加賀高山採集の風景

採集地:石川県

2004.9.25

今年のルッキング締めくくりとなる今回は、本年5回目の石川に決まった。7/24以来今期2度目のポイント。約2ヶ月前だったので状態の変化や成果の差も気になるところ。しかし、この一週間は山梨・福井・岐阜と遠征も続いておりさすがに疲れも溜まってきている。石川のハードな採集に耐えられるかが心配だが、なんとか採集を満喫したいものだった。

いつもより少しゆっくりと石川入りをすると昨夜の雨の影響で日が出ても薄暗いほど霧に包まれていた。まあ、慌てても仕方ないのでこんな日はゆっくりと上がっていくことにした。歩き始めて暫く経った頃、ようやく1頭目のヒメオオに出会うことが出来た。ここは前回も採れた所だったが、踏み跡が大きくなっている。複数の採集者が入っているのは明らかなようだ。その後も実績のある場所などを特に丁寧に見て行くが全く見られない。2頭目がなかなかあがらない。標高もいいところまで来ている。この時点では明らかに、いつもより厳しい状態だった。
道沿いより奥の木まで降りて見に行くと、何か黒い塊が付いている。ペアのようだ。その奥にも、そして上にも付いている。御神木のような木に巡りあい、一気にカウントも気分も上昇する。林道へ戻り気分良く歩いていると前方から人が2名降りてくる・・2名とも長手の網を持っていた。言わずもがな、我々と同じく採集者だった。挨拶して話を聞くと石川の方で虫の会に所属している方たちという。しかしこの時間に降りてくるというのは相当早い時間に登っているのか??
疲れている様子もなく軽装だったのが気になった。我々が今からというときに降りて来たというのにはこの後の採集が厳しいものになるのを予感させ、一気にトーンダウンしてしまったのだった。

辛うじて10頭まで数えていたがそこからが伸びない。日差しも出て来ており、時間的にも丁度良い。いつもなら確実に採れる辺りでも全くいない。やはり、その後は厳しい状態となった。ところが標高も1400Mを過ぎて、またポツポツ採れ出す様になった。さっきの2人はここまで上がってないのだろうか?しかし、もう折り返し地点は間近となっていた。
猛毒のトリカブト 折り返し地点でしばし休憩をとり、時間調整を行う。今回はこの辺りでも丹念に分け入り調べていく事にした。夏は到底踏み込む事の出来ないところもこの時期なら入っていける。足下にはきれいな紫の花を付けた猛毒のトリカブトが咲いていた。この辺りは蝶も舞っている。まさに楽園の様だった。そんな時、相方が悲鳴を上げていた。蜂に首筋を刺されたらしい。ペットボトルにアミノ酸やらクエン酸やら入れていたから、その匂いに惹かれて寄ってきたのだろう。

そして、その後は気になる所は斜面でも降りてチェックして行くと不思議とヒメオオが付いている。1頭を見つけ網を出すとまたその先に見つけたりしてカウントも上向いてきた。下へ降りたら5頭もいたのでI氏に応援に降りて貰った。I氏が枝に乗り網を差し出したが、手で握っていた枝が折れて今度は頭から落ちていってしまった。まるでヒメオオの落下のようだった。(笑
その後も下りは順調に採集を楽しみながらだいぶ降りてきた。時間もいつもより費やしている。日もだいぶ稜線に近づいているのでここからは足早に降りることにする。

この日は新しく導入した靴が履き心地も良く疲れはあまりなかった。但し、新品の靴は当たる場所があって少々痛くもなってきていた。

なんとか日没前の18:00前に下山することが出来た。成果はヒメオオが丁度30頭。約10時間、歩数にして32000歩はたぶん過去最長となるのではないだろうか。
熊の逃げ去った林 その後は温泉に入りに行った。足の疲れも癒され、体が楽になった。

一休みの後、石川から福井ヘ抜けた頃に前方で黒い生き物が歩いている。I氏は猿か?と思ったようだが、私はとっさに熊だとわかった。車が近づくと走って逃げて行く。親熊と子熊2頭が必死に走っていた。カメラに収めようと思ったが、さすがにそれは無理だった。案外、子熊の走る様は可愛いものである。しかし、林道などで無防備な状態で出くわす可能性も高いことを痛感する出来事だった。

今年は各地で目撃や被害が起きているが、人に危害を加えた熊は仕方ないとしても出来れば射殺など安易にしてしまうのもどうかという気がする。ニュースで撃ち殺された熊を見るのはなんとも言えない。私がまだ小学生の頃、幼なじみの同級生の家には熊が2頭いたので見慣れていたが、野生の熊と飼われている熊とでは性格も全く違うだろうからそれと同じように考えるのは甘いのかもしれないが・・。
成果の一部

今回採集した個体

2名での採集結果です。

●ヒメオオクワガタ 成虫 ♂25頭 ♀5頭
●アカアシクワガタ 成虫 ♂1頭


今回はいろいろなハプニングな出会いもあり、尚かつこの時期でもそれなりの成果が出て思い出深い採集となった。来年まではお預けになるであろう柳のルッキングのいい締め方が出来た1日だった。