介護保険関係者だけの短編小説(小説じゃあないって!)

第11話  「割引の考え方・・私誤解していました?」
〜はい誤解していました!〜

 きわめてリアルな会話・・・・・・・・・・介護保険ノンフィクション即席小説
 介護保険関係者だけが解る楽屋受けだらけ
 日頃のアフターファイブの出来事を小説風におもしろおかしく書き綴った介護保険関係者のためだけの物語です。
 登場する人物、団体は全て架空のものです。

 無断転載を禁止します。
 誤解を招かぬよう、フォローを入れるか、全文を転載することを条件に、事前承諾をいただければ転載可能です。


 作:野本史男 
 平成12年2月14日


〜序〜 山田からのE-MAIL
こんばんは。
10日の告示を見、「介護保険制度もいよいよ始まるのかぁ」としみじみしている今日この頃です。

で、ねっ、「割引」の主旨、内容について教えて下さい。
自分の手元にある資料を穴が開くほど読んでも、掲示板を覗きにいってもちっともわからんのです。
何で割り引きなんて考えが出てきたの?
その目的は何?
誰を対象に割り引くの?
割引率って全国統一?それとも各事業所ごとに異なっていいの?
国保連への請求はどうなるの?
割り引いた分の介護報酬は誰が保障してくれるの?
考え方によっては、サービスの抱合せ販売による割引もありってこと?
一体何を読めば詳しく書いてあるの?

考えれば考えるほど、ますますわからぁん。


気楽な気持ちでご返事
 おばんでがんす。
 割引っていう話は、WAM−NETの医療保険福祉審議会 介護給付費部会(第13回)資料、「介護報酬における今後の課題等について」に出ていますよ。
 たしか、値引きという考え方を文書として目にしたのは、この資料がはじめてだったと思うけど・・・。
 ついでに、介護保険掲示板にも「介護報酬ダンピングについて」という話題で1999年09月11日(土) 22時39分に書き込みがあります。
 私もこの書き込みに参加したので、覚えているけど・・・。

 さて、誰を対象に割り引くの?という問いには、どう答えて良いのやら判らないけど、被保険者のためっていう表現じゃあダメでしょうかねえ?
割引率は事業者が個別に設定し、国保連に届け出ることが前提。そしてケアプランも値引きした額で作成されることになるから、値引きされた事業者を利用すればその分多くサービスが利用できるって言うわけ。たしか、この考え方は、平成11年度のケアマネ研修の補習で聞いていると思うけど。
 それから、「サービス組み合わせ販売による割引」は、無理ですね。単独事業単位で事前に値引き額を届け出ちゃうわけだから、セット条件というのは不可能でしょう。
 まあ、目玉商品は割り引くという企業方針で赤字覚悟の設定はあり得るだろうけど、話が複雑になるので、とりあえず、こんなところで・・・・
答えになっていないかな?


やはり返ってきた悲鳴
山田 ・・・・・・・・・・・・・・・・もっと判らない。うううううううううううううううううううううううううう

田中 何が判らないの?

山田 だって、被保険者のために割り引くんでしょ?

田中 結果的にはそのとおりだけど、何か?

山田 だから、自己負担軽減のためなんだから、割引制度をやって、割り引いた分の請求はどうなるの?

田中 っちょっとまたたたたたたった!今なんて言った?

山田 だから、割引するんだから、その分の補填はどうなるの?

田中 あれれれ?それって、平成11年11月の三党合意によって作られた低所得者対策とか、ヘルパーの3パーセントの話?それとも、災害等の減額っていう介護保険法第50条のこと?

山田 いやいや、医療系はできないっていっているやつで・・・・ケアプランの給付管理でも出てくるやつ。

田中 えっ!?やっぱりそのこと?それじゃあ、考え方が混乱しているよ。

山田 え?違うの?

田中 つまりね、ここでいう値引きとはね、本当に企業努力してサービスの報酬を低くするって言うこと。もしかして、山田さんは被保険者のために利用料を値引きするって考えていたでしょ?

山田 え?違った?

田中 ・・・・・・・・・・・・・・・

山田 こんな風に思っている人多いと思うよ・・・・・

田中 護送船団とも言える措置制度の延長線で考えるから勘違いしちゃうのかなあ?

山田 だって、利用者の負担額を軽減したいじゃないの・・・・・その話と思っていた・・・。

田中 ちょっと考え方を整理するとね、まず、利用者負担額って言うのは、かかる介護費用の一割を負担するという考え方を絶対に捨てないでね。

山田 うんうん。

田中 だからね、負担額だけ減額できるのは、災害とかそういったさっき言った特殊な例だけとなっている。

山田 それは判った。

田中 山田さんが表現する割引とは、利用者割引ということだったわけだけど、本当は「介護報酬の減額請求」ってこと。減額請求するから、減額請求した額の一割が安くなるってことなんだ。

山田 じゃあ、その減額した額はどうやって補填されるの?

田中 だから、減額するのは、誰かに頼まれてやる訳じゃあない。企業として努力した結果、ディスカウント価格を設定するということなんだ。補填なんて発想につなげてはいけない。その発想につなげちゃうのは、従来の措置の考え方って言われちゃうよ。発想を180度切り替えなくっちゃ。とにかく事業者という企業なんだから。お役所的なカチカチ頭になってない?

