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平成11年9月17日
老企第25号
各都道府県介護保険主管部(局)長殿
厚生省老人保健福祉局企画課長
(改正 平成12年1月31日老企第35号、平成12年3月30日老企第51号)
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について
介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第42条第1項第2号並びに第74条第1項及び第2項の規定に基づく「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(以下「基準」という。)については、平成11年3月31日厚生省令第37号をもって公布され、平成12年4月1日より施行されるところであるが、基準の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、御了知の上、管下市町村、関係団体、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。
記
第1 基準の性格
1
基準は、指定居宅サービスの事業がその目的を達成するために必要な最低限度を定めたものであり、指定居宅サービス事業者は、常にその事業の運営の向上に努めなければならないこと。
2
指定居宅サービスの事業を行う者が満たすべき基準を満たさない場合には、指定居宅サービスの指定は受けられず、また、運営開始後、基準に違反することが明らかになった場合は、都道府県知事の指導等の対象となり、この指導等に従わない場合には、当該指定を取り消すことができるものであること。
3
運営に関する基準に従って事業の運営をすることができなくなったことを理由として指定が取り消された直後に再度当該事業者から当該事業所について指定の申請がなされた場合には、当該事業者が運営に関する基準を遵守することを確保することに特段の注意が必要であり、その改善状況等が確認されない限り指定を行わないものとすること。
第2 総論
1 事業者指定の単位について
事業者の指定は、原則としてサービス提供の拠点ごとに行うものとするが、例外的に、待機や道具の保管、着替え等を行う出張所等であって、次の要件を満たすものについては、一体的なサービス提供の単位として「事業所」に含めて指定することができる取扱いとする。
- (1) 利用申込みに係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導等が一体的に行われること。
- (2)
職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されること。必要な場合に随時、主たる事業所や他の出張所等との間で相互支援が行える体制(例えば、当該出張所等の従業者が急病等でサービスの提供ができなくなった場合に、主たる事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること。
- (3) 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。
- (4) 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められること。
- (5) 人事、給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われること。
2 用語の定義
基準第2条において、一定の用語についてその定義を明らかにしているところであるが、以下は、同条に定義が置かれている用語について、その意味をより明確なものとするとともに、基準中に用いられている用語であって、定義規定が置かれていないものの意味を明らかにするものである。
(1)「常勤換算方法」
当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延時間数は、当該事業所の指定に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、当該事業所が訪問介護と訪問看護の指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が訪問介護員等と看護婦等を兼務する場合、訪問介護員等の勤務延時間数には、訪問介護員等としての勤務時間だけを算入することとなるものであること。
(2)「勤務延時間数」
勤務表上、当該事業に係るサービスの提供に従事する時間又は当該事業に係るサービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者1人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とすること。
(3)「常勤」
当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。同一の事業者によって当該事業所に併設される事業所の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。例えば、一の事業者によって行われる指定訪問介護事業所と指定居宅介護支援事業所が併設されている場合、指定訪問介護事業所の管理者と指定居宅介護支援事業所の管理者を兼務している者は、その勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。
(4)「専ら従事する」「専ら提供に当たる」
原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、当該従業者の当該事業所における勤務時間(指定通所介護及び指定通所リハビリテーションについては、サービスの単位ごとの提供時間)をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。ただし、通所介護及び通所リハビリテーションについては、あらかじめ計画された勤務表に従って、サービス提供時間帯の途中で同一職種の従業者と交代する場合には、それぞれのサービス提供時間を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをもって足りるものである。
(5)「前年度の平均値」
- (1)
基準第111条第4項(介護老人保健施設である指定通所リハビリテーション事業所における医師、理学療法士若しくは作業療法士又は支援相談員の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第121条第3項(指定短期入所生活介護に係る生活相談員、介護職員又は看護職員の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第142条第2項(老人性痴呆疾患療養病棟を有する病院であって介護療養型医療施設でない指定短期入所療養介護事業所における看護職員又は介護職員の員数を算定する場合の入院患者の数の算定方法)、第157条第2項(指定痴呆対応型共同生活介護に係る共同生活住居における介護従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)及び第175条第2項(指定特定施設における生活相談員、看護職員若しくは介護職員の人員並びに計画作成担当者の人員の標準を算定する場合の利用者の数の算定方法)における「前年度の平均値」は、当該年度の前年度(毎年4月1日に始まり翌年3月31日をもって終わる年度とする。以下同じ。)の平均を用いる。この場合、利用者数等の平均は、前年度の全利用者等の延数を当該前年度の日数で除して得た数とする。この平均利用者数等の算定に当たっては、小数点第2位以下を切り上げるものとする。
- (2)
新たに事業を開始し、若しくは再開し、又は増床した事業者又は施設においては新設又は増床分のベッドに関しては、前年度において1年未満の実績しかない場合(前年度の実績が全くない場合も含む。)の利用者数等は、新設又は増床の時点から6月末満の間は、便宜上、ベッド数の90%を利用者数等とし、新設又は増床の時点から6月以上1年未満の間は、直近の6月における全利用者等の延数を6月間の日数で除して得た数とし、新設又は増床の時点から1年以上経過している場合は、直近1年間における全利用者等の延数を1年間の日数で除して得た数とする。また、減床の場合には、減床後の実績が3月以上ある時は、減床後の利用者数等の延数を延日数で除して得た数とする。ただし、短期入所生活介護及び特定施設入所者生活介護については、これらにより難い合理的な理由がある場合には、他の適切な方法により利用者数を推定するものとする。
第3 訪問介護に関する基準
1 人員に関する基準
(1)訪問介護員等の員数(基準第5条第1項)
- (1)
指定訪問介護事業所における訪問介護員等の員数については、常勤換算方法で2.5人以上と定められたが、これについては、職員の支援体制等を考慮した最小限の員数として定められたものであり、各地域におけるサービス利用の状況や利用者数及び指定訪問介護の事業の業務量を考慮し、適切な員数の職員を確保するものとする。
- (2)
勤務日及び勤務時間が不定期な訪問介護員等(以下「登録訪問介護員等」という。)についての勤務延時間数の算定については、次のとおりの取扱いとする。
- イ
登録訪問介護員等によるサービス提供の実績がある事業所については、登録訪問介護員等1人当たりの勤務時間数は、当該事業所の登録訪問介護員等の前年度の週当たりの平均稼働時間(サービス提供時間及び移動時間をいう。)とすること。
- ロ
登録訪問介護員等によるサービス提供の実績がない事業所又は極めて短期の実績しかない等のためイの方法によって勤務延時間数の算定を行うことが適当でないと認められる事業所については、当該登録訪問介護員等が確実に稼働できるものとして勤務表に明記されている時間のみを勤務延時間数に算入すること。なお、この場合においても、勤務表上の勤務時間数は、サービス提供の実態に即したものでなければならないため、勤務表上の勤務時間と実態が乖離していると認められる場合には、勤務表上の勤務時間の適正化の指導の対象となるものであること。
- (3)
出張所等があるときは、常勤換算を行う際の事業所の訪問介護員等の勤務延時間数には、出張所等における勤務延時間数も含めるものとする。
(2)サービス提供責任者(基準第5条第2項)
事業の規模に応じて1人以上の者をサービス提供責任者としなければならないこととされたが、その具体的取扱は次のとおりとする。
- (1) 管理者がサービス提供責任者を兼務することは差し支えないこと。
- (2) サービス提供責任者の配置の基準は、以下のいずれかに該当する員数を置く こととする。
- イ
当該事業所の月間の延べサービス提供時間(事業所における待機時間や移動時間を除く。)が概ね450時間又はその端数を増すごとに1人以上
- ロ 当該事業所の訪問介護員等の数が10人又はその端数を増すごとに1人以上
- 従って、例えば、常勤割合が比較的高いなど、訪問介護員等1人当たりのサービス提供時間が多い場合は、月間の延べサービス提供時間が450時間を超えていても、訪問介護員等の人数が10人以下であれば、ロの基準によりサービス提供責任者は1人で足りることとなる(具体的には、例えば、常勤職員4人で、そのサービス提供時間が合わせて320時間、非常勤職員が6人で、そのサービス提供時間が合わせて200時間である場合、当該事業所の延べサービス提供時間は520時間となるが、ロの基準により、配置すべきサービス提供責任者は1人で足りることとなる)。
- (3) サービス提供責任者については、次のいずれかに該当する常勤の職員から選任するものとすること。
- イ 介護福祉士
- ロ 訪問介護員に関する省令(平成12年厚生省令第23号)第1条に規定する1級課程の研修を修了した者
- ハ 同条に規定する2級課程の研修を修了した者であって、3年以上介護等の業務に従事したもの
- (4)
(3)のハに掲げる「2級課程の研修を修了した者であって、3年以上介護等の業務に従事したもの」とは、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第40条第2項第1号に規定する「3年以上介護等の業務に従事した者」と同様とし、その具体的取り扱いについては、「指定施設における業務の範囲等及び介護福祉士試験の受験資格に係わる介護等の業務の範囲等について」(昭和63年2月12日社庶第29号厚生省社会局長、児童家庭福祉局長連名通知)の別添2「介護福祉試験の受験資格の認定に係わる介護等の業務の範囲等」を参考とされたい。
なお、3年間の実務経験の要件が達成された時点と2級課程の研修修了時点との前後関係は問わないものであること。
また、介護等の業務に従事した期間には、ボランティアとして介護等を経験した期間は原則として含まれないものであるが、特定非営利活動法(平成10年法律第1号)に基づき設立された特定非営利活動法人が法第70条第1項の規定に基づき訪問介護に係る指定を受けている又は受けることが確実に見込まれる場合であって、当該法人が指定を受けて行うことを予定している訪問介護と、それ以前に行ってきた事業とに連続性が認められるものについては、例外的に、当該法人及び法人格を付与される前の当該団体に所属して当該事業を担当した経験を有する者の経験を、当該者の3年の実務経験に算入して差し支えないものとする。
なお、この場合において、介護福祉士国家試験の受験資格としても実務経験の算入を認められたものと解してはならないこと。
- (5)
2級課程の研修を修了した者であって、3年以上介護等の業務に従事したものをサービス提供責任者とする取扱いは暫定的なものであることから、指定訪問介護事業者は、できる限り早期に、これに該当するサービス提供責任者に1級課程の研修を受講させ、又は介護福祉士の資格を取得させるよう努めなければならないこと。
(3)管理者(基準第6条)
指定訪問介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。なお、管理者は、訪問介護員等である必要はないものである。
- (1) 当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等としての職務に従事する場合
- (2)
同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員と兼務する場合などは、管理業務に支障があると考えられる。ただし、施設における勤務時間が極めて限られている職員である場合等、個別に判断の上、例外的に認める場合があっても差し支えない。)
2 設備に関する基準(第7条)
(1)指定訪問介護事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定訪問介護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。
(2)事務室又は区画については、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。
(3)指定訪問介護事業者は、指定訪問介護に必要な設備及び備品等を確保するものとする。特に、手指を洗浄するための設備等感染症予防に必要な設備等に配慮すること。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定訪問介護の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。
なお、事務室・区画、又は設備及び備品等については、必ずしも事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものであっても差し支えない。
3 運営に関する基準
(1)内容及び手続の説明及び同意
基準第8条は、指定訪問介護事業者は、利用者に対し適切な指定訪問介護を提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、当該指定訪問介護事業所の運営規程の概要、訪問介護員等の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、わかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該事業所から指定訪問介護の提供を受けることにつき同意を得なければならないこととしたものである。なお、当該同意については、利用者及び指定訪問介護事業者双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。
(2)提供拒否の禁止
基準第9条は、指定訪問介護事業者は、原則として、利用申込に対しては応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、(1)当該事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合、(2)利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合、その他利用申込者に対し自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難な場合である。
(3)サービス提供困難時の対応
指定訪問介護事業者は、基準第9条の正当な理由により、利用申込者に対し自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難であると認めた場合には、基準第10条の規定により、当該利用申込者に係る居宅介護支援事業者への連絡、適当な他の指定訪問介護事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならないものである。
(4)受給資格等の確認
- (1)
基準第11条第1項は、指定訪問介護の利用に係る費用につき保険給付を受けることができるのは、要介護認定又は要支援認定を受けている被保険者に限られるものであることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の開始に際し、利用者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定等の有無及び要介護認定等の有効期間を確かめなければならないこととしたものである。
- (2)
同条第2項は、利用者の被保険者証に、指定居宅サービスの適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項に係る認定審査会意見が記載されているときは、指定訪問介護事業者は、これに配慮して指定訪問介護を提供するように努めるべきことを規定したものである。
(5)要介護認定等の申請に係る援助
- (1)
基準第12条第1項は、要介護認定等の申請がなされていれば、要介護認定等の効力が申請時に遡ることにより、指定訪問介護の利用に係る費用が保険給付の対象となりうることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、利用申込者が要介護認定等を受けていないことを確認した場合には、要介護認定等の申請が既に行われているか否かを確認し、申請が行われていない場合は、当該利用申込者の意向を踏まえて速やかに当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
- (2)
同条第2項は、要介護認定等の有効期間が原則として6箇月ごとに終了し、継続して保険給付を受けるためには要介護更新認定又は要支援更新認定を受ける必要があること及び当該認定が申請の日から30日以内に行われることとされていることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、居宅介護支援(これに相当するサービスを含む。)が利用者に対して行われていない等の場合であって必要と認めるときは、要介護認定等の更新の申請が、遅くとも当該利用者が受けている要介護認定等の有効期間が終了する30日前にはなされるよう、必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
(6)法定代理受領サービスの提供を受けるための援助
基準第15条は、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号。以下「施行規則」という。)第64条第1号イからロまでのいずれかに該当する利用者は、指定訪問介護の提供を法定代理受領サービスとして受けることができることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、施行規則第64条第1号イからロまでのいずれにも該当しない利用申込者又はその家族に対し、指定訪問介護の提供を法定代理受領サービスとして受けるための要件の説明、居宅介護支援事業者に関する情報提供その他の法定代理受領サービスを行うために必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
(7)居宅サービス計画等の変更の援助
基準第17条は、指定訪問介護を法定代理受領サービスとして提供するためには当該指定訪問介護が居宅サービス計画に位置付けられている必要があることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、利用者が居宅サービス計画の変更を希望する場合(利用者の状態の変化等により追加的なサービスが必要となり、当該サービスを法定代理受領サービスとして行う等のために居宅サービス計画の変更が必要となった場合で、指定訪問介護事業者からの当該変更の必要性の説明に対し利用者が同意する場合を含む。)は、当該利用者に係る居宅介護支援事業者への連絡、サービスを追加する場合に当該サービスを法定代理受領サービスとして利用する場合には支給限度額の範囲内で居宅サービス計画を変更する必要がある旨の説明その他の必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
(8)身分を証する書類の携行
基準第18条は、利用者が安心して指定訪問介護の提供を受けられるよう、指定訪問介護事業者は、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等に身分を明らかにする証書や名札等を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならないこととしたものである。この証書等には、当該指定訪問介護事業所の名称、当該訪問介護員等の氏名を記載するものとし、当該訪問介護員等の写真の貼付や職能の記載を行うことが望ましい。
