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紀伊山地採集の風景 採集地:和歌山県〜奈良県南部 2004.7.16-17 |
◆◆7/16 夜の部◆◆ | |
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7月の3連休は東北遠征を以前から予定していた。 しかし、この週は関西では梅雨明けしたものの東北や北陸では豪雨が続き、川の決壊や土砂災害が各地で多発していた。とても採集は楽しめそうにない状況で、東北や北陸遠征は今回見送ることにした。何処へ行こうか直前まで決まらなかった。 帰宅して準備をしているとI氏が到着。とりあえず、岡山の低地から高山を目指して車を走らせる。車内で最終の調整を行う。そんな中で急遽和歌山と奈良という線が浮上した。私はできれば高山で灯火をと思っていた。それに確実に雨のない地域ということで決定した。それは名神高速に乗った後だった。 |
高速を走らせ大阪を通過して南下する。昔は和歌山へは遠かったが、高速道路が延びたお陰で楽になった。パーキングで休憩するとカブトムシやノコギリクワガタの飛来が確認できた。ここには過去にオオクワも飛来していたようである。 いよいよ目的のインターで降りてI氏旧知の樹液ポイントへ向かう。 途中の明るい水銀灯の下にカブト、ミヤマ、コクワ等が集まっていた。 だが、本命の樹液は道路の拡張でクヌギの木が無くなっていた。 次の場所では数本のクヌギがあり、カブトやノコ、コクワ等が付いていた。頭上の樹液に網を繰り出すもカブトとコクワしかネットインしなかった。 更に次の場所は竹藪が広がりお目当ての木は確認できなかった。 そのまま車を走らせ最後のポイントへ向かった。そこはそこそこのクヌギはあったが、カブトばかりで、あまりクワガタは多くは無かった。そんな中私が木の上に登り確認すると小さなヒラタ♂が入っていた。片顎が無かったが懸命にうろに入り込んでいった。無理強いして出すまでも無いと早々に諦めその場を立ち去る。 その後は山間部へ向けて車を走らせた。いつの間にか結構な時間になってきていた。ここから大きく一山越えて行くのも時間がかかりすぎるとの判断で、峠は越えずに車を止めて寝ることにした。その頃には辺りは明るくなってきていた。 |
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◆◆7/17 朝の部◆◆ | |
2、3時間は寝たであろうか・・ 軽く朝食を摂るとすぐ車を走らせた。 ここからは一気に標高を上げる。 気が付くとブナも出てきて1000m近くまで上がっていた。時折、車を止めてヤナギを探すが虫の影は見当たらない。 車を止めたスペースにブナの倒木が転がっていた。コクワらしき産卵痕が付いている。 少し叩いてみるとやはりコクワと思われる2齢幼虫が出てきた。この倒木を裏返してみると、成虫の♀がいた。 一瞬ヒメオオだったらと思ったが、コクワガタだった。符節も無く、新成虫ではなさそうだ。 ここへ産みにきてそのまま居着いているのだろうか? |
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その後目的のルッキングポイントへ到着。 意気揚々と上がって行くがブナやミズナラは多数あれども柳がみられない。 カンバなども隈無くチェックしながら上がって行くが2人共柳がなければ只の人と化してしまっていた。 手頃なブナの立ち枯れもあるので、ヒメオオも生息はしているはず。 やはりこういった環境では割り以外では難しいのかもしれないと思った。久しぶりの高山ルッキングで首も痛くなり、ここでは坊主だが撤退することにした。 |
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◆◆7/17 昼の部◆◆ | |
その後は林道へ何カ所か入り込み、ルッキングを行うが柳がほとんどなく成果は芳しくなかった。車を止めた場所で大きな芋虫を見つけたくらいだった。それはヤママユガの終齢幼虫だった。 また場所を大きく変えて山越えの林道を走行中に、やっと柳のある沢を見つけることができた。標高は少し落ちてきているが、アカアシならいるだろうと網を片手に沢登りを開始した。 やっとクワガタの影を見つけることができ、首尾良くネットイン。やはりアカアシだったが、ルッキングでの採集は楽しいものである。その後も何本もある柳を全てチェックしていく。 その時頭上にI氏が虫を見つけその木に近寄ると足下に大きな干物のアカアシ♂が転がっていた。私は頭上の小さな個体よりこちらが気になり手にするととても大きい。後で計測すると51.5mmあった。ヒメオオのこのサイズは何頭もみてきているが、アカアシのこのサイズは初めてだった。 |
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この後ある程度上へ行ったが、やがて柳も無くなりUターンすることに。そしてまた移動を開始した。 深い山間部を抜け、町へと近づいた頃に里山の風景が気になり、車を農道へと走らせる。すると程良いクヌギの雑木林があった。 早速近づくと何本もの木から樹液も出ており、無数のカナブンが集まっていた。 しかし、クワガタはノコの♀が1頭いたのみだった。 他にもこの近辺でクヌギを見て回るがクワガタはみられなかった。 カブトがみられない所をみると一般採集者の採集圧が高いのだろうか? |
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◆◆7/17 夜の部◆◆ | |
町へ出て夕食の買い出しを行った我々は、またもや紀伊山地の山間部へ戻っていった。家を出る前に予想していないエリアだっただけに広域の地図しかなく、当てずっぽう状態で灯火採集の出きるポイントを求めて走り回った。 主だった登山道周辺はこの月のはじめに世界遺産登録(※ユネスコ文化遺産)された影響か観光客やキャンプなどの行楽者が多い。おまけに標高を上げても結構杉の植林が多く適地はなかなか見つからない。やっと視界の開けた広場を見つけても車やテントが張られていてトラップの設置場所は先に占有されていた。 かなり奥部へ入り込みようやく良さそうな場所を見つけたときにはもう日没が迫った時間になっていた。広いフラットなスペースがあるのでシート無し、幕は風が心配なのでこれも無し。ライトと発電機だけ車から降ろしてスタンバイする。そしてエンジンを点火すると丁度夜の帳が降りた。 ライトの灯りが反対斜面の山を照らし出す。すると少し離れた所でテントを張っていた方がこちらにやってきた。苦情ではなく、我々が何を行っているのか気になる様子だった。後でテントに来てくださいとも仰ってくれた。その方が去って間もなく山が暗闇に包まれた頃、虫の飛来が始まった。 アカアシ、ミヤマ、コクワと気が付くと飛んできていた。このとき不思議なもので何故かアカアシはライトから離れた位置に着地している。ライトから丁度5m位の同心円上に飛来するのだった。それに比べ、ミヤマはライトの直前に皆集まった。ドルクスは警戒心が強いからなのだろうか?それともI氏がその辺りで明るいライトで虫を探してうろうろしているから二次的にその近辺に集まるのだろうか?これは今後も参考になる事なのかもしれない。ある程度の時間帯を過ぎると虫の飛来はぱたりと止んだ。ライトの方向を変えても飛来は無くなった。 |
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そしてまた、先程のテントの方が今度はお仲間を連れてやって来られた。私たちがキープしていた虫をみて驚きと興味を示されていた。そんなときふと足下に大きなカエルがやってきた。北陸から紀伊山地にしか生息しないナガレヒキガエルだった。こういった両性類は案外灯火に良く集まる。前にも沢山のアカハライモリが集まってきたことがあった。 風も出てきたし、虫の飛来も無くなったのでそろそろ引き上げることに。今回はシートや幕を使用していないだけに撤収は早かった。そして紀伊山地を後にすると、あっという間に京都まで戻ったのであった。こうして28時間に及ぶ採集はやっと終わった。 |
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今回採集した個体
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