A.L.Fのひとりごと


Vol.22 「加速する温暖化」 The warming which accelerates.


今年の冬は暖冬という言葉では片付けられない程に暖かい冬である。エルニーニョの影響のため、私の暮らす京都でも降雪は一度あったくらいである。例年は12月には冬タイヤに履き替えるのだが、今期はそれすらしなかった。そうこうしてるうちに、もう春も過ぎ去ってゆこうとしているが、今年の異常な暖冬はいうまでもなく温暖化の影響なので、今後もこの様な暖冬が頻繁に起こりうる事だろう。

温暖化防止を目的にCO2削減への取り組みである「チームマイナス6%」も効果の程は出ているのだろうが、日本での実体は+8%の様である。実体と目的が14ポイントも放れている。これでは到底京都議定書の遵守などできようはずがない。まだ前向きな日本でこの有り様であるから、中国やインド、それ以外の発展途上国、更には非加盟の米国では向後も益々CO2を排出する事が予想できるだけに温暖化の加速を止める事は容易ではない。

ある報告書によると21世紀末には最大5.8度の気温上昇、最大88cmの水面上昇が報告されている。現実にポリネシア諸国では移住政策も始まっている様であるし、これから遠くない未来にも沖ノ鳥島の水没は免れないかもしれない。

日本でみられる昆虫や植物もかなり違ってくるだろう。ブナも本州からはほとんどなくなり、四季の訪れもなくなってしまうのかもしれない。その様な未来に昆虫採集はできるかもしれないが、今とは違った分布となっていることだろう。昆虫に限らず、哺乳類や鳥類、爬虫類、両生類も分布を伸ばすものと消えゆくものとが出てくる事だろう。

リサイクル・エコ・クリーンエネルギーなどのワードはいろいろな機会に目にする割りにその実、温暖化は益々加速してゆくばかりなのではないだろうか。リサイクルだってどこまで効果の程があるのだろうか。エコロジーも植林して伐採していたら意味があるのだろうか。石油に変わりエタノールやガスを使っても燃焼エネルギーを使うキャパ自体の問題もあるのではないだろうか。ハイブリッド車だって排気量が3000ccもあるものがほんとうの意味で環境に優しいのだろうか。

まだこの先も暫くは温暖化は加速してゆくことだろう。やがて、異常気象による災害の頻発を招くことにならなければ良いのだが。その近い未来の人類はどうしているのだろうか。

こうしてみるとハルマゲドンとは彗星の衝突でも最終戦争でもなく、地球の環境を破壊した人類自ら招いたツケの代償なのではないだろうか。この代償が清算できないなら、いずれ人間は地球から追い出される事になるのだろう。

ある意味地球が浄化作用を働かせているのではないだろうか。