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老企第58号
平成12年3月31日

各都道府県介護保険主管部(局)長 殿

厚生省老人保健福祉局企画課長

特定診療費の算定に関する留意事項について

 短期入所療養介護(病院又は診療所で行われるものに限る。)及び介護療養施設サービスに係る「特定診療費」については、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月厚生省告示第19号)、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月厚生省告示第21号)、厚生大臣が定める特定診療費に係る指導管理等及び単位数(平成12年2月厚生省告示第30号。以下「30号告示」という。)、厚生大臣が定める特定診療費に係る施設基準(平成12年2月厚生省告示第31号)及び厚生大臣が定める特定診療費に係る特別食及び特別な薬剤(平成12年2月厚生省告示第32号)が本年2月10日に公布されたところであるが、この実施に伴う留意事項は下記のとおりであるので、その取扱いに遺憾のないよう関係者に対し、周知徹底を図られたい。

第1 通則

 老人性痴呆疾患療養病棟にあっては、特定診療費のうち、精神科専門療法として30号告示別表の13の精神科作業療法及び14の痴呆性老人入院精神療法のみが算定できるものであること。

第2 個別項目

1 感染対策指導管理

 感染対策指導管理に係る特定診療費については、施設全体として常時感染対策をとっている場合に、月の末日に入院している患者について算定するものとする。ただし、入院日が月の末日にあたる場合には、算定できない。しかし、月半ばに、同一施設内の医療保険適用病床から介護保険適用病床に転床した場合にあっても、算定できるものであること。

2 特定施設管理

 後天性免疫不全症候群の病原体に感染している者については、CD4リンパ球数の値にかかわらず、抗体の陽性反応があれば、30号告示別表の2の所定単位数を算定できるものであり、さらに、個室又は2人部屋においてサービスを提供している場合(患者の希望により特別の設備の整った個室又は2人部屋に入室する場合を除く。)、30号告示別表の2の注2に掲げる単位数をそれぞれ加算するものとする。

3 初期入院診療管理

(1)初期入院診療管理に係る特定診療費は、入院の際に、医師、看護婦、その他必要に応じ関係職種が共同して総合的な診療計画を策定し、患者に対し、別添様式1を参考として、文書を用いて入院後2週間以内に説明を行った場合に算定できるものであること。

(2)当該入院患者が過去3月間(ただし、痴呆性老人の日常生活自立度判定基準(「痴呆性老人の日常生活自立度判定基準」の活用について(平成5年10月26日老健第135号))によるランクIII、IV、又はMに該当する者の場合は過去1月間とする)の間に、当該介護療養型医療施設に入院したことがない場合に限り算定できるものであること。

(3)初期入院診療管理において求められる入院に際して必要な医師の診察、検査等には、院内感染対策の観点から必要と医師が判断する検査が含まれるものであること。医師が定める診療方針の内容には、病名、症状、治療計画、栄養状態、日常生活の自立の程度(痴呆の評価を含む。)等のアセスメント及びリハビリテーション計画、栄養摂取計画等が含まれるものであること。

(4)初期入院診療管理については、同一施設内の医療保険適用病床から介護保険適用病床に転床した入院患者にあっては、特定診療費の算定の対象としない。

(5)なお、入院後6ヶ月以内に、患者の病状の変化等により診療計画を見直さざるを得ない状況になり、同様に診療計画を作成し、文書を用いて患者に説明を行った場合には、1回に限り算定できる。

(6)入院時に治療上の必要性から患者に対し、病名について情報提供し難い場合にあっては、可能な範囲において情報提供を行い、その旨を診療録に記載すること。

(7)医師の病名等の説明に対して理解ができないと認められる患者についてはその家族等に対して行ってもよい。

(8)説明に用いた文書は、患者(説明に対して理解ができないと認められる患者についてはその家族等)に交付するとともに、その写しを診療録に貼付するものとする。

4 重症皮膚潰瘍管理指導

(1)重症皮膚潰瘍管理指導に係る特定診療費は、別に厚生大臣が定める施設基準に適合していると医療機関が届出をした医療機関の皮膚泌尿器科若しくは皮膚科又は形成外科を標榜する医師が、重症な皮膚潰瘍(Sheaの分類III度以上のものに限る。)を有している患者に対して、計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行った場合に算定するものであること。

