阿波高山採集の風景

採集地:徳島県

2004.4.10-11

■2004.4.10

昨年秋にルッキングで惨敗をした徳島の高山へ再度材採集でチャレンジ。ことこの地でのルッキングによるヒメオオ採集の難しさを知った前回。果たして今回は・・

深夜1:30に自宅を出発、結構快調に走れたため朝5:30に目的地付近に到着。
それは丁度日が昇る時刻と重なり澄み切った夜空に登る太陽が美しかった。
車を止めて日が昇りきるまでの間に身支度を整え、朝食を済ませて6:00位から採集を開始。
ニセコルリ幼虫 標高1350M

まずはなんでもいいので虫はいないかと見て回る。

適当に朽ちた材を割ってみるとなにやら幼虫が出てきました。この細目の倒木から出てきたのはニセコルリと思われる幼虫
続いてより腐朽した材からは成虫が出てきました。

上のニセコルリより少し太い倒木にはオニツノクロツヤムシの姿が・・
小コロニーで2〜3頭づつ入っているケースが多いです。
ニセコルリ♀成虫 ニセコルリ♂成虫
クロツヤムシ クロツヤムシ幼虫
小型種もほどほどにして、本命をまずは探さないと・・
いいところに手軽なサイズのブナ立ち枯れがありました。

一刀入れてみると大きな食痕がみられます。
この食痕の主はやはりヒメオオ♂でした。
この辺かなと思ったところでいきなり出てきたので正直驚きと嬉しさが入り交じって・・・

反対側を今度は叩いてみるが、クロツヤ以外はなにも出てこない。

もう一度先程の周辺を割り出すと今度は♀成虫がいました。そしてその周辺からは3齢で蛹室を作っている幼虫や初〜2齢の幼虫も出てきました。

だが、幼虫がいるところはかなりの堅さのある部位なので少しずつしか割り出せません。朝から今回はお目当てだったヒメオオクワガタに巡り会えて本当に嬉しかった。
ヒメオオ♂成虫 ヒメオオ♀成虫
ヒメオオ3齢幼虫 ヒメオオ2齢幼虫
場所を移動して標高も1500M近くまで上がってきました。

尾根を走るダートのコースは実に雄大な風景が広がります。

今度も立ち枯れを叩いてみると下の方からはクロツヤムシが、上の方にはオニクワガタの幼虫が入ってました。

クロツヤムシは倒木だけかと思いきや立ち枯れにまで入っているとは少し驚きました。
オニクワガタ幼虫 アカアシクワガタ
また車を走らせ次のポイントへ。標高にして1350M程。
ここでは柔らかめの材からアカアシの新成虫が。腐朽した倒木からはまたもやオニクワガタの幼虫を採集。

続いて向かったのが昨年も入ったポイント。前回にオニクワガタを少々出した材を再度叩いてみるとなにやら違う幼虫です。お尻がベンツマークをしている。これはきっとツヤハダ(^^

材の中央付近で親と思われるミナミツヤハダの成虫の死骸も出てきました。幼虫はポロポロと出てくるが成虫が出てきません。この時期に成虫でいるのは少ないのだろうか・・
1本の材と格闘すること2時間あまり。幼虫は30程を数えましたが、結局成虫は出せずに終わりました。

そして日も傾きはじめたので、本日の所はそろそろ打ち止め。まだ日のあるうちになんとか林道を抜け出たいのもあるし、ハードな運転とハードな材割りで私の手のひらと腕、腰はもう悲鳴をあげていた。温泉につかって癒されたいと思い山を後にした。

■2004.4.11

昨夜は温泉で疲れを癒し、アメゴ(アマゴ)の定食を晩餐に頂きました。その後、峠を越えて移動する中夜の道には鹿がいたり狸や野兎がいたりと・・
村まで出たところでところで車を止めて車中泊をしました。

