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老企第45号
平成12年3月17日

各都道府県介護保険主管部(局)長 殿

厚生省老人保健福祉局企画課長

指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準について

 介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第110条第1項及び第2項の規定に基づく「指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準」(以下「基準省令」という。)については、平成11年3月31日厚生省令第41号をもって公布され、平成12年4月1日より施行されるところであるが、基準の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、御了知の上、管下市町村、関係団体、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。

第1 基準省令の性格

1 基準省令は、指定介護療養型医療施設がその目的を達成するために必要な最低限度の基準を定めたものであり、指定介護療養型医療施設は、常にその運営の向上に努めなければならないこと。

2 指定介護療養型医療施設が満たすべき基準を満たさない場合には、指定介護療養型医療施設の指定は受けられず、また、運営開始後、基準省令に違反することが明らかになった場合は、都道府県知事の指導等の対象となり、この指導等に従わない場合には、当該指定を取り消すことができるものであること。

3 運営に関する基準に従って施設の運営をすることができなくなったことを理由として指定が取り消された直後に再度当該施設から指定介護療養型医療施設の指定の申請がなされた場合には、当該施設が運営に関する基準を遵守することを確保することに特段の注意が必要であり、その改善状況等が確認されない限り指定を行わないものとすること。

第2 指定の単位等について

 法の規定上、介護療養型医療施設の指定は、病院又は診療所を単位として行われることとなっているが、実際に指定介護療養施設サービスを行うこととなるのは、指定を受ける病院又は診療所の療養型病床群等(法第7条第23項に規定する療養型病床群等をいう。以下同じ)の全部又は一部である。指定介護療養施設サービスを行う部分として認められる単位(以下「指定の単位」という。)等については、以下のとおりとする。

1 指定の単位は、原則として「病棟」とする。

2 「病棟」とは、各医療機関の看護体制の1単位を指すものである。なお、高層建築等の場合には、複数階(原則として2つの階)を1病棟として認めることは差し支えないが、昼間・夜間を通して、看護に支障のない体制をとることが必要である。

3 1病棟の病床数は、原則として60床以下とする。

4 1病棟ごとに、看護の責任者を配置し、看護チームによる交代制勤務等の看護を実施すること、及び看護婦詰め所等の設備等を有することが必要である。ただし、看護婦詰め所の配置によっては、他の看護単位と看護婦詰め所を共用することは可能である。

5 例外的に、療養型病床群等に係る病棟を2病棟以下しか持たない病院については、病室単位で指定を受けることができるものとする。この場合、看護・介護要員の人数については、当該病室を含む病棟全体として、基準省令の人員・設備に関する基準を満たしていればよく、介護保険適用の患者専用の食堂等を設ける必要はない。診療所については、当該診療所のうち、療養型病床群等全体が基準省令の人員・設備に係る基準を満たしていればよい。

第3 人員に関する基準・設備に関する基準

1 人員に関する基準(基準省令第2条)

(1)医師、薬剤師及び栄養士

 当該病院又は診療所全体として、医療法に基づく基準(通知を含む。)を満たすために必要な数の医師、薬剤師及び栄養士を配置するものとする。

(2)看護職員及び介護職員

(1) 看護職員及び介護職員については、療養型病床群等に係る病棟(診療所の場合は病室)について、それぞれ常勤換算方法で、入院患者の数が6又はその端数を増すごとに1以上を配置するものとする。したがって、病室単位で指定を受ける病院又は診療所にあっては、当該病室を含む病棟全体について、又は診療所の療養型病床群等全体について指定介護療養型医療施設の指定を受けたとした場合の必要数を算出し、当該病棟又は当該診療所の療養型病床群等に勤務する職員数が当該必要数を満たしていればよい。
(2) 外来勤務と病棟勤務を兼務している職員については、勤務計画表による病棟勤務時間を比例計算の上、職員の数に算入することができる。
(3) 介護職員の数を算出するに当たっては、看護婦、准看護婦を介護職員とみなして差し支えない。ただし、この場合の看護婦、准看護婦については、人員の算出上、看護職員として数えることはできない。