(2)なお、重症皮膚潰瘍管理指導に係る特定診療費を算定した場合は、当該患者の皮膚潰瘍がSheaの分類のいずれに該当するか、治療内容等について診療録に記載すること。

5 介護栄養食事指導

(1)介護栄養食事指導に係る特定診療費は、入院中の患者であって、別に厚生大臣が定める特別食を医師が必要と認めた者に対し、管理栄養士が医師の指示せんに基づき、患者ごとにその生活条件、し好を勘案し、食品構成に基づく食事計画案又は少なくとも数日間の具体的な献立を示した栄養食事指導せん又は食事計画案を交付し、概ね15分以上指導した場合に月に1回を限度として算定する。

(2)介護栄養食事指導においては、医師は管理栄養士への指導事項を診療録に記載し、管理栄養士は、患者ごとに栄養指導記録を作成し、指導を行った献立又は食事計画の例についての総カロリー、栄養素別の計算及び指導内容の要点を明記する。

(3)管理栄養士への指示事項は,当該患者ごとに適切なものとするが、少なくとも熱量・熱量構成、蛋白質量、脂質量・脂質構成(不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比)についての具体的な指示を含まなければならない。

(4)管理栄養士は常勤である必要はなく、要件に適合した指導が行われていれば算定できる。

(5)特別食には、心臓疾患等の患者に対する減塩食、十二指腸潰瘍の患者に対する潰瘍食、侵襲の大きな消化管手術後の患者に対する潰瘍食,クローン病及び潰瘍性大腸炎等により腸管の機能が低下している患者に対する低残渣食並びに高度肥満症(肥満度が+40%以上又はBMIが30以上)の患者に対する治療食を含む。なお、高血圧症の患者に対する減塩食(塩分の総量が7.0グラム以下のものに限る。)及び経口での摂取が困難な患者への特別食は、基本食事サービス費の特別食加算の場合と異なり、特別食に含まれる。

(6)なお、同一月に退院時指導加算を算定した場合は、介護栄養食事指導に係る特定診療費は算定できない。

6 薬剤管理指導

(1)薬剤管理指導に係る特定診療費は、厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届出を行った施設の利用者又は入院患者に限って算定できるものである。

(2)薬剤管理指導に係る特定診療費は、当該施設の薬剤師が医師の同意を得て薬剤管理指導記録に基づき,直接服薬指導(服薬に関する注意及び効果、副作用等に関する状況把握を含む。)を行った場合に算定できる。本人への指導が困難な場合にあっては、その家族等に対して服薬指導を行うことにより、算定できるものとする。

(3)薬剤管理指導に係る特定診療費を月2回算定する場合にあっては、当該特定診療費を算定する日の間隔は6日以上とする。

(4)当該施設の薬剤師は、過去の投薬・注射及び副作用発現状況等を患者に面接・聴取し、当該医療機関及び可能な限り他の医療機関における投薬及び注射に関する基礎的事項を把握する。

(5)当該施設の薬剤師が患者ごとに作成する薬剤管理指導記録には,次の事項を記載する。
 患者の氏名、生年月日、性別、入院年月日、退院年月日、要介護度、診療録の番号、投薬・注射歴、副作用歴、アレルギー歴、薬学的管理の内容(重複投薬、配合禁忌等に関する確認等を含む。)、患者への指導及び患者からの相談事項、薬剤管理指導等の実施日、記録の作成日及びその他の事項。

