備前・美作地方採集の風景

採集地:岡山県

2004.7.3

まだ、日が昇ったばかりだというのに、昨夜の香川樹液貫徹でだいぶ疲れていた。

瀬戸大橋の中に島がありそこのパーキングで休むことにした。トイレから戻るとイカ氏はかなり体調が優れぬ様子だった。昨夜は睡眠不足と頭痛薬を飲み過ぎていた為かもしれない。彼はすぐ車で寝に入った。

私はというと、お腹が空いていたので、かき揚げうどんを食べて腹ごしらえすると、少しこの島の散策に1時間ばかり徒歩で出かけた。ハナムグリが多くクヌギのまだ若々しい実に潜り込んでいた。捕まえて確認するとシロテンハナムグリだった。クヌギの樹液も少し見つかったが、いたのはカナブンばかりがで大漁に付いていた。木を揺らしてみたがカナブンやハナムグリのみで小便しながら飛んでいった。その後、私も車へ戻り2時間ばかり仮眠した。

目を覚ますとイカ氏は元気になっていた。日も完全に昇り、この日はかなりの暑さになってきていた。そしてY氏からの電話も鳴った。オオクワ採集の報告だった。我々の入っていないポイントでY氏達のグループは先日も2頭採ったポイントだった。今回は一人でこの暑さのかなで入っておられる様だが、流石としか言いようがない。我々も頑張らねばと、岡山へいよいよ入ったのだった。この日の予定は昼間流しで樹液の開拓、夜は旧知の樹液回りと街灯下回り。

しかし、この日は本当に蒸し暑い。後でわかったが、気温36℃になっていたようだ。岡山県は果樹園がよく目に付く。時々鳥などに対する威嚇の発砲音が響き渡る。至近距離で鳴ったら我々が腰を抜かしそうな音だった。車で流していると時折クヌギのある雑木林を目にできるのだが、樹液の出の良い所はほとんどない。昼間だったら蜂や蛾が飛び回っているので目に付きやすいが、なかなか難しい。

そんな中、ようやく良さそうな雑木林で小さなヒタラ♂に会うことが出来た。擦れた小さな♂だった。続いて、山間に入りクヌギを探すが、コナラは多いがクヌギは少ない。やっとそこそこ良さそうな樹液を見つけることが出来た。またもやイカ氏が昇っていったが、うろに付いていた比較的大きなミヤマは落ちて行方不明となってしまった・・

その頃、またY氏からオオクワ2頭目採集の報告。我々もと気合いだけは奮起し、クヌギ、アカメガシワなどチェックしていくが、暑さでへたばってしまって車を止めて仮眠することに。

1、2時間は寝ただろうか。目が覚めたその時に軽トラックが私たちの横に止まった。年輩で林業の方の様な出で立ちだった。私たちを不振に思ったのか、色々質問してくる。

昆虫採集していて香川から岡山に移動してきた旨と、その成果の虫を見せると安心したのか、我々に態度も崩してその後は、樹木のことや獣のこと、農薬のことなど山に関わる話を色々聞かせてくれた。たぶん、私たちが仮眠していたエリアは赤松が多かったので松茸とか果実の荒らしとでも思ったのではないだろうか。まあ、近頃は収穫直前に作物を根刮ぎ持って行ってしまう様な不逞な泥棒も多いので致し方なしといった所か。

町へおりて弁当屋で腹ごしらえを済ませ、いよいよメインの樹液回りの開始。まだ日はあるが、いつも始めに見るのアカメガシワはノコしか見てないので、晩を待たずとも良い。早速入ってみると、いつもと様子が違う。黒い虫が付いていた。網で受けようと揺すっても落ちない。仕方がないので少し昇ってつかまえるとヒラタの♀だった。他にもスジ♀が2頭を確保。上にもノコらしきものがいたようだが、こちらは落としてわからなくなってしまった。次にあまり期待できないポイントへ単独入ったが、やはり何もクワガタはいなかった。

いよいよ、日も落ち期待のクヌギへと向かった。しかし、期待も虚しく小型のヒラタ1頭とコクワ、スジクワだけだった。続くもう一本のクヌギ樹液はコクワのみという惨敗ぶり。もう一本いつもカミキリやケシキスケイが付いている樹液ではそこそこの大きさのスジがペアで付いていた。
その後はこのエリアでは街灯回りを行い、小型〜中型のミヤマを何頭か採集。そして偶々樹液も見つけ、またもや大きなスジクワが採集できた。前に大型のノコが採れた町の街灯は完敗。新たな街灯を探して広範に動いたが、なかなか成果は上がらない。

アカメガシワやクヌギを見つけると止まっては確認して行くうちに有望なクヌギに巡りあった。早速上の方に大きな黒い♂のお尻を見つけ、イカ氏を呼んで脚立と網で万全の体勢をとったが、脚立を立て、イカ氏が昇りだしたときに行方不明となってしまった。60mm台のオオかヒラタか・・時間をかけて探し回るが、結局見つからない。

その後は60mm台のノコを追加したくらいで、二人ともあの個体がはっきり確認出来なかった為、後ろ髪を引かれる思いだが、この日は打ち止めとし、京都への帰路についたのだった。

本日の成果(ノコ・ミヤマ・ヒラタ・アカアシ)

最大の成果はスジかも・・

今回採集した個体

2名での採集結果です。

●ミヤマクワガタ成虫 5♂3♀
●ノコギリクワガタ成虫 3♂3♀
●ヒラタクワガタ成虫 4♂1♀
●コクワガタ成虫 20頭
●アカアシクワガタ成虫 1♂
●スジクワガタ成虫 5♂5♀

車中泊での連日採集というのは本当に疲れるものである。成果に至っても肝心なところでの取りこぼしが続くとテンションも下がってしまう。反省すべき点も多いが、その場では気持ちの切替も重要なのかもしれない。次週からはいよいよ高山ルッキングやライトトラップの本格始動を予定している。気持ちを切り替えて前向きに望みたい。