(3)老人性痴呆疾患療養病棟に置くべき作業療法士及び精神保健福祉士又はこれに準ずる者

 老人性痴呆疾患療養病棟ごとに1以上を配置するものとする。

(4)介護支援専門員

(1) 介護支援専門員については、その業務に専ら従事する常勤の者を1人以上配置するものとする。したがって、介護保険適用の入院患者が100人未満の指定介護療養型医療施設であっても1人は配置しなければならない。また、介護支援専門員の配置は、介護保険適用の入院患者の数が100人又はその端数を増すごとに1人を標準とするものであり、介護保険適用の入院患者の数が100人又はその端数を増すごとに増員することが望ましい。ただし、当該増員に係る介護支援専門員については、非常勤とすることを妨げるものではない。
(2) 介護支援専門員は、入院患者の処遇に支障がない場合は、当該指定介護療養型医療施設の他の職務に従事することができるものとする。この場合、兼務を行う当該介護支援専門員の配置により、介護支援専門員の配置基準を満たすこととなると同時に、兼務を行う他の職務に係る常勤換算上も、当該介護支援専門員の勤務時間の全体を当該他の職務に係る勤務時間として算入することができるものとする。

 なお、居宅介護支援事業者の介護支援専門員との兼務は認められないものである。ただし、増員に係る非常勤の介護支援専門員については、この限りでない。

2 設備に関する基準(基準省令第3条)

 食堂や浴室、機能訓練室等の設備については、指定介護療養型医療施設の指定を受けた病棟と受けない病棟とで共用することは当然認められるが、その場合には、入院患者数等からみて必要時に使用可能な広さを有することが必要である。

3 経過措置

(1)指定介護療養型医療施設の指定基準の経過措置により、平成15年3月31日までの間、介護力強化病院を指定することを認めることとした。(基準省令附則第2条)

(2)指定介護療養型医療施設の介護支援専門員については、平成15年3月31日までの間は、看護に係る計画等の作成に関し経験のある看護職員でよいこととした。(基準省令附則第3条)

(3)指定介護療養型医療施設(療養型病床群を有する診療所であるものに限る。)の看護職員及び介護職員については、当分の間、常勤換算方法で入院患者の数が3又はその端数を増すごとに1以上、ただし、そのうちの1については看護職員であればよいこととした。(基準省令附則第4条)

(4)老人性痴呆疾患療養病棟の人員・設備基準の経過措置

(1) 当分の間、介護職員の員数は、常勤換算方法で、入院患者の数が8又はその端数を増すごとに1以上でよいこととした。(基準省令附則第5条)
(2) 当分の間、老人性痴呆疾患患者の作業療法の経験を有する常勤の看護婦又は看護士であって、専ら当該病棟における作業療法に従事する者が1人以上勤務する老人性痴呆疾患療養病棟においては、作業療法士が週1回以上当該病棟において患者の作業療法についての評価を行う場合には、常勤の作業療法士を置かないことができることとした。(基準省令附則第6条)
(3) 病床転換による老人性痴呆疾患療養病棟に係る一の病室の病床数は6床以下であればよいこととした。(基準省令附則第16条)
(4) 病床転換による老人性痴呆疾患療養病棟に係る病室に隣接する廊下の幅は、内法による測定で、1.2メートル以上(ただし、両側に居室がある廊下の幅は、内法による測定で、1.6メートル以上)であればよいこととした。(基準省令附則第17条)

(5)病床転換による療養型病床群を有する病院及び診療所にあっては、当分の間、食堂及び浴室を有しないことができることとした。ただし、浴室を設けない場合にあっては、シャワー等の設備を設けることが必要である。なお、その場合であってもできる限り早期に療養環境を整えることが必要であること。(基準省令附則第7条及び第12条)

4 用語の定義

(1)「常勤換算方法」

 当該指定介護療養型医療施設の従業者の勤務延時間数を当該施設において常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週簡に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該施設の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延時間数は、当該施設の指定介護療養施設サービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、当該施設が通所リハビリテーションの指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が指定介護療養施設サービスと指定通所リハビリテーションを兼務する場合、当該従業者の勤務延時間数には、指定介護療養施設サービスに係る勤務時間だけを算入することとなるものであること。