(6)30号告示別表の6の注2の加算は、特別な薬剤の投薬又は注射が行われている患者(麻薬を投与されている場合)に対して、通常の薬剤管理指導に加えて当該薬剤の服用に関する注意事項等に関し、必要な指導を行った場合に算定する。

(7)30号告示別表の6の注2の算定に当たっては、前記の薬剤管理指導記録に少なくとも次の事項についての記載がされていなければならない。

(1) 麻薬に係る薬学的管理の内容(麻薬の服薬状況、疼痛緩和の状況等)
(2) 麻薬に係る患者への指導及び患者からの相談事項
(3) その他麻薬に係る事項

7 医学情報提供

(1)医学情報提供に係る特定診療費は、医療機関間の有機的連携の強化等を目的として設定されたものであり、両者の患者の診療に関する情報を相互に提供することにより、継続的な医療の確保、適切な医療を受けられる機会の増大、医療・社会資源の有効利用を図ろうとするものである。

(2)医療機関が、退院する患者の診療に基づき他の医療機関での入院治療の必要性を認め、患者の同意を得て当該機関に対して、診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合にそれぞれの区分に応じて算定する。

(3)紹介に当たっては、別添様式2に定める様式又はこれに準じた様式の文書に必要事項を記載し、患者又は紹介先の機関に交付する。なお、診療情報の提供に当たって交付した文書の写しを診療録に添付する。

(4)提供される内容が、患者に対して交付された診断書等であり、当該患者より自費を徴収している場合又は意見書等であり意見書の交付について診療報酬、公費で既に相応の評価が行われている場合には、医学情報提供に係る特定診療費は算定できない。

(5)1退院につき1回に限り算定できる。

8 単純エックス線撮影・診断

(1)エックス線写真撮影の際に失敗等により、再撮影をした場合については再撮影に要した費用は算定できない。再撮影に要した費用は、その理由が患者の故意又は重大な過失による場合を除き、当該医療機関の負担とする。

(2)単純エックス線撮影・診断において、写真診断及び写真撮影の「同一の部位」とは、部位的に一致するものはもちろん、腎と尿管、胸椎下部と腰椎上部のように通常の場合同一フィルム面に撮影し得る範囲をいうものである。ただし、食道・胃・十二指腸、血管系(血管及び心臓)、リンパ管系及び脳脊髄腔については、それぞれ全体を同一部位として取り扱うものである。

(3)耳・肘・膝等の対称器官又は対称部位の健側を対照として撮影する場合は、撮影料、診断料とも健側の撮影についても患側と同一部位の同時撮影を行ったのと同じ取扱いとする。

