Vol.20 「飼育放棄」 Breeding renunciation. いつものようにWebでMSNを見ていると東京でニシキヘビが逃げ出したとニュースで出ていた。飼い主が公園で散歩させていて逃がしてしまったらしい。あとでTVでもこのニュースは取り上げられていた。飼育には許可が必要とかそういった事も報道されていたので、てっきりニシキヘビというからレティック(アミメニシキヘビ)かバーミーズ(ビルマニシキヘビ)の事かと思っていたが、ボールパイソンの事だった。 体長50cmのボールパイソンが逃げた位で全国のニュースになるくらいこの国は平和な証かもしれない。しかし、報道する側は変に一般市民の恐怖心や不安を煽るような報道はどうかと思う。ボールパイソンがどんな蛇なのか調べもせずに一大事のような報道はいかがなものか。大きくもならず、人に噛みつくことなどまず無い従順な蛇なのに。逃がしてしまうという行為は責めを負うべきものであるが、日本の野にいるシマヘビやアオダイショウの方がよほど噛みついても来るし危険な蛇なのである。 ニシキヘビで本当に危険なのは数種類の体長5M以上になる蛇なのであって、ボールパイソンは間違っても危険な蛇ではない。もちろん届け出の必要な危険動物に入ってはいない。一方別なニュースでは埼玉県上尾市でアルビノのバーミーズが捕獲された。4M、30kgと大きなサイズ。まだこのサイズでは人を呑むことは不可能だろうが、締めつけて殺してしまうことは可能だろう。まあ、野生個体ではないし、バーミーズ自体がおとなしい従順な蛇なのでその様な心配は少ないが、こんな蛇といきなり出くわしたら私でも驚くであろう。 また別なニュースでは岐阜県瑞穂市でワニが捕獲されたとか、同じ岐阜県の土岐市ではカミツキガメもこの夏に捕獲されている。ワニの方は飼育者が届け出て来たが、カミツキガメの方は東濃地方で飼育を届け出ている人はおらず、飼育者が捨てた可能性が高いという。特定危険動物は数年前より各自治体へ届け出が義務づけられているが、その届け出にかかる費用や許可されるためには飼育設備へ相当な投資が必要で手続きが面倒だから行政の把握以上に現実には飼育されているのだろう。そこへ来て環境省の進める外来生物法の誕生がこういった飼育放棄を生んでいるのだとしたら本末転倒な出来事だ。 他にも最近のニュースでサソリがマンションの老夫婦宅に2度も現れたりしているのは明らかにその付近の住民が飼っていたものと想像できる。幸い見掛け倒しなダイオウサソリの様なので危険性という面では低いが、見ず知らずの住人にはかなり脅威であろう。見掛けはたいしたことのないものでも強力な毒を持ったサソリは沢山いる。 あと、琵琶湖ではピラニアが網に掛かって捕獲された。これはブラックバスやブルーギルなど生態系云々の問題では済まされない深刻な問題である。琵琶湖は冬の水温からしてピラニアは冬を乗り切れないと専門家は話していたが、ある程度環境への適応能力はあるだろうし、このところの温暖化で向後は十分繁殖できる環境になっていく可能性もある。琵琶湖というのは海に様に大きな湖で到底捕獲して全滅させることなど出来るはずがない。そして海のように遊泳場がいくつもあり、夏には沢山の人で賑わう。その様な所へ意図的に放流したのであれば許されざる大罪である。 日本は世界でも有数のペット大国である。しかし、欧米のようにペット共生社会ではなく命に対する価値観も違い、単なる消費大国でしかないのではいか。要らなくなったり、飽きてしまったペットはその辺に捨てればよい。大きくなって手に負えなくなったペットはもう可愛くないから山に捨ててしまえ。昔の姨捨山の如く野山に捨ててしまえばあとはスッキリといったところなのであろうか。この様な無責任な飼育者や保管能力の無い飼育者はそれ相応に罰せられてしかるべきである。外来生物法では特定外来生物のみに限ったものは処罰の対象となるが、それ以外の生物も対象となるのも近い問題かもしれない。 ↓外来生物の適正な飼育に係る「環境大臣談話」(平成17年9月30日) http://www.env.go.jp/annai/kaiken/h17/s0930.html ↓最近報道があった外来生物 http://www.env.go.jp/press/file_view.php3?serial=7233&hou_id=6408 |