○厚生省告示第百二十九号  介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第百十六条第一項の規定に基づき、介護保 険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針を次のように定めた ので、同条第四項の規定により告示する。   平成十一年五月十一日                                厚生大臣 宮下 創平    介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針  二十一世紀の超高齢社会における介護問題の解決を図るため、国民の共同連帯の理念 に基づき、要介護者等を社会全体で支援する仕組みとして、介護保険制度が創設され た。  介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するためには、要介護者等の実態を 踏まえ、介護給付等対象サービスの需要を把握した上で、利用者本位の介護給付等対象 サービスを提供する体制を確保するとともに、介護給付等対象サービスが、利用者の人 格の尊厳及び選択の自由を尊重して、提供されるようにすることが重要である。  もとより、介護保険事業が社会保険方式で運営される以上、介護給付等対象サービス が、全国的にある程度の均衡を図りながら、地域の実情に応じて提供されるようにする ことが必要である。  また、人口の高齢化が一層進展する中では、地域において介護給付等対象サービスを 提供する体制の確保を計画的に図ることが必要である。  この指針は、介護給付等対象サービスを提供する体制の確保に関する基本的事項を定 めるとともに、全国的均衡を図る観点から、介護保険事業計画(市町村介護保険事業計 画及び都道府県介護保険事業支援計画をいう。以下同じ。)を作成するに当たって即す べき事項を定めることにより、介護給付等対象サービスを提供する体制の確保が計画的 に図られるようにすることを目的とするものである。 第一 介護給付等対象サービスを提供する体制の確保に関する基本的事項  一 基本的理念  市町村(特別区を含む。以下同じ。)及び都道府県は、介護保険法(平成九年法律第 百二十三号)の基本的理念を踏まえ、次に掲げる点に配慮して、介護給付等対象サービ スを提供する体制の確保を図ることが必要である。  なお、国は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう保健医療サービス及 び福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策その他必要な各般の措置を講ずるも のとする。   1 要介護状態の軽減若しくは悪化の防止又は要介護状態となることの予防に資す るようにすること。具体的には、要支援者に対して適切なサービスを早期に提供するこ とが寝たきり、痴呆等の予防に効果的であること等にかんがみ、介護給付等対象サービ ス以外のサービスを含め、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう にすること。   2 被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に 基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総 合的かつ効率的に提供されるようにすること。   3 被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅におい て、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすること。具体 的には、被保険者の希望を最大限に尊重しながら、居宅サービスを重視すること。  二 市町村相互間の連携及び市町村と都道府県との間の連携に関すること  介護保険事業の運営主体である市町村は、住民に最も身近な基礎的な地方公共団体と して、保健医療サービス及び福祉サービスの水準の向上を図る責務を有するが、地域の 資源を有効に活用するためにも、地域の実情に応じて、近隣の市町村と連携して、要介 護者等の実態に関する調査の共同実施、市町村介護保険事業計画の共同作成、介護給付 等対象サービスの共同利用等の広域的取組を推進することが必要である。この場合にお いては、複数の市町村による広域的取組が各市町村の責任を不明確にしないよう留意す ることが必要である。  また、都道府県は、地域の実情に応じた介護給付等対象サービスを提供する体制の確 保に関する市町村の方針を尊重しながら、広域的観点からの介護給付等対象サービスの 需要の把握、複数の市町村による広域的取組に対する協力等により、市町村における介 護給付等対象サービスを提供する体制の確保を支援することが望ましい。  三 介護給付等対象サービスに係る人材の確保及び資質の向上に関すること  介護給付等対象サービスは、人が人を相手として提供するものであるため、当該サー ビスに係る人材を質量ともに確保することが重要である。このため、都道府県は、広域 的観点から、当該サービスの事業を行う者が当該サービスに係る人材の確保又は資質の 向上を図るために講ずる措置を支援するため、当該サービスに係る人材の養成、就業の 促進等の当該サービスに係る人材の確保又は資質の向上に関する総合的施策に取り組む ことが必要である。この場合においては、市町村も、適宜、必要な施策に取り組むこと が望ましい。  四 地域における総合的な保健医療サービス及び福祉サービスの提供に関すること  介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるようにするとともに、様々な状態にあ る老人及びその家族を支援するためには、市町村及び都道府県は、介護保険事業の運営 を核としながら、地域住民による多様な活動の展開も含め、地域における総合的な保健 医療サービス及び福祉サービスの提供に配慮することが必要である。特に、総合的な寝 たきり予防対策及び痴呆性老人対策を推進することが必要である。