A.L.Fのひとりごと

Vol.13
「阿古谷と色付き」 AKO & Colors


近年、阿古谷のラベルで超阿古○○血統などというものが流行っている。
数年前の元木SPや森田オオクワに勝るとも劣らないような人気の様である。

先のブランド商品と違う点は、阿古谷という能勢(厳密には兵庫県猪名川町)の産地名が付けられている点。この三草山を周辺とした能勢近郊は昔からオオクワガタの一大産地なのですが、本来能勢にいたオオクワガタとは似ても似つかない形相をしたものが超阿古などの名で目にするのは少なからず抵抗を感じる。ましてや関西でも能勢を知り尽くしている古参の採集家の方々は口を揃えて阿古谷の極太個体に対しては懐疑的で、実際山で採集できる虫で、雑誌で紹介されているような個体はみたことがないと。そしてF1やF2を羽化させてもまず出てこないという。

では何故巷で阿古谷というと極太の頭巾も広くがっしりした個体がもてはやされ、そして売られているのか?事の発端はある雑誌に阿古谷の虫が取りあげられてから急速に人気が出た。しかし、この虫は本当は阿古谷で採れたものでは無いと聞く。その後登場している超阿古などという虫は、どのようにブリードされて作出された個体かは存じませんが、阿古谷というラベルを背負った本来の阿古谷(能勢)の虫とは別の虫なのではないかと。そうでもなければ辻褄が合わないと感じている関西の採集家や飼育者は多いはず。本物の阿古谷(能勢)の虫はもっとスマートな虫ですからね。

事実、能勢では私の知る限りでも放虫も多く行われており、意図的にホーペやタイワンオオ、インドクルビなどが撒かれている。中にはそのような個体を採集して持ち帰りブリードしたら極太の個体が出てきたなんて事も起きているでしょう。交雑して能勢本来のオオクワと見分けの付きにくい物も中には存在するかもしれない。ホーペやタイワンオオなどの外産種は見慣れている人ならオオクワと違うのには気が付く物だが、そのような外国産種に興味の無い方やまだ初心者の方たちは見分けすら困難なのかもしれない。
能勢では放虫を何頭も採って一人前ともいわれるくらい・・これが現実なのです。

そして、○○アイなどという色付きの黒虫達
。着色剤を使っての色の固定化への試みは養蚕などで成功している。これを高値で取り引きできる甲虫に目を付けた餌昆虫の養殖業者が数年前から試していたのを私は知っている。オークションなどで販売されている虫が果たしてそうなのかは存じませんが、色付きの黒虫なんて普通に考えてもおかしいと思いませんか?米国製の着色剤をマットに染み込ませてそれを食べて育った青い色をした幼虫を見せてもらった事があるが、これはもうお遊びの世界で、プラモデルにスプレーするのと同じ感覚を持っているかのように受け取りましたが・・

この様に人気が先行していくケースでは媒体が後押ししている事も多いが、決してダークな部分はなかなか記事にはならない。あえて今回は書かせていただいたが、この血統を販売している方や愛して飼育されている方々への中傷のつもりはなく、現実とのギャップがあるということ。それと、能勢を昔から知る人や毎日のように能勢で採集をしている人たちの見識や現実の産地の事が少しでも多くの方に参考になればと。

以上、あくまでも私見としてみなさんには受け取っていただければと思う次第です。