(9)サービスの提供の記録
基準第19条は、利用者及びサービス事業者が、その時点での支給限度額の残額やサービスの利用状況を把握できるようにするために、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、当該指定訪問介護の提供日、内容(例えば身体介護と家事援助の別)、保険給付の額その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画の書面又はサービス利用票等に記載しなければならないこととしたものである。
(10)利用料等の受領
- (1)
基準第20条第1項は、指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスとして提供される指定訪問介護についての利用者負担として、居宅介護サービス費用基準額又は居宅支援サービス費用基準額の1割(法第50条若しくは第60条又は第69条第3項の規定の適用により保険給付の率が9割でない場合については、それに応じた割合)の支払を受けなければならないことを規定したものである。
- (2)
基準第20条第2項は、利用者間の公平及び利用者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない指定訪問介護を提供した際に、その利用者から支払を受ける利用料の額と、法定代理受領サービスである指定訪問介護に係る費用の額の間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けてはならないこととしたものである。
なお、そもそも介護保険給付の対象となる指定訪問介護のサービスと明確に区分されるサービスについては、次のような方法により別の料金設定をして差し支えない。
- イ
利用者に、当該事業が指定訪問介護の事業とは別事業であり、当該サービスが介護保険給付の対象とならないサービスであることを説明し、理解を得ること。
- ロ 当該事業の目的、運営方針、利用料等が、指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定められていること。
- ハ 会計が指定訪問介護の事業の会計と区分されていること。
- (3)
同条第3項は、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供に関して、前2項の利用料のほかに、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定訪問介護を行う場合の交通費(移動に要する実費)の支払を利用者から受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。
- (4)
同条第4項は、指定訪問介護事業者は、前項の交通費の支払を受けるに当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族に対してその額等に関して説明を行い、利用者の同意を得なければならないこととしたものである。
(11)保険給付の請求のための証明書の交付
基準第21条は、利用者が市町村に対する保険給付の請求を容易に行えるよう、指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスでない指定訪問介護に係る利用料の支払を受けた場合は、提供した指定訪問介護の内容、費用の額その他利用者が保険給付を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に対して交付しなければならないこととしたものである。
(12)指定訪問介護の基本的取扱方針及び具体的取扱方針
基準第22条及び第23条にいう指定訪問介護の取扱方針について、特に留意すべきことは、次のとおりである。
- (1)
提供された介護サービスについては、目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うとともに、訪問介護計画の修正を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
- (2)
指定訪問介護の提供に当たっては、介護技術の進歩に対応した適切なサービスが提供できるよう、常に新しい技術を習得する等、研鑽を行うべきものであること。
(13)訪問介護計画の作成(基準第24条)
- (1)
サービス提供責任者は、訪問介護計画の目標や内容等については、利用者及びその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
- (2)
訪問介護計画書の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、訪問介護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、援助の方向性や目標を明確にし、担当する訪問介護員等の氏名、訪問介護員等が提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、訪問介護計画書の様式については、各事業所毎に定めるもので差し支えない。
- (3)
サービス提供責任者は、他の訪問介護員等の行うサービスが訪問介護計画に沿って実施されているかについて把握するとともに、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。
(14)利用者に関する市町村への通知
基準第26条は、偽りその他不正な行為によって保険給付を受けた者及び自己の故意の犯罪行為又は重大な過失等により、要介護状態等又はその原因となった事故を生じさせるなどした者については、市町村が、法第22条第1項に基づく既に支払った保険給付の徴収又は法第64条に基づく保険給付の制限を行うことができることに鑑み、指定訪問介護事業者が、その利用者に関し、保険給付の適正化の観点から市町村に通知しなければならない事由を列記したものである。
(15)緊急時等の対応
基準第27条は、訪問介護員等が現に指定訪問介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治の医師(以下「主治医」という。)への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものである。
(16)管理者及びサービス提供責任者の責務
基準第28条は、指定訪問介護事業所の管理者とサービス提供責任者の役割分担について規定したものであり、管理者は、従業者及び業務の一元的管理並びに従業者に基準第2章第4節(運営に関する基準)を遵守させるための指揮命令を、サービス提供責任者は、指定訪問介護の利用の申込みに係る調整、訪問介護員等に対する技術指導等のサービスの内容の管理を行うものである。
(17)運営規程
基準第29条は、指定訪問介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定訪問介護の提供を確保するため、同条第1号から第7号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定訪問介護事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。なお、同一事業者が同一敷地内にある事業所において、複数のサービス種類について事業者指定を受け、それらの事業を一体的に行う場合においては、運営規程を一体的に作成することも差し支えない(この点については他のサービス種類についても同様とする。)。
- (1) 指定訪問介護の内容(第4号)
- 「指定訪問介護の内容」とは、身体介護、家事援助等のサービスの内容を指すものであること。
- (2) 利用料その他の費用の額(第4号)
- 「利用料」としては、法定代理受領サービスである指定訪問介護に係る利用料(1割負担)及び法定代理受領サービスでない指定訪問介護の利用料を、「その他の費用の額」としては、基準第20条第3項により徴収が認められている交通費の額及び必要に応じてその他のサービスに係る費用の額を規定するものであること(以下、他のサービス種類についても同趣旨)。
- (3) 通常の事業の実施地域(第5号)
- 通常の事業の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。なお、通常の事業の実施地域は、利用申込に係る調整等の観点からの目安であり、当該地域を越えてサービスが行われることを妨げるものではないものであること(以下、第53条第5号、第73条第5号、第82条第5号、第100条第6号、第117条第6号及び第200条第5号についても同趣旨。)。
(18)勤務体制の確保等
基準第30条は、利用者に対する適切な指定訪問介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。
- (1)
指定訪問介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、訪問介護員等については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、サービス提供責任者である旨等を明確にすること。
- (2)
同条第2項は、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等によって指定訪問介護を提供するべきことを規定したものであるが、指定訪問介護事業所の訪問介護員等とは、雇用契約その他の契約により、当該事業所の管理者の指揮命令下にある訪問介護員等を指すものであること。
- (3)
同条第3項は、当該指定訪問介護事業所の従業者たる訪問介護員等の質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。
特に、訪問介護員のうち、3級課程の研修を修了した者について、身体介護を担当することは、暫定的な措置であることにかんがみ、できる限り早期に2級課程の研修を受講させ、又は介護福祉士の資格を取得させるよう努めなければならないこと。
(19)衛生管理等
基準第31条は、指定訪問介護事業者は、訪問介護員等の清潔の保持及び健康状態の管理並びに指定訪問介護事業所の設備及び備品等の衛生的な管理に努めるべきことを規定したものである。特に、指定訪問介護事業者は、訪問介護員等が感染源となることを予防し、また訪問介護員等を感染の危険から守るため、使い捨ての手袋等感染を予防するための備品等を備えるなど対策を講じる必要がある。
(20)秘密保持等
- (1)
基準第33条第1項は、指定訪問介護事業所の訪問介護員等その他の従業者に、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密の保持を義務づけたものである。
- (2)
同条第2項は、指定訪問介護事業者に対して、過去に当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等その他の従業者であった者が、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務づけたものであり、具体的には、指定訪問介護事業者は、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等その他の従業者が、従業者でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者との雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めをおくなどの措置を講ずべきこととするものである。
- (3)
同条第3項は、訪問介護員等がサービス担当者会議等において、課題分析情報等を通じて利用者の有する問題点や解決すべき課題等の個人情報を、介護支援専門員や他のサービスの担当者と共有するためには、指定訪問介護事業者は、あらかじめ、文書により利用者又はその家族から同意を得る必要があることを規定したものであるが、この同意は、サービス提供開始時に利用者及びその家族から包括的な同意を得ておくことで足りるものである。
(21)居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止
基準第35条は、居宅介護支援の公正中立性を確保するために、指定訪問介護事業者は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならないこととしたものである。
(22)苦情処理
- (1)
基準第36条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情処理の体制及び手順等当該事業所における苦情を処理するために講ずる措置の概要について明らかにし、利用申込者にサービスの内容を説明する文書に苦情に対する措置の概要についても併せて記載するとともに、事業所に掲示すること等である。
- (2)
同条第2項は、介護保険法上、苦情処理に関する業務を行うことが位置付けられている国民健康保険団体連合会のみならず、住民に最も身近な行政庁であり、かつ、保険者である市町村が、サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市町村についても国民健康保険団体連合会と同様に、指定訪問介護事業者に対する苦情に関する調査や指導、助言を行えることを運営基準上、明確にしたものである。
(23)事故発生時の対応
基準第37条は、利用者が安心して指定訪問介護の提供を受けられるよう、指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供により事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に対して連絡を行う等の必要な措置を講じるべきこととするとともに、利用者に対する指定訪問介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。
このほか、以下の点に留意するものとする。
- (1)
利用者に対する指定訪問介護の提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定訪問介護事業者が定めておくことが望ましいこと。
- (2)
指定訪問介護事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくか、又は賠償資力を有することが望ましいこと。
- (3) 指定訪問介護事業者は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。
(24)会計の区分
基準第38条は、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものであるが、具体的な会計処理の方法等については、別に通知するところによるものであること。
(25)記録の整備
基準第39条第2項により、指定訪問介護事業者は、少なくとも次に掲げる記録をその完結の日から2年間備えておかなければならないこととしたものであること。
- (1) 指定訪問介護に関する記録
- イ 訪問介護計画書
ロ 提供した個々の指定訪問介護に係る記録
- (2) 基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
4 基準該当訪問介護に関する基準
(1)訪問介護員等の員数(基準第40条)
基準該当訪問介護事業所における訪問介護員等の員数については、3人以上と定められたが、これについては、訪問介護員等の勤務時間の多寡にかかわらず員数として3人以上確保すれば足りるものである。ただし、各地域におけるサービス利用の状況や利用者数等を考慮し、適切な員数の職員を確保するものとする。その他については、指定訪問介護事業所の場合と同趣旨であるため第3の1の(1)及び(2)に準じて取り扱うべきものである。
なお、サービス提供責任者については、常勤である必要はないが、指定訪問介護における配置に準じて配置することが望ましい。
(2)管理者(基準第41条)
指定訪問介護の場合と基本的に同趣旨であるため、第3の1の(3)を参照されたい。ただし、管理者は常勤である必要はないことに留意するものとする。
(3)設備及び備品等
基準第42条は、基準該当訪問介護事業所の設備及び備品等についての規定であるが、指定訪問介護事業所の場合と基本的に同趣旨であるため、第3の2を参照されたい。
(4)同居家族に対するサービス提供の制限
基準第42条の2は、同条第1項各号に定める場合に限り、同居家族である利用者に対するサービス提供を例外的に認めることを定めたものである。
特に、同条第1項第1号にあるとおり、離島、山間のへき地その他の地域であって、指定訪問介護による訪問介護だけでは必要な訪問介護の見込量を確保することが困難であると市町村が認めた地域において認められるものであり、市町村は、その運用に際して次に掲げる点に留意するとともに、当該地域における指定訪問介護の確保に努めることとする。
- (1)
市町村は、同居家族に対する訪問介護を行おうとする訪問介護員等が所属する訪問介護事業所から、居宅サービス計画の写し等、同居家族に対する訪問介護が認められるための要件が満たされていることを確認できる書類を届け出させ、これに基づき基準該当居宅サービスとしての実施を認めるものとする。
- (2)
市町村は、いったん認めた同居家族に対する訪問介護について、事後的にその要件を満たしていないと認めるときは、保険給付を行わず、又は既に行った保険給付の返還を求めるものとする。
- (3)
市町村は、基準第42条の2第1項各号に規定する要件に反した訪問介護が行われている場合の是正の指導のほか、当該同居家族に対して行われている居宅サービスとして、当該訪問介護員等による訪問介護のほか、他の居宅サービスが適切に組み合わされているかどうか等を点検し、状況に応じて必要な助言を当該同居家族及び基準該当訪問介護事業者に対して行うものとする。
- (4)
基準第42条の2第1項第5号に規定する、訪問介護員等が同居家族の訪問介護に従事する時間の合計時間が当該訪問介護員等が訪問介護に従事する時間の合計時間のおおむね2分の1を超えないという要件は、同居家族の訪問介護が「身内の世話」ではなく、「訪問介護事業所の従業者による介護」として行われることを担保する趣旨で設けられたものであるが、こうした趣旨を踏まえつつ、当該市町村の訪問介護の基盤整備の状況など地域の実情に応じて、当該要件をある程度の幅をもって運用することは差し支えないものとする。
(5)運営に関する基準
基準第43条の規定により、基準第15条、第20条第1項、第25条及び第36条第3項を除き、指定訪問介護の運営に関する基準が基準該当訪問介護に準用されるものであるため、第3の3の(1)から(5)まで及び(7)から(25)まで((10)の(1)を除く。)を参照されたい。この場合において、準用される基準第20条第2項の規定は、基準該当訪問介護事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費を算定するための基準となる費用の額(100分の90を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。なお、当該事業所による訪問介護が複数の市町村において基準該当訪問介護と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。
第4 訪問入浴介護に関する基準
1 人員に関する基準
(1)従業者の員数(基準第45条)
指定訪問入浴介護事業所における訪問入浴介護従業者の員数については、最低限必要の数を定めたものであり、訪問入浴介護の提供量に応じて、基準第50条第4号の規定に基づく体制に必要な員数を確保するものとする。
(2)管理者(基準第46条)
訪問介護の場合と同趣旨であるため、第3の1の(3)を参照されたい。
2 設備に関する基準(第47条)
(1)指定訪問入浴介護事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りをする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定訪問入浴介護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。
(2)専用の事務室又は区画については、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペース及び浴槽等の備品・設備等を保管するために必要なスペースを確保する必要がある。
(3)専用の事務室又は区画については、指定訪問入浴介護に必要な浴槽(身体の不自由な者が入浴するのに適したもの)、車両(浴槽を運搬し又は入浴設備を備えたもの)等の設備及び備品等を確保する必要がある。特に、手指を洗浄するための設備等感染症予防に必要な設備等に配慮する必要がある。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定訪問入浴介護の事業及び当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。
3 運営に関する基準
(1)利用料の受領
- (1)
基準第48条第1項、第2項及び第4項は、指定訪問介護に係る第20条第1項、第2項及び第4項と同趣旨であるため、第3の3の(10)の(1)、(2)及び(4)を参照されたい。
- (2)
基準第48条第3項は、指定訪問入浴介護事業者は、指定訪問入浴介護の提供に関して、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定訪問入浴介護を行う場合の交通費、及び利用者の選定により提供される特別な浴槽水等に係る費用については、前2項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。
(2)指定訪問入浴介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
指定訪問入浴介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針については、基準第49条及び50条の定めるところによるほか、次の点に留意するものとする。
- (1)