また、保健医療サー ビス及び福祉サービスの適切な利用を促進するため、情報の提供並びに相談及び援助を 適切に行うことができる体制の整備を図ることが必要である。 第二 介護保険事業計画の作成に関する事項  一 介護保険事業計画の作成に関する基本的事項   1 達成しようとする目的及び地域の実情に応じた特色の明確化   介護保険制度において介護保険事業計画を作成する意義を踏まえるとともに、各々 の市町村又は都道府県における地域的条件の特殊性及び地域づくりの方向性を勘案し て、達成しようとする目的及び地域の実情に応じた特色が明確にされた計画を作成する ことが必要である。この場合においては、従来の老人保健福祉計画(老人福祉法(昭和 三十八年法律第百三十三号)に規定する老人福祉計画及び老人保健法(昭和五十七年法 律第八十号)に規定する老人保健計画をいう。以下同じ。)の作成又は推進に係る課題 を分析し、かつ、評価して、この結果を介護保険事業計画の作成に活用することが必要 である。   2 介護保険事業計画の作成のための体制の整備   介護保険事業計画を作成するに当たっては、そのための体制の整備を図ることが必 要である。   この場合においては、被保険者の意見の反映に配慮することが必要である。   (一) 市町村及び都道府県の関係部局相互間の連携    介護保険担当部局は、民生担当部局、保健衛生担当部局、教育担当部局、労働担   当部局、地域振興担当部局、農林水産担当部局等の関係部局と連携することができ   る体制を整備することが必要である。   (二) 介護保険事業計画作成委員会等の開催    介護保険事業の運営については、幅広い関係者の協力を得て、地域の実情に応じ   たものとすることが求められる。このため、学識経験者、保健医療関係者、福祉関   係者、被保険者代表者、費用負担関係者等の参加を得て、介護保険事業計画作成委   員会等を開催することが必要である。この場合においては、事務を効率的に処理す   るため、既存の審議会等を活用しても差し支えない。    なお、介護保険事業計画を作成する過程では、その他の専門家及び関係者の意見   の反映にも配慮することが必要である。   (三) 被保険者の意見の反映    市町村介護保険事業計画により示される介護給付等対象サービスの量の水準が保   険料率の水準にも影響を与えることにかんがみ、市町村は、市町村介護保険事業計   画を作成しようとするときは、あらかじめ、被保険者の意見を反映させるために必   要な措置を講ずるものとされている。このため、介護保険事業計画作成委員会等を   設置するに当たっては、公募その他の適切な方法による被保険者を代表する地域住   民の参加に配慮することが必要である。また、被保険者としての地域住民の意見を   反映させるため、地域における聞き取り調査の実施、公聴会の開催、自治会を単位   とする懇談会の開催等の工夫を図ることが必要である。   (四) 市町村と都道府県との間の連携    都道府県は、都道府県介護保険事業支援計画を作成するとともに、市町村に対   し、市町村介護保険事業計画の作成上の技術的事項について必要な助言をすること   により、介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備等に関する広域的調   整を図る役割を有する。    このため、介護保険事業計画を作成する過程では、市町村と都道府県との間の連   携を図ることが必要である。    したがって、市町村は、市町村介護保険事業計画を作成するに当たっては、都道   府県による広域的調整との整合性を図るため、都道府県と意見を交換することが必   要である。    また、都道府県は、地域の実情に応じた市町村介護保険事業計画の作成に関する   指針を定めるとともに、保健所、福祉事務所等を活用して、圏域(介護保険法第百   十八条第二項第一号に規定する区域をいう。以下同じ。)ごとに市町村相互間の連   絡調整を行う機関を設置する等の圏域を単位とする広域的調整を図るために必要な   市町村に対する支援を行うことが望ましい。    なお、小規模の市町村等については、地域における介護給付等対象サービスを提   供する体制の確保に関する広域的取組が求められることにかんがみ、都道府県は、   圏域等を勘案して、複数の市町村による広域的取組に協力することが望ましい。   3 要介護者等の実態に関する調査の実施   市町村介護保険事業計画は、要介護者等の実態を踏まえ、介護給付等対象サービス の需要を把握した上で、作成するものである。このため、市町村は、要介護者等の実態 に関する調査を行うことが必要である。また、都道府県は、要介護者等の実態に関する 調査が当該都道府県の区域内で統一的に行われるよう、市町村に対する助言に努めると ともに、都道府県が指導監督等を行うものとされている病院、診療所、介護老人保健施 設等の利用者に関する調査について、関係者相互間の連絡調整を含め、積極的に協力す ることが必要である。   なお、介護給付等対象サービスの供給についても、市町村は、都道府県と連携し て、これを把握することが必要である。   4 圏域の設定   都道府県介護保険事業支援計画においては、介護給付等対象サービスの種類ごとの 量の見込みを定める単位となる圏域を定めるものとされており、これを老人保健福祉圏 域(老人福祉法第二十条の九第二項第一号及び老人保健法第四十六条の十九第二項に規 定する区域をいう。以下同じ。)として取り扱うものとされている。圏域については、 保健医療サービス及び福祉サービスの連携を図る観点から、二次医療圏(医療法(昭和 二十三年法律第二百五号)第三十条の三第二項第一号に規定する区域をいう。以下同 じ。)と一致させることが望ましい。このため、老人保健福祉圏域が二次医療圏と一致 していない都道府県は、可能な限り、両者を一致させるよう努めることが必要である。   5 他の計画との関係   介護保険事業計画は、老人保健福祉計画、医療計画(医療法に規定する医療計画を いう。以下同じ。)