A.L.Fのひとりごと

Vol.3 「放虫問題」 
Insects free to the field


昆虫を野に放つ行為・・これがいわゆる放虫行為な訳ですが、賛否両論いろいろな意見があるかと思います。また、放虫の意図とするところもいろいろなケースがあります。

1.採集時に割り出してしまった本来採集対象外の幼虫が羽化したら山へ戻す。
2.国産種など飼育していた虫が増えたから山へ放つ。
3.意図的に採集ポイントの撹乱を目的として放虫する。
4.不意に飼育していた虫を逃してしまった。もしくは意図的に悪気は無く逃してしまう。

1や2については虫への愛情がそうさせるわけで、それを行う本人には悪気はないでしょう。ただ、問題なのは採集されたところへ戻すのならまだしも、違った土地や本来いなかったはずの地域へ放つのは厳禁です。成虫採集個体のリリースも同様。

3の故意に虫を放つ様な悪質なケースは本当に困ったもの。私の周りでも天然オオクワと思われる♀が産んだ子が羽化したら明らかなインド系クルビデンスになったり、立ち枯れから若齢で割り出した幼虫が羽化したらタイワンオオクワGタイプだったりとか、中には外産オオヒラタの♀が樹液にいたり。明らかに意図的なポイント撹乱を狙った放虫が行われています。こういった行為の背景には営利が絡んだりもしており、虫の業界の嫌な点でもあります。業界を本来リードしていくべき方がもし行っているならそれこそ自業自得、即刻止めていただきたい。単に遊び心であったとしても許されざる行為だ。

4の不注意や事故により放たれてしまうケースも現実には多いでしょう。特に子供が飼育しているケースなどで起こるのが多いものと思います。最近は夏にDIYなどで安価にアトラスオオカブトやオオクワガタなどが購入できるため、簡単に入手し楽しめます。オオクワガタペアも私が目にしたものではあきらかに国産種ではなく、パリーと思われるオオクワが入っていたのを目撃しております。外国産種の扱いに長けていない方はそれすら自覚のないまま国産のオオクワガタだと疑わぬまま、思わぬ結果を招くとも限りません。あと、繁殖力が強く値も安いカブトムシの扱いにも注意は必要かと。特に南西諸島以南の地域や八丈島など生息していない土地へ送るとかのケースは梱包も虫の値が安いからといって気を抜かずに厳重に送る様な配慮や、その受け取りの方たちへの説明も行う必要があると思います。本来いなかったとされる北海道の二の舞は踏まないように。ましてや小さな島とかでカブトムシが逃げてしまったらそれこそ致命傷になるものと思われます。罪の意識はなくともそれが一番怖いかもしれない。

原則的には一度人間が手を加えてしまったものは野に放つべきではないと私は考えます。