(2)「勤務延時間数」

 勤務表上、指定介護療養施設サービスの提供に従事する時間として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者1人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該施設において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とすること。

(3)「常勤」

 当該指定介護療養型医療施設における勤務時間が、当該施設において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週簡に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。当該施設に併設される事業所の職務であって、当該施設の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。例えば、指定介護療養型医療施設に指定通所リハビリテーション事業所が併設されている場合、指定介護療養型医療施設の管理者と指定通所リハビリテーション事業所の管理者を兼務している者は、その勤務時間の合計が所定の時間数に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。

(4)「専ら従事する」「専ら提供に当たる」

 原則として、サービス提供時間帯を通じて指定介護療養施設サービス以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、当該従業者の当該施設における勤務時間をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。

(5)「前年度の平均値」

(1) 基準省令第2条第4項における「前年度の平均値」は、当該年度の前年度(毎年4月1日に始まり翌年3月31日をもって終わる年度とする。以下同じ。)の入院患者延数を当該前年度の日数で除して得た数とする。この算定に当たっては、小数点第2位以下を切り上げるものとする。
(2) 新設(事業の再開の場合を含む。以下同じ。)又は増床分のベッドに関して、前年度において1年未満の実績しかない場合(前年度の実績が全くない場合を含む。)の入院患者数は、新設又は増床の時点から6月未満の間は、便宜上、ベッド数の90%を入院患者数とし、新設又は増床の時点から6月以上1年未満の間は、直近の6月における入院患者延数を6月間の日数で除して得た数とし、新設又は増床の時点から1年以上経過している場合は、直近1年間における入院患者延数を1年間の日数で除して得た数とする。
(3) 減床の場合には、減床後の実績が3月以上あるときは、減床後の入院患者延数を延日数で除して得た数とする。

第4 運営に関する基準

1 内容及び手続の説明及び同意

 基準省令第6条は、指定介護療養型医療施設は、入院患者に対し適切な指定介護療養施設サービスを提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、患者又はその家族に対し、当該指定介護療養型医療施設の運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の患者がサービスを選択するために必要な重要事項について、わかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該施設から指定介護療養施設サービスの提供を受けることにつき同意を得なければならないこととしたものである。なお、当該同意については、患者及び指定介護療養型医療施設双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。

2 受給資格等の確認

(1)基準省令第7条第1項は、指定介護療養施設サービスの利用に係る費用につき保険給付を受けることができるのは、要介護認定を受けている被保険者に限られるものであることを踏まえ、指定介護療養型医療施設は、指定介護療養施設サービスの提供の開始に際し、患者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定の有無及び要介護認定の有効期間を確かめなければならないこととしたものである。

(2)同条第2項は、患者の被保険者証に、指定施設サービス等の適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項に係る認定審査会意見が記載されているときは、これに配慮して指定介護療養施設サービスを提供するように努めるべきことを規定したものである。

3 入退院

(1)基準省令第8条第1項は、指定介護療養型医療施設は、長期に渡って療養が必要な要介護者を対象とするものであることを規定したものである。

(2)同条第2項は、原則として、利用申込に対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や、所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、(1)病床が空いていない場合、(2)入院治療の必要の無い場合、その他患者に対し自ら適切な指定介護療養施設サービスを提供することが困難な場合である。

(3)同条第5項は、指定介護療養型医療施設は要介護者のうち、入院して長期療養を行うことが必要な患者を対象としていることに鑑み、入院治療が不必要となった場合には、速やかに退院を指示することを規定したものである。

4 要介護認定の申請に係る援助

(1)基準省令第9条第1項は、要介護認定の申請がなされていれば、要介護認定の効力が申請時に遡ることにより、指定介護療養施設サービスの利用に係る費用が保険給付の対象となりうることを踏まえ、指定介護療養型医療施設は、患者が要介護認定を受けていないことを確認した場合には、要介護認定の申請が既に行われているか否かを確認し、申請が行われていない場合は、当該患者の意向を踏まえて速やかに当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。

