越冬及び温度管理について
冬場のブリードで一番大切なこと。


▼越冬が何故必要か?

通常、特に国産種(本土種)では羽化後翌年春までの越冬が必要になります。

これらは、温度の下がった冬を越し春(初夏)の訪れと共に活動をはじめます。

人工飼育下(屋内飼育)においては温度の変化が自然と違うため、意図的に寒く暗いところに置いて越冬させます。

そうすることで無駄に活動して体力を消耗することを少なくし、シーズンインでスムーズな交尾・産卵をさせるのが目的です。

▼その反対の方法は?

逆に温度をかけて意図的に常時活動させる場合もあります。

この場合は温室や虫を置いている部屋を温度管理します。

産卵をさせるなら種により適正範囲は変わりますが、通常24℃以上には持っていかないと無理でしょう。

ただこれは虫にとって、一番体力を消耗しますので短命になります。

通常温度管理は外国産(特に熱帯〜亜熱帯)の虫を飼育する場合には有効です。

▼何故外国種は温度管理が必要なのか?

特に幼虫で越冬能力(冬化能力)を持っている虫と持っていない虫では飼育出来る温度帯が歴然と違います。

国産種(本土種)は多くが厳冬を越せる耐寒能力を有しています。

それに対して、大方の外国産種ではその能力はありません。

東南アジアなどの熱帯・亜熱帯地域に生息するクワガタは日本の冬の寒さは厳しいものとなります。

ただ屋内で成虫を飼育しているだけなら、少々の寒さではそんなに簡単に死んだりしません。

▼では幼虫はどうなのか?

本当に温度管理が必要なのはむしろ幼虫の飼育に於いてとなります。

耐寒能力を獲得している虫は体質を変化させ、マイナスの温度下でも仮死状態で過ごします。(本土種でもヒラタなどはこの能力を持たないともいわれています。)

それが出来ない虫(南方系国産種、外国産種など)は温度が下がると死んでしまいます。

15℃位が通常下限の目安といわれます。

▼そこで冬の準備は?

小規模の飼育なら、蘭の栽培用のガラス温室+ヒータ+サーモのセットが管理に適しています。

循環用にファンもあった方が温度を均一に保てるためよりよいでしょう。

規模の大きな場合は虫部屋をエアコンで常時管理する方法をお薦めします。

エアコンだけでは温度が保てない様なら補助用にオイルヒータなど使うのもよいでしょう。

ただ、相応の電気代を覚悟する必要があります。

※注意事項

・ヒーターをかけた温室内などでは、とても乾燥しやすくなります。
くれぐれも乾燥には気を付けてください。