9 理学療法、作業療法、言語療法及び摂食機能療法

(1)通則

 理学療法、作業療法、言語療法及び摂食機能訓練は、実施される方法の回数にかかわらず、種類別に1日につき1回のみ算定する。

(2)理学療法

(1) 理学療法(I)、(II)及び(III)に係る特定診療費は、別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届出を行った医療機関において、理学療法(IV)に係る特定診療費は、それ以外の医療機関において算定するものであり、それぞれ基本的動作能力の回復を図るために、種々の運動療法・物理療法を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合に算定する。
(2) 理学療法は、医師の指導監督のもとで行われるものであり、医師又は理学療法士の監視下で行われるものである。また、専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士が実施した場合と同様に算定できる。
(3) 届出施設である医療機関において、治療、訓練の専用施設外で訓練を実施した場合においても算定できる。
(4) 理学療法を実施するに当たっては、医師は定期的な運動機能検査を基に、理学療法実施計画を作成する必要がある。なお、6ヶ月を超えて理学療法を実施する場合は、患者に対して当該理学療法実施計画の内容を説明し、その要点を診療録に記載する。
(5) 理学療法に係る特定診療費は、患者に対して15分以上訓練を行った場合にのみ算定するものであり、訓練時間が15分に満たない場合は、短期入所療養介護又は介護療養施設サービスに係る介護給付費のうち特定診療費でない部分に含まれる。
(6) 理学療法(I)及び(II)における理学療法にあっては、1人の理学療法士が複数の患者に対して訓練を行うことができる程度の症状の患者について、理学療法士の直接的監視のもとに複数の患者に行われるものをいい、取扱い患者数は理学療法士1人当たり1日36人を限度とする。
(7) 理学療法(I)及び(II)に係る特定診療費は、入院患者については入院の日から、短期入所療養介護の利用者については発症の日から、それぞれ暦月により計算した期間区分に応じて算定する。外来で理学療法を行っていた患者が、外来での理学療法の対象疾病の増悪により入院した場合の理学療法については、当該入院の日から計算した期間区分に応じて算定する。なお、入院の日及び発症の日とは、当該理学療法の対象となる疾病についての入院の日及び発症の日をいうものである。
(8) 別に厚生大臣が定める理学療法(II)を算定すべき理学療法の施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届出を行った医療機関であって、専従する常勤の理学療法士が2名以上勤務している場合において、理学療法士の監視下に運動療法機能訓練技師講習会を受講したあん摩マッサージ指圧師等理学療法士以外の従事者が訓練を行った場合は、理学療法(III)に準じて算定する。ただし、監視に当たる理学療法士が監視に当たった時間以外において、直接訓練を行った場合は、理学療法(II)を算定できる。
(9) 理学療法(I)又は(II)の実施に当たっては、理学療法士はすべての患者の機能訓練の内容の要点及びその実施時刻の記録を作成する。
(10) 理学療法(III)とは、1人の従事者が複数の患者に訓練を行うことができる程度の症状の患者に対し同時に複数の患者に訓練が行われるものをいい、取扱い患者数は従事者1人につき1日36人を限度とする。
(11) 理学療法(III)の実施に当たっては、理学療法士は、医師の指導監督のもとに看護婦、あん摩マッサージ指圧師等理学療法士以外の従事者とともに、訓練を受けるすべての患者の運動機能訓練の内容等を的確に把握し、訓練内容の要点及びその実施時刻の記録を作成する。
(12) 理学療法(IV)とは、1人の従事者が複数の患者に対して訓練を行うことができる程度の症状の患者について行われるものをいい、取扱い患者数は従事者1人につき36人を限度とする。
(13) 理学療法(IV)の実施に当たっては、すべての患者の機能訓練の内容の要点及びその実施時刻の記録を作成する。
(14) 理学療法に係る特定診療費の所定単位数には、徒手筋力検査及びその他の理学療法に付随する諸検査が含まれる。

(3)作業療法

(1)作業療法(I)及び(II)に係る特定診療費は、別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届出を行った医療機関において、種種の応用的動作応力や社会的適応能力の回復訓練を総合的に個々の症例に応じて行った場合に、実施される作業内容の種類及び回数にかかわらず1日につき1回のみ算定する。
(2) 作業療法は、医師の指導監督のもとで行われるものであり、医師又は作業療法士の監視下で行われたものについて算定する。また、専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、作業療法士が実施した場合と同様に算定できる。
(3) 届出施設である医療機関において、治療、訓練の専用施設外で訓練を実施した場合においても、所定単位数により算定できる。
(4) 作業療法(I)、(II)における「簡単なもの」は、1人の作業療法士が複数の患者に対して訓練を行うことができる程度の症状の患者について、作業療法士の直接的監視のもとに複数の患者に行われるものをいい、取扱い患者数は作業療法士1人当たり1日36人を限度とし、15分以上訓練を行った場合にのみ算定するものであり、訓練時間が15分に満たない場合は、短期入所療養介護又は介護療養施設サービスに係る介護給付費のうち特定診療費でない部分に含まれる。
(5) 作業療法の所定単位数には、日常生活動作検査及びその他の作業療法に付随する諸検査が含まれる。
(6) 作業療法の実施に当たっては、医師は定期的な作業能力検査をもとに作業療法実施計画を作成し、診療録に記入する必要がある。
(7) 作業療法の実施に当たっては、作業療法士は、すべての患者の機能訓練の内容の要点及びその実施時刻の記録を作成する。
(8) 期間区分に係る算定方法は、理学療法の例による。

