加賀・越前高山採集の風景

採集地:石川県中部〜福井県北部

2004.8.7

ヒメオオルッキングもいつも同じところばかりでは飽きるものである。なのでこの日は敢えて難易度の高いエリアへ向かうことにした。

私は初めての場所であるが、I氏はかつて一度訪れたことのある場所だった。
以前彼が来たときは、柳も少なく成果は乏しかったので途中で引き返したとのこと。
今回は奥まで行ってみたい。

成果はたぶん厳しいだろう。ただ、見たことのない地への期待を胸にいつかは攻めてみたいと一昨年くらいから思っていた。
会社から帰宅するとシャワーを浴びてすぐに家を後にした。いつもより早い出発で、現地で仮眠して日の出と共に今回は登り出す予定だった。
クマ出没のため立入禁止 順調に目的地までたどり着き、一息入れているといよいよ夜が明けてきた。長い一日の始まりだった。
歩き出して少しすると沢山のアブが襲ってきた。序盤からペースを上げて振り切ろうとするが益々アブは集ってくる。服に止まったものなどを手のひらで叩きつぶしてゆく。20匹程はやっつけたがなかなか減らない。そのうち数カ所刺されてしまった。中には口の中へ入ってくるものまでいる。いきなりの思わぬ洗礼に汗だくとなりながらひたすら上っていった。

標高もいくらか上がるとようやくアブは何処かへ行ってくれた。ほんとにやれやれだった。あの状態が続いたら採集どころではない。とても落ち着いて柳を見られる状況ではなかったから。

やっと柳を見つけたが、全く虫はなし。その後も柳があるたびに隈無くチェックするが何もみられない。日も射し込んでないし条件は悪くはないのだが・・
標高もいつしか1200mまで上がってきた。ここらからがヒメオオの濃いエリアだろうか。

とそこに一枚の看板が目に入った。近年クマ捕獲を禁止している為多発して危険だという警告の看板だった。確かにこの辺りは多いだろうと想像はしていた。今回は最悪の事態を想定して念のために腰に斧を下げている。こんなものを熊に対して使いたくはないが、最悪のことを考えると明らかにいると思われる所には必要なのかもしれない。

更に奥へと進んでゆくと柳は多くなっていた。いるはずだがなかなか虫を見つけられない。歩ける終点まで辿り着いたが、この時点で我々は坊主だった。

流石に厳しいのは予想していたが、ここまで厳しいとは予想通りなのか・・いや、予想以上だった。
この日の初物
途方に暮れ折り返して少しするとI氏が虫を見つけだした。
ゴミムシ?いやアカアシか??
黒光りしていて速いスピードで2頭移動している。私が網を差し出しネットインするとやはりアカアシだった。

なんとか坊主は避けられたがヒメオオを1頭でもいいからみたいものだった。

その後も行きに見損なっていた柳の多い林内へ突入するも囓り跡はあるのだが、虫がいない。ここなら最盛期なら間違いなくいるだろうと思うのだが、この時期だからいないのだろうか?
その後も柳をチェックして下りてゆくが、私達はクワガタを見つけることは出来なかった。

帰りもまたアブの襲来を心配していたが、行きに比べるとましだった。しかし、早足で駆け下りたため、つま先など相当疲労していた。下りたところで地元の方に話を聞くとここはよく熊を見かけるらしい。私達は熊に会わなかったのは幸いだが、ヒメオオにも会うことは出来なかった。まあ、でも新天地での柳のルッキングはそういうものかもしれない。

ハムシの仲間アブ
南へ車を走らせ福井県へ向かった。先々週に予定していたライトトラップを今回は行うためだった。

標高を上げてみたが、ヒメオオの望めそうな標高での設置は難しいということがわかった。思ったより樹相は良いので、低い地域でも面白いかもしれない。途中に数カ所やれそうな場所は決めていた。

福井では以前、ブナ帯に近いエリアでオオクワガタのラベルも残っている。東北での生息状況が詳しく知られていない時期の記録だけに疑う声もあるようだが、ここはオオクワでも狙える標高まで落としてやった方が、まだ面白いだろうと判断した。

日没まで時間もあるので本来ならルッキングを行うべきだが、何故か疲れからか寝て待つことにした。

車で2時間ほど仮眠をし、いよいよ移動を開始して、灯火の設備を設置することにした。今回は幕なし、床のみシート敷き、あっという間に設置を完了。

丁度、日も落ち暗くなりかけていよいよエンジンを始動する。

初めに集まってきたのは小さな羽根蟻のような虫だった。
続いてコガネムシが飛んできた。

そして、蛾や蝉がやって来た頃はすっかり暗くなっていた。
たぶんそろそろかと思っているとやはりその通りアカアシ♀が目の前に舞い降りた。I氏を呼んで撮影しているとポツポツアカアシが飛んでくる。今夜は比較的ライトに近いところに落ちている。

風もほとんど無いのでオオミズアオも沢山集まっている。湿度も高くこんな日は期待できると思ったが、まあまあのペースで虫は集まっていた。そのうちミヤマも♀が来るようになった。しかし、ミヤマは♂が飛んでこない。もちろんオオクワなんかは飛んでこない。



照射範囲を変えたりしたが、一通りクワガタの飛来が収まった様だ。

ルッキングが2頭と惨敗だっただけに普通種、しかも♀ばかりだったがそれでもやはり飛んで来てくれると嬉しいものである。

山の向こうでは雷光もみえるのであまり粘らずに退散することにした。

帰りに道中でライトを焚いている採集者を見つけたので少し話を伺った。ノコ・カブトなどが来ているようだった。少ししか下がってないのに飛んでくる虫が全然違うのには少し驚いた。

そうして福井を後にして滋賀県を下道で抜け京都へ戻ったのであった。

今回採集した個体

2名での採集結果です。

石川県
●アカアシクワガタ 成虫 
 ♂1頭 ♀1頭

福井県
●アカアシクワガタ 成虫 
 ♂4頭 ♀10頭
●ミヤマクワガタ 成虫♀8頭
●コクワガタ 成虫♂1頭


今回もルッキングは先週以上に厳しい結果となってしまった。条件的には悪くはないし、柳もそこそこある。強いて言うならブナが少なかった事だろうか・・

あと数回しかヒメオオのルッキングは楽しめないので、あまり冒険も出来ないが、また次も冒険となってしまうかも・・(汗