介護保険関係者だけの短編小説(小説じゃあないって!)

第19話  「在宅サービスと介護保険」
〜ちゃんと整理して運用してよ!〜

 きわめてリアルな会話・・・・・・・・・・介護保険ノンフィクション即席小説
 介護保険関係者だけが解る楽屋受けだらけ
 日頃のアフターファイブの出来事を小説風におもしろおかしく書き綴った介護保険関係者のためだけの物語です。
 登場する人物、団体は全て架空のものです。

 無断転載を禁止します。
 誤解を招かぬよう、フォローを入れるか、全文を転載することを条件に、事前承諾をいただければ転載可能です。


登場人物の紹介
 田中 コンピュータ屋さんと間違われる県職員。実はケースワーカー
 山田 とある介護保険事業所のケアマネージャー(社会福祉士さん)
 鈴木 市役所介護保険課職員
 木村 町役場保健福祉課老人福祉担当職員。実は、かつて企業の人事部に勤務していたこともある。 
 斎藤 老人ホーム職員

 作:野本史男 
 平成12年6月20日


〜序〜
介護保険がスタートしたけど、早速C社の事業規模縮小の話や、介護報酬の暫定払いやら、けっこう騒がしい話ですね。
今回は、頓珍漢な四方山話で・・・・


〜誰が救急車に乗るの!?〜
山田 あのさあ、この間ね、ヘルパーが預かりものを届けに利用者さん宅に行ったのよ。そしたらね、大変なことになっていてさあ!
木村 え!?亡くなられていたの?
山田 のっけから、そっちに話を持っていかないでよ!縁起でもない!あのね、トイレにはまってしまって二日間そのまま・・・・・
木村 え〜!?絶句!
田中 ヘルパーさんどのように対応したの?
山田 それがねえ、訪問介護でお邪魔した訳じゃあないのよ。たまたま、預かりものを仕事の帰りに持っていったの。そしたらそんなことで・・・
田中 それじゃあ、業務外でおじゃましたんだあ〜。
山田 そうなのよ。それでね、ヘルパーさんは、すぐに担当のケアマネさんに連絡して、介護支援センターの職員も緊急で訪問してね、救急車を呼んだんだけど、トイレの前で救急車には誰が乗るの?って話になってね。
木村 はあ〜ん。誰が乗るんだろうねえ?いっそのこと全員で乗っちゃえば?
山田 でもさあ、みなさんどこまでが仕事なんだか、その後の予定も詰まっていたようだし・・・・譲り合いの精神で・・・・・
田中 う〜ん。ちょっと話を整理しようよ。まずさあ、ヘルパーさんはどのようにして家の中に入ったの?助けてなんて言葉が聞こえたのかなあ?
山田 あ、この話、以前に田中さんから聞いたことある!たしか、ヘルパー研修の講師していたときに聞いたわ!
田中 へへへ、思い出した?
山田 緊急性があれば、複数人で家の中に入る。できれば警察を呼んで・・・・でしたよね。
田中 そうだよねえ、もし事件だったら、あとどのようになるのかは嫌って程判っているよね。
山田 第一発見者は警察に真っ先に疑われる。もし、現場を荒らしたり、遺体を移動させたら大変なことになるって・・・・・。
田中 良く覚えているじゃない。それでヘルパーさんはどうしたの?
山田 それがね。やっぱり声は聞こえなかったけど、ちょっと家の雰囲気が違っていたんで中に入ってみるとトイレで物音がするので・・・・ってこと。
田中 まさか、トイレから引き出したんじゃあないでしょうね?
山田 そこのところはちょっと聞いていないんだけど・・・・トイレから引き出しちゃあいけないの?
田中 まずさあ、本人は意識があったのかな?痛いとか早く引き出してなんて言っていたの?
山田 痛いって言っていたみたい。それで直ぐに手を貸したらいけないの?
田中 基本的に引き出したらいけないんだよ。だって、もし骨折とかしていたらどうするの?脊椎とか傷つけていたら、最悪下半身麻痺だよ。単純骨折でも無理に骨折部分に外傷を与えたら長期入院になっちゃう。場合によっては骨髄炎で・・・ってこともあるんだよ。
山田 じゃあ、黙ってみていればいいの?
田中 すぐに救急車を呼んで、電話で適切な指示を仰ぐ。それが最善の策だね。
木村 まあ、場合によってはレスキューを要請することになるかもしれないからね。
田中 そうだよね。トイレごと救出することになる場合もあるからねえ。
山田 判ったわ。ところでさあ、誰が救急車に乗ればいいの?
田中 やはりさあ、第一発見者・・・・かなあ?
山田 ケアマネは?
木村 ケアマネはケースワーカーじゃあないしねえ。そこまで業務としては位置づけられていないから・・・・
田中 まあ、よくケアマネが駆けつけてくれたよねえ。姿勢はいいんだけど。厳密に言えばケアマネの仕事じゃあないよね。
山田 それじゃあ、ヘルパーさんは?
田中 でもさ、この場合の付き添いって言うのは意味が違うよねえ。入院の支度や入院介護なら判るけど、事故発見の状況を説明するためにというのなら、発見当事者としての当然の義務だと思う。
木村 事件として警察の事情聴取を受ける部分は、介護保険請求対象となるの?っていうことと同じだってことだね。
田中 そうなんだ。そこから考えると介護業務じゃあないよねえ。
山田 でもさあ、これまでは、市町村のワーカーさんが対応してくれていたじゃないの?
田中 だから、入院の手続や手伝いは介護保険でも可能なんだろうけど、まあ、利用契約をして償還払いで・・・・という部分が腑に落ちないわけでしょ?
山田 そうなの・・・・・


〜 市町村の対応って?〜
田中 たしかにさあ、これまで一人暮らし老人対策っていうことで、何かあれば市町村が矢面に立って対応してくれていた。でも、介護保険になったら受給者さんは介護保険だけで対応しなくちゃいけないような印象が強く出てきているよねえ。
山田 そうそう、そうなんですよ。その発想って、狭間に置かれた状況を見ると今までの福祉水準が落ちたって思われちゃう。
田中 判るなあ。緊急通報システムや体制はどうなっていたんだろう?介護保険で対応できない隙間は全部市町村が考えなければならないのが本筋だよ。
木村 自治事務という部分でもそうですよね。介護保険だって市町村の福祉の一部なんだから、全体で見なくてはならない。
山田 でもさあ、介護保険になったら福祉の対応は減少するって思っているんじゃないの?
田中 そう思っちゃあいけないよ。だってさあ、介護予防生活支援ということで、厚生省の補助事業は以前よりメニューが増えているんだよ。
木村 介護保険は介護保険だけ考えていてはいけない。ちゃんと福祉との連携ができなければ介護保険を創設した意味がないっていうことなんですね?
山田 そうよそうよ!福祉サイドは介護保険は関係ない。その逆も関係ないなんて思われちゃあ、ダメってことね?
田中 そう。そのとおりだ。お互いの事業をきちんと理解して総合的に調整しておかなければ、誰もがその狭間でたらい回しになったりするんだ。
山田 そう言う部分が成熟するのは時間がかかりそうね。
田中 介護保険だけが脚光を浴びるんじゃなくて、介護予防生活支援事業担当にも同等に光を当てて、ちゃんと業務ができる体制を持ってもらわないと大変なことになるよ。


〜ところで、介護支援センターはどうなるの?〜
山田 ところでさあ、介護支援センターも今年度からは非常勤職員が前提だから、業務内容だって実態把握加算がつくと言っても、どんなもんでしょうかねえ?機能縮小されちゃったのかしら?
田中 介護保険部分に移行した部分は業務量が減ったという整理だね。
山田 それじゃあ、そういった総合相談機能は、介護保険のどの部分で対応することになったの?
田中 う〜ん。少なくとも従前の介護支援センターがやっていたサービスの総合的提供調整部分はそこに移行したということだね。
山田 でも、ケアマネの業務は、従前の介護支援センター業務まで総合的・ダイナミックな仕事はできないわよ。
田中 よろず相談的な部分はやりきれないだろうねえ。
山田 それなら、誰がその部分をフォローするの?
田中 たしかに、見えない部分だね。そういった部分の業務量が正確に反映され切れていないとも言えるね。


〜こんなこともできるの?〜
山田 それじゃあさあ、要介護認定調査員を介護支援センター職員が兼務していたとする・・・・。
田中 それで?
山田 認定調査に訪問したら、介護支援センターの実態把握加算ももらえるの?
田中 そりゃあすごい発想だね。
山田 だって、要介護認定で訪問した際に併せて介護支援センターで必要な実態を追加で把握したら、一石二鳥じゃないの?
田中 調査の往復部分はダブルでしょ?すなおに良いですよとは言えない部分だなあ。
山田 でもさあ、効率的にって考えれば自然とそういった対応になると思うの。ちゃんと介護支援センターと情報の共有が無ければいいわけでしょ?
田中 すごいところ突いてくるねえ!まあ、市町村にそのようなことが可能かを確認して、補助金交付機関が良しと解釈してからにしたら?
山田 へへへへ・・・田中さんも答えられないんだ〜!
田中 僕なら、個別に管理しなければならない個人情報を混同しないとは言い切れないだろうし、そうなら、支援センターの市町村との契約や介護支援事業所の基準に反すると言える。それぞれ独立した個別業務だから。っていうことで、同時に実施することはダメだと言う可能性が高いな。もし、万一認めるとしても、混同されるような調査(把握)をしてはならないとか、実態把握加算は往復時間などで重複する時間帯分を減額するとか、考えざるを得無いなあ。
山田 まあ、現場の実体を考えると利用者にとっては同じことを何度も聞くみたいな感触を持つだろうから、善処して欲しいなあ。
田中 頭が固いようだけど、ちゃんと議論して置いた方が良い部分だね。


〜市町村の役割って?〜
山田 でもさあ、介護保険になってから、高齢福祉にケースワーカーの存在感が薄れちゃったと思わない?

田中 本来はむしろケースワーカーは少数精鋭で頑張ってもらわなければならないんだよ。複雑な事例に対応する比率が高まるんだからさあ。
山田 そうかあ・・・・単純な施設入所調整は介護保険に行ってしまったわけだし。そうよねえ。複雑なケースの調整機能はどこになるんだろう?
田中 市町村固有の事務と私は思っているよ。
木村 どうして?
田中 さっき言ったように、そもそも介護支援センターは、市町村の委託事業でしょ?介護保険だって市町村。だから、どこも当てはまらない部分は、当然市町村が直接対応する仕事になる。
山田 なんだか、ケースワーカーがケアマネになったと思っちゃいそうだったの。ケアマネの業務内容として基準に定められている事項を超える部分は、市町村がどうするか考えなければならないのかあ。
田中 と言うわけで、山田さんも市町村も全体でモノをみないとね。
山田 田中さんの所も、監査とかチェックする場合、全体でモノをみないとザルとか、節穴とか言われちゃうわよ!
田中 そりゃそうだ!


新しいフレームを開いてトップに戻る   同一フレーム上でトップに戻る 
フレームを開いていないときは、左側をクリックしてください