厚生大臣と語るwatching速報版

平成12年03月10日



fumio@as.airnet.ne.jp



 年休を取って久しぶりに霞ヶ関を訪れました。
 座席は特に意識しませんでしたが最前列。
 主催の一つが老人クラブ連合会であったためか、老人クラブのバッチを付けた方々が多かったです。
 灘尾ホールは満席!それにも関わらず、驚いたことに、マイクなしの高齢者の方の発言!ホール全体に響き渡る理論整然とした発言にパワーを感じました。(今時の若者にできるかな?)
 とにかく、メモ書きした内容を速報します。 


あいさつ

介護保険制度スタートまであと20日。間近に迫った介護保険制度について厚生大臣の講演をいただくことは、まさに時宜を得たもである。介護保険スタートの出陣式と認識している。

講演要旨

 全般的に、これまで厚生省が説明してきた内容が中心であったが、特に強調した部分は、以下のとおりである。

@ 介護問題は女性の問題
社会全体で介護問題を支えていく理念を強調
A 要介護認定について
 10月から実施しているが、公平性をを確保するためにコンピュータソフトによる一次判定を実施している。
 地域間格差については、地方自治の原点であり、地域の実情で実施していくことも必要。しかし、33%が保険料でまかなうということから、全国一律の公平性も保たなければならない。判定結果にバラツキがないように、再度訪問調査を実施することも必要であるし、今後は市町村職員が訪問調査を実施するように考えている。東大阪市のような事例は、委託解除といったように、厳しく対応していくことが必要である。
B 一次判定上の痴呆の判定が軽すぎるのではないかという問題
 人間の身体だから日々状態が異なる。二次判定でコンピュータの判定を補い、実体を踏まえた判定が必要である。
C ヘルパーの複合型について
 訪問介護は、当初は身体介護と家事援助の2種類であった。このままでは、2.6倍の格差が出てしまう。あまりにも大きいということで、複合型を設けた。
 典型的な身体介護に若干家事援助があるなら身体介護で、食事介助に食事の姿勢を取るための介護は家事援助にというような整理であるが、食事の時の介助時にベッドから起きあがらせて椅子に移乗して食事を介助するといったような例は複合型と考えている。
 また、家事援助の対象を明らかにしたが、家族と同居している場合でも、様々な援助が必要である。家族の介護負担を軽減することが介護保険の目的である。
D ショートステイの利用枠拡大
 要介護度2は、6ヶ月で2週間となっており、大部分の範囲で対応できると考えている。
 サービス利用が利用限度の6割未満の場合は、4週間にUPするようにした。それでもなお十分ではない人や従来より利用が制限されるような場合はどうかといえば、ショートの基盤整備が十分な県で、ショートの利用限度を超えた場合は更に振り替え利用を認める方針である。6ヶ月で12週間利用可能となる。
 事務処理システムの改修が必要とならないよう工夫したいと考えている。
E 長期間ショートステイを利用している場合
 長期間ショートステイを利用しており、施設入所と同じような例がある。そのようなために、既存のショートステイを特別養護老人ホームのベッドに転換できるようにする。
F ケアプラン
 急ピッチで進めている。自分で作ることも可能であり、そのような場合は、市町村窓口に相談して欲しい。
G 自立支援施策
 何もサービスが不要なわけではない。
 これまで利用していたサービスがうち切られるのではないかという不安をうち消すべきである。
 予防施策が重要であり、400億円計上している。
H 負担の問題
 9月までは助走期間として負担なしとした。それ以降は慣れの時期として1/2とした。
また、ヘルパー利用についても、低所得者対策として3%から段階的に引き上げるようにした。これは慣れるまでの経過的な激変緩和とした。
I グループホーム
 かつて、レーガンがアルツハイマー病であることを発表した。そのときの言葉は「人生の日没に向けての旅路の一歩を歩き始めようとしている」。とても心を打つ言葉で今でも焼き付いている。
 グループホームはそんな思いを以て在宅に位置づけた。
J 地方自治体の独自性
 流山市や横浜市のように、負担を6段階徴収としている市町村もある。趣旨を踏まえてこのような検討を進めて欲しい。独自の判断を尊重したい。
 例えば、保険者を共同で持つところは59団体、441市町村、要介護認定は477地域2545市町村で実施していおり、こういう工夫に対しても支援している。
K ご意見大募集
 おおかた準備は整った。いよいよスタートである。
 ご意見大募集と称して、E-MAILやFAX、手紙等で国民の意見をいただくようにした。1ヶ月で200件いただいた。また、よりよい介護保険を育てる会も設置した。老後不安をなくすためにも運用面で工夫して、理解を示してもらう。
L  1月にドイツを訪問した。5年たっても試行錯誤であるとの由。日本の介護保険はドイツにも劣らないものと認識している。
M オンブズマン
 地域の民生委員やボランティア、退職公務員の方々を養成・人選して「介護相談員」を設置する。
 定期的に施設を訪問して入所者の悩みなどを受ける機能。問題に対して提案型の解決を行う。
 具体的には、食事や入浴などの改善といったこともできるだろう。
12年度はモデル的に20〜30市町村でスタートさせ、2〜3年後には2000〜3000人を養成していきたい。
 利用者と施設の橋渡し役となってもらう。
N 身体拘束
 人権を擁護するために、運営基準に初めて明確化した。拘束しないケアを確立していきたい。
 老人介護は人間の尊厳の問題である。 