その他の法律の規定による計画であって要介護者等の保健、医療又 は福祉に関する事項を定めるものと調和が保たれたものとすることが必要である。   (一) 老人保健福祉計画との調和    老人保健福祉計画は、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のため   に必要な措置が講じられるよう、要介護者等に対する介護給付等対象サービスの提   供のほか、寝たきり、痴呆等の予防のためのサービスの提供、独り暮らし老人の生   活の支援のためのサービスの提供等も含め、地域における老人を対象とする保健医   療サービス及び福祉サービスの全般にわたる供給体制の確保に関する計画として作   成するものである。このため、介護保険事業計画については、その内容を包含する   老人保健福祉計画と調和が保たれたものとなるよう、両者の作成の時期及び期間を   同一にすることが必要である。   (二) 市町村の基本構想との調和    市町村介護保険事業計画については、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七   号)に規定する市町村の基本構想に即したものとすることが必要である。  二 市町村介護保険事業計画の作成に関する基本的事項  市町村介護保険事業計画において定める事項は、次に掲げる事項その他の別表第一 に掲げる事項とする。   1 各年度における介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み   参酌標準(市町村介護保険事業計画において介護給付等対象サービスの種類ごとの 量の見込みを定めるに当たって参酌すべき標準として別表第二に掲げるものをいう。以 下同じ。)を参考として、各年度における介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見 込みを定めるとともに、その考え方を示すことが必要である。この場合においては、可 能な限り、寝たきり、痴呆等の予防のためのサービスの提供の効果を考慮することが望 ましい。   2 介護給付等対象サービスの種類ごとの見込量の確保のための方策   介護給付等対象サービスの事業を行う者の確保に関する計画等の介護給付等対象 サービスの種類ごとの見込量の確保のための方策を定めることが必要である。この場合 においては、介護給付等対象サービスの事業を行う意向を有する事業者の把握に努めた 上で、情報の提供を適切に行う等の多様な事業者の参入を促進する方策の工夫を図るこ とが必要である。   3 介護給付等対象サービスの円滑な提供を図るための事業に関する事項   指定居宅介護支援の事業を行う者が、指定居宅サービスの事業を行う者と連携し て、適切な居宅サービス計画を作成することができるよう、指定居宅サービスの事業若 しくは指定居宅介護支援の事業を行う者に関する情報の提供のための体制の整備、指定 居宅サービスの事業若しくは指定居宅介護支援の事業を行う者相互間の情報の交換のた めの体制の整備等の指定居宅サービスの事業又は指定居宅介護支援の事業を行う者相互 間の連携の確保に関する事業その他の介護給付等対象サービスの円滑な提供を図るため の事業に関する事項を定めることが必要である。   なお、介護給付等対象サービスの適切な利用を促進する方策として、情報の提供並 びに相談及び援助を適切に行うことができる体制の整備に関する事項を盛り込むことが 必要である。この場合においては、市町村における介護保険担当部局、市町村保健セン ター、福祉事務所等と地域における老人介護支援センター、指定居宅介護支援の事業を 行う者、国民健康保険団体連合会等との間の連携に配慮して、広報の充実、相談及び援 助の窓口の設置等に関する事項を盛り込むことが必要である。  三 都道府県介護保険事業支援計画の作成に関する基本的事項  都道府県介護保険事業支援計画において定める事項は、次に掲げる事項その他の別表 第三に掲げる事項とする。   1 介護給付等対象サービスの量の見込み   圏域ごとに当該圏域における各年度の介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数 (指定介護療養型医療施設にあっては、当該指定介護療養型医療施設の療養型病床群等 に係る必要入所定員総数)その他の介護給付等対象サービスの量の見込みを定めるとと もに、その考え方を示すことが必要である。   (一) 圏域を単位とする広域的調整    介護給付等対象サービスの量の見込みについては、都道府県は、市町村と意見を   交換して、圏域を単位とする広域的調整を図ることが必要である。この場合におい   ては、圏域を単位として介護給付等対象サービスを提供する体制を確保する市町村   の取組に協力するとともに、各年度の介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数   については、介護保険施設の種類ごとの入所定員の総数の現状、介護保険施設相互   間の入所定員の総数の均衡、居宅サービスと施設サービスとの間の量の均衡等に配   慮することが必要である。   (二) 市町村介護保険事業計画との整合性の確保    介護給付等対象サービスの量の見込みについては、市町村介護保険事業計画にお   ける数値を圏域ごとに集計して、この結果を更に都道府県全域で集計した結果が、   都道府県介護保険事業支援計画における数値と一致するよう、都道府県は、市町村   と調整することが必要である。   2 介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備に関する事項   介護保険施設については、その種類ごとの必要入所定員総数を圏域ごとに定めるも のとされていること、その他の介護給付等対象サービスを提供するための施設について も、介護保険施設を補完する機能を有することにかんがみ、広域的観点から、その整備 を推進することが求められる。このため、介護保険施設その他の介護給付等対象サービ スを提供するための施設の整備に関する事項を定めることが必要である。