指定訪問入浴介護の提供に当たっては、利用者の心身の状況により、訪問時に全身入浴が困難な場合は、利用者の希望により、「清しき」又は「部分浴(洗髪、陰部、足部等)」を実施するなど、適切なサービス提供に努めること。
- (2) 基準第50条第2号に定める「サービスの提供方法等」とは、入浴方法等の内容、作業手順、入浴後の留意点などを含むものであること。
- (3)
基準第50条第4号に定める「サービスの提供の責任者」については、入浴介護に関する知識や技術を有した者であって、衛生管理や入浴サービスの提供に当たって他の従業者に対し作業手順など適切な指導を行うとともに、利用者が安心してサービス提供を受けられるように配慮すること。また、同号に定める「主治の医師の意見の確認」については、利用者又は利用者の承諾を得て当該事業者が、利用者の主治医に確認することとし、併せて、次に確認すべき時期についても確認しておくこと。
- (4)
基準第50条第5号に定める「サービスの提供に用いる設備、器具その他の用品」の安全衛生については、特に次の点について留意すること
- イ
浴槽など利用者の身体に直に接触する設備・器具類は、利用者1人ごとに消毒した清潔なものを使用し、使用後に洗浄及び消毒を行うこと。また、保管に当たっても、清潔保持に留意すること。
- ロ 皮膚に直に接するタオル等については、利用者1人ごとに取り替えるか個人専用のものを使用する等、安全清潔なものを使用すること。
- ハ 消毒方法等についてマニュアルを作成するなど、当該従事者に周知させること。
(3)緊急時等の対応
基準第51条は、訪問入浴介護従業者が現に指定訪問入浴介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治医又はあらかじめ当該指定訪問入浴介護事業者が定めた協力医療機関への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものである。協力医療機関については、次の点に留意するものとする。
- (1)協力医療機関は、事業の通常の実施地域内にあることが望ましいものであること。
- (2) 緊急時において円滑な協力を得るため、当該協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくこと。
(4)管理者の責務
基準第52条は、指定訪問入浴介護事業所の管理者の責務を、指定訪問入浴介護事業所の従業者の管理及び指定訪問入浴介護の利用の申込みに係る調整、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行うとともに、当該指定訪問入浴介護事業所の従業者に基準の第3章第4節の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。
(5)運営規程
基準第53条は、指定訪問入浴介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定訪問入浴介護の提供を確保するため、同条第1号から第8号までに掲げる事項を内容とする規定を定めることを指定訪問入浴介護事業所ごとに義務づけたものであるが、基準第53条第6号の「サービスの利用に当たっての留意事項」とは、利用者が指定訪問入浴介護の提供を受ける際に、利用者側が留意すべき事項(入浴前の食事の摂取に関すること等)を指すものであることに留意するものとする。
(6)準用
基準第54条の規定により、基準第8条から第19条まで、第21条、第26条及び第30条から第39条までの規定は、指定訪問入浴介護の事業について準用されるため、第3の3の(1)から(9)まで、(11)、(14)及び(18)から(25)までを参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。
- (1) 基準第31条中「設備及び備品等」とあるのは「指定訪問入浴介護に用いる浴槽その他の設備及び備品等」と読み替えられること。
- (2) 準用される基準第39条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。
- イ 提供した個々の指定訪問入浴介護に係る記録
ロ 基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
4 基準該当訪問入浴介護に関する基準
(1)従業者の員数(基準第55条)
基準該当訪問入浴介護事業所の訪問入浴介護従業者の員数については、最低限必要な数を定めたものであり、訪問入浴介護の提供量に応じて、第58条により準用する基準第50条第4号の規定に基づく体制に必要な員数を確保するものとする。
(2)管理者(基準第56条)
指定訪問入浴介護の場合と基本的に同趣旨であるため、第4の1の(2)を参照されたい。ただし、管理者は常勤である必要はないことに留意するものとする。
(3)設備及び備品等(基準第57条)
指定訪問入浴介護の場合と基本的に同趣旨であるため、第4の2を参照されたい。
(4)運営に関する基準
基準第58条の規定により、基準第8条から第14条まで、第16条から第19条まで、第21条、第26条、第30条から第35条まで、第36条第1項及び第2項、第37条から第39条まで、第44条並びに第4節(第48条第1項及び第54条を除く。)の規定は、基準該当訪問入浴介護の事業について準用されるものであるため、第3の3の(1)から(5)まで、(7)から(9)まで、(11)、(14)及び(18)から(25)まで並びに第4の3を参照されたい。この場合において、準用される基準第48条第2項の規定は、基準該当訪問入浴介護事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費を算定するための基準となる費用の額(100分の90を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。なお、当該事業所による訪問入浴介護が複数の市町村において基準該当訪問入浴介護と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。
第5 訪問看護に関する基準
1 人員に関する基準
(1)看護婦等の員数(基準第60条)
- (1) 指定訪問看護ステーションの場合(基準第60条第1項第1号)
- イ
指定訪問看護ステーションにおける保健婦、保健士、看護婦、看護士、准看護婦又は准看護士(以下「看護職員」という。)の員数については、常勤換算方法で2.5人以上と定められたが、これについては、職員の支援体制等を考慮した最小限の員数として定められたものであり、各地域におけるサービス利用の状況や利用者数及び指定訪問看護の事業の業務量を考慮し、適切な員数の人員を確保するものとする。
- ロ 勤務日及び勤務時間が不定期な看護婦等についての勤務延時間数の算定については、指定訪問介護の場合と同様である。
- ハ 理学療法士及び作業療法士については、実情に応じた適当数を配置するものとする(配置しないことも可能である)。
- ニ 出張所等があるときは、常勤換算を行う際の事業所の看護職員の勤務延時間数とは、出張所等における勤務延時間数も含めるものとする。
- (2) 指定訪問看護を担当する医療機関の場合(基準第60条第1項第2号)
- 指定訪問看護事業所ごとに、指定訪問看護の提供に当たる看護職員を適当数置かなければならない。
(2)指定訪問看護ステーションの管理者(基準第61条)
- (1)
訪問看護ステーションの管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該指定訪問看護ステーションの管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該指定訪問看護ステーションの管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
- イ 当該指定訪問看護ステーションの看護職員としての職務に従事する場合
- ロ
当該指定訪問看護ステーションが健康保険法による指定を受けた訪問看護ステーションである場合に、当該訪問看護ステーションの管理者又は看護職員としての職務に従事する場合
- ハ
同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該指定訪問看護ステーションの管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、併設される入所施設における看護業務(管理業務を含む。)との兼務は管理者の業務に支障があると考えられるが、施設における勤務時間が極めて限られている職員の場合には、例外的に認められる場合もありうる。)
- (2)
指定訪問看護ステーションの管理者は、管理者としてふさわしいと認められる保健婦、保健士、看護婦又は看護士であって、保健婦助産婦看護婦法(昭和23年法律第203号)第14条第3項の規定により保健婦、保健士、看護婦又は看護士の業務の停止を命ぜられ、業務停止の期間終了後2年を経過しない者に該当しないものである。
- (3)
管理者の長期間の傷病又は出張等の緊急やむを得ない理由がある場合には、老人の福祉の向上に関し相当の知識、経験及び熱意を有し、過去の経歴等を勘案して指定訪問看護ステーションの管理者としてふさわしいと都道府県知事に認められた者であれば、管理者として保健婦、保健士、看護婦及び看護士以外の者をあてることができるものとする。ただし、この場合においても、可能な限り速やかに常勤の保健婦、保健士、看護婦及び看護士の管理者が確保されるように努めなければならないものである。
- (4)
指定訪問看護ステーションの管理者は、医療機関における看護、訪問看護又は老人保健法第19条の訪問指導の業務に従事した経験のある者である必要がある。さらに、管理者としての資質を確保するために関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましい。
2 設備に関する基準
(1)指定訪問看護ステーションの場合(基準第62条第1項)
- (1)
指定訪問看護ステーションには、運営に必要な面積を有する専用の事務室を設ける必要がある。ただし、当該指定訪問看護ステーションが健康保険法による指定を受けた訪問看護ステーションである場合には、両者を共用することは差し支えない。また、当該指定訪問看護ステーションが、他の事業の事業所を兼ねる場合には、必要な広さの専用の区画を有することで差し支えないものとする。なお、この場合に、区分されていなくても業務に支障がないときは、指定訪問看護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものである。
- (2) 事務室については、利用申込みの受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。
- (3)
指定訪問看護に必要な設備及び備品等を確保する必要がある。特に、感染症予防に必要な設備等に配慮する必要がある。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定訪問看護の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。
(2)指定訪問看護を担当する医療機関の場合(基準第62条第2項)
- (1)
指定訪問看護を担当する病院又は診療所には、指定訪問看護の事業を行うために必要な専用の区画を設ける必要がある。なお、業務に支障がないときは、指定訪問看護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものである。
- (2)
指定訪問看護の事業に必要な設備及び備品等を確保する必要がある。ただし、設備及び備品等については、当該医療機関における診療用に備え付けられたものを使用することができるものである。
3 運営に関する基準
(1)サービス提供困難時の対応
指定訪問看護事業者が、指定訪問看護の提供を拒否する正当な理由としては、第3の3の(2)に示した理由のほか、利用申込者の病状等により、自ら適切な訪問看護の提供が困難と判断した場合が該当するが、これらの場合には、基準第63条の規定により、指定訪問看護事業者は、主治医及び居宅介護支援事業者への連絡を行い、適当な他の指定訪問看護事業者等を紹介する等の必要な措置を速やかに講じなければならない。
(2)健康手帳への記載
基準第65条は、提供した指定訪問看護に関して、次のとおりその記録を利用者の健康手帳の医療の記録に係るページに記載しなければならないことを定めたものである。なお、健康手帳の医療に係るページの様式については、「健康手帳の医療の受給資格を証するページ及び医療の記録に係るページの様式」(昭和57年11月厚生省告示第192号)により定められているものである。
- (1) 「医療機関等名称・所在地・電話」の欄には、指定訪問看護事業所の名称、所在地及び電話番号を記載すること。
- (2)「外来・入退院年月日」の欄には、利用開始及び終了年月日を記載すること。
(3)利用料等の受領
- (1) 基準第66条第1項、第3項及び第4項については、第3の3の(10)の(1)、(3)及び(4)を参照されたいこと。
- (2)
基準第66条第2項は、利用者間の公平及び利用者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない指定訪問看護を提供した際にその利用者から支払を受ける利用料の額及び法定代理受領サービスである指定訪問看護に係る費用の額と、医療保険給付又は老人訪問看護療養費の対象となる健康保険法及び老人保健法上の指定訪問看護の費用の額の間に不合理な差異を設けてはならないこととしたものであること。
なお、そもそも介護保険給付、医療保険給付又は老人訪問看護療養費の給付対象となる訪問看護と明確に区分されるサービスについては、第3の3の(10)の(2)のなお書きを参照されたいこと。
(4)指定訪問看護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
基準第67条及び第68条にいう指定訪問看護の取扱方針において、特に留意すべきことは、次のとおりであること。
- (1)
指定訪問看護は、利用者の心身の状態を踏まえて、妥当適切に行うとともにその生活の質の確保を図るよう、主治医との密接な連携のもとに訪問看護計画に沿って行うこととしたものであること。
- (2)
指定訪問看護の提供については、目標達成の度合いやその効果等について評価を行うとともに、訪問看護計画の修正を行い改善を図る等に努めなければならないものであること。
- (3)
利用者の健康状態と経過、看護の目標や内容、具体的な方法その他療養上必要な事項について利用者及び家族に理解しやすいよう指導又は説明を行うこと。
- (4)
指定訪問看護の提供に当たっては、医学の進歩に沿った適切な看護技術をもって対応できるよう、新しい技術の習得等、研鑽を積むことを定めたものであること。
- (5)
医学の立場を堅持し、広く一般に認められていない看護等については行ってはならないこと。
(5)主治医との関係(基準第69条)
- (1)
指定訪問看護事業所の管理者は、指示書に基づき指定訪問看護が行われるよう、主治医との連絡調整、指定訪問看護の提供を担当する看護婦等の監督等必要な管理を行わなければならないこと。なお、主治医とは、利用申込者の選定により加療している医師をいい、主治医以外の複数の医師から指示書の交付を受けることはできないものであること。
- (2)
基準第69条第2項は、指定訪問看護の利用対象者は、その主治医が指定訪問看護の必要性を認めたものに限られるものであることを踏まえ、指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供の開始に際しては、利用者の主治医が発行する訪問看護指示の文書(以下「指示書」という。)の交付を受けなければならないこととしたものであること。
- (3)
指定訪問看護事業所の管理者は、主治医と連携を図り、適切な指定老人訪問看護を提供するため、定期的に訪問看護計画書及び訪問看護報告書を主治医に提出しなければならないこと。
- (4)
訪問看護の実施に当たっては、特に医療施設内の場合と異なり、看護婦等が単独で行うことに十分留意するとともに慎重な状況判断等が要求されることを踏まえ、主治医との密接かつ適切な連携を図ること。
- (5)
保険医療機関が指定訪問看護事業者である場合には、主治医の指示は診療録に記載されるもので差し支えないこと。また、訪問看護計画書及び訪問看護報告書についても看護記録等の診療記録に記載されるもので差し支えないこと。
(6)訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成
- (1)
基準第70条は、看護婦等(准看護婦及び准看護士を除く。)が利用者ごとに、訪問看護計画書及び訪問看護報告書を作成することとしたものである。
- (2)
看護婦等は、訪問看護計画書には、利用者の希望、主治医の指示及び看護目標、具体的なサービス内容等を記載する。なお、既に居宅サービス計画等が作成されている場合には、当該計画に沿って訪問看護の計画を立案する。
- (3)
看護婦等は、訪問看護計画の目標や内容等について、利用者及びその家族に理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行う必要がある。
- (4)
看護婦等は、訪問看護報告書には、訪問を行った日、提供した看護内容、サービス提供結果等を記載する。なお、第70条に規定する報告書は、訪問の都度記載する記録とは異なり、主治医に定期的に提出するものをいう。
- (5)
管理者にあっては、訪問看護計画に沿った実施状況を把握し、計画書及び報告書に関し、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。
- (6)
指定訪問看護事業者は、主治医との連携を図り、適切な指定訪問看護を提供するため、訪問看護計画書及び訪問看護報告書を定期的に主治医に提出しなければならない。
(7)準用
基準第74条の規定により、基準第8条、第9条、第11条から第13条まで、第15条から第19条まで、第21条、第26条、第30条から第39条まで及び第52条の規定は、指定訪問看護の事業について準用されるものであるため、第3の3の(1)、(2)、(4)から(9)まで、(11)、(14)及び(18)から(25)まで並びに第4の3の(4)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。
- (1) 基準第13条(心身の状況等の把握)中「心身の状況」とあるのは、「心身の状況、病歴」と読み替えられること。
- (2)
準用される基準第30条については、指定訪問看護ステーションにおいては、原則として月ごとの勤務表を作成し、看護婦等については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確にすること。指定訪問看護を担当する医療機関においては、指定訪問看護事業所ごとに、指定訪問看護に従事する看護婦等を明確にし、原則として月ごとの勤務表を作成し、それらの者の職務の内容、常勤・非常勤の別等を明確にすること。なお、指定訪問看護事業所の看護婦等については、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)に規定する派遣労働者であってはならないものであること。
- (3) 準用される基準第39条により整備すべき記録は、以下のとおりであること。
- イ 指定訪問看護に関する記録
- a
指示書、訪問看護計画書及び訪問看護報告書(指定訪問看護事業所が保険医療機関である場合は、診療録及び診療記録の保存でも差し支えない。)
b
記録書
- ロ 準用される基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
第6 訪問リハビリテーションに関する基準
1 人員に関する基準(第76条)
指定訪問リハビリテーション事業者は、指定訪問リハビリテーション事業所ごとに、指定訪問リハビリテーションの提供に当たる理学療法士又は作業療法士を適当数置かなければならない。
2 設備に関する基準
(1)基準第77条は、指定訪問リハビリテーション事業所については、
- (1) 病院又は診療所であること。
- (2)
指定訪問リハビリテーションの事業の運営を行うために必要な広さ(利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペース)を有する専用の区画を設けていること。なお、業務に支障がないときは、指定訪問リハビリテーションの事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとすること。
- (3) 指定訪問リハビリテーションの提供に必要な設備及び備品等を備えていること。
としたものである。
(2)設備及び備品等については、当該病院又は診療所における診療用に備え付けられたものを使用することができるものである。
3 運営に関する基準
(1)利用料等の受領
基準第78条の規定は、指定訪問看護に係る基準第66条の規定と基本的に同趣旨であるため、第5の3の(3)を参照されたいこと。
(2)指定訪問リハビリテーションの基本取扱方針及び具体的取扱方針(基準第79条及び第80条)
- (1)
指定訪問リハビリテーションは、利用者の心身の状態、生活環境を踏まえて、妥当適切に行うとともにその生活の質の確保を図るよう、主治の医師との密接な連携のもとに訪問リハビリテーション計画に沿って行うこととしたものであること。
- (2)
指定訪問リハビリテーションの提供については、目標達成の度合いやその効果等について評価を行うとともに、訪問リハビリテーション計画の修正を行い改善を図る等に努めなければならないものであること。
- (3)
指定訪問リハビリテーションの提供に当たっては、利用者の心身状態、リハビリテーションの内容やそれを提供する目的、具体的な方法、リハビリテーションに必要な環境の整備、療養上守るべき点及び療養上必要な目標等、療養上必要な事項について利用者及びその家族に理解しやすいよう指導又は説明を行うこと。
- (4)
指定訪問リハビリテーションの提供に当たっては、医学の進歩に沿った適切な技術をもって対応できるよう、新しい技術の習得等、研鑽を積むことを定めたものであること。
- (5)
指定訪問リハビリテーションを行った際には、速やかに、指定訪問リハビリテーションを実施した要介護者等の氏名、実施日時、実施した訪問リハビリテーションの要点及び担当者の氏名を記録すること。