朝6:00頃に明るくなった日差しで目を覚ますと今日の目的地へ向け始動開始です。

まず入ったポイントは標高1250Mの断崖の沢の様なところ。ごつごつした岩場を登り倒木を探します。今日の目的はツヤハダ(特に成虫)なのですが、なかなか適当な材もない。その中で見つけた赤枯れした倒木からはマダラクワガタの幼虫が出てきました。成虫も出てきたのですが、あいにく斧で・・・
マダラクワガタ幼虫 次に入ったポイントは標高1300Mで倒木がそこそこありました。

朽ちた材を割っていくとオニクワガタの幼虫が出てきました。

見てのと通り黒く腐朽した材ですが、幼虫がゴロゴロと出てきます。
一番腐朽したあたりからは成虫の亡骸が出てきました。

約1時間ほどで60頭程のオニクワガタ(まさしく鬼の様な数・・)幼虫が採集出来てしまいました。
オニクワガタ幼虫 オニ成虫の亡骸
アカアシクワガタ幼虫 あまりオニクワガタばかり採っても仕方がないので、少し斜面を登って行きました。

白枯れの倒木を見つけて叩いてみるとドルクス系の3齢幼虫がいました。サイズ的にアカアシだと思われます。

ヒメオオが入りそうな材も見当たらないし、赤枯れ材も見当たらないのでここは一旦下山して車へ戻ることにしました。
ポイントを移動して標高は1450M

苔むした倒木が多くありツヤハダもいそうな雰囲気。

しかし大抵の材は白枯れしており中から出てくるのはまたしてもオニツノクロツヤムシ・・

そして白枯れよりもう少し腐朽した材からはオニクワガタが・・

さすがに鬼はもう腹一杯なので赤枯れ材を探すがなかなか見つけられません。
クロツヤムシ オニクワガタ幼虫
2時間くらいは徘徊したろうか。結局赤枯れ材は見つけられずだった。

時間も12:30も過ぎたので本日はそろそろ打ち止め。車へ向かって山を下りることにしました。
下山して山間部を抜けると里に桜が満開でした。見に来る見物人で渋滞もしておりましたが、なかなか美しい光景でした。そんなこんなでなんとか徳島市街まで辿り着き、あとは高速に乗って帰るだけです。
明石海峡大橋から神戸・垂水方面の眺めです。 この橋を越えると神戸市に入るので案外近いものです。四国徳島は。ただし、山間部は遠いな〜京都から徳島市街地までと徳島市街地から山間部までは同じくらいかそれ以上に時間がかかります。
ヒメオオ成虫&クロツヤムシ

今回採集した個体

1名での採集結果です。

●ヒメオオクワガタ成虫 ♂1♀1 
 3齢幼虫2頭、初〜2齢幼虫6頭
 (初〜2齢はアカアシの可能性もあり)

●アカアシクワガタ成虫♂2♀1
 3齢幼虫3頭(コクワガタの可能性もあり)

●ミナミツヤハダクワガタ幼虫34頭

●オニクワガタ幼虫約100頭

●ニセコルリ成虫♂2♀2、幼虫6頭

●マダラクワガタ成虫1、幼虫5頭

●オニツノクロツヤムシ成虫65頭、幼虫4頭



今回は本当に運良くヒメオオが早い時間で出せたのでその余裕から沢山の種類が採集できました。実は行く数日前に夢で赤枯材からツヤハダがポロポロ出てくる夢を見てました。本当にそうなるとは・・まさしく正夢だったんですね。(^^)
次にこの地を訪れるときは是非生きた成虫に会いたいものです。


あと、行きの道中徳島市内で猫が前を横切り、山中の林道では狸が横切り、そして車を止めるポイント近くでは夜明け前にカモシカが横切りと。
我々が利用する人間が造った道路も実は動物たちの生活範囲内なのを強く実感しました。
間違っても動物をひくことの無いように注意したいものです。

ヒメオオ幼虫&オニ幼虫
ミナミツヤハダ幼虫
オニ幼虫&アカアシ オニ幼虫