A.L.Fのひとりごと

Vol.12
「採集禁止」 Prohibition of collection


以前からであるが、採集に於ける地元住民や警察をも巻き込んだトラブルを耳にする。

数年前には鹿児島県大島郡瀬戸内町の請島が、本年も鹿児島県十島村のトカラ列島と東京都の御蔵島で条例などにより採集が全面規制されました。尾瀬や上高地などの特別保護区域は当然以前から採集は禁止されているが、近年目立って地元住民とのトラブルが発端でその地区の条例などで規制されるケースが増えてきている。この様な離島でのトラブルになる原因はトラップの放置が起因しているか、畑などへの不法な侵入が起因している。

話は離島ばかりに止まらず、福島県檜枝岐村や山形県小国町などでの灯火採集でも警察沙汰になるトラブルが発生している。その現場にいた訳ではないので定かではないが、自販機の電源を無断で利用したり、町中で大挙したグループがライトトラップを行ったりしたようだ。材割り採集に於けるトラブルも以前から問題となっており、ある有名な採集者の方は地元住民に猟銃を突きつけられる事もあったようだ。

これらは全てフィールドマナーが欠落していて起きているトラブルで、こういった方の存在が健全な採集者全てを巻き込み犠牲にしている。離島で起きているケースは特定の個人が引き起こしたもの。東北などの灯火で起きているケースでは集団化してまわりが見えなくなっている為だろうか・・? この様な苦い話は全く残念な事だし、苛立ちさえ覚える。しかし、彼ら特定のトラブルを起こした採集者だけの所為という事も一概には言えない面もある。なぜなら先人が其の撤を踏んできている場合もあるはずである。

一般的な見地に立つと採集者全てを締め出したくなるのも無理はない。それにはその発端となる昆虫を守るという大儀でしか規制は出来ない。しかし、本当に昆虫を守るためにと考えるならば、自然環境を守らなければ昆虫は守られないのではないでしょうか。採集禁止で昆虫が守られると考えるのは、一時しのぎに過ぎず抜本的な解決にはならない。また、他への迷惑も考えない度を過ぎた採集者への問題はなかなか簡単には解決出来ません。いくら規制をしたところでも、やる気になれば密漁でもなんでも行うでしょう。規制されたことにより本来以上に付加価値が付き換金だけを目的とした採集者も現れる懸念もあります。しかし、これからフィールドへ立つ方にはそれなりのマナーを理解して行って頂きたいと願います。

地元の方や登山者などと会った際には挨拶を交わす。民家の近くでは絶対ライトトラップは行わない。自分が仕掛けたトラップの後片づけはきちんと行う。畑や民家へは不法に侵入しない。生木は絶対に削らない。これは採集者としていや、フィールドに立つ人間として当然のマナーだと思う。これ以上、トラブルは起こさないで欲しいと願います。