(4)理学療法及び作業療法に係る加算等

(1) 理学療法及び作業療法の注2に掲げる加算((2)及び(4)において「注2の加算」という。)は、理学療法料(I)又は作業療法料(I)に規定する別に厚生大臣が定める施設基準に適合していると医療機関が届出をした医療機関において、当該注2に掲げる月に限り1月につき1回のみ算定するものであること。ただし、理学療法及び作業療法の注3に掲げる加算を算定した場合は算定できない。
(2) 注2の加算は、定期的な医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査の結果に基づき医師、看護婦、理学療法士、作業療法士等が共同してリハビリテーション総合実施計画を作成し、これに基づいて行った理学療法又は作業療法の効果、実施方法等について共同して評価を行った場合に算定するものである。
(3) 医師等の従事者は、共同してリハビリテーション総合実施計画書(別添様式3)を作成し、その内容を患者に説明のうえ交付するとともに、その写しを診療録に添付する。
(4) 理学療法及び作業療法の注3に掲げる加算((5)において「注3の加算」という。)は、理学療法料(I)、理学療法料(II)若しくは理学療法料(III)又は作業療法料(I)若しくは作業療法料(II)に規定する別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た医療機関において、当該注3に定める月に限り1月につき1回のみ算定するものであること。なお、注2の加算を算定した場合には、算定できない。
(5) 注3の加算は、定期的な医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査の結果に基づき理学療法又は作業療法の実施計画を作成し、これに基づいて行った理学療法又は作業療法の効果、実施方法等について評価を行った場合に算定するものである。
(6) 実施計画及びこれに基づいて行った理学療法又は作業療法の効果及び実施方法等の評価については、その内容を診療録に記入するものである。
(7) 実施計画の作成及び評価に当たっては、医師及び理学療法士、作業療法士等の従事者が相互に十分な連携をとって行うこととし、理学療法士又は作業療法士は医師の指導監督のもとにすべての患者の訓練の内容及びその評価についての要点を記録にとどめておくこと。
(8) 理学療法及び作業療法の注4に掲げる加算((9)及び(10)において「注4の加算」という。)は、理学療法料(I)若しくは理学療法料(II)又は作業療法料(I)若しくは作業療法料(II)に規定する別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た医療機関において、理学療法士又は作業療法士等が入院中の患者に対して、看護職員若しくは介護職員と共同して、月2回以上の基本的動作能力、応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るための起居、食事、整容、移動等の日常動作の訓練及び指導(以下「入院生活リハビリテーション管理指導」という。)を行った場合に、1月に1回を限度として算定するものであること。
(9) 注4の加算を算定すべき入院生活リハビリテーション管理指導を行った日においては、理学療法又は作業療法に係る特定診療費の所定単位数は算定できないものである。
(10) 注4の加算を算定する場合にあっては、入院生活リハビリテーション管理指導を行った日及びその内容を診療録に記入するものである。

(5)言語療法

(1) 言語療法に係る特定診療費は、失語症又は構音障害の患者あるいは人工内耳埋込術を施行された患者に対して訓練を行った場合に算定できるものであり、1日につき1回のみ算定する。
(2) 1人の従事者が複数の患者に対して訓練を行うことができる程度の症状の患者に15分以上訓練を行った場合に算定する。なお、同時に複数の患者に対して訓練が行われていても差し支えないものとする。
(3) 実施に当たって、医師は個々の患者の症状に対応した診療計画を作成し診療録に記載する。また、実施した訓練の内容の要点と実施時刻の記録を作成する。