(2)同条第2項は、要介護認定の有効期間が原則として6箇月ごとに終了し、継続して保険給付を受けるためには要介護更新認定を受ける必要があること及び当該認定が申請の日から30日以内に行われることとされていることを踏まえ、指定介護療養型医療施設は、要介護認定の更新の申請が、遅くとも当該入院患者が受けている要介護認定の有効期間が終了する30日前にはなされるよう、必要な援助を行わなければならないこととしたものである。

5 健康手帳への記載

 基準省令第11条は、提供した指定介護療養施設サービスに関して、その記録を入院患者の健康手帳の医療の記録に係るページに記載しなければならないことを定めたものである。なお、健康手帳の医療の記録に係るページの様式については、「健康手帳の医療の受給資格を証するページ及び医療の記録に係るページの様式」(昭和57年11月厚生省告示第192号)により定められているものである。

6 利用料等の受領

(1)基準省令第12条第1項は、指定介護療養型医療施設は、法定代理受領サービスとして提供される指定介護療養施設サービスについての患者負担として、指定介護療養施設サービスにかかる費用の額のうち食事の提供に要する費用の額を除いた額の1割(法第50条又は第69条の規定の適用により保険給付の率が9割でない場合については、それに応じた割合)及び食事の提供に要した費用について、いわゆる食事の標準負担額の支払を受けなければならないことを規定したものである。

(2)基準省令第12条第2項は、入院患者間の公平及び入院患者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない指定介護療養施設サービスを提供した際にその入院患者から支払を受ける利用料の額と法定代理受領サービスである指定介護療養施設サービスに係る費用の額の間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けてはならないこととしたものである。

(3)同条第3項は、指定介護療養施設サービスの提供に関して、

(1) 厚生大臣の定める基準に基づき入院患者が選定する特別な病室の提供を行ったことに伴い必要となる費用
(2) 入院患者が選定する特別な食事の提供を行ったことに伴い必要となる費用
(3) 理美容代
(4) 前各号に掲げるもののほか、指定介護療養施設サービスにおいて提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その入院患者に負担させることが適当と認められるもの
については、前2項の利用料のほかに入院患者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、(4)の費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものである。

7 保険給付の請求のための証明書の交付

 基準省令第13条は、患者が保険給付の請求を容易に行えるよう、指定介護療養型医療施設は、法定代理受領サービスでない指定介護療養施設サービスに係る利用料の支払を受けた場合は、提供した指定介護療養施設サービスの内容、費用の額その他入院患者が保険給付を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を患者に対して交付しなければならないこととしたものである。

8 施設サービス計画の作成について(基準省令第14条)

 施設サービス計画の作成に当たっては、退院後の居宅における生活を視野に入れ、当該入院患者に対する指定介護療養施設サービスの提供に当たる他の従業者と十分にその内容を検討することが必要である。

9 指定介護療養施設サービスの取扱方針

 基準省令第15条第4項において、当該入院患者又は他の入院患者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入院患者の行動を制限する行為を行ってはならない旨を定めたところであるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、主治医は、その態様及び時間、その際の入院患者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を診療録に記載しなければならないものとする。

10 診療の方針について(基準省令第16条)

 指定介護療養型医療施設の医師は、常に入院患者の病状や心身の状態の把握に努めること。特に、診療に当たっては、的確な診断をもととし、入院患者に対して必要な検査、投薬、処置等を妥当適切に行うものとする。

11 機能訓練について(基準省令第17条)

 リハビリテーションの提供に当たっては、入院患者の心身の状況及び家庭環境等を十分に踏まえて、日常生活の自立を助けるため、必要に応じて提供しなければならないものとする。

12 看護及び医学的管理の下における介護(基準省令第18条)