この場合にお いては、介護保険施設の整備については、都道府県知事は、特別養護老人ホームの設置 の認可の申請があった場合において、当該申請に係る特別養護老人ホームの所在地を含 む圏域における特別養護老人ホームの入所定員の総数が、当該圏域の特別養護老人ホー ムの必要入所定員総数に既に達しているとき等は、当該認可をしないことができるもの とされていること等にかんがみ、都道府県の方針を圏域ごとに示すことが必要である。 その他の介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備についても、都道府県の 方針を圏域ごとに示すことが望ましい。   3 介護給付等対象サービスに従事する者の確保又は資質の向上に資する事業に関 する事項   介護支援専門員その他の介護給付等対象サービスに従事する者の確保又は資質の向 上に資する事業に関する事項(介護支援専門員その他の介護給付等対象サービスに従事 する者の見込数を含む。)を定めることが必要である。この場合においては、介護支援 専門員養成事業のほか、都道府県福祉人材センター事業、都道府県看護職員確保セン ター(ナースセンター)事業等も含め、介護給付等対象サービスに従事する者の養成、 就業の促進等に関する事項を盛り込むことが望ましい。   なお、市町村における多様な事業者の参入を促進する方策の工夫については、都道 府県は、市町村に対し、都道府県の区域内に所在する事業者に関する情報を提供する等 の支援を行うことが望ましい。   4 介護給付等対象サービスの円滑な提供を図るための事業に関する事項   介護保険施設においては、利用者がその要介護状態区分等に応じて最も適切な介護 を受けることができるよう、利用者の希望を最大限に尊重しながら、利用者を居宅に復 帰させることを目指すことが求められること等にかんがみ、介護保険施設の入退所(介 護保険施設相互間の転所を含む。)を円滑にするための取組を推進するため、介護保険 施設に関する情報の提供のための体制の整備、介護保険施設相互間の情報の交換のため の体制の整備等の介護保険施設相互間の連携の確保に関する事業その他の介護給付等対 象サービスの円滑な提供を図るための事業に関する事項を定めることが必要である。   なお、介護給付等対象サービスの適切な利用を促進する方策として、情報の提供並 びに相談及び援助を適切に行うことができる体制の整備に関する事項を盛り込むことが 必要である。  四 その他   1 介護保険事業計画の作成の時期   市町村介護保険事業計画については、介護保険法が平成十二年度から全面的に施行 されることにかんがみ、平成十一年度中に作成することが必要であるが、要介護認定等 の事務が平成十一年度後半に開始される予定であることにかんがみ、被保険者としての 地域住民に対する介護保険事業の趣旨の普及啓発に資するよう、介護給付等対象サービ スの量の見込みを平成十一年度前半に中間的に取りまとめることが望ましい。   また、都道府県介護保険事業支援計画については、平成十一年度において、市町村 が介護保険事業特別会計に係る予算を円滑に編成することができる時期に作成すること が必要である。   2 介護保険事業計画の期間及び見直しの時期    介護保険事業計画は、五年を一期とするものとされているため、一回目に作成され る介護保険事業計画については、平成十二年度から平成十六年度までを期間として作成 することとなる。   また、保険料率は、おおむね三年を通じ財政の均衡を保つものでなければならない ものとされているため、その算定の基礎となる介護保険事業計画については、三年ごと に作成するものとされている。このため、二回目に作成される介護保険事業計画につい ては、一回目に作成される介護保険事業計画に係る必要な見直しを平成十四年度までに 行った上で、平成十五年度から平成十九年度までを期間として作成することとなる。   3 介護保険事業計画の達成状況の点検   介護保険事業計画については、各年度において、その達成状況を点検し、この結果 に基づいて対策を実施することが必要である。この場合においては、寝たきり老人又は 痴呆性老人の数、居宅サービスの利用の状況、居宅サービスの利用者の数と施設サービ スの利用者の数との割合等の介護保険事業計画の達成状況を分析し、かつ、評価するた めの項目を設定する等の工夫を図ることが必要である。   4 介護保険事業計画の公表   市町村は、市町村介護保険事業計画を作成したときは、遅滞なく、これを都道府県 知事に提出するほか、これを公表することが必要である。   また、都道府県は、都道府県介護保険事業支援計画を作成したときは、遅滞なく、 これを厚生大臣に提出するほか、これを公表することが必要である。 第三 その他介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するために必要な事項  一 介護保険事業の趣旨の普及啓発  介護保険制度は、新たに導入される制度であり、その健全かつ円滑な運営を図るため には、国民の理解及び協力を得ることが求められる。このため、市町村及び都道府県 は、被保険者としての地域住民に対し、介護保険事業に関する情報の提供等の介護保険 事業の趣旨の普及啓発を図ることが必要である。  二 この指針の見直し  この指針は、一回目の介護保険事業計画の作成に資するよう定めたものである。この ため、この指針については、介護保険法の施行状況等を勘案して、必要な見直しを行う ものとする。 別表第一 ┌───────────────┬─────────────────────┐ │  事         項  │   内             容   │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │一 市町村介護保険事業計画の目│ 市町村介護保険事業計画に係る法令の根拠、│ │ 的及び特色         │趣旨、基本的理念等を定めること。     │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │二 市町村介護保険事業計画の作│ 市町村介護保険事業計画の作成に係る市町村│ │ 成のための体制       │の関係部局相互間の連携の状況、市町村介護保│ │               │険事業計画作成委員会等の開催の経緯、被保険│ │               │者の意見の反映のための措置の内容、都道府県│ │               │との連携の状況等を定めること。この場合にお│ │               │いて、複数の市町村による市町村介護保険事業│ │               │計画の共同作成に取り組んだ市町村にあって │ │               │は、その趣旨等を盛り込むこと。      │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │三 要介護者等の実態に関する調│ 要介護者等の実態に関する調査の実施の時 │ │ 査             │期、方法等を定めること。この場合において、│ │               │複数の市町村による要介護者等の実態に関する│ │               │調査の共同実施に取り組んだ市町村にあって │ │               │は、その趣旨等を盛り込むこと。      │ │               │ なお、介護給付等対象サービスの供給の把握│ │               │についても、同様とすること。       │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │四 被保険者の現状      │ 市町村介護保険事業計画作成時における人口│ │               │の構造、被保険者の数、要介護者等の数等を定│ │               │めること。                │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │五 各年度における被保険者の状│ 各年度における人口の構造、被保険者の数、│ │ 況の見込み         │要介護者等の数等の見込みを定めること。この│ │               │場合においては、その考え方を示すこと。  │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │六 各年度における介護給付等対│ 参酌標準を参考として、各年度における介護│ │ 象サービスの種類ごとの量の見│給付等対象サービスの種類ごとの量の見込みを│ │ 込み            │定めること。この場合においては、その考え方│ │               │を示すこと。               │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │七 介護給付等対象サービスの現│ 市町村介護保険事業計画作成時における介護│ │ 状             │給付等対象サービスの種類ごとの量、介護給付│ │               │等対象サービスの利用の状況等を定めること。│ │               │この場合においては、市町村介護保険事業計画│ │               │作成時における介護給付等対象サービスに係る│ │               │課題の分析及び評価の結果を示すこと。   │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │八 介護給付等対象サービスの種│ 介護給付等対象サービスの事業を行う者の確│ │ 類ごとの見込量の確保のための│保に関する計画等の介護給付等対象サービスの│ │ 方策            │種類ごとの見込量の確保のための方策を定める│ │               │こと。                  │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │九 介護給付等対象サービスの円│ 指定居宅サービスの事業若しくは指定居宅介│ │ 滑な提供を図るための事業に関│護支援の事業を行う者に関する情報の提供の │ │ する事項          │ための体制の整備、指定居宅サービスの事業若│ │               │しくは指定居宅介護支援の事業を行う者相互間│ │               │の情報の交換のための体制の整備等の指定居宅│ │               │サービスの事業又は指定居宅介護支援の事業を│ │               │行う者相互間の連携の確保に関する事業その他│ │               │の介護給付等対象サービスの円滑な提供を図る│ │               │ための事業に関する事項を定めること。   │ │               │ なお、介護給付等対象サービスの適切な利用│ │               │を促進する方策として、情報の提供並びに相談│ │               │及び援助を適切に行うことができる体制の整備│ │               │に関する事項を盛り込むこと。       │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │十 市町村介護保険事業計画の作│ 市町村介護保険事業計画の作成の時期を定め│ │ 成の時期          │ること。                 │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │十一 市町村介護保険事業計画の│ 市町村介護保険事業計画の期間及び見直しの│ │ 期間及び見直しの時期    │時期を定めること。            │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │十二 市町村介護保険事業計画の│ 各年度における市町村介護保険事業計画の達│ │ 達成状況の点検       │成状況を点検する方法等を定めること。   │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │十三 その他介護保険事業に係る│ 介護保険事業に関する情報の提供等の介護保│ │ 保険給付の円滑な実施を確保す│険事業の趣旨の普及啓発その他の介護保険事業│ │ るために市町村が必要と認める│に係る保険給付の円滑な実施を確保するために│ │ 事項            │市町村が必要と認める事項を定めること。  │ │               │ なお、保険料率を算定する基礎となる介護保│ │               │険事業に係る費用の見込みを盛り込むこと。 │ └───────────────┴─────────────────────┘ 別表第二  一 居宅サービス及び居宅介護支援   1 訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション及び通所介護又 は通所リハビリテーション並びに短期入所生活介護又は短期入所療養介護     次に掲げる組合せを標準として、居宅要介護者等の利用に関する意向を勘案し て、量の見込みを定めること。 ┌───────────────────────────────────────────────────────┐ │              │  要支援   │ 要介護1  │ 要介護2  │      要介護3     │ │              │通所型│訪問型 │通所型│訪問型│通所型│訪問型│通所型│訪問型│痴呆型│医療型│ ├───────────────────────────────────────────────────────┤ │訪問介護    (回/1週)│   │   2│  3│  5│  3│  5│5.5│7.5│  1│6.5│ │ うち巡回型  (回/1週)│   │    │   │   │   │   │  7│  7│   │  7│ │訪問入浴介護  (回/1週)│   │    │   │   │   │   │   │   │   │   │ │訪問看護    (回/1週)│   │0.25│  1│  1│  1│  1│  1│  1│0.5│  3│ │訪問リハビリテーション   │   │    │   │   │   │   │   │   │  1│   │ │        (回/1週)│   │    │   │   │   │   │   │   │   │   │ │通所介護          │   │    │   │   │   │   │   │   │   │   │ │ 又は     (回/1週)│  2│   1│  2│  1│  3│  2│  3│  2│  4│  0│ │通所リハビリテーション   │   │    │   │   │   │   │   │   │   │   │ │短期入所生活介護      │   │    │   │   │   │   │   │   │   │   │ │ 又は     (週/6月)│  1│   1│  2│  2│  2│  2│  3│  3│  3│  3│ │短期入所療養介護      │   │    │   │   │   │   │   │   │   │   │ └───────────────────────────────────────────────────────┘ ┌──────────────────────────────────────────┐ │              │     要介護4      │    要介護5   │ │              │通所型│訪問型│痴呆型│医療型│通所型│訪問型│医療型│ ├──────────────────────────────────────────┤ │訪問介護    (回/1週)│9.5│8.5│  1│8.5│ 12│ 13│  9│ │ うち巡回型  (回/1週)│  7│  7│   │  7│ 14│ 14│ 14│ │訪問入浴介護  (回/1週)│   │0.5│   │   │   │   │0.5│ │訪問看護    (回/1週)│  2│  2│0.5│  3│  2│  2│  3│ │訪問リハビリテーション   │  1│   │  1│   │  1│  1│   │ │        (回/1週)│   │   │   │   │   │   │   │ │通所介護          │   │   │   │   │   │   │   │ │ 又は     (回/1週)│  1│  0│  5│  0│  1│  0│  0│ │通所リハビリテーション   │   │   │   │   │   │   │   │ │短期入所生活介護      │   │   │   │   │   │   │   │ │ 又は     (週/6月)│  3│  3│  3│  3│  6│  6│  6│ │短期入所療養介護      │   │   │   │   │   │   │   │ └──────────────────────────────────────────┘   (注1) 「通所型」とは、居宅要介護者等が主として通所サービス(通所介護又       は通所リハビリテーションをいう。以下この注において同じ。)の利用を       希望する場合(痴呆型を除く。)、「訪問型」とは、居宅要介護者等が主       として訪問サービス(訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護又は訪問リハビ       リテーションをいう。以下この注において同じ。)の利用を希望する場合       (医療型を除く。)、「痴呆型」とは、居宅要介護者等のうち要介護3又       は要介護4に該当するもの(痴呆の状態にあるものであって寝たきりの状       態にないものに限る。)が主として通所サービスの利用を希望する場合、       「医療型」とは、居宅要介護者等のうち要介護3、要介護4又は要介護5       に該当するもの(治療を必要とする状態にあるものに限る。)