(3)訪問リハビリテーション計画の作成(基準第81条)
- (1)
訪問リハビリテーション計画は、利用者ごとに、利用者の心身の状態、生活環境を踏まえて作成することとしたものである。利用者の希望、主治医の指示及び目標、具体的なリハビリテーション内容等を記載する。なお、既に居宅サービス計画等が作成されている場合には、当該計画に沿って訪問リハビリテーション計画を立案する。
- (2)
訪問リハビリテーション計画の目標や内容等について、利用者及びその家族に理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行う。
(4)準用
基準第83条の規定により、基準第8条から第13条まで、第15条から第19条まで、第21条、第26条、第30条から第33条まで、第35条から第39条まで、第52条、第64条及び第65条の規定は、指定訪問リハビリテーションの事業について準用されるものであるため、第3の3の(1)から(9)まで、(11)、(14)及び(18)から(25)まで、第4の3の(4)並びに第5の3の(2)を参照されたいこと。この場合において、次の点に留意するものとする。
- (1) 基準第13条中「心身の状況」とあるのは「心身の状況、病歴」と読み替えられること。
- (2)
準用される基準第30条については、指定訪問リハビリテーション事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、指定訪問リハビリテーションに従事する理学療法士及び作業療法士を明確にするとともに、それらの者の職務の内容、常勤・非常勤の別等を明確にすること。なお、指定訪問リハビリテーション事業所の理学療法士及び作業療法士については、労働者派遣法に規定する派遣労働者であってはならないものであること。
- (3)準用される基準第39条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。
- イ 指定訪問リハビリテーションに関する記録
- a 訪問リハビリテーション計画書
b 診療記録その他の個々の指定訪問リハビリテーションに係る記録
- ロ 準用される基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
第7
居宅療養管理指導に関する基準
1 人員に関する基準(基準第85条)
指定居宅療養管理指導事業所ごとに置くべき居宅療養管理指導従業者の員数は、次に掲げる指定居宅療養管理指導事業所の種類の区分に応じ、次に定めるとおりとしたものである。
(1)病院又は診療所である指定居宅療養管理指導事業所
- (1) 医師又は歯科医師
(2)
薬剤師、歯科衛生士(歯科衛生士が行う居宅療養管理指導に相当するものを行う保健婦、保健士、看護婦、看護士、准看護婦及び准看護士を含む。以下同じ。)又は管理栄養士
その提供する指定居宅療養管理指導の内容に応じた適当数
(2)薬局である指定居宅療養管理指導事業所 薬剤師
2 設備に関する基準
(1)基準第86条は、指定居宅療養管理指導事業所については、
- (1) 病院、診療所又は薬局であること
(2) 指定居宅療養管理指導の事業の運営に必要な広さを有していること
(3)
指定居宅療養管理指導の提供に必要な設備及び備品等を備えていることとしたものである。
(2)設備及び備品等については、当該病院又は診療所における診療用に備え付けられたものを使用することができるものである。
3 運営に関する基準
(1)利用料等の受領
- (1)
基準第87条第1項及び第4項の規定は、第20条第1項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3の3の(10)の(1)及び(4)を参照されたい。
- (2) 基準第87条第2項の規定は、第66条第2項の規定と基本的に同趣旨であるため、第5の3の(3)の(2)を参照されたい。
- (3)
基準第87条第3項は、指定居宅療養管理指導の提供に関して、前2項の利用料のほかに、指定居宅療養管理指導の提供に要する交通費(通常の事業の実施地域内の交通費を含む。)の額の支払を利用者から受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。
(2)指定居宅療養管理指導の具体的取扱方針
指定居宅療養管理指導の具体的取扱方針については、基準第89条の定めるところによるほか、次の点に留意するものとする。
- (1)
医師又は歯科医師の行う指定居宅療養管理指導は、訪問診療等により常に利用者の病状及び心身の状況を把握し、計画的な医学的管理又は歯科医学的管理を行っている要介護者等に対して行うものであること。
- (2)
指定居宅療養管理指導事業者は、要介護者等にサービスを提供している事業者に対して、必要に応じて迅速に指導又は助言を行うために、日頃からサービスの提供事業者や提供状況を把握するように努めること。
- (3)
薬剤師、歯科衛生士及び管理栄養士は、指定居宅療養管理指導を行った際には、速やかに、指定居宅療養管理指導を実施した要介護者等の氏名、実施日時、実施した居宅療養管理指導の要点及び担当者の氏名を記録すること。
(3)運営規程
基準第90条は、指定居宅療養管理指導の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定居宅療養管理指導の提供を確保するため、同条第1号から第5号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定居宅療養管理指導事業所ごとに義務づけたものであること。なお、第4号の「指定居宅療養管理指導の種類」としては、当該事業所により提供される指定居宅療養管理指導の提供者の職種(医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士)ごとの種類を規定するものであること。
(4)準用
基準第91条の規定により、基準第8条から第13条まで、第16条、第18条、第19条、第21条、第26条、第30条から第33条まで、第35条から第39条まで、第52条、第64条及び第65条の規定は、指定居宅療養管理指導の事業について準用されるものであるため、第3の3の(1)から(5)まで、(8)、(9)、(11)、(14)及び(18)から(25)まで、第4の3の(4)並びに第5の3の(2)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。
- (1)
基準第13条中「心身の状況」とあるのは「心身の状況、病歴、服薬歴」と、第18条中「初回訪問時及び利用者」とあるのは「利用者」と読み替えられること。
- (2)
準用される基準第30条については、居宅療養管理指導従業者は、その職種によっては、労働者派遣法に規定する派遣労働者であってはならないものであること。
- (3) 準用される基準第39条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。
- イ 指定居宅療養管理指導に関する記録
- a 事業所が病院又は診療所の場合
- 診療録その他の提供した個々の指定居宅療養管理指導に関する記録
- b 事業所が薬局の場合
- 医師又は歯科医師が交付した処方せんその他の提供した個々の指定居宅療養管理指導に関する記録
- ロ 準用される基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
第8 通所介護に関する基準
1 人員に関する基準
(1)従業者の員数(基準第93条)
- (1)
指定通所介護の単位とは、同時に、一体的に提供される指定通所介護をいうものであることから、例えば、次のような場合は、2単位として扱われ、それぞれの単位ごとに必要な従業者を確保する必要がある。
- イ 指定通所介護が同時に一定の距離を置いた2つの場所で行われ、これらのサービスの提供が一体的に行われていると言えない場合
- ロ 午前と午後とで別の利用者に対して指定通所介護を提供する場合
- ハ 一の事業所内で、痴呆を有する利用者のみを対象とする指定通所介護と、それ以外の指定通所介護を行っている場合
- (2)
提供時間帯を通じて専ら当該指定通所介護の提供に当たる従業者を確保するとは、指定通所介護の単位ごとに生活相談員、看護職員、介護職員について、提供時間帯に当該職種の従業者が常に確保されるよう必要な配置を行うよう定めたものである(例えば、提供時間帯を通じて専従する生活相談員の場合、その員数は1人となるが、提供時間帯の2分の1ずつの時間専従する生活相談員の場合は、その員数としては2人が必要となる)。
- (3)
なお、ここでいう利用者の数又は利用定員は、単位ごとの指定通所介護についての利用者の数又は利用定員をいうものであり、利用者の数は実人員、利用定員は、あらかじめ定めた利用者の数の上限をいうものである。従って、例えば、1日のうちの午前の提供時間帯に利用者10人に対して指定通所介護を提供し、午後の提供時間帯に別の利用者10人に対して指定通所介護を提供する場合であって、それぞれの指定通所介護の定員が10人である場合には、当該事業所の利用定員は10人、必要となる介護職員の員数は午前午後それぞれ1人ということとなり、人員算定上午前の利用者の数と午後の利用者の数が合算されるものではない。
- (4)
同一事業所で複数の単位の指定通所介護を同時に行う場合には、同時に行われる単位の数の常勤の従業者が必要となるものである(基準第93条第5項・第6項関係)。
(2)生活相談員(基準第93条第1項第1号)
生活相談員については、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年3月31日厚生省令第46号)第5条第2項に定める生活相談員に準ずるものである。
(3)機能訓練指導員(基準第93条第4項)
機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とする。ただし、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。
(4)管理者(第94条)
訪問介護の場合と同趣旨であるため、第3の1の(3)を参照されたい。
2 設備に関する基準(第95条)
(1)事業所
事業所とは、指定通所介護を提供するための設備及び備品を備えた場所をいう。原則として一の建物につき、一の事業所とするが、利用者の利便のため、利用者に身近な社会資源(既存施設)を活用して、事業所の従業者が当該既存施設に出向いて指定通所介護を提供する場合については、これらを事業所の一部とみなして設備基準を適用するものである。
(2)食堂及び機能訓練室
- (1)
指定通所介護事業所の食堂及び機能訓練室(以下「指定通所介護の機能訓練室等」という。)については、3平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上とすることとされたが、指定通所介護が原則として同時に複数の利用者に対し介護を提供するものであることに鑑み、狭隘な部屋を多数設置することにより面積を確保すべきではないものである。ただし、指定通所介護の単位をさらにグループ分けして効果的な指定通所介護の提供が期待される場合はこの限りではない。
- (2)
指定通所介護の機能訓練室等と、指定通所介護事業所と併設の関係にある医療機関や介護老人保健施設における指定通所リハビリテーションを行うためのスペースについては、以下の条件に適合するときは、これらが同一の部屋等であっても差し支えないものとする。
- イ 当該部屋等において、指定通所介護の機能訓練室等と指定通所リハビリテーションを行うためのスペースが明確に区分されていること。
- ロ
指定通所介護の機能訓練室等として使用される区分が、指定通所介護の設備基準を満たし、かつ、指定通所リハビリテーションを行うためのスペースとして使用される区分が、指定通所リハビリテーションの設備基準を満たすこと。
3 運営に関する基準
(1)利用料等の受領
- (1)
基準第96条第1項、第2項及び第4項の規定は、指定訪問介護に係る第20条第1項、第2項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3の3の(10)の(1)、(2)及び(4)を参照されたい。
- (2) 基準第96条第3項は、指定通所介護事業者は、指定通所介護の提供に関して、
- イ 利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域に居住する利用者に対して行う送迎に要する費用
- ロ
指定通所介護に通常要する時間を超える指定通所介護であって利用者の選定に係るものの提供に伴い必要となる費用の範囲内において、通常の指定通所介護に係る居宅介護サービス費用基準額又は居宅支援サービス費用基準額を超える費用
- ハ 食材料費
- ニ おむつ代
- ホ
前各号に掲げるもののほか、通所介護の提供において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるものについては、前2項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、ホの費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものである。
(2)指定通所介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
指定通所介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針については、基準第97条及び98条の定めるところによるほか、次の点に留意するものとする。
- (1)
指定通所介護は、個々の利用者に応じて作成された通所介護計画に基づいて行われるものであるが、グループごとにサービス提供が行われることを妨げるものではないこと。
- (2)
基準第98条第2号で定める「サービスの提供方法等」とは、通所介護計画の目標及び内容や利用日の行事及び日課等も含むものであること。
- (3)
痴呆の状態にある要介護者等で、他の要介護者等と同じグループとして、指定通所介護を提供することが困難な場合には、必要に応じグループを分けて対応すること。
(3)通所介護計画の作成
- (1)
基準第99条で定める通所介護計画については、介護の提供に係る計画等の作成に関し経験のある者や、介護の提供について豊富な知識及び経験を有する者にそのとりまとめを行わせるものとし、当該事業所に介護支援専門員の資格を有する者がいる場合は、その者に当該計画のとりまとめを行わせることが望ましい。
- (2) 指定通所介護計画は、サービスの提供に関わる従業者が共同して個々の利用者ごとに作成するものである。
- (3)
指定通所介護計画の目標及び内容については、利用者又は家族に説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
(4)運営規程
基準第100条は、指定通所介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定通所介護の提供を確保するため、同条第1号から第10号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定通所介護事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
- (1) 指定通所介護の利用定員(第4号)
- 利用定員とは、当該指定通所介護事業所において同時に指定通所介護の提供を受けることができる利用者の数の上限をいうものであること(第117条第4号の「指定通所リハビリテーションの利用定員」についても同趣旨)。
- (2) 指定通所介護の内容及び利用料その他の費用の額(第5号)
- 「指定通所介護の内容」については、入浴、食事の有無等のサービスの内容を指すものであること(第117条第5号の「指定通所リハビリテーションの内容」についても同趣旨)。
- (3) サービス利用に当たっての留意事項(第7号)
- 利用者が指定通所介護の提供を受ける際に、利用者側が留意すべき事項(機能訓練室を利用する際の注意事項等)を指すものであること(第117条第7号についても同趣旨)。
- (4) 非常災害対策
- (6)の非常災害に関する具体的計画を指すものであること(第117条第8号、第137条第8号、第153条第6号、第168条第6号及び第189条第8号についても同趣旨)。
(5)勤務体制の確保等
基準第101条は、利用者に対する適切な指定通所介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。
- (1)
指定通所介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、通所介護従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、専従の生活相談員、看護職員及び介護職員の配置、管理者との兼務関係等を明確にすること。
- (2)
同条第2項は、原則として、当該指定通所介護事業所の従業者たる通所介護従業者によって指定通所介護を提供するべきであるが、調理、洗濯等の利用者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものであること。
(6)非常災害対策
基準第103条は、指定通所介護事業者は、非常災害に際して必要な具体的計画の策定、避難、救出訓練の実施等の対策の万全を期さなければならないこととしたものである。なお「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則第3条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいう。この場合、消防計画の策定及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第8条の規定により防火管理者を置くこととされている指定通所介護事業所にあってはその者に行わせるものとする。また、防火管理者を置かなくてもよいこととされている指定通所介護事業所においても、防火管理について責任者を定め、その者に消防計画に準ずる計画の樹立等の業務を行わせるものとする。
(7)衛生管理等
基準第104条は、指定通所介護事業所の必要最低限の衛生管理等について規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。
- (1)
指定通所介護事業者は、食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じ保健所の助言、指導を求めるとともに、密接な連携を保つこと。
- (2) 空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。
(8)準用
基準第105条の規定により、第8条から第17条まで、第19条、第21条、第26条、第27条、第32条から第39条まで及び第52条は、指定通所介護の事業について準用されるものであるため、第3の3の(1)から(7)まで、(9)、(11)、(14)、(15)及び(20)から(25)並びに第4の3の(4)を参照されたい。この場合において、準用される基準第39条により、整備すべき記録は以下のとおりである。
- イ 指定通所介護に関する記録
- a 通所介護計画書
b 提供した個々の指定通所介護に係る記録
- ロ 準用される基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
4 基準該当通所介護に関する基準
(1)従業者の員数及び管理者(基準第106条及び第107条)
常勤の従業者を置く必要がない点及び管理者が常勤である必要がない点を除けば、指定通所介護の基準と同様であり、第8の1を参照されたい。
(2)設備に関する基準(基準第108条)
指定通所介護の場合と異なり、機能訓練や食事のためのスペースが確保されればよく、そのスペースが「機能訓練室」「食堂」といえるものである必要はないが、この点を除けば、指定通所介護の基準と同様であり、第8の2を参照されたい。
(3)運営に関する基準
基準第109条の規定により、基準第8条から第14条まで、第16条、第17条、第19条、第21条、第26条、第27条、第32条から第39条まで、第52条、第92条及び第7章第4節(第96条第1項及び第105条を除く。)の規定は、基準該当通所介護の事業について準用されるものであるため、第3の3の(1)から(5)まで、(7)、(9)、(11)、(14)、(15)及び(20)から(25)まで、第4の3の(4)並びに第8の3を参照されたいこと。この場合において、準用される基準第96条第2項の規定は、基準該当通所介護事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費を算定するための基準となる費用の額(100分の90を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。なお、当該事業所による通所介護が複数の市町村において基準該当通所介護と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。
第9 通所リハビリテーション
1 人員に関する基準
(1)指定通所リハビリテーション事業所が病院又は診療所である場合(ただし(2)の診療所である場合を除く)(基準第111条第1項)
- (1) 医師(第1号)
- イ 専任の常勤医師が1人以上勤務していること。
- ロ 利用者数は、専任の常勤医師1人に対し1日40人以内であること。
- (2) 理学療法士若しくは作業療法士又は看護婦、看護士、准看護婦若しくは准看護士(以下「従事者」という。)(第2号)
- イ 利用者数は、専従する従事者2人に対し1単位20人以内とし、1日2単位を限度とすること。
- ロ 専従する従事者2人のうち1人については、作業療法士若しくは理学療法士又は経験を有する看護婦であること。
- ハ
ロの従事者が経験を有する看護婦である場合(要するに、理学療法士又は作業療法士が専従する従業者に含まれない場合)にあっては、1単位につき週1日以上作業療法士又は理学療法士が勤務していること。
- ニ
経験を有する看護婦とは、老人保健法の規定による医療に要する費用の額の算定に関する基準(以下「老人診療報酬点数表」という。)に定める老人デイケア、重度痴呆患者デイケア、精神科デイケア、作業療法(老人作業療法を含む。)、理学療法(老人理学療法を含む。)に係る施設基準の届出を行った保険医療機関等において、それらに1年以上従事した者であること。