(1)入浴の実施に当たっては、入院患者の心身の状況や自立支援を踏まえて、特別浴槽を用いた入浴や介助浴等適切な方法により実施するものとする。なお、入院患者の心身の状況から入浴が困難である場合には、清しきを実施するなど入院患者の清潔保持に努めるものとする。

(2)排せつの介護に当たっては、入院患者の心身の状況や排せつ状況などをもとに自立支援の観点から、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。おむつを使用せざるを得ない場合には、入院患者の心身及び活動状況に適したおむつを提供し、適切におむつを交換するものとする。

13 食事の提供について(基準省令第19条)

(1)調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくものとする。

(2)入院患者の食事は、適切な衛生管理がなされたものでなければならない。

(3)食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後6時以降とすることが望ましいが、早くても午後5時以降とすること。

(4)転換型の療養型病床群等であって食堂がない場合には、できるだけ離床して食事が食べられるよう努力をしなければならないものとする。

14 市町村等への通知

(1)基準省令第21条第1号は、指定介護療養型医療施設においては、入院治療の必要がなくなった患者については、速やかに退院の指示を出すこととなっているが、退院の指示が出されているにもかかわらず、家庭の都合等により退院に応じない場合には、市町村の福祉事業等との連携を図り退院を円滑に進めるため、病状や家庭環境等に関する情報を添えて市町村に通知を行うことを義務づけたものである。

(2)同条第2号及び第3号は、偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者及び自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失等により、要介護状態等若しくはその原因となった事故を生じさせるなどした者については、市町村が、介護保険法第22条第1項に基づく既に支払った保険給付の徴収又は第64条に基づく保険給付の制限を行うことができることに鑑み、指定介護療養型医療施設が、その入院患者に関し、保険給付の適正化の観点から市町村に通知しなければならない事由を列記したものである。

15 管理者の管理(基準省令第22条)

 指定介護療養型医療施設の管理者は、原則として同時に他の介護保険施設や養護老人ホーム等の社会福祉施設を管理することはできないが、同一敷地内にある等、特に当該指定介護療養型医療施設の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の介護保険施設等がある場合であって、当該指定介護療養型医療施設の管理業務に支障がないときは、この限りでない。

16 管理者の責務

 基準省令第23条は、指定介護療養型医療施設の管理者の責務を、指定介護療養型医療施設の従業者の管理及び指定介護療養施設サービスの実施状況の把握その他の管理を一元的に行うとともに、当該指定介護療養型医療施設の従業者に基準省令の第4章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。

17 運営規程

 基準省令第24条は、指定介護療養型医療施設の適正な運営及び入院患者に対する適切な指定介護療養施設サービスの提供を確保するため、同条第1号から第7号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定介護療養型医療施設ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。

(1)施設の利用に当たっての留意事項(第5号)

 入院患者が指定介護療養施設サービスの提供を受ける際の、入院患者側が留意すべき事項(入院生活上のルール、設備の利用上の留意事項等)を指すものであること。

(2)非常災害対策(第6号)

 19の非常災害に関する具体的計画を指すものであること。

18 勤務体制の確保等

 基準省令第25条は、入院患者に対する適切な指定介護療養施設サービスの提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。

(1)第25条第1項は、指定介護療養型医療施設ごとに、原則として月ごと病棟ごとの勤務表を作成し、従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、看護職員及び介護職員等の配置、管理者との兼務関係等を明確にすることを定めたものであること。

(2)同条第2項は、指定介護療養型医療施設は、原則として、当該施設の従業者によって指定介護療養施設サービスを提供するべきであるが、調理業務、洗濯等の入院患者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものであること。

(3)同条第3項は、当該指定介護療養型医療施設の従業者の資質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該施設内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。

19 非常災害対策

 基準省令第27条は、指定介護療養型医療施設は、非常災害に際して必要な具体的計画の策定、避難、救出訓練の実施等の対策の万全を期さなければならないこととしたものである。なお「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則第3条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいう。この場合、消防計画の策定及びこれに基づく消防業務の実施は、病院たる指定介護療養型医療施設の消防法第8条の規定による防火管理者に行わせることとなるが、防火管理者を置くことが消防法によって義務づけられていない診療所たる指定介護療養型医療施設においても、防火管理について責任者を定め、その者に消防計画に準ずる計画の樹立等の業務を行わせるものとする。