(6)摂食機能療法

(1) 摂食機能療法に係る特定診療費は、摂食機能障害を有する患者に対して、個々の患者の症状に対応した診療計画書に基づき、1回につき30分以上訓練指導を行った場合に限り算定する。また、訓練指導を行った内容及び実施時刻の記録を診療録に記載する。
(2) 「摂食機能障害を有するもの」とは、発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳血管疾患等による後遺症により摂食機能に障害がある者のことをいう。
(3) 医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士又は看護婦等が行う嚥下訓練は、摂食機能療法として算定できる。

10 精神科専門療法

(1)精神科作業療法

(1) 精神科作業療法に係る特定診療費は、別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届出を行った医療機関に限って算定できる。当該療法は、精神障害者の社会生活機能の回復を目的として行うものであり、実施される作業内容の種類にかかわらずその実施時間は患者1人当たり1日につき2時間を標準とする。
(2) 1人の作業療法士は、1人以上の助手とともに当該療法を実施し、この 場合の1日当たりの取扱い患者数は、おおよそ25人を1単位として行うものであり、1人の作業療法士の取扱い患者数は1日75人を標準とする。
(3) 当該療法は、精神科医師の指示で始まり、その旨を当該患者の診療録に記載すること。
(4) 当該療法に要する消耗材料及び作業衣等については、当該医療機関の負担となるものである。

(2)痴呆性老人入院精神療法

(1) 痴呆性老人入院精神療法とは、回想法又はR.O.法(リアリティー・オリエンテーション法)を用いて痴呆患者の情動の安定、残存認知機能の発掘と活用、覚醒性の向上等を図ることにより、痴呆疾患の症状の発現及び進行に係わる要因を除去する治療法をいう。
(2) 痴呆性老人入院精神療法にあっては、精神科医師の診療に基づき対象となる患者ごとに治療計画を作成し、この治療計画に従って行うものであって、定期的にその評価を行う等の計画的な医学的管理に基づいて実施しているものである。
(3) 精神科を担当する1人の医師及び1人の臨床心理技術者等の従事者により構成される少なくとも合計2人の従事者が行った場合に限り算定するものである。なお、この場合、精神科を担当する医師が、必ず1人以上従事していること。
(4) 1回に概ね10人以内の患者を対象として、1時間を標準として実施するものである。
(5) 実施に要した内容、要点及び時刻について診療録等に記入するものである。

第3 施設基準

1 感染対策指導管理

(1)当該病院において、院内感染対策委員会が月1回程度、定期的に開催されていること。

(2)院内感染対策委員会は、病院長、看護部長、薬剤部門の責任者、検査部門の責任者、事務部門の責任者、感染症対策に関し相当の経験を有する医師等の職員から構成されていること。

(3)当該病院内にある検査部において、各病棟の微生物学的検査に係る状況等を記した「感染情報レポート」が週1回程度作成されており、当該レポートが院内感染対策委員会において十分に活用されている体制がとられていること。当該レポートは、入院中の患者からの各種細菌の検出状況や薬剤感受性成績のパターン等が病院の疫学情報として把握、活用されることを目的として作成されるものであり、各病棟からの拭き取り等による各種細菌の検出状況を記すものではない。

(4)院内感染防止対策として、各病室の入り口に速乾式手洗い液等の消毒液が設置されていること。

(5)痴呆患者が多い等、その特性から病室の入り口に前項の消毒液を設置することが適切でないと判断される場合に限り、携帯用の速乾式消毒液等を用いても差し支えないものとする。

(6)都道府県知事に対する届出は別添様式4によるものとする。

2 重症皮膚潰瘍管理指導

(1)個々の患者に対する看護計画の策定、患者の状態の継続的評価、適切な医療用具の使用、じょく瘡等の皮膚潰瘍の早期発見及び重症化の防止並びにその他じょく瘡等の皮膚潰瘍の予防及び治療に関して必要な処置を行うにふさわしい体制にある。