- ホ 専従する従事者2人のうちロの従事者以外の者については、看護職員で差し支えないものであること。
- (3) 介護職員(第3号)
- 利用者の要介護状態等の実情を勘案して適当な数を配置すること。
(2)指定通所リハビリテーション事業所が診療所である場合(基準第111条第2項)
- (1) 医師(第1号)
- イ 専任の医師が1人勤務していること。
- ロ 患者数は、専任の医師1人に対し1日40人以内であること。
- (2) 理学療法士若しくは作業療法士又は看護婦、看護士、准看護婦若しくは准看護士(以下「従事者」という。)(第2号)
- イ 利用者数は、専従する従事者2人に対し1単位10人以内とし、1日2単位を限度とする。
- ロ 専従する従事者2人のうち1人については、作業療法士若しくは理学療法士又は経験を有する看護婦であること。
- ハ
経験を有する看護婦とは、老人診療報酬点数表に定める老人デイケア・重度痴呆患者デイケア、精神科デイケア、作業療法(老人作業療法を含む。)、理学療法(老人理学療法を含む。)に係る施設基準の届出を行った保険医療機関等において、それらに1年以上従事した者であること。
- ニ 専従する従事者2人のうち前記(2)以外の者については、看護職員又は介護職員で差し支えないこと。
(3)指定通所リハビリテーション事業所が介護老人保健施設である場合(基準第111条第3項)
介護老人保健施設が行う指定通所リハビリテーション事業における人員に関する基準については、基準上は、指定通所リハビリテーションに係る人員についてのみの規定としているが、介護老人保健施設の入所者に係る人員の員数の合計は、以下のとおりとなるものである。
- (1) 医師(第1号)
- イ
入所定員が100人に満たない介護老人保健施設で、常勤医師が1人以上配置されている場合にあっては、1人に加え、100から入所定員を除いた数に入所定員の3割を加えた数を超える利用者の数を200で除した数以上の医師が常勤又は非常勤で配置されていることが必要であること。例えば、入所定員80人の介護老人保健施設の場合で54人の利用者がある場合は、介護老人保健施設の基準において必要な1人に、〔54−{(100−80)+80×3割}〕/200の計算による0.05人分を加えた1.05人分が必要であること。
- ロ
イ以外の介護老人保健施設の場合にあっては、介護老人保健施設の基準において最低限配置することとされている医師の数に加え、入所定員の3割を超える利用者の数を200で除した数以上の医師が常勤又は非常勤で配置されていることが必要であること。例えば、入所定員120人の介護老人保健施設で56人の利用者がある場合は、介護老人保健施設の基準において必要な1.2人の医師に、(56−120×3割)/200の計算による0.1人分を加えた1.3人分の配置が必要であること。
- (2) 理学療法士又は作業療法士(第2号)
- 常勤換算方法で、利用者数に入所者数を加えた合計数を100で除して得た数以上の員数を配置するものである。
- (3) 看護職員又は介護職員(第3号)
- イ
専従の看護・介護職員は、指定通所リハビリテーションの提供時間帯以外の時間帯において介護老人保健施設の入所者に対するサービスの提供に当たることは、差し支えないものである。ただし、介護老人保健施設の看護・介護職員の常勤換算方法における勤務延時間数に、指定通所リハビリテーションに従事した勤務時間は含まれないものである。
- ロ
専従の従事者の中に看護職員が含まれていない場合においても、専任の看護職員を少なくとも1名配置するものとする。ただし、当該専任の看護職員は、通所リハビリテーション業務に支障がない限り、入所者に対する業務と兼務しても差し支えない。
- (4) 支援相談員(第4号)
- 常勤換算方法で、利用者数に入所者数を加えた合計数を100で除して得た数以上の員数を配置するものである。
2 設備に関する基準
(1)指定通所リハビリテーション事業を行う事業所ごとに備える設備については、専ら当該事業の用に供するものでなければならないこととされているが、病院、診療所、介護老人保健施設が互いに併設される場合(同一敷地内にある場合、又は公道をはさんで隣接している場合をいう。)であって、そのうちの複数の施設において、指定通所リハビリテーション事業を行う場合には、以下の条件に適合するときは、それぞれの指定通所リハビリテーションを行うためのスペースが同一の部屋等であっても差し支えないものとする。
- (1) 当該部屋等において、それぞれの指定通所リハビリテーションを行うためのスペースが明確に区分されていること。
- (2) それぞれの指定通所リハビリテーションを行うためのスペースが、次に掲げる面積要件(基準第112条各号)を満たしていること。
- イ 病院又は診療所(基準第111条第2項の適用を受けるものを除く。)の場合
利用定員が15人までは45平方メートル以上、それ以上利用定員が1人増すごとに3平方メートルを加えた面積以上のものを有すること。
- ロ 基準第111条第2項の適用を受ける診療所の場合
利用定員が10人までは30平方メートル以上、それ以上利用定員が1人増すごとに3平方メートルを加えた面積以上のものを有すること。
- ハ 介護老人保健施設の場合
当該部屋等の面積と利用者用に確保されている食堂の面積の合計が、3平方メートルに利用定員数を乗じて得た面積以上であるものを有すること。
(2)指定通所リハビリテーションを行うためのスペースと、当該指定通所リハビリテーション事業所と併設の関係にある特別養護老人ホーム、社会福祉施設等における指定通所介護の機能訓練室等との関係については、第8の2の(2)の(2)を参照されたい。
3 運営に関する基準
(1)通所リハビリテーションの具体的取扱方針及び通所リハビリテーション計画の作成基準第114条及び第115条に定めるところによるほか、次の点に留意するものとする。
- (1)
指定通所リハビリテーションは、個々の利用者に応じて作成された通所リハビリテーション計画に基づいて行われるものであるが、グループごとにサービス提供が行われることを妨げるものではないこと。
- (2)
指定通所リハビリテーション計画は、医師の診察内容及び運動機能検査等の結果を基に、指定通所リハビリテーションの提供に関わる従業者が共同して個々の利用者ごとに作成するものであること。
- (3)
指定通所リハビリテーション計画の目標及び内容については、利用者又は家族に説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うこと。
- (4)
痴呆の状態にある要介護者等で、他の要介護者と同じグループとして、指定通所リハビリテーションを提供することが困難な場合には、必要に応じグループを分けて対応すること。
- (5)
指定通所リハビリテーションをより効果的に実施するため、支援相談員や医療ソーシャルワーカー等の協力を得て実施することが望ましいこと。
- (6)
主として痴呆等の精神障害を有する利用者を対象とした指定通所リハビリテーションにあっては、作業療法士等の従事者により、主として脳血管疾患等に起因する運動障害を有する利用者にあっては、理学療法士等の従業者により効果的に実施されるべきものであること。
(2)管理者等の責務
基準第116条第1項は、指定通所リハビリテーション事業所の管理者は、医師、理学療法士、作業療法士又は専ら指定通所リハビリテーションの提供に当たる看護婦又は看護士のうちから選任した者に、必要な管理の代行をさせることができる旨を明記したものである。この場合、組織図等により、指揮命令系統を明確にしておく必要がある。
(3)衛生管理等
基準第118条第1項は、指定通所リハビリテーション事業所の必要最低限の衛生管理等を規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。
- (1)
指定通所リハビリテーション事業者は、食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じ保健所の助言、指導を求めるとともに、密接な連携を保つこと。
- (2)
医薬品の管理については、当該指定通所リハビリテーション事業所の実情に応じ、地域の薬局の薬剤師の協力を得て行うことも考えられること。
- (3) 空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。
(4)準用
基準第119条の規定により、基準第8条から第13条まで、第15条から第17条まで、第19条、第21条、第26条、第27条、第32条、第33条、第35条から第39条まで、第64条、第65条、第96条及び第101条から第103条までの規定は、指定通所リハビリテーションの事業について準用されるものであることから、第3の3の(1)から(7)まで、(9)、(11)、(14)、(15)及び(20)から(25)まで、第5の3の(2)並びに第8の3の(1)、(5)及び(6)を参照されたい。この場合において、特に次の点に留意するものとする。
- (1) 第13条中「心身の状況」とあるのは「心身の状況、病歴」と読み替えられることに留意されたいこと。
- (2) 準用される基準第39条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。
- イ 指定通所リハビリテーションに関する記録
- a 通所リハビリテーション計画書
b 診療記録その他の提供した個々の指定通所リハビリテーションに係る記録
- ロ 準用される基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
- (3)
準用される第65条は、指定通所リハビリテーションの提供に当たっては、これまでどおり健康手帳の医療に関するページに、指定通所リハビリテーションの提供開始日及び指定通所リハビリテーション事業者の名称を記載することとしたものであること。ただし、特定疾病の患者等で、健康手帳を有さない要介護者については、記載しなくてもよいこととなったこと。
- (4)
準用される基準第101条第1項については、指定通所リハビリテーション事業所ごとに、通所リハビリテーション従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、専従の理学療法士、作業療法士、経験看護婦等、看護職員及び介護職員の配置、管理者との兼務関係等を勤務表上明確にし、人員に関する基準が満たされていることを明らかにする必要があること。
第10 短期入所生活介護
1 人員に関する基準(第121条及び第122条)
(1)従業者の員数
- (1)
基準第121条第2項の適用を受ける特別養護老人ホームとは、入所者に利用されていない居室又はベッドを利用して指定短期入所生活介護を行う特別養護老人ホームを意味するものである。
- (2) 併設事業所については、
- イ
第121条第4項の「特別養護老人ホーム等と一体的に運営が行われる」とは、併設本体施設の事業に支障が生じない場合で、かつ、夜間における介護体制を含めて指定短期入所生活介護を提供できる場合である。
- ロ
医師、栄養士及び機能訓練指導員については、併設本体施設に配置されている場合であって当該施設の事業に支障を来さない場合は兼務させて差し支えない。
- ハ
生活相談員、介護職員及び看護職員の員数については、併設されているのが特別養護老人ホームである場合には、特別養護老人ホームとして確保すべき員数と指定短期入所生活介護事業所として確保すべき員数の合計を、特別養護老人ホームの入所者と併設事業所の利用者の数とを合算した数について常勤換算方法により必要とされる従業者の数とするものである。例えば、入所者50人、利用者10人の場合の看護・介護職員の員数は、50÷3=17(端数切り上げ)と10÷3=4(端数切り上げ)の合計で21人となるのではなく、(50+10)÷3=20人となる。
- ニ
また、併設されているのが特別養護老人ホームでない場合も、従業者の員数の計算上、特別養護老人ホームの場合と同様の端数の処理を行うことができるものとする。例えば、特定施設に併設されている場合で、特定施設入所者生活介護の利用者が110人、短期入所生活介護の利用者が20人である場合の生活相談員の員数は、110+20=130人について計算するため、合計で2人ということとなる。
(2)生活相談員(基準第121条第1項第2号)
生活相談員については、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年3月31日厚生省令第46号)第5条第2項に定める生活相談員に準ずるものとする。
(3)機能訓練指導員(基準第121条第6項)
機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とする。ただし、利用者の日常生活やレクリエーション、行事等を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。
(4)栄養士
第121条第1項ただし書に規定する「他の社会福祉施設等の栄養士との連携を図ることにより当該指定短期入所生活介護事業所の効果的な運営を期待することができる場合であって、利用者の処遇に支障がないとき」とは、隣接の他の社会福祉施設や病院等の栄養士との兼務や地域の栄養指導員(栄養改善法第9条第1項に規定する栄養指導員をいう。)との連携を図ることにより、適切な栄養管理が行われている場合である。
(5)管理者
指定短期入所生活介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものである。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
- (1) 当該指定短期入所生活介護事業所の短期入所生活介護従業者としての職務に従事する場合
- (2)
同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、併設される訪問系サービスの事業所のサービス提供を行う従業者との兼務は一般的には管理業務に支障があると考えられるが、訪問系サービス事業所における勤務時間が極めて限られている職員の場合には、例外的に認められる場合もありうる。)
(6)経過措置(基準附則第2条)
平成17年3月31日までの間は、介護職員又は看護職員の員数を、常勤換算方法で、利用者の数が4.1又はその端数を増すごとに1人以上でよいものとされている。ただし、できるだけ早期に3:1へ移行できるよう努めるものとする。なお、平成12年4月1日以降に新たに開始される事業所にあっては、既存の施設に対する経過措置として設けた趣旨にかんがみ、可能な限り、職員配置を3:1以上とすることが望ましい。
2 設備に関する基準(基準第123条及び第124条)
(1)指定短期入所生活介護事業所の建物は、利用者が身体的、精神的に障害を有する者であることに鑑み、利用者の日常生活のために使用しない附属の建物を除き耐火建築物としなければならない。ただし、利用者の日常生活に充てられる居室、静養室、食堂、浴室及び機能訓練室を2階以上の階及び地階のいずれにも設けていない建物については、準耐火建築物とすることができる。
(2)指定短期入所生活介護事業所の設備は、当該指定短期入所生活介護の運営上及びサービス提供上当然設けなければならないものであるが、同一敷地内に他の社会福祉施設が設置されている場合等であって、当該施設の設備を利用することにより指定短期入所生活介護事業所の効果的な運営が図られ、かつ、当該指定短期入所生活介護事業所の利用者及び当該施設の入所者のサービス提供に支障がない場合には、利用者が日常継続的に使用する設備以外の調理室等の設備について、その一部を設けないことができる。なお、指定短期入所生活介護事業者が利用する他の施設の当該設備については、本基準に適合するものでなければならない。
(3)便所等面積又は数の定めのない設備については、それぞれの設備の持つ機能を十分に発揮し得る適当な広さ又は数を確保するよう配慮するものとする。
(4)指定短期入所生活介護事業所における廊下の幅は、利用者の身体的、精神的特性及び非常災害時における迅速な避難、救出の確保を考慮して定められたものである。なお、「中廊下」とは、廊下の両側に居室、静養室等利用者の日常生活に直接使用する設備のある廊下をいう。
(5)指定短期入所生活介護事業所に設置する傾斜路は、利用者の歩行及び輸送車、車椅子等の昇降並びに災害発生時の避難、救出に支障がないようその傾斜はゆるやかにし、表面は、粗面又はすべりにくい材料で仕上げるものとする。
(6)調理室には、食器、調理器具等を消毒する設備、食器、食品等を清潔に保管する設備並びに防虫及び防鼠の設備を設けるものとする。
(7)汚物処理室は、他の設備と区別された一定のスペースを有すれば足りるものである。
(8)焼却炉、浄化槽その他の汚物処理設備及び便槽を設ける場合には、居室、静養室、食堂及び調理室から相当の距離を隔てて設けるものとする。
(9)経過措置(基準附則第3条)
この省令の施行の際現に存する老人短期入所事業を行っている施設又は老人短期入所施設(基本的な設備が完成されているものを含み、この省令の施行の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、設備基準のうち1の居室の定員に関する基準(4人以下)、利用者1人当たりの床面積に関する基準(10.65平方メートル以上)、食堂及び機能訓練室の面積に関する基準(3平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上)並びに構造設備の基準(廊下の幅の基準、常夜灯の設置、傾斜路の設置等)を適用しないものである。
3 運営に関する基準
(1)内容及び手続の説明及び同意
基準第125条における「サービスの内容及び利用期間等についての同意」については、書面によって確認することが望ましいものである。
(2)指定短期入所生活介護の開始及び終了
基準第126条第2項は、利用者が指定短期入所生活介護の利用後においても、利用前と同様のサービスを受けられるよう、指定短期入所生活介護事業者は、居宅介護支援事業者その他保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携により、指定短期入所生活介護の提供の開始前から終了後に至るまで利用者が継続的に保健医療サービス又は福祉サービスを利用できるよう必要な援助に努めなければならないこととしたものである。
(3)利用料等の受領
- (1)
基準第127条第1項、第2項及び第4項の規定は、指定訪問介護に係る第20条第1項、第2項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3の3の(10)の(1)、(2)及び(4)を参照されたい。
- (2) 基準第127条第3項は、指定短期入所生活介護事業者は、指定短期入所生活介護の提供に関して、
- イ
厚生大臣の定める基準に基づき利用者が選定する特別な居室(国若しくは地方公共団体の負担若しくは補助又はこれらに準ずるものを受けて建築され、買収され、又は改造されたものを除く。)の提供を行ったことに伴い必要となる費用
- ロ 送迎に要する費用(厚生大臣が別に定める場合を除く。)
- ハ 食材料費
- ニ 理美容代
- ホ
前各号に掲げるもののほか、指定短期入所生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるものについては、前2項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、ホの費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものである。
(4)指定短期入所生活介護の取扱方針
- (1)
基準第128条第2項で定める「相当期間以上」とは、概ね4日以上連続して利用する場合を指すこととするが、4日未満の利用者にあっても、利用者を担当する居宅介護支援事業者等と連携をとること等により、利用者の心身の状況等を踏まえて、他の短期入所生活介護計画を作成した利用者に準じて、必要な介護及び機能訓練等の援助を行うものとする。
- (2)
基準第128条第3項で定めるサービス提供方法等とは、短期入所生活介護計画の目標及び内容や利用期間内の行事及び日課等も含むものである。
- (3)
基準第128条第4項において、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならない旨を定めたところであるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を記録しなければならないものとする。
(5)短期入所生活介護計画の作成
- (1)
基準第129条で定める短期入所生活介護計画については、介護の提供に係る計画等の作成に関し経験のある者や、介護の提供について豊富な知識及び経験を有する者にそのとりまとめを行わせるものとし、当該事業所に介護支援専門員の資格を有する者がいる場合は、その者に当該計画のとりまとめを行わせることが望ましいものである。
- (2)
短期入所生活介護計画の作成に当たっては、居宅サービス計画を考慮しつつ、利用者の希望を十分勘案し、利用者の日々の介護状況に合わせて作成するものとする。
(6)介護
- (1)
基準第130条で定める介護サービスの提供に当たっては、在宅生活へ復帰することを念頭において行うことが基本であり、そのためには、利用者の家庭環境等を十分踏まえて、自立している機能の低下が起きないようにするとともに残存機能の維持向上が図られるよう、適切な技術をもって介護サービスを提供し、又は必要な支援を行うものとすること。なお、介護サービス等の実施に当たっては、利用者の人格に十分に配慮して実施するものとする。
- (2)
基準第130条第2項で定める入浴の実施に当たっては、利用者の心身の状況や自立支援を踏まえて、特別浴槽を用いた入浴や介助浴等適切な方法により実施するものとする。なお、入浴の実施に当たっては、事前に健康管理を行い、入浴することが困難な場合は、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。
- (3)
基準第130条第3項で定める排せつの介護に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などを基に自立支援を踏まえて、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。
- (4)