が主として       訪問サービスの利用を希望する場合をいう。   (注2) 訪問介護については、1回当たり1時間程度(巡回型にあっては、1回       当たり30分程度)を単位としている。   (注3) 居宅要介護者等の利用に関する意向を勘案して、訪問介護、訪問看護、       訪問リハビリテーション又は通所介護若しくは通所リハビリテーションの       利用に代えて、訪問入浴介護の利用を見込んでも差し支えない。   2 居宅療養管理指導、痴呆対応型共同生活介護、特定施設入所者生活介護及び 福祉用具貸与並びに居宅介護支援   ┌───────────┬───────────────────────┐   │居宅療養管理指導   │ 居宅要介護者等(通院が困難である等の状態にあ│   │           │るものに限る。)が原則としてかかりつけ医による│   │           │医学的管理を利用することを前提として、現に利用│   │           │している者の数及び居宅要介護者等の利用に関する│   │           │意向を勘案して、量の見込みを定めること。   │   ├───────────┼───────────────────────┤   │痴呆対応型共同生活介護│ 要介護者であって痴呆の状態にあるものの数及び│   │           │利用に関する意向を勘案して、量の見込みを定める│   │           │こと。                    │   ├───────────┼───────────────────────┤   │特定施設入所者生活介護│ 現に利用している者の数を勘案して、量の見込み│   │           │を定めること。                │   ├───────────┼───────────────────────┤   │福祉用具貸与     │ 車いす、特殊寝台、歩行器等の主要な福祉用具に│   │           │ついて、居宅要介護者等の要介護状態区分及び状態│   │           │像に応じて、居宅要介護者等の利用に関する意向を│   ├───────────┼───────────────────────┤   │           │勘案して、量の見込みを定めること。      │   │居宅介護支援     │ 居宅要介護者等が原則として利用することを前提│   │           │として、居宅要介護者等の数を勘案して、量の見込│   │           │みを定めること。               │   └───────────────────────────────────┘  二 施設サービス ┌───────────┬─────────────────────────┐ │介護福祉施設サービス │ 介護保険施設の利用者の総数の見込みについては、目│ │介護保健施設サービス │標年度における65歳以上人口のおおむね 3.4%を標準と│ │介護療養施設サービス │して、定めることが必要である。この場合においては、│ │           │目標年度における65歳以上人口に対する75歳以上人口の│ │           │割合の見込みを勘案した補正を行うことが望ましい。 │ │           │ 指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び指定介│ │           │護療養型医療施設のそれぞれの利用者の数の見込みにつ│ │           │いては、おおむね8:7:5程度の比率を参考として、│ │           │地域の実情に応じて定めることが必要である。    │ └───────────┴─────────────────────────┘ 別表第三 ┌───────────────┬─────────────────────┐ │  事         項  │   内             容   │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │一 都道府県介護保険事業支援計│ 都道府県介護保険事業支援計画に係る法令の│ │ 画の目的及び特色      │根拠、趣旨、基本的理念等を定めること。  │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │二 都道府県介護保険事業支援計│ 都道府県介護保険事業支援計画の作成に係る│ │ 画の作成のための体制    │都道府県の関係部局相互間の連携の状況、都道│ │               │府県介護保険事業支援計画作成委員会等の開催│ │               │の経緯、被保険者の意見の反映のための措置の│ │               │内容、市町村との連携の状況等を定めること。│ ├───────────────┼─────────────────────┤ │三 圏域の設定        │ 圏域の設定の趣旨及び内容、各圏域の状況等│ │               │を定めること。この場合において、隣接の都道│ │               │府県の区域の状況を考慮する必要があるとき │ │               │は、当該都道府県との調整の経緯、当該区域の│ │               │状況等を盛り込むこと。          │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │四 被保険者の現状      │ 市町村介護保険事業計画を基礎として、都道│ │               │府県介護保険事業支援計画作成時における人口│ │               │の構造、被保険者の数、要介護者等の数等を圏│ │               │域ごとに、及び都道府県全域で定めること。 │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │五 各年度における被保険者の状│ 市町村介護保険事業計画を基礎として、各年│ │ 況の見込み         │度における人口の構造、被保険者の数、要介護│ │               │者等の数等の見込みを圏域ごとに、及び都道府│ │               │県全域で定めること。この場合においては、そ│ │               │の考え方を示すこと。           │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │六 介護給付等対象サービスの量│ 市町村介護保険事業計画を基礎として、各年│ │ の見込み          │度の介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総│ │               │数その他の介護給付等対象サービスの量の見込│ │               │みを圏域ごとに、及び都道府県全域で定めるこ│ │               │と。この場合においては、その考え方を示すこ│ │               │と。                   │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │七 介護給付等対象サービスの現│ 市町村介護保険事業計画を基礎として、都道│ │ 状             │府県介護保険事業支援計画作成時における介護│ │               │給付等対象サービスを提供するための施設の定│ │               │員の数、介護給付等対象サービスに従事する者│ │               │の数、介護給付等対象サービスの利用の状況等│ │               │を圏域ごとに、及び都道府県全域で定めるこ │ │               │と。この場合においては、都道府県介護保険事│ │               │業支援計画作成時における介護給付等対象サー│ │               │ビスに係る課題の分析及び評価の結果を示すこ│ │               │と。                   │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │八 介護給付等対象サービスを提│ 介護保険施設その他の介護給付等対象サービ│ │ 供するための施設の整備に関す│スを提供するための施設の整備に関する事項を│ │ る事項           │定めること。この場合においては、介護保険施│ │               │設の整備に係る都道府県の方針を圏域ごとに示│ │               │すこと。                 │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │九 介護給付等対象サービスに従│ 介護支援専門員その他の介護給付等対象サー│ │ 事する者の確保又は資質の向上│ビスに従事する者の確保又は資質の向上に資す│ │ に資する事業に関する事項  │る事業に関する事項(介護支援専門員その他の│ │               │介護給付等対象サービスに従事する者の見込数│ │               │を含む。)を定めること。         │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │十 介護給付等対象サービスの円│ 介護保険施設に関する情報の提供のための体│ │ 滑な提供を図るための事業に関│制の整備、介護保険施設相互間の情報の交換の│ │ する事項          │ための体制の整備等の介護保険施設相互間の連│ │               │携の確保に関する事業その他の介護給付等対象│ │               │サービスの円滑な提供を図るための事業に関す│ │               │る事項を定めること。           │ │               │ なお、介護給付等対象サービスの適切な利用│ │               │を促進する方策として、情報の提供並びに相談│ │               │及び援助を適切に行うことができる体制の整備│ │               │に関する事項を盛り込むこと。       │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │十一 都道府県介護保険事業支援│ 都道府県介護保険事業支援計画の作成の時期│ │ 計画の作成の時期      │を定めること。              │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │十二 都道府県介護保険事業支援│ 都道府県介護保険事業支援計画の期間及び │ │ 計画の期間及び見直しの時期 │見直しの時期を定めること。        │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │十三 都道府県介護保険事業支援│ 各年度における市町村介護保険事業計画の達│ │ 計画の達成状況の点検    │成状況に係る市町村の点検を基礎として、各年│ │               │度における都道府県介護保険事業支援計画の達│ │               │成状況を点検する方法等を定めること。   │ ├───────────────┼─────────────────────┤ │十四 その他介護保険事業に係る│ 介護保険事業に関する情報の提供等の介護保│ │ 保険給付の円滑な実施を支援す│険事業の趣旨の普及啓発その他の介護保険事業│ │ るために都道府県が必要と認め│に係る保険給付の円滑な実施を支援するために│ │ る事項           │都道府県が必要と認める事項を定めること。 │ └───────────────┴─────────────────────┘