(2)都道府県知事に対する届出は別添様式5によるものとする。

3 薬剤管理指導

(1)当該医療機関に常勤の薬剤師が2人以上配置されているとともに、薬剤管理指導に必要な体制がとられていること。

(2)医薬品情報の収集及び伝達を行うための専用施設(以下「医薬品情報管理室」という。)を有し、常勤の薬剤師が1人以上配置されていること。

(3)医薬品情報管理室の薬剤師が、有効性、安全性等薬学的情報の管理及び医師等に対する情報提供を行っていること。

(4)当該医療機関の薬剤師は、入院中の患者ごとに薬剤管理指導記録を作成し、投薬又は注射に際して必要な薬学的管理(副作用に関する状況把握を含む。)を行い、必要事項を記入するとともに、当該記録に基づく適切な患者指導を行っていること。

(5)投薬・注射の管理は、原則として、注射薬についてもその都度処方せんにより行うとするが緊急やむを得ない場合においてはこの限りではない。

(6)当該基準については、やむを得ない場合に限り、特定の診療料につき区分して届出を受理して差し支えない。

(7)届出に関しては、以下のとおりとする。

(1) 薬剤管理指導料の施設基準に係る届出は、別添様式6を用いること。
(2) 当該医療機関に勤務する薬剤師の氏名、勤務の態様(常勤・非常勤、専従・非専従の別)及び勤務時間を別添様式7を用いて提出すること。調剤、医薬品情報管理、病棟薬剤管理指導、又は在宅患者薬剤管理指導のいずれに従事しているかを(兼務の場合はその旨を)備考欄に記載する。
(3) 調剤所及び医薬品情報管理室の配置図及び平面図を提出すること。

4 理学療法(I)及び作業療法(I)

(1)専任の常勤医師が2名以上勤務すること。

(2)専従の理学療法士が5名以上勤務すること。ただし、医療保険の回復期リハビリテーション病棟における常勤理学療法士との兼任ではない。

(3)専従の作業療法士が3名以上勤務すること。ただし、医療保険の回復期リハビリテーション病棟における常勤作業療法士との兼任ではない。

(4)治療・訓練を十分実施し得る専用の施設を有しており、理学療法に要する専用の施設の広さが300平方メートル以上であり、かつ作業療法に要する専用の施設の広さが100平方メートル以上であること。なお、専用の施設には、医療法(昭和23年法律第205号)第21条第1項及び第2項の規定による療養型病床群を有する医療機関に置くべきこととされている機能訓練室(以下「機能訓練室」という。)を充てて差し支えない。

(5)当該訓練を行うために必要な器械、器具を次のとおり具備していること。

(1) 理学療法について(代表的なもの)
 訓練マットとその付属品、治療台、傾斜台、平行棒、肋木、姿勢矯正用鏡、各種車椅子、各種杖、バーベル又は亜鈴、各種測定器具(角度計、握力計等)、ホットパック及びその加温装置、パラフィン浴、高周波治療器、渦流浴、赤外線、電気刺激治療器

(2) 作業療法について

作業名 器具等の基準(例示)
木工 一般木工道具、足踏式木工器具、作業台等
金工 金工小道具、万力、金床等
治療用ゲーム 駒、輪投げ用具、絵合わせ用具、ピンポン用具等
手工芸 織機、造形用ろくろ等
日常生活動作 各種日常生活動作用設備

(6)看護職員・介護職員の員数が、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)又は指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第41号)の人員に関する基準を満たしていること。

(7)届出に関する事項

(1) 総合リハビリテーションの施設基準に係る届出は、別添様式8を用いること。
(2) 当該治療に従事する医師、理学療法士又は作業療法士、並びにその他の従事者の氏名、勤務の態様(常勤・非常勤、専従・非専従の別)及び勤務時間を別添様式7を用いて提出すること。なお、その他の従事者が理学療法の経験を有するものである場合はその旨を備考欄に記載すること。
(3) 当該治療が行われる専用の施設の配置図及び平面図を添付すること。