基準第130条第4項で定める「おむつを使用せざるを得ない」場合には、利用者の心身及び活動状況に適したおむつを提供するとともに、おむつ交換に当たっては、頻繁に行えばよいということではなく、利用者の排せつ状況を踏まえて実施するものとする。
- (5)
基準第130条第5項は、短期間の入所ではあるが、生活にメリハリをつけ、生活面での積極性を向上させる観点から、1日の生活の流れに沿って、離床、着替え、整容など利用者の心身の状況に応じた日常生活上の世話を適切に行うべきことを定めたものである。
- (6)
基準第130条第6項で定める「常時1人以上の介護職員を介護に従事させ」るとは、夜間を含めて適切な介護を提供できるように介護職員の勤務体制を定めておくものである。なお、介護サービスの提供に当たっては、提供内容に応じて、職員体制を適切に行うものとする。
(7)食事の提供
基準第131条に定める食事の提供に当たっては、次の点に留意して行うものとする。
- (1) 利用者の年齢、身体的状況によって適切な栄養量及び内容の食事の提供を行うこと。
- (2) 調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくこと。
- (3) 病弱者に対する献立については、必要に応じ、医師の指導を受けること。
- (4) 利用者の食事は、適切な衛生管理がなされたものでなければならないこと。
- (5) 食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後6時以降とすることが望ましいが、早くても午後5時以降とすること。
(8)機能訓練
基準第132条に定める機能訓練の提供に当たっては、利用者の家庭環境等を十分に踏まえて、日常生活の自立を助けるため、必要に応じて提供しなければならない。なお、日常生活及びレクリエーション、行事の実施等に当たっても、その効果を配慮するものとする。
(9)健康管理
- (1) 基準第133条第1項は、健康管理が、医師及び看護職員の業務であることを明確にしたものである。
- (2)
基準第133条第2項で定める定期健康診断などの状況については、その利用者の老人保健法の健康手帳の所要の記入欄に必要な事項を記載するものとする。これらは、医療を受けた場合や在宅復帰後に指定短期入所生活介護事業所での利用者の健康管理状況を把握できるようにすることをねらいとしているものである。
(10)相談及び援助
基準第134条に定める相談及び援助については、常時必要な相談及び援助を行い得る体制をとることにより、積極的に利用者の在宅生活の向上を図ることを趣旨とするものである。
(11)その他のサービスの提供
基準第135条に定めるレクリエーション行事については、(8)の趣旨を踏まえて行うものとする。
(12)緊急時等の対応
基準第136条は、短期入所生活介護従業者が現に指定短期入所生活介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治医又はあらかじめ当該指定短期入所生活介護事業者が定めた協力医療機関への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものであるが、協力医療機関については、次の点に留意するものとする。
- (1) 協力医療機関は、緊急時等に速やかに対応できるよう、指定短期入所生活介護事業所から近距離にあることが望ましいものであること。
- (2) 緊急時において円滑な協力を得るため、当該協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくこと。
(13)運営規程
基準第137条は、指定短期入所生活介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定短期入所生活介護の提供を確保するため、同条第1号から第9号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定短期入所生活介護事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
- (1) 利用定員(第3号)
- 利用定員は、指定短期入所生活介護の事業の専用の居室のベッド数と同数とすること。
- (2) 指定短期入所生活介護の内容(第4号)
- 「指定短期入所生活介護の内容」については、送迎の有無も含めたサービスの内容を指すものであること(第153条第3号についても同趣旨)。
- (3) 通常の送迎の実施地域(第5号)
- 通常の送迎の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。なお、通常の送迎の実施地域は、送迎に係る費用の徴収等の目安であり、当該地域以外の地域に居住する被保険者に対して送迎が行われることを妨げるものではないものであること(第153条第4号についても同趣旨)。
- (4) サービス利用に当たっての留意事項(第6号)
- 利用者が指定短期入所生活介護の提供を受ける際の、利用者側が留意すべき事項(入所生活上のルール、設備の利用上の留意事項等)を指すものであること(第153条第5号、第168条第5号、第189条第6号についても同趣旨)。
(14)地域等との連携
基準第139条は、指定短期入所生活介護の事業が地域に開かれた事業として行われるよう、指定短期入所生活介護事業者は、地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。
(15)準用
基準第140条の規定により、基準第9条から第13条まで、第15条、第16条、第19条、第21条、第26条、第32条から第39条まで、第52条、第101条、第103条及び第104条は、指定短期入所生活介護の事業について準用されるものであるため、第3の3の(2)から(6)まで、(9)、(11)、(14)及び(20)から(25)まで、第4の3の(4)並びに第8の3の(5)、(6)及び(7)を3照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。
- (1) 準用される基準第39条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。
- イ 指定短期入所生活介護に関する記録
- a 短期入所生活介護計画書
b 提供した個々の指定短期入所生活介護に係る記録
c
緊急やむを得ない場合に行った身体的拘束等に関する記録
- ロ 準用される基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
- (2) 準用される基準第101条については、
- イ
指定短期入所生活介護事業所ごとに、短期入所生活介護従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、機能訓練指導員との兼務関係等を勤務表上明確にし、人員に関する基準が満たされていることを明らかにする必要があるものであること。併設の指定短期入所生活介護事業所については、本体施設の従業者と併せて勤務表を作成するものとすること。空きベッドを利用して指定短期入所生活介護の事業を行う特別養護老人ホームにあっては、当該特別養護老人ホームの従業者について勤務表が作成されていればよいものであること。
- ロ
職員の職務体制を定めるもののうち、介護職員の勤務形態については、指定短期入所生活介護が短期間の利用とはいえ、そのサービスの内容は、指定介護老人福祉施設である特別養護老人ホームと基本的に同様であることから、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について(昭和62年9月18日社施第107号)」に定める特別養護老人ホームの夜間における勤務形態の取り扱いに準じてその体制を確保すること。
また、夜間の介護職員数については、介護老人福祉施設における配置を3考に適切に配置すること。ただし、併設事業所及び基準第121条第2項の適用を受ける特別養護老人ホームについては、本体の事業所等と一体でその取り扱いを行って差し支えないこと。
- ハ
指定短期入所生活介護事業所の夜間の安全、防災上の管理の観点から、介護職員のほかに宿直員を配置することが望ましいこと。ただし、併設事業所及び基準第121条第2項の適用を受ける特別養護老人ホームについては、本体の事業所等と一体でその取り扱いを行って差し支えないこと。
4 基準該当短期入所生活介護に関する基準
(1)指定通所介護事業所等との併設(基準第140条の2)
基準該当短期入所生活介護事業所は、指定通所介護事業所又は社会福祉施設に併設しなければならないこととされているが、ここにいう社会福祉施設とは、社会福祉事業法第57条にいう社会福祉施設を指すものであること。
(2)従業者の員数及び管理者(基準第140条の3及び第140条の4)
基準第140条の3第4項にいう従業者の員数の確保を除けば、いわゆる単独型の指定短期入所生活介護事業所の基準と同様であり、第10の1の(2)から(6)までを参照されたい。
(3)設備に関する基準(基準第140条の6)
- (1)
併設の指定通所介護事業所等の施設との設備の兼用が居室を除き可能であること、廊下は車椅子での円滑な移動が可能な廊下幅であればよいこと等、指定短期入所生活介護の基準との相違点に留意すること。
- (2)
この省令の施行の際現に存する老人短期入所事業を行っている施設若しくは老人短期入所施設(基本的な設備が完成されているものを含み、この省令の施行の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)又は老人短期入所事業に相当する事業の用に供する施設若しくは老人短期入所施設に相当する施設(この省令の施行の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、設備基準のうち一の居室の定員に関する基準(4人以下)、利用者1人当たりの床面積に関する基準(10.65平方メートル以上)、食堂及び機能訓練室の面積に関する基準(3平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上)を適用しないものである。(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令(平成12年厚生省令第37号)附則第2項による経過措置)
(4)運営に関する基準
基準第140条の8の規定により、基準第9条から第13条まで、第16条、第19条、第21条、第26条、第32条から第35条まで、第36条第1項及び第2項、第37条から第39条まで、第52条、第101条、第103条、第104条、第120条並びに第4節(第127条第1項及び第140条を除く。)の規定は、基準該当短期入所生活介護の事業に準用されるものであるため、第3の3の(2)から(5)まで、(9)、(11)、(14)、(20)から(25)まで、第4の3の(4)、第8の3の(5)、(6)及び(7)並びに第10の3を参照されたい。この場合において、準用される基準第127条第2項の規定は、基準該当短期入所生活介護事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費を算定するための基準となる費用の額(100分の90を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。
なお、当該事業所による短期入所生活介護が複数の市町村において基準該当短期入所生活介護と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。
第11 短期入所療養介護
1 人員に関する基準・設備に関する基準(基準第142条及び第143条)
(1)本則
いわゆる本体施設となる介護老人保健施設、介護療養型医療施設、療養型病床群を有する病院若しくは診療所又は老人性痴呆疾患療養病棟を有する病院が、それぞれの施設として満たすべき人員・施設基準を満たしていれば足りるものとする。
(2)経過措置
- (1) 経過措置として、次に掲げる施設においても指定短期入所療養介護を行うことができるものとする。
- イ
介護療養型医療施設である介護力強化病院(基準第142条第1項第2号・第143条第2号)
介護療養型医療施設の指定基準の経過措置により、平成15年3月31日までの間、介護力強化病院を指定することが認められているため、その間は指定短期入所療養介護の事業も行うことができるものとなること。
- ロ 介護療養型医療施設でない介護力強化病院(基準附則第4条)
- 平成15年3月31日までの間、指定短期入所療養介護の事業を行うことができるものとしたこと。
- ハ 厚生大臣が定める基準に適合している診療所(基準附則第5条)
- 当分の間、指定短期入所療養介護の事業を行うことができるものとしたこと。
- (2) 老人性痴呆疾患療養病棟の人員・設備基準の経過措置
- イ
当分の間、介護職員の員数は、常勤換算方法で、入院患者の数が8又はその端数を増すごとに1以上でよいこととされたこと(基準附則第6条)。
- ロ
当分の間、老人性痴呆疾患患者の作業療法の経験を有する看護婦又は看護士が1人以上勤務する老人性痴呆疾患療養病棟においては、作業療法士が週1回以上当該老人性痴呆疾患療養病棟において患者の作業療法についての評価を行う場合には、常勤の作業療法士を置かないことができるものとしたこと(基準附則第7条)。
- ハ 病床転換による老人性痴呆疾患療養病棟に係る一の病室の病床数は6床以下であればよいこととされたこと(基準附則第8条)。
- ニ
病床転換による老人性痴呆疾患療養病棟に係る病室に隣接する廊下の幅は、内法による測定で、1・2メートル以上(ただし、両側に居室がある廊下の幅は、内法による測定で、1・6メートル以上)であればよいこととされたこと(基準附則第9条)。
2 運営に関する基準
(1)利用料等の受領
- (1)
基準第145条第1項、第2項及び第4項の規定は、指定訪問介護に係る第20条第1項、第2項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3の3の(10)の(1)、(2)及び(4)を参照されたい。
- (2) 基準第145条第3項は、指定短期入所療養介護事業者は、指定短期入所療養介護の提供に関して、
- イ 厚生大臣の定める基準に基づき利用者が選定する特別な療養室等の提供を行ったことに伴い必要となる費用
- ロ 送迎に要する費用(厚生大臣が別に定める場合を除く。)
- ハ 食材料費
- ニ 理美容代
- ホ
前各号に掲げるもののほか、指定短期入所療養介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるものについては、前2項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、ホの費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものである。
(2)指定短期入所療養介護の取扱方針(基準第146条)
- (1)
第146条第2項に定める「相当期間以上」とは、概ね4日以上連続して利用する場合を指すこととするが、4日未満の利用者にあっても、利用者を担当する居宅介護支援事業者等と連携をとること等により、利用者の心身の状況を踏まえて必要な療養を提供するものとする。
- (2)
基準第146条第4項において、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならない旨を定めたところであるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、主治医は、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を診療録に記録しなければならないものとする。
(3)短期入所療養介護計画の作成について(基準第147条)
- (1)
指定短期入所療養介護事業者は、施設に介護支援専門員がいる場合には、介護支援専門員に短期入所療養介護計画作成のとりまとめを行わせること。介護支援専門員がいない場合には、療養介護計画作成の経験を有する者に作成をさせることが望ましい。
- (2)
短期入所療養介護計画の作成に当たっては、居宅におけるケアプランを考慮しつつ、利用者の日々の療養状況に合わせて作成するものとする。
(4)診療の方針について(基準第148条)
短期入所療養介護事業所の医師は、常に利用者の病床や心身の状態の把握に努めること。特に、診療に当たっては、的確な診断をもととし、入所者に対して必要な検査、投薬、処置等を妥当適切に行うものとする。
(5)機能訓練について(基準第149条)
リハビリテーションの提供に当たっては、利用者の心身の状況及び家庭環境等を十分に踏まえて、日常生活の自立を助けるため、必要に応じて提供しなければならないものとする。
(6)看護及び医学的管理の下における介護(基準第150条)
- (1)
入浴の実施に当たっては、利用者の心身の状況や自立支援を踏まえて、特別浴槽や介助浴等適切な方法により実施するものとする。なお、利用者の心身の状況から入浴が困難である場合には、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。
- (2)
排せつの介護に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などをもとに自立支援の観点から、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。おむつを使用せざるを得ない場合には、利用者の心身及び活動状況に適したおむつを提供し、適切におむつを交換するものとする。
(7)食事の提供について(基準151条)
- (1) 調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくものとする。
- (2) 利用者の食事は、適切な衛生管理がなされたものでなければならない。
- (3) 食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後6時以降とすることが望ましいが、早くても午後5時以降とすること。
- (4)
転換型の療養型病床群等であって食堂がない場合には、できるだけ離床して食事が食べられるよう努力をしなければならないものとする。
(8)定員の遵守
基準第154条は、利用者に対する適切な指定短期入所療養介護の提供を確保するため、介護老人保健施設についてはその療養室の全部が指定短期入所療養介護の提供のために利用できること、病院及び診療所についてはその療養型病床群等の病床において指定短期入所療養介護の提供を行わなければならないことを踏まえて、指定短期入所療養介護事業者は、次に掲げる利用者数以上の利用者に対して同時に指定短期入所療養介護を行ってはならないことを明記したものである。ただし、災害その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない。
- (1)
介護老人保健施設である指定短期入所療養介護事業所にあっては、利用者を当該介護老人保健施設の入所者とみなした場合において入所定員及び療養室の定員を超えることとなる利用者数
- (2)
療養型病床群を有する病院若しくは診療所又は老人性痴呆疾患療養病棟を有する病院である指定短期入所療養介護事業所にあっては、療養型病床群又は老人性痴呆疾患療養病棟に係る病床数及び療養型病床群又は老人性痴呆疾患療養病棟に係る病室の定員を超えることとなる利用者数
(9)準用
基準第155条の規定により、基準第9条から第13条まで、第15条、第16条、第19条、第21条、第26条、第32条、第33条、第35条から第39条まで、第52条、第65条、第101条、第103条、第118条、第125条、第126条第2項及び第139条の規定は、指定短期入所療養介護の事業について準用されるものであるため、第3の3の(2)から(6)まで、(9)、(11)、(14)及び(20)から(25)まで、第4の3の(4)、第5の3の(2)、第8の3の(5)及び(6)、第9の3の(3)の(1)及び(3)並びに第10の3の(1)、(2)及び(14)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。
- (1) 準用される基準第39条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。
- イ 指定短期入所療養介護に関する記録
- a 短期入所療養介護計画書
b 診療録その他の提供した指定短期入所療養介護に係る記録
- ロ 準用される基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
- (2)
準用される基準第101条第1項については、当該病院、診療所又は介護老人保健施設の従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別等を勤務表上明確にし、人員に関する基準が満たされていることを明らかにする必要があることとしたものであること。
第12 痴呆対応型共同生活介護
1 基本方針
痴呆に伴って著しい精神症状、又は著しい行動異常を持ち、極端な暴力行為や自傷行為を行う恐れがある者及び痴呆の原因となる疾患が集中的な医療を必要とする状態の者は、共同生活住居において共同生活を送ることに支障があると考えられることから、基準第156条において、指定痴呆対応型共同生活介護の対象から除いたものである。
2 人員に関する基準(第157条〜第158条)
(1)従業者の員数
介護従業者については、利用者が痴呆を有する者であることから、介護等に対する知識、経験を有する者であることを原則とする。なお、これ以外の介護従業者にあっても研修の機会を確保することなどにより質の向上を図るものとする。
宿直時間帯は、それぞれの事業所ごとに、利用者の生活サイクルに応じて、1日の活動の終了時刻から開始時刻までを基本として設定するものとし、これに対応して、宿直時間帯以外の指定痴呆対応型共同生活介護の提供に必要な介護従業者、宿直勤務を行わせるために必要な介護従業者を確保するものとする。
例えば、利用者を8人とし、常勤の勤務時間を1日8時間とし、午後9時から午前6時までを宿直時間帯とした場合、午前6時から午後9時までの15時間の間に、8時間×3人=延べ24時間分の指定痴呆対応型共同生活介護が提供され、かつ、当該時間帯においては、常に介護従業者が1人以上確保されていることが必要となる。また、午後9時から午前6時までは、宿直業務を行う介護従業者が1人以上確保されていることが必要となる。
