加賀高山採集の風景

採集地:石川県加賀地方

2005.9.3

RICOH Caplio R2デビュー 購入から約半年。先日落としてしまったデジカメであるが、そもそもは、きたるべきこの日の為と新調したものだった。長駆の歩行コースを強いられる石川のルッキング。首から掛ける重たい旧式では負担が大きいため、小型・軽量で立ち上がりスピードの速いRICOH Caplio R1を選んだのだった。なのにその直前に失うとは余程運がない。まあ、カメラは買い換えたら終いなので、急遽後継機のCaplio R2を注文し金曜晩の21:00に到着した。今度のは画素数もあがってモニターも大型化しておりなかなかいい感じである。ケースもブラックと締まった印象がある。早速梱包を解くとカバンに入れて持って出ることにした。

21:30に自宅を出発した。敦賀までは無料になった湖西道路経由で進むが、無料化以降トラックが多くなったような気がする。しかしこのおかげで北陸方面へ出かける際の出費が減るのはたいへんありがたいものである。
70OVERのミヤマ♂
敦賀ICから福井北ICまでは一部北陸道を利用して福井県そして石川県ヘ。石川県へ入ったのは深夜の1:00頃だった。街灯を確認しながら進んでいくとポツポツ虫がみられた。カブトムシ、ミヤマクワガタ、アカアシクワガタ、ノコギリクワガタなどである。さすがにこの時期ともなると一般採集者は減った為なのだろうか?

中でもミヤマクワガタの♂は70mmオーバーの大型個体だった。期待していなかっただけにこれには嬉しかった。

2:30に目的地へ到着。日が昇る朝まで寝ることとした。

夜も明け6:00過ぎに目を覚まし、ゆっくりと身支度を整え軽く食事をとった。7:00前には準備を終えるといざ出発である。過去8時間〜10時間半を要しているコースだけに今回は早くても15:00。遅ければ17:00も回ってしまうかもしれない。それは成果次第だろう。歩き出して最初の難関である急な登りを過ぎたときには汗だくで息も絶え絶えとなっていた。いつ来てもここはしんどい。しかし、ポイントまではまだ遠い道のりだった。

この日の天候は曇り。快晴でないからまだ楽なほうである。ようやく汗も引いてきた標高1000Mを越えた辺りでまず第1のポイント。過去に採集できた実績のある木を眺めるが何もついていなかった。続くポイントでも同様でなにもみられない。更に進んで1100Mを越えてくるとアカアシの多いゾーンに入った。ここでもヒメオオの実績のある木には何も虫がみられない。今年は例年になく厳しいスタートである事を実感してきたのはこの頃だった。
モンシロチョウ
♀のヒメオオ発見
更に進んで1200M辺りでようやくアカアシのペアを見つけた。ネットに納め更に進むと人の気配。先行してしかも下山してくる2人の採集者だった。「こんにちは」と私から挨拶すると会釈で通り過ぎていった。私も驚いたが、向こうも驚いたのだろう。まだ時間的には9:00を回ったところなので上まであがって引き上げたのならいつから入っていたのだろうか?夜中から登っている筈もなく、疑問が残った。

1200Mを越え、これからというときに先行者が下りてきたということは往復採集している訳で、私にはかなり勝算が薄い。案の定、過去に付いていた木の事如くに真新しい踏みあとの数々。しかし、柳でも種類の違う木や踏み込み痕の無い奥の木などを隈無く探してゆくと黒い塊がいました。先ずは♀のヒメオオ。続いてペアでと数頭のヒメオオやアカアシを採集し、取り残しが無いかを必死で探して更に上を目指したのだった。
のどが渇いたのでペットボトルに手をやるとあるはずの所に何も無い。藪こぎしたときに抜け落ちたのだろう。しかもここから上は水場が無かった筈である。前回はデジカメを落とし、今回は水を落としとこのところ落としてばかりで誠に情けない。

給水も叶わず更に登りつつけたが、手近なところの木には全く見られず、折り返し地点まで到着したときの採集数はヒメオオ3ペア、アカアシ2ペアとかなり期待はずれな内容だった。そのわりに時間ばかりはもう5時間近くも経過してしまっていたのだった。ここで♀は全てリリースした。また来年、再来年と楽しみたいが故である。

30分程横になり休憩したのち下ることにした。雲行きもだんだん怪しくなってきていた。また夕立にやられるのだろうか。成果も大したこと無いのに雨に打たれるのは勘弁してほしいものである。そうならないように急ぎつつも丹念にルッキングをして行った。

ヒメオオ♀はリリースアサギマダラセマダラコガネ
ヤマキマダラヒカゲ
下りでは時間も経っているためかポツポツと獲られることが出来た。しかし、いつもの木ではなく意外なところが多い。ようやくそれらしくなってきたのであるが、それと同時にやはり雨が落ちてきた。スコールのようにブナ林に降り注ぐ。私はブナの大木の影に身を寄せ暫く待つことにした。15分もするとやや小降りとなってきたので再度下山を開始。まだ下りきるまで2時間近く必要だ。足もこの頃には痛くなってきていた。当然採集のほうは諦め、ただ黙々と途中の水場と車までたどり着くことを考え歩くしかなかった。

幸いその後雨は小雨状態だったのでずぶ濡れになることもなく、水場で喉を潤し、無事に下山できた。しかし、疲労は極限状態。靴も新調した物が堅かった為か踵に水膨れが出来ておりもう歩ける状態ではなかった。あわよくば明日も別なポイントへ軽くとも思ったが、この時点でこれは断念して温泉へ向かうことにした。温泉からあがり、やっと疲れも少し癒えた頃には雷を伴う本降りになってきたので街灯も灯火も試みることなく真っ直ぐ京都へ向かって帰ることにした。



今回の採集では思わぬ先行者がいたこともあり、思わぬ苦戦を強いられてしまった。他のエリアではバッティングするのは必定だが、過去石川のエリアでヒメオオ採集者とかち合ったのは今回で2回目である。しかし諦めることなく探してゆけばそれなりにではあるが見つけることが出来るものである。あと、今回痛感したのは靴のチョイスの重要性。平地ではなんら問題ない靴も山地での過酷な条件下ではよほど慎重に選ばないとならない重要なアイテムである。
スジクワガタ♂
◆本日の採集成果:ヒメオオクワガタ♂10♀6、アカアシクワガタ♂7♀6、スジクワガタ♂1、ミヤマクワガタ♂1、
 ノコギリクワガタ♀2、カブトムシ♂1♀2