山田 公務員に言われちゃあおしめえよ!

田中 最近は、コスト計算しなくちゃ役所だって財政再建団体になる。つまり倒産だよ!

山田 ははは、本当!?

田中 かなりマジ。


でも矛盾を感じるんだけど
山田 でもさあ、このディスカウント制度は、医療系の場合は該当しないってどうして?

田中 僕も調べたんだけど、明確に記載された部分は見あたらなかった。反面、値引きしていいということも書かれていなかった。
    厚生省も医療系だけは値引きできないって断定的な言い方だっただけに、調べたくなってね。
    まあ、診療報酬の積算の考え方そのものから来るのかなあ?

山田 じゃあ、最低限度の医療水準を守るための最低価格ってこと?それじゃあ、介護報酬は上限だって言うの?

田中 真意の程は判らないなあ。ただ、昭和55年頃、ある病院が24時間診療体制を組もうとして厚生省まで巻き込んだ論議になったことを思い出したよ。その中にも診療報酬を値引きするっていうことも含まれていたような気がする。その時の議論を思い出せれば整理の糸口が見つかりそうなんだけど、すっかり忘れちゃった。ははは・・・

山田 う〜ん。昭和55年頃、まだ子供だったから知らない?

田中 え?ウソ!?


それじゃあどうすればいいの?
山田 一応、頭は整理できたとして・・・・・じゃあどうすればいいの?

田中 それはね、とにかく、コスト計算から始める。ただ、安かろう悪かろうっていうことになっちゃあいけない。何処を割り切ればいいのか、そのあたりが難しいんだろうね。

山田 これまでのコストから計算したんじゃあいけないの?

田中 目安にはなるだろうけど、被保険者の意識も変化するし、提供する側の意識も違ってくるだろう。
    とにかく、福祉サービスを役所から受けるという考え方から、消費者としての意識に変わるわけだよね。

山田 そこは解るような気がする・・・・

田中 だから、従前のコストで計算してはいけないわけだ。

山田 だったらどうすればいいの?

田中 いずれにしても、介護保険制度を一切経験せずにディスカウントの話を先にしちゃうから本末転倒になる。
    「たら・れば」で整理しても、実際どうなるか解らない。CS(customer satisfaction=顧客満足度)の評価やコストパフォーマンスをどう図っていくかなんていう部分を検証しなければいけないよねえ。市場動向だって解らないのに、それをバーチャルしただけでディスカウントしますなんて言っちゃって本当にいいの?

山田 じゃあ、みんなで話し合ってディスカウントやめればいい。

田中 そんなことしたら、カルテルだっていうことになっちゃって、公取委あたりが動き出しちゃうかもしれないよ。これもディスカウントをOKしたために発生することだね。

山田 そうかあ・・・・・・・・・・

田中 いずれにしても、ディスカウントの届出は、今しなければいけない訳じゃあないんだから、ちゃんとコスト計算してからにしたら?
    そうそう、市場動向にも十分注意することが条件だけどね。


もし、ディスカウント合戦になったら・・・・
山田 もし、ディスカウント競争になったらどうなるの?

田中 それって、すごく深刻

山田 そのココロは?

田中 まず、最大の経費って人件費でしょ?いくらで雇うかなんだ。どうもボランティアを使えば安くなるって思っている人もいる。

山田 私もそう思っちゃうかも

田中 でも、ボランティアを使ってディスカウントしましょうなんて考えは猛反対。
    目的が違うでしょ?ボランティアの目的が!
    誰もが納得できる労働に見合う報酬からスタートしないと、結局の所福祉労働者の地位が上がらないことになる。これって、福祉にとって最大の損失だと思うなあ。

山田 そうねえ。風の便りで聞いたけど、外国人労働者を導入しようって考えている事業者もあるとか・・・・・

田中 それって、すごく議論が分かれませんか?いいとか悪いとか答えが出なくなるよ。そこの論議は別の機会にしようよ。

山田 私もその話になったら悩んじゃう。

田中 とにかく、ディスカウントによって荒廃しない市場を作らなければいけない。介護保険制度って、誰のための制度なの?うまくいかなければ誰が困るの?

山田 消費者である高齢者・・・・・ってことになる。

田中 ちゃんと本来の目的を見失わないようにして、誇りを持って仕事ができる環境を作って、その上で企業努力していく。そうしなければ2025年まで持たないよ。

山田 そうねえ・・・・


デザート
田中 本当に誤解していたの?

山田 いや・・・・真面目に誤解していた・・・・

田中 他にもこんな誤解していた人っているのかなあ?

山田 ケアマネでこんな誤解していたらバカにされちゃう・・・・・

田中 いやいや、ケアマネ研修で思いっきり誤解した質問をしている人もいるくらいだから

山田 そうそう、私だけじゃあないと思うわ

田中 いっそのこと、この場を借りて、こんな誤解していた方いらっしゃったら、メールくださいって言ってみようか?

山田 そんなメール書いてくれる人いないと思うよ。だって、恥ずかしいことでしょ?

田中 そうか・・・・・・・・・匿名OKなんだけど・・・・むりかな?

山田 じゃあ聞いてみたら?


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