なお、宿直時間帯の設定に当たっては、「社会福祉施設における宿直勤務の取扱いについて」(昭和49年8月20日社施第160号社会局施設課長、児童家庭局企画課長連名通知)に準じて適切に行うこと。
(2)計画作成担当者
計画作成担当者は、介護支援専門員をもって充てることが望ましいが、特別養護老人ホームの生活相談員や老人保健施設の支援相談員等として痴呆性高齢者の介護サービスに係る計画の作成に関し実務経験を有すると認められる者をもって充てることができるものとする。なお、利用者の処遇に支障がない場合は、管理者との兼務もできるものとする。また、計画作成担当者としての資質を確保するために関連する研修等を受講することが望ましい。
(3)管理者
短期入所生活介護の場合と基本的に同趣旨であるため、第10の1の(5)を参照されたい。なお、一の事業所に複数の共同生活住居を設ける場合、それぞれの共同生活住居の管理上支障がない場合は、同一事業所の他の共同生活住居との兼務もできるものとする。
また、管理者は、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、老人保健施設等の職員又は訪問介護員等として、3年以上痴呆性高齢者の介護に従事した経験を有する者等適切な指定痴呆対応型共同生活介護を提供するために必要な知識及び経験を有する者であることが必要である。さらに、管理者としての資質を確保するために関連する研修等を受講することが望ましい。
3 設備に関する基準(第159条)
(1)事業所
1の事業所に複数の共同生活住居を設ける場合であっても、居間、食堂及び台所については、それぞれ共同生活住居ごとの専用の設備でなければならない。また、併設の事業所において行われる他のサービスの利用者がこれらの設備を共用することも原則として不可とする。
ただし、併設の事業所において行われる通所介護が、指定痴呆対応型共同生活介護の利用者が日常的に利用するものであって、かつ、家庭的な環境を維持できるよう18名程度までの利用者に対して行われるものであれば、指定痴呆対応型共同生活介護を地域に開かれたものとするために有効であると考えられることから、共同生活住居における利用者の生活に支障のない範囲で通所介護の利用者が共用することができるものとする。
なお、それぞれの共同生活住居に対し、緊急時に速やかに対処できる距離、位置関係にあるなど、管理上特に支障がないと認められる場合は、事務室、宿直室については兼用であっても差し支えない。
(2)居室
一の居室の面積は、7.43平方メートル(和室であれば4.5畳)以上とされているが、生活の場であることを基本に、収納設備は別途確保するなど利用者の私物等も置くことができる充分な広さを有するものとする。
また、居室とは、廊下、居間等につながる出入口があり、他の居室と明確に区分されているものをいい、単にカーテンや簡易なパネル等で室内を区分しただけと認められるものは含まれないこと。ただし、一般の住宅を改修している場合など、建物の構造上、各居室間がふすま等で仕切られている場合は、この限りでない。
さらに、居室を二人部屋とすることができる場合とは、例えば、夫婦で居室を利用する場合などであって、事業者の都合により一方的に二人部屋とするべきではない。なお、二人部屋については、特に居室面積の最低基準は示していないが、前記と同様に充分な広さを確保しなければならないものとする。
(3)居間及び食堂
居間及び食堂は同一の室内とする場合であっても、居間、食堂のそれぞれの機能が独立していることが望ましい。また、その広さについても原則として利用者及び介護従業者が一堂に会するのに充分な広さを確保するものとする。
(4)経過措置
この省令の施行の際現に存する痴呆対応型共同生活介護の事業に相当する事業の用に供する共同生活住居(基本的な設備が完成されているものを含み、この省令の施行の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く
。)であって指定痴呆対応型共同生活介護の提供に支障がないと認められるものについては、一の居室の床面積に関する基準(7.43平方メートル以上)の規定は適用しない。
4 運営に関する基準
(1)入退居
- (1)
基準第160条第3項の「自ら必要なサービスを提供することが困難であると認めた場合」とは、入居申込者が第12の1により利用対象者に該当しない者である場合のほか、入居申込者が入院治療を要する者である場合、当該指定痴呆対応型共同生活介護事業所の入居者数が既に定員に達している場合等であり、これらの場合には、基準第160条第3項の規定により、適切な他の指定痴呆対応型共同生活介護事業者、介護保険施設、病院又は診療所を紹介する等の適切な措置を速やかに講じなければならない。
- (2)
基準第160条第4項は、入居申込者の入居に際し、その者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めることとしているが、入居申込者が家族による入居契約締結の代理や援助が必要であると認められながら、これらが期待できない場合については、市町村とも連携し、成年後見制度や地域福祉権利擁護事業等の活用を可能な限り図ることとする。
(2)入退居の記録
基準第161条は、指定痴呆対応型共同生活介護の提供を受けている者が居宅療養管理指導以外の居宅サービス及び施設サービスについて保険給付を受けることができないことを踏まえ、他の居宅サービス事業者等が当該利用者が指定痴呆対応型共同生活介護の提供を受けていることを確認できるよう、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、入居に際しては入居の年月日及び入居している共同生活住居の名称を、退居に際しては退居の年月日を、利用者の被保険者証に記載しなければならないこととしたものである。
(3)利用料等の受領
- (1)
基準第162条第1項、第2項及び第4項の規定は、指定訪問介護に係る第20条第1項、第2項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3の3の(10)の(1)、(2)及び(4)を参照されたい。
- (2) 基準第162条第3項は、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、指定痴呆対応型共同生活介護の提供に関して、
- イ 食材料費
- ロ 理美容代
- ハ おむつ代
- ニ
前3号に掲げるもののほか、指定痴呆対応型共同生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるものについては、前2項の利用料のほかに、利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、ニの費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものである。
(4)指定痴呆対応型共同生活介護の取扱方針
- (1)
基準第163条第2項は、利用者が共同生活を送る上で自らの役割を持つことにより、達成感や満足感を得、自信を回復するなどの効果が期待されるとともに、利用者にとって当該共同生活住居が自らの生活の場であると実感できるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
また、家庭的な環境の下で日常生活を送ることができるよう配慮する観点から、複数の共同生活住居を設置する場合については、1か所に通常の入所施設の規模を上回るような形態(共同生活住居数が5つ程度を超えるような形態)は望ましくないものである。
- (2)
基準第163条第4項で定めるサービス提供方法等とは、痴呆対応型共同生活介護計画の目標及び内容や行事及び日課等も含むものである。
- (3)
基準第163条第5項において、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならない旨を定めたところであるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を記録しなければならないものとする。
(5)痴呆対応型共同生活介護計画の作成
- (1) 当該計画の作成及びその実施に当たっては、いたずらにこれを利用者に強制することとならないように留意するものとする。
- (2)
基準第164条第3項でいう通所介護の活用とは、介護保険給付の対象となる通所介護ではなく、当該指定痴呆対応型共同生活介護事業者と通所介護事業者との間の契約により、利用者に介護保険給付の対象となる通所介護に準ずるサービスを提供するものである。また、その他の多様な活動とは、地域の特性や利用者の生活環境に応じたレクリエーション、行事、園芸、農作業などの利用者の趣味又は嗜好に応じた活動等をいうものである。
- (3)
基準第164条第4項は、痴呆対応型共同生活介護計画には、当該共同生活住居内で提供するサービスだけでなく、当該共同生活住居外において入居者が利用する他の居宅サービス等も位置づけられることから、計画作成担当者は、当該共同生活住居の他の介護従業者及び他の居宅サービス等を行う者と連携して当該計画に基づいたサービスの実施状況を把握し、また、必要に応じて計画の変更を行うものとする。
(6)介護等
- (1)
第165条第1項で定める介護サービスの提供に当たっては、痴呆の状態にある利用者の心身の状況に応じ、利用者がその自主性を保ち、意欲的に日々の生活を送ることが出来るようにすることを念頭に、利用者の精神的な安定、問題行動の減少及び痴呆の進行緩和が図られるように介護サービスを提供し又は必要な支援を行うものとする。なお、介護サービス等の提供に当たっては、利用者の人格に十分に配慮して実施するものとする。
- (2)
基準第165条第2項は、指定痴呆対応型共同生活介護事業所で提供されるサービスは施設サービスに準じ、当該共同生活住居内で完結する内容であることを踏まえ、当該事業所の従業者でないいわゆる付添者による介護や、居宅療養管理指導を除く他の居宅サービスを、入居者にその負担によって利用させることができないこととしたものである。ただし、指定痴呆対応型共同生活介護事業者の負担により、通所介護等のサービスを受けさせることは差し支えない。
- (3)
基準第165条第3項は、利用者が介護従業者と食事や清掃、洗濯、買物、園芸、農作業、レクリエーション、行事等を共同で行うことによって良好な人間関係に基づく家庭的な生活環境の中で日常生活が送れるようにすることに配慮したものである。
(7)社会生活上の便宜の提供等
- (1)
基準第166条第1項は事業者が画一的なサービスを提供するのではなく、利用者が自らの趣味又は嗜好に応じた活動を行うことができるよう必要な支援を行うことにより、利用者が充実した日常生活を送り、利用者の精神的な安定、問題行動の減少及び痴呆の症状の進行を緩和するよう努めることとしたものである。
- (2)
基準第166条第2項は、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、郵便、証明書等の交付申請等、利用者が必要とする手続等について、利用者又はその家族が行うことが困難な場合は、原則としてその都度、その者の同意を得た上で代行しなければならないこととするものである。特に金銭にかかるものについては書面等をもって事前に同意を得るとともに、代行した後はその都度本人に確認を得るものとする。
- (3)
基準第166条第3項は、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、利用者の家族に対し、当該共同生活住居の会報の送付、当該事業者が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。また、利用者と家族の面会の場所や時間等についても、利用者やその家族の利便を図るものとする。
さらに、家族との交流の機会の確保や地域住民との交流を図る観点から、特別養護老人ホーム等に併設したものではない単独型の共同生活住居については、地域の住宅地の中にあることが望ましい。
(8)運営規程
基準第168条は、指定痴呆対応型共同生活介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定痴呆対応型共同生活介護の提供を確保するため、同条第1号から第7号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを共同生活住居ごとに義務づけたものであるが、第4号の「指定痴呆対応型共同生活介護の内容」については、通所介護等を利用する場合については当該サービスを含めたサービスの内容を指すものであることに留意するものとする。
(9)勤務体制の確保等
基準第169条は、利用者に対する適切な指定痴呆対応型共同生活介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等を規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。
- (1) 共同生活住居ごとに、介護従業者の日々の勤務体制、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、宿直担当者等を明確にすること。
- (2)
同条第2項は、指定痴呆対応型共同生活介護の利用者の精神の安定を図る観点から、担当の介護従業者を固定する等の継続性を重視したサービス提供に配慮すべきこととしたものであること。
- (3)
宿直時間帯を定めるに当たっては、それぞれの事業所ごとに、利用者の生活サイクルに応じて設定するものとし、これに対応して、宿直勤務を行わせるために必要な介護従業者を確保するとともに、宿直時間帯以外の指定痴呆対応型共同生活介護の提供に必要な介護従業者を確保すること。なお、常時介護従業者が1人以上確保されていることが必要であること。
(10)協力医療機関等
- (1) 基準第171条第1項及び第2項の協力医療機関及び協力歯科医療機関は、共同生活住居から近距離にあることが望ましい。
- (2)同条第3項は、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、サービスの提供体制の確保、夜間における緊急時の対応等のため、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、病院等のバックアップ施設との間の連携及び支援の体制を整えなければならない旨を規定したものである。これらの協力医療機関やバックアップ施設から、利用者の入院や休日夜間等における対応について円滑な協力を得るため、当該協力医療機関等との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくものとする。
(11)居宅介護支援事業者に対する利益供与等の禁止
- (1)
基準第172条第1項は、居宅介護支援事業者による共同生活住居の紹介が公正中立に行われるよう、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、要介護被保険者に対して当該共同生活住居を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものである。
- (2)
同条第2項は、共同生活住居の退居後において利用者による居宅介護支援事業者の選択が公正中立に行われるよう、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、居宅介護支援事業者又はその従業者から、当該共同生活住居からの退居者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものである。
(12)調査への協力等
基準第172条の2は、利用者が痴呆性高齢者であることや痴呆対応型共同生活介護の事業が小規模であること等から、利用者からの苦情がない場合にも、市町村が定期的又は随時に調査を行うこととし、事業者は、市町村の行う調査に協力し、市町村の指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならないこととしたものである。
市町村は、妥当適切な指定痴呆対応型共同生活介護が行われているか確認するために定期的又は随時に調査を行い、基準を満たさない点などを把握した場合には、適宜都道府県に連絡をとるなど適切に対応するものとする。
(13)準用
基準第173条の規定により、基準第8条、第9条、第11条、第12条、第21条、第26条、第32条から第34条まで、第36条から第39条まで、第51条、第52条、第103条、第104条及び第139条の規定は、指定痴呆対応型共同生活介護の事業に準用されるものであるため、第3の3の(1)、(2)、(4)、(5)、(11)、(14)、(20)及び(22)から(25)まで、第4の3の(3)及び(4)、第8の3の(6)及び(7)並びに第10条の3の(14)を参照されたい。なお、この場合において、準用される基準第39条により、整備すべき記録は以下のとおりである。
- イ 指定痴呆対応型共同生活介護に関する記録
- a 痴呆対応型共同生活介護計画書
b 提供した指定痴呆対応型共同生活介護に係る記録
c
緊急やむを得ない場合に行った身体的拘束等に関する記録
- ロ 準用される基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
第13
特定施設入所者生活介護
1 人員に関する基準
(1)看護職員及び介護職員
- (1)
基準第175条第1項第2号イの「看護職員及び介護職員の合計数」について、要介護者及び要支援者の両方が当該指定特定施設の利用者である場合は、要介護者の利用者の数に、要支援者1人を要介護者0.3人と換算して合計した利用者数をもとに、3又はその端数を増すごとに1以上と算出するものとする。
- (2)
基準第175条第1項第2号ハの「常に1以上の指定特定施設入所者生活介護の提供に当たる介護職員の確保」とは、介護サービスの提供内容に応じて介護職員の勤務体制を適切に定めることであり、宿直時間帯を含めて適切な介護を提供できるようにするものとする。なお、宿直時間帯は、それぞれの事業所ごとに利用者の状況等に応じて、例えば午後9時から午前6時までなどと設定するものとし、当該時間帯においては、1名でも要介護者である利用者がいる場合は常に介護職員が1人以上確保されていることが必要である。
(2)主として指定特定施設入所者生活介護の提供に当たる看護職員又は介護職員
基準第175条第4項の「主として指定特定施設入所者生活介護の提供に当たる看護職員又は介護職員」とは、要介護者等に対するサービス提供に従事することを基本とするものである。ただし、要介護者等のサービス利用に支障のないときに、要介護者等以外の当該特定施設の入所者に対するサービス提供を行うことは差し支えない。
指定時においては、これらの従業者が要介護者等に対してサービスを提供する者として、それぞれ他の従業者と明確に区分するための措置が講じられており、この措置及び上記の趣旨が運営規程において明示されていることを確認する必要がある。
(3)機能訓練指導員(基準第175条第5項)
機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とする。
(4)計画作成担当者(基準第175条第6項)
計画作成担当者は、介護支援専門員をもって充てることが望ましいが、有料老人ホームや特別養護老人ホームの生活相談員等として高齢者等の介護サービスに係る計画の作成に関し実務経験を有すると認められる者をもって充てることができるものである。
(5)管理者(基準第176条)
短期入所生活介護の場合と同趣旨であるため、第10の1の(5)を参照されたい。
2 設備に関する基準(第177条)
(1)基準第177条第3項において、介護居室、一時介護室、食堂及び機能訓練室についていう「適当な広さ」については、面積による基準を定めることはせず、利用者の選択に委ねることとする。このため、具体的な広さについては、利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項であり、利用申込者に対する文書を交付しての説明及び掲示が必要となる。また、機能訓練室については、他に適当な場所が確保されている場合に設けないことができることとしたが、この場合には、同一敷地内にある若しくは道路を隔てて隣接する又は当該特定施設入所者生活介護事業所の付近にある等機能訓練の実施に支障のない範囲内にある施設の設備を利用する場合も含まれるものである。
(2)基準第177条第4項の「利用者が車椅子で円滑に移動することが可能な空間と構造」とは、段差の解消、廊下の幅の確保等の配慮がなされていることをいうものである。
(3)基準附則第10条は、既存の特定有料老人ホーム(社会福祉・医療事業団業務方法書に規定する特定有料老人ホームをいう。)について、浴室及び食堂を設けないことができるものとする趣旨で設けられたものである。ただし、利用者が当該有料老人ホームに併設する養護老人ホーム等の浴室及び食堂を利用することができること等が要件であることに留意するものとする。
3 運営に関する基準
(1)内容及び手続の説明及び契約の締結等
基準第178条第1項は、利用者に対し適切な特定施設入所者介護を提供するため、入所申込者又はその家族に対し、入所申込者のサービス選択に資すると認められる重要事項について、わかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、同意を得なければならないこととしたものである。
「入所申込者のサービス選択に資すると認められる重要事項」とは、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、介護居室、一時介護室、浴室、食堂及び機能訓練室の概要、要介護状態区分又は要支援の区分に応じて当該事業者が提供する標準的な介護サービスの内容、利用料の額及びその改定の方法並びに事故発生時の対応等である。
また、契約書においては、少なくとも、介護サービスの内容及び利用料その他費用の額、契約解除の条件を記載するものとする。
(2)指定特定施設入所者生活介護の提供の開始等
基準第179条第2項は、入所者が当該指定特定施設入所者生活介護事業者から指定特定施設入所者生活介護を受けることに同意できない場合もあること等から設けたものである。
(3)法定代理受領サービスを受けるための利用者の同意
基準第180条は、有料老人ホーム等において、介護保険制度の施行前に既に入居し、介護費用を一時金等により前払いで支払った場合に、介護保険の給付対象部分との調整が必要であること等から、利用者の同意をもって法定代理受領サービスの利用が可能となることとしたものである。