20 衛生管理等

 基準省令第28条第1項は、指定介護療養型医療施設の必要最低限の衛生管理等を規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。

(1)指定介護療養型医療施設は、食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じ保健所の助言、指導を求めるとともに、密接な連携を保つこと。

(2)空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。

21 秘密保持等

(1)基準省令第30条第1項は、指定介護療養型医療施設の従業者に、その業務上知り得た入院患者又はその家族の秘密の保持を義務づけたものである。

(2)同条第2項は、指定介護療養型医療施設に対して、過去に当該指定介護療養型医療施設の従業者であった者が、その業務上知り得た入院患者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務づけたものであり、具体的には、指定介護療養型医療施設は、当該指定介護療養型医療施設の従業者が、従業者でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者との雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めをおくなどの措置を講ずべきこととするものである。

(3)同条第3項は、入院患者の退院後の居宅における居宅介護支援計画の作成等に資するために、居宅介護支援事業者等に対して情報提供を行う場合には、あらかじめ、文書により入院患者から同意を得る必要があることを規定したものである。

22 居宅介護支援事業者に対する利益供与等の禁止

(1)基準省令第31条第1項は、居宅介護支援事業者による介護保険施設の紹介が公正中立に行われるよう、指定介護療養型医療施設は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、要介護被保険者に対して当該施設を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものである。

(2)同条第2項は、入院患者による退院後の居宅介護支援事業者の選択が公正中立に行われるよう、指定介護療養型医療施設は、居宅介護支援事業者又はその従業者から、当該施設からの退院患者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものである。

23 苦情処理

(1)基準省令第32条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情処理の体制及び手順等当該施設における苦情を処理するために講ずる措置の概要について明らかにし、入院患者にサービスの内容を説明する文書に苦情に対する措置の概要についても併せて記載するとともに、施設に掲示すること等である。

(2)同条第2項は、介護保険法上、苦情処理に関する業務を行うことがその業務として位置付けられている国民健康保険団体連合会のみならず、住民に最も身近な行政庁であり、かつ、保険者である市町村が、サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市町村についても国民健康保険団体連合会と同様に、指定介護療養型医療施設に対する苦情に関する調査や指導、助言を行えることを運営基準上明確にしたものである。

24 地域との連携等

 基準省令第33条は、指定介護療養型医療施設が地域に開かれたものとして運営されるよう、指定介護療養型医療施設は地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。

25 事故発生時の対応

 基準省令第34条は、入院患者が安心して指定介護療養施設サービスの提供を受けられるよう、指定介護療養型医療施設は、入院患者に対する指定介護療養施設サービスの提供により事故が発生した場合は市町村、当該入院患者の家族等に対して連絡を行う等の必要な措置を講じるべきこととするとともに、入院患者に対する指定介護療養施設サービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。このほか、以下の点に留意するものとする。

(1)入院患者に対する指定介護療養施設サービスの提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定介護療養型医療施設が定めておくことが望ましいこと。

(2)指定介護療養型医療施設は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくか、又は賠償資力を有することが望ましいこと。

(3)指定介護療養型医療施設は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。

26 会計の区分

 基準省令第35条は、指定介護療養型医療施設は、介護療養施設サービスに関して他の介護給付等対象サービスと経理を区分するとともに、介護保険の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものであるが、具体的な会計処理の方法等については、別に通知するところによるものである。

27 記録の整備

 基準省令第36条により、指定介護療養型医療施設は、少なくとも次に掲げる記録をその完結の日から2年間備えておかなければならないこととしたものであること(ただし、診療録については、医師法第24条第2項の規定により、5年間保存しなければならないものであること)。

(1)指定介護療養施設サービスに関する記録

(1) 施設サービス計画書
(2) 診療録その他の提供した指定介護療養施設サービスに係る記録

(2)基準省令第21条に係る市町村への通知に係る記録


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