厚生大臣と語る(堤審議官も登場)のうち、主な語り合い

成功報酬について(OTの方から)
 評価の仕方、反映の仕方が判らない。病気を治すのは当たり前という医師の意見もある。一定の期間を区切って、1年間の要介護度の変化などを見た上で評価方法を開発していきたい。重要なテーマとしての宿題と考えている。(堤審議官)
民間活力の活用について(シルバーサービス振興会)
競争原理質の向上という部分でも期待している。はじめは多くの事業者があっても、サービスの量はさておいても、質の面でも自然淘汰されていくだろう。
昨年(11月8日)の負担見直しによって、負担が軽減されたことも理解できる。しかし、年金からの天引きについて、現在70〜80歳の方々の配偶者は任意加入のため、年金所得はない。夫の年金で妻の分まで天引きされる仕組みは問題ではないか。妻は年金がもらえないのに一律に負担するのはいかがか?(マイクなしの高齢の方)
この部分は、年金の充実を考えたい。
これまで年金、医療、介護と縦割りであったが、これらを包括して年金を主軸として制度改正していきたい。
このことについて、小渕首相は、それなら首相の諮問機関で検討していきたい。ということでそちらで検討することになった。
現在参院で年金法の改正を検討しているが、若い人の年金加入者負担も軽減させていきたい。また、高齢者の所得格差は、二極化が著しい。老人は弱者として一律の考え方を見直していきたいと考えている。
非営利団体、NPO、ワーカーズコレクティブの参入と質の確保について
 質の確保として、ヘルパーは3級からとしているが、3級の50時間研修だけでは不足と考えている。2級へ引き上げていくことで質の確保を図っていきたい。
ケアプランの作成が間に合わない
要介護認定は概ね行われたと理解している。しかし、ケアプランの作成が間に合わないと認識してる。
現在サービスを受けている人が4月からサービスが切れてしまうことのないようにしたい。ケアプランが間に合わない方は、とにかく市町村に届け出ていただいて、現状のサービスがつながるようにプランを作ってもらいたい。
訪問看護と介護保険の棲み分けが見えない
医療的立場からの実施されるものや難病、末期癌等は医療保険で実施するという整理となった。具体的には、診療報酬が整理できたので、そちらを見てもらいたい。
グループホームを運営する立場として、痴呆が軽く判定されてしまうと運営が成り立たない。重い人を選ってしまうこともあるのではないか?グループホームの芽を摘むようなことの無いようにして欲しい。
グループホームの活動はとても貴重(重要)であるととらえており、建設のための4分の3が整備費として出る.
サービスの不満について
サービス事業者に対する不満は、ケアマネに言っていただくことが身近な手法。業者を替えてもらう。もしそれでもダメなら、ケアマネも替えることだってできる。

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