また、介護保険法施行規則第64条第3号の規定に基づき、指定特定施設入所者生活介護事業者は、市町村(又は国民健康保険団体連合会)に対して、法定代理受領サービスの利用について利用者の同意を得た旨及びその者の氏名等が記載された書類を提出することが必要であるが、これについては別途通知するものである。
(4)サービス提供の記録
基準第181条は、指定特定施設入所者生活介護の提供を受けている者が居宅療養管理指導以外の居宅サービス及び施設サービスについて保険給付を受けることができないことを踏まえ、他の居宅サービス事業者等が当該利用者が指定特定施設入所者生活介護の提供を受けていることを確認できるよう、指定特定施設入所者生活介護事業者は、指定特定施設入所者生活介護の開始に際しては当該開始の年月日及び入所している指定特定施設の名称を、指定特定施設入所者生活介護の終了に際しては当該終了の年月日を、利用者の被保険者証に記載しなければならないこととしたものである。
(5)利用料等の受領
- (1)
基準第182条第1項、第2項及び第4項の規定は、指定訪問介護に係る第20条第1項、第2項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3の3の(10)の(1)、(2)及び(4)を参照されたい。
- (2) 基準第182条第3項は、指定特定施設入所者生活介護事業者は、指定特定施設入所者生活介護の提供に関して、
- イ 利用者の選定により提供される介護その他の日常生活上の便宜に要する費用
- ロ おむつ代
- ハ
前2号に掲げるもののほか、指定特定施設入所者生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるものについては、前2項の利用料のほかに、利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、ハの費用の具体的な範囲については、別途通知するところによるものである。
(6)特定施設サービス計画の作成
基準第183条は、特定施設サービス計画の作成及び変更の留意点及び方法について定めたものであるが、利用者に対するサービスが総合的に提供されるよう、当該計画は、介護保険給付の対象とならない介護サービスに関する事項をも含めたものとする。なお、当該計画の作成及び実施に当たっては、利用者の希望を十分勘案するものとする。
(7)指定特定施設入所者生活介護の提供の取扱方針
基準第184条第4項において、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならない旨を定めたところであるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を記録しなければならないものとする。
(8)介護
- (1)
基準第185条の規定による介護サービスの提供に当たっては、当該指定特定施設においてその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、適切な技術をもって介護サービスを提供し、又は必要な支援を行うものとする。なお、介護サービス等の実施に当たっては、利用者の人格を十分に配慮して実施するものとする。
- (2)
基準第185条第2項の規定による入浴の実施に当たっては、自ら入浴が困難な利用者の心身の状況や自立支援を踏まえて、特別浴槽を用いた入浴や介助浴等適切な方法により実施するものとする。なお、健康上の理由等で入浴の困難な利用者については、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。
- (3)
基準第185条第3項の規定による排せつの介助に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などを基に自立支援を踏まえて、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。
- (4)
基準第185条第4項は、特定施設入所者生活介護事業者は、入所者の心身の状況や要望に応じて、1日の生活の流れに沿って、食事、離床、着替え、整容などの日常生活上の世話を適切に行うべきことを定めたものである。
(9)相談及び援助
基準第187条の規定による相談及び援助については、常時必要な相談及び社会生活に必要な支援を行いうる体制をとることにより、積極的に入所者の生活の向上を図ることを趣旨とするものである。なお、社会生活に必要な支援とは、入所者自らの趣味又は嗜好に応じた生きがい活動、各種の公共サービス及び必要とする行政機関に対する手続き等に関する情報提供又は相談である。
(10)利用者の家族との連携等
基準第188条は、指定特定施設入所者生活介護事業者は、利用者の生活及び健康の状況並びにサービスの提供状況を家族に定期的に報告する等常に利用者と家族の連携を図るとともに、当該事業者が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。
(11)運営規程
基準第189条は、指定特定施設入所者生活介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定特定施設入所者生活介護の提供を確保するため、同条第1号から第9号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定特定施設ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
- (1) 指定特定施設入所者生活介護の内容
- 「指定特定施設入所者生活介護の内容」については、入浴の介護の1週間における回数等のサービスの内容を指すものであること。
- (2) その他運営に関する重要事項
- 基準第175条第1項第2号の看護職員又は介護職員を、それぞれ他の従業者と明確に区分するための措置等を指すものであること。
(12)勤務体制の確保等
基準第190条は、利用者に対する適切な指定特定施設入所者生活介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等を規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。
- (1)
特定施設従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、機能訓練指導員との兼務関係、計画作成担当者との兼務関係等を勤務表上明確にすること。
- (2)
同条第2項の規定により、指定特定施設入所者生活介護に係る業務の全部又は一部を他の事業者(以下「受託者」という)に行わせる指定特定施設入所者生活介護事業者(以下「委託者」という)は、当該受託者に対する当該業務の管理及び指揮命令の確実な実施を確保するため、当該委託契約において次に掲げる事項を文書により取り決めなければならない。この場合において、委託者は受託者に委託した業務の全部又は一部を再委託させてはならない。なお、給食、警備等の特定施設入所者生活介護に含まれない業務については、この限りでない。
- イ 当該委託の範囲
- ロ 当該委託に係る業務(以下「委託業務」という)の実施に当たり遵守すべき条件
- ハ 受託者の従業者により当該委託業務が基準第12章第4節の運営基準に従って適切に行われていることを委託者が定期的に確認する旨
- ニ 委託者が当該委託業務に関し受託者に対し指示を行い得る旨
- ホ
委託者が当該委託業務に関し改善の必要を認め、所要の措置を講じるよう前号の指示を行った場合において、当該措置が講じられたことを委託者が確認する旨
- ヘ 受託者が実施した当該委託業務により入所者に賠償すべき事故が発生した場合における責任の所在
- ト その他当該委託業務の適切な実施を確保するために必要な事項
- (3) 指定特定施設入所者生活介護事業者は(2)のハ及びホの確認の結果の記録を作成しなければならないこと。
- (4) 指定特定施設入所者生活介護事業者が行う(2)のニの指示は、文書により行わなければならないこと。
(13)協力医療機関等
- (1) 基準第191条第1項及び第2項は、第171条第1項及び第2項と同趣旨であるので、第12の4の(10)の(1)を参照されたい。
- (2)
指定特定施設入所者生活介護事業者は、利用者の入院や休日夜間等における対応について円滑な協力を得るため、協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくものとする。
(14)準用
基準第192条の規定により、基準第11条、第12条、第21条、第26条、第32条から第39条まで、第51条、第52条、第103条、第104条、第132条及び第139条の規定は、指定特定施設入所者生活介護の事業に準用されるものであるため、第3の3の(4)、(5)、(11)、(14)及び(20)から(25)まで、第4の3の(3)及び(4)、第8の3の(6)及び(7)並びに第10の3の(8)及び(14)を3照されたい。この場合において、準用される基準第39条により、整備すべき記録は以下のとおりである。
- イ 指定特定施設入所者生活介護に関する記録
- a 特定施設サービス計画
b 提供した指定特定施設入所者生活介護に係る記録
c
緊急やむを得ない場合に行った身体的拘束等に関する記録
d 介護保険法施行規則第64条第3号に規定する同意に関する記録
- ロ 準用される基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
- ハ 3の(12)の(3)の確認の結果の記録及び(4)の指示の文書
第14
福祉用具貸与
1 人員に関する基準
(1)専門相談員に関する事項
- (1) 指定講習会
- 基準第194条の「厚生大臣が指定した講習会」とは、平成11年6月9日老発第437号老人保健福祉局長通知「福祉用具専門相談員指定講習会の指定について」に定める「福祉用具専門相談員指定講習会指定要綱」(以下「指定要綱」という。)により厚生大臣が指定した講習会(以下「指定講習会」という。)をいう。
- (2) 指定講習会と同程度以上の講習
- 第194条に定める「これと同程度以上の講習」とは、次のものをいう。
- イ
平成7年7月31日社援更第192号・老計第116号・児発第725号連名通知による「ホームヘルパー養成研修事業実施要綱」にいうホームヘルパー養成研修1級課程及びホームヘルパー養成研修2級課程
- ロ
指定講習会を実施する者が、当該指定を受ける前に実施した講習又は当該指定を受けた際に実施している講習であって、指定要綱の別紙2に定める講習カリキュラムと同程度以上の講習カリキュラムによるもの
- ハ その他指定講習会と同程度以上の講習
- (3)
福祉用具貸与に係る指定居宅サービス事業者の指定を受けようとする者は、当該福祉用具貸与に従事させることとなる者が修了した講習が「指定講習会と同程度以上の講習」に該当するかどうかについて疑義があるときは、当該指定の申請をするに当たっては、その旨を都道府県知事に申し出るものとする。
(2)管理者(基準第195条)
訪問介護の場合と同趣旨であるため、第3の1の(3)を参照されたい。
2 設備に関する基準
(1)基準第196条第1項に規定する必要な広さの区画については、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。
(2)指定福祉用具貸与事業者は、指定福祉用具貸与に必要な設備及び備品等を確保するものとする。ただし、他の事業所又は施設等と同一敷地内にある場合であって、指定福祉用具貸与の事業及び当該他の事業所又は施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所又は施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。
(3)基準第196条第2項第1号ロは、既に消毒又は補修がなされている福祉用具とそれ以外の福祉用具の区分について、保管室を別にするほか、つい立ての設置等両者を保管する区域を明確に区分するための措置が講じられていることをいうものである。
(4)基準第196条第2項第2号に定める福祉用具の消毒のために必要な器材とは、基準第203条第2項の規定による消毒の方法により消毒を行うために必要な器材をいう。
3 運営に関する基準
(1)利用料の受領
- (1)
基準第197条第1項、第2項及び第4項は、指定訪問介護に係る第20条第1項、第2項及び第4項と同趣旨であるため、第3の3の(10)の(1)、(2)及び(4)を参照されたい。なお、指定福祉用具貸与は継続的な契約であるとともに利用者と対面する機会が少ないことから、指定福祉用具貸与事業者は、利用者から前払いにより数箇月分の利用料を徴収することも可能とするが、この場合であっても、要介護者等の要介護認定の有効期間を超える分について前払いにより利用料を徴収してはならない。
- (2) 基準第197条第3項は、指定福祉用具貸与事業者は、指定福祉用具貸与の提供に関し、
- イ 通常の事業の実施地域以外の地域において指定福祉用具貸与を行う場合の交通費
- ロ
福祉用具の搬出入に通常必要となる人数以上の従事者やクレーン車が必要になる場合等特別な措置が必要な場合の当該措置に要する費用
については、前2項の利用料のほかに、利用者から支払を受けることができるものとし、介護保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。
- (3)
基準第197条第5項は、利用者がその負担すべき利用料を支払わずに、福祉用具を使用し続ける事態を防止するため、そのような場合には指定福祉用具貸与事業者が福祉用具を回収すること等により、当該指定福祉用具貸与の提供を中止できる旨を定めたものである。
(2)指定福祉用具貸与の基本取扱方針
基準第198条第2項は、指定福祉用具貸与においては、福祉用具が様々な利用者に利用されることから、その衛生と安全性に十分留意することとしたものである。
(3)指定福祉用具貸与の具体的取扱方針
- (1)
基準第199条は、新たに設けられた専門相談員の業務の方針、手続を明確にしたものであり、専門相談員は原則としてこれらの手続を自ら行う必要がある。なお、第4号の福祉用具の修理については、専門的な技術を有する者に行わせても差し支えないが、この場合にあっても、専門相談員が責任をもって修理後の点検を行うものとする。
- (2)
第3号は、指定福祉用具貸与の提供に当たっての調整、説明及び使用方法の指導について規定したものであるが、特に、電動車いす、移動用リフト等の使用に際し安全性の面から注意が必要な福祉用具については、訓練操作の必要性等利用に際しての注意事項について十分説明するものとする。なお、同号の「福祉用具の使用方法、使用上の留意事項、故障時の対応等を記載した文書」は、当該福祉用具の製造事業者、指定福祉用具貸与事業者等の作成した取扱説明書をいうものである。
(4)運営規程
基準第200条は、指定福祉用具貸与の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定福祉用具貸与の提供を確保するため、同条第1号から第6号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定福祉用具貸与事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
- (1) 指定福祉用具貸与の提供方法、取り扱う種目及び利用料その他の費用の額(第4号)
- 「指定福祉用具貸与の提供方法」は、福祉用具の選定の援助、納品及び使用方法の指導の方法等を指すものであること。「利用料」としては、法定代理受領サービスである指定福祉用具貸与に係る利用料(1割負担)、法定代理受領サービスでない指定福祉用具貸与の利用料を、「その他の費用の額」としては、基準第197条第3項により徴収が認められている費用の額並びに必要に応じてその他のサービスに係る費用の額を規定するものであるが、個々の福祉用具の利用料については、その額の設定の方式(利用期間に歴月による1月に満たない端数がある場合の算定方法等)及び目録(基準第204条第2項に規定する目録をいう。)に記載されている旨を記載すれば足りるものとし、運営規定には必ずしも額自体の記載を要しないものであること。
- (2) その他運営に関する重要事項(第7号)
- (6)(1)の標準作業書に記載された福祉用具の消毒の方法について規定すること。
(5)適切な研修の機会の確保(第201条)
福祉用具の種類が多種多様であり、かつ、常に新しい機能を有するものが開発されるとともに、要介護者等の要望は多様であるため、専門相談員は常に最新の専門的知識に基づいた情報提供、選定の相談等を行うことが求められる。このため、指定福祉用具貸与事業者は、専門相談員に福祉用具の構造、使用方法等についての継続的な研修を定期的かつ計画的に受けさせなければならないこととしたものである。
(6)衛生管理等(第203条)
- (1)
福祉用具の種類ごとに、消毒の具体的方法及び消毒器材の保守点検の方法を記載した標準作業書を作成し、これに従い熱湯による消毒、消毒液を用いた拭清等、その種類、材質等からみて適切な消毒効果を有する方法により消毒を行うものとする。
- (2)
第3項の規定により、福祉用具の保管又は消毒の業務の全部又は1部を他の事業者(当該指定福祉用具貸与事業者が運営する他の事業所及び指定福祉用具貸与事業者に福祉用具を貸与する事業者を含む。以下「受託者等」という。)に行わせる指定福祉用具貸与事業者(以下この項において「指定事業者」という。)は、当該保管又は消毒の業務が適切な方法により行われることを担保するため、当該保管又は消毒の業務に係る委託契約(当該指定福祉用具貸与事業者が運営する他の事業所に当該保管又は消毒の業務を行わせる場合にあっては、業務規程等)において次に掲げる事項を文書により取り決めなければならない。
- イ 当該委託等の範囲
ロ 当該委託等に係る業務の実施に当たり遵守すべき条件
ハ
受託者等の従業者により当該委託等がなされた業務(以下「委託等業務」という)が基準第13章第4節の運営基準に従って適切に行われていることを指定事業者が定期的に確認する旨
ニ
指定事業者が当該委託等業務に関し受託者等に対し指示を行い得る旨
ホ
指定事業者が当該委託等業務に関し改善の必要を認め、所要の措置を講じるよう前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたことを指定事業者が確認する旨
ヘ
受託者等が実施した当該委託等業務により利用者に賠償すべき事故が発生した場合における責任の所在
ト
その他当該委託等業務の適切な実施を確保するために必要な事項
- (3) 指定事業者は(2)のハ及びホの確認の結果の記録を作成しなければならない。
- (4) 指定事業者が行う(2)のニの指示は、文書により行わなければならない。
(7)準用
基準第205条の規定により、基準第8条から第19条まで、第21条、第26条、第33条から第39条まで、第52条並びに第101条第1項及び第2項の規定は、指定福祉用具貸与の事業について準用されるため、第3の3の(1)から(9)まで、(11)、(14)及び(20)から(25)まで、第4の3の(4)並びに第8の3の(5)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。
- (1)
基準第10条中「以下同じ。)」とあるのは「以下同じ。)、取り扱う福祉用具の種目」と、第14条第2項中「適切な指導」とあるのは「適切な相談又は助言」と、第18条中「初回訪問時及び利用者」とあるのは「利用者」と、第19条中「提供日及び内容」とあるのは「提供の開始日及び終了日並びに種目及び品名」と、第21条中「内容」とあるのは「種目、品名」と、第101条第2項中「処遇」とあるのは「サービス利用」と読み替えられるものであること。
- (2) 準用される基準第39条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。
- イ 提供した個々の指定福祉用具貸与に関する記録
ロ 準用される基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
ハ
3の(6)の(3)の確認の結果の記録及び(4)の指示の文書
- (3) 準用される基準第101条第1項及び第2項については、次の点に留意すること。
- イ 指定福祉用具貸与事業所ごとに、専門相談員の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を勤務表上明確にすること。
- ロ
福祉用具の選定の援助、機能等の点検、使用方法の指導等については、当該指定福祉用具貸与事業所の従業者たる専門相談員が行うべきであるが、福祉用具の運搬、回収、修理、保管、消毒等の利用者のサービスの利用に直接影響を及ぼさない業務については、専門相談員以外の者又は第三者に行わせることが認められるものとしたものであること。なお、保管又は消毒を第三者に委託等する場合は、基準第203条第3項の規定に留意すること。
4 基準該当福祉用具貸与に関する基準
基準第206条の規定により、基準第8条から第14条まで、第16条から第19条まで、第21条、第26条、第33条から第35条まで、第36条第1項及び第2項、第37条から第39条まで、第52条、第101条第1項及び第2項、第193条から196条まで並びに第4節(第197条第1項及び第205条を除く。)の規定は、基準該当福祉用具貸与の事業に準用されるものであるため、第3の3の(1)から(5)まで、(7)から(9)まで、(11)、(14)及び(20)から(25)まで、第4の3の(4)、第8の3の(5)並びに第14の1から3までを参照されたい。なお、この場合において、準用される基準第197条第2項の規定は、基準該当福祉用具貸与事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費を算定するための基準となる費用の額(100分の90を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。なお、当該事業所による福祉用具貸与が複数の市町村において基準該当福祉用具貸与と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。
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