好いい虫である。ドルクスのヒメオオなどはこれらと比べるとなんの変哲もない黒いクワガタにしか見えなくなってしまう。
ヒメオオクワガタ♂2頭目のヒメオオクワガタ♂ミヤマクワガタ♂
ウスヒョウタンゾウムシ?コブヒゲボソゾウムシ
蛹室から出てきたアカアシクワガタ♂ 標高も1500mをこえるとポイントとしては外れてきていた。雨雲も近づいてきており、やや足早に引き上げることにした。

下りでも柳はチェックしていったが、やはり何もみられない。そこで、発生木と思われる立ち枯れを伺うとオガ屑が落ちてきていた。その上の方をみてみるとなんかのクワガタが顔を覗かせている。アカアシの♂が丁度、蛹室から這い出てきたところだった。

その後はまだ午前中だというのに、雨が落ちてきた。午後から崩れると思っていたので少し早いがどうしようもない。あっという間に本降りとなり、車まで戻ったときにはずぶ濡れになっていた。

とりあえず車を出して福井まで来たところで休憩をした。時間も焦ることはないので、国道で京都まで帰ることにした。あわよくば、湖北(滋賀県北部)でも灯火が出来るような天候ならやってもいいと思っていたのだが、雨は降り止まない。ここは往生際よく帰宅することにしたのであった。



今回のルッキングではヒメオオクワガタは確認できたが、共に越冬個体である。アカアシは新成虫であるが、昨晩の灯火でもアカアシの飛来が無いことから本格的な活動時期はもう少し先のようである。この北陸エリアではアカアシより総じて高標高に棲息しているヒメオオは更に後でないと本格的な発生がみられないのかもしれない。
◆本日の採集成果:ヒメオオクワガタ♂2、アカアシクワガタ♂1♀1、ミヤマクワガタ♂1