5 理学療法(II)

(1)専任の常勤医師及び専従する常勤理学療法士がそれぞれ一人以上勤務する。ただし、理学療法士については医療保険の回復期リハビリテーション病棟における常勤理学療法士との兼任ではないこと。

(2)治療・訓練を十分実施し得る専用の施設を有しており、当該専用の施設の広さは100平方メートル以上とする。なお、専用の施設には機能訓練室を充てて差し支えない。

(3)当該訓練を行うために必要な専用の器械・器具を次のとおり具備する。

(代表的なもの)

 訓練マットとその付属品、治療台、傾斜台、平行棒、肋木、姿勢矯正用鏡、各種車椅子、各種杖、バーベル又は亜鈴、各種測定用器具(角度計、握力計等)、ホットパック及びその加温装置、パラフィン浴、高周波治療器、渦流浴、赤外線、電気刺激治療器

(4)届出に関する事項

 4の(7)と同じである。

6 理学療法(III)

(1)次に掲げる要件のいずれをも満たしていること。

(1) 医師及び週2日以上勤務する理学療法士がそれぞれ1人以上勤務している。
(2) 専従する理学療法の経験を有する従事者が1人以上勤務している。ただし、(1)に掲げる理学療法士が専従の場合にあっては、この限りではない。

(2)45平方メートル以上の専用の施設を有すること。なお、専用の施設には機能訓練室を充てて差し支えない。

(3)運動療法を行うに必要な専用の器械・器具を次のとおり具備していること。
 訓練マットとその付属品、姿勢矯正用鏡、車椅子、各種杖、各種測定用器具(角度計、握力計等)

(4)届出に関する事項

 4の(7)と同じである。

7 作業療法(II)

(1)5の(1)と同様である。ただし、理学療法士とあるのは作業療法士と読み替える。

(2)治療・訓練を十分実施し得る専用の施設を有しているものであり、当該専用の施設の広さは、75平方メートル以上とする。なお、専用の施設には機能訓練室を充てて差し支えない。

(3)当該療法を行うために必要な専用の器械・器具を次のとおり具備している。

作業名 器具等の基準(例示)
木工 一般木工道具、足踏式木工器具、作業台等
金工 金工小道具、万力、金床等
治療用ゲーム 駒、輪投げ用具、絵合わせ用具、ピンポン用具等
手工芸 織機、造形用ろくろ等
日常生活動作 各種日常生活動作用設備

(4)届出に関する事項

 4の(7)と同じである。

8 精神科作業療法

(1)作業療法士は、専従者として最低1人が必要である。

(2)患者数は、作業療法士1人に対しては、1日75人を標準とする。

(3)作業療法を行うためにふさわしい専用の施設を有しており、当該専用の施設の広さは、作業療法士1人に対して75平方メートルを基準とする。

(4)当該療法を行うために必要な専用の器械・器具を次のとおり具備する。

作業名 器具等の基準(例示)
手工芸 織機、編機、ミシン、ろくろ等
木工 作業台、塗装具、工具等
印刷 印刷器具、タイプライター等
日常生活動作 各種日常生活動作用設備
農耕又は園芸 農具又は園芸用具等

(5)精神科を標榜する医療機関であって、精神科を担当する医師(非常勤で良い。)の指示の下に実施するものとする。

(6)届出に関する事項

(1) 精神科作業療法の施設基準に係る届出は、別添様式9を用いること。
(2) 当該治療に従事する医師、理学療法士又は作業療法士、並びにその他の従事者の氏名、勤務の態様(常勤・非常勤、専従・非専従の別)及び勤務時間を別添様式7を用いて提出すること。
(3) 当該治療が行われる専用の施設の配置図及び平面図を添付すること。


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