加賀高山採集の風景

採集地:石川県加賀地方

2005.8.14

倶利伽羅峠で朝を迎えたが、6:00には起床の予定が1時間以上の寝坊である。昨夜の警官の所為にする訳ではないが非常に眠たい。だが、ゆっくりもしていられないので慌ててパンを食べ、車を走らせた。本日は富山新規開拓か石川旧知ポイントかで悩んでいた。雨の状況も心配である。とりあえず、石川の旧知ポイントへ向かうことにした。

天候が昨日にもまして怪しい。それもあって長距離コースよりも比較的歩行時間の少ないポイントへ入ることにした。ただ、車道が荒れているので私の車で終点まで行けるかが不安だった。何度か腹をぶつけてようやく到着し、準備を済ませて10:00にいざ登山の開始だ。しかし、無情にも雨が落ちてきた。まだ小雨なのでこのくらいなら大丈夫と自分に言い聞かせ先を急ぐ。ガスも出ておりこんな日はいつ熊と遭遇してもおかしくない状況だった。

姫と会うのが早いか熊と会うのが早いか全然クワガタがみられない。どうも今年は林道の工事が頻繁に入っているようで、柳が伐採され、なぎ倒されている。今日は無理かもしれない、引き返した方がいいのではないかとも思えたが、1頭でもヒメオオを見るまでは戻るまいと決意し更に進むことにした。

先へと進むがやっとクワガタを見つけられたのは歩き出して1時間半が経過していた。ネットに入れるとアカアシクワガタのペアだった。続いて♀のヒメオオを発見。雨の中付いていてくれて嬉しかった。その後は待望のヒメオオ♂を発見。更に次はそこそこの大型個体で52mm程ある。雨の方も小雨があがろうとしていた。もうここまで来たら天気のことなどなるようになるしかない。更に上を目指して歩くと今度はペアで付いたヒメオオがいる。ルッキングではこの瞬間が堪らないものである。これは一度柳ルッキングを経験した方ならおわかりいただけるであろう。私はこうしてつかの間に楽しい時間を過ごしていったのであった。
アサギマダラアカアシクワガタ
ヒメオオクワガタ♂50mmオーバーのヒメオオ♂
マヤサンコブヤハズカミキリ
ヒメオオペア採り
大型個体地を這うヒメオオ♀ヨツスジハナカミキリ
ミヤマクワガタ♂ 13:00を迎え、Uターンをすることにした。帰りにも大型のヒメオオを採集できた。昨日と同じくオオバヤナギだった。その後は歩いているヒメオオ♀を見つけたが、♀はこの地で沢山子を増やして欲しいのでそのままにして下山を急ぐ。ふと枝先に大型の甲虫が付いているのが目に入った。以前もみたことがあるが、ミヤマの♂だった。実に滑稽な止まり方である。なんでこんな細い枝に付いているのか不思議である。

その後は急に霧が濃くなり、空が暗くなっていった。山の下から雨雲があがってきたような感じだった。大雨が来るのはもはや避けられない状況だ。カメラをケースに仕舞い込むと途端に大粒の雨が落ちてきた。あっという間にずぶ濡れとなり、服が重い。靴の中もパンツも全てずぶ濡れだった。真夏なのに体が冷えていった。

林道は川のようになり、視界もままならない。無事車まで戻れるかも不安な状況となってきた。しかし、ただただ雨に打たれるままに山を下りるしか為す術が無かった。雷が無かったのはせめてもの救いであった。

なんとか無事車へ戻ったのは15:40になっていた。とりあえず服を着替えて、温泉へ向かうことにした。今夜の灯火は出来そうもない。ゆっくり温泉でくつろいだあとは石川をあとにして京都へ目指して車を走らせたのであった。



今回は本当に楽しい反面、とても辛い採集であった。無事に帰還できたから良いようなものだが、本来であれば登るべきではなかったのであろう。しかし遠征先ではどうしても無理をしてしまいがちである。自然は甘くないということを身にしみて思い知った今回の採集であった。
◆本日の採集成果:ヒメオオクワガタ♂10♀5、アカアシクワガタ♂5♀3、ミヤマクワガタ♂1