介護保険関係者だけの短編小説(小説じゃあないって!)

第26話  「ケアマネ等に2,000円どうやって支払おうか?」
〜 いったい全体、何をどうすればいいの!? 〜
最後まで読むとおまけがあるよ!

 きわめてリアルな会話・・・・・・・・・・介護保険ノンフィクション即席小説
 介護保険関係者だけが解る楽屋受けだらけ
 日頃のアフターファイブの出来事を小説風におもしろおかしく書き綴った介護保険関係者のためだけの物語です。
 登場する人物、団体は全て架空のものです。

 無断転載を禁止します。
 誤解を招かぬよう、フォローを入れるか、全文を転載することを条件に、事前承諾をいただければ転載可能です。


いつもの登場人物の紹介
 田中 コンピュータ屋さんと間違われる県職員。実はケースワーカー
 山田 とある介護保険事業所のケアマネージャー(社会福祉士さん)
 鈴木 市役所介護保険課職員
 木村 町役場保健福祉課老人福祉担当職員。実は、かつて企業の人事部に勤務していたこともある。 
 斎藤 老人ホーム職員

今回のゲスト
 山本 もう一つの町の職員
 
 作:野本史男 
 平成13年1月19日


〜 序 〜
新年あけましておめでとうございます。
久しぶりの小説ですね。
あまりご無沙汰しすぎたので、忘れられてしまったかも・・・・
今回は、いよいよ1月にスタートしたケアマネ等に対して支払われる2,000円のお話です。


〜何の科目で支払う!?〜

田中 ねえ、皆さんの所で2000円をなんの予算科目で支払うの?

木村 うちはねえ、補助金!

鈴木 うちは手数料!

山本 うちは・・・・決まっていない!

田中 やはり、どこも違うんだね。

山田 ねえ、支払いナントカがちがうと、何か困ることがあるの?

田中 そうだねえ、まずは補助金だったら、補助金申請やら交付決定、そして精算っていうことがある。手数料だったらそんなに問題はないだろうけど、課税をどうするか?っていうこともある。

山田 それって、市町村ごとに違ったら、手続きが面倒になっちゃうじゃなのよ!

鈴木 でもねえ、厚生労働省(文字数が多くて面倒!)がとにかく支払えって言うから、統一できないんだよ

木村 いっそ、こうしろ!って言ってくれた方がよっぽど楽だよね

田中 だから、どうしようか?って考えているんだ・・・・

木村 田中さんの方でとりまとめてよ〜

田中 そうだねえ。まず、今日の所は課題整理をしようよ!

山田 そうそう!整理しよう!地域でまとまれば、私が楽になる!


〜どうしたら2000円もらえるの?〜

山田 ねえ、どうしたら2000円もらえるの?

田中 まずねえ、要綱上の給付条件はね、「振り替え希望があり、相談・援助を行った場合」1件単位で支払える。だから、その月中に相談・援助を実施すれば給付対象となる。

木村 そうなんだ、実現できたものに限るとは要綱上縛りがないんだ

山田 ラッキー! 相談だけで支出できるの?でもさあ、援助とは何を指すのか教えてよ!

田中 相談だけはちょっと難しいだろうね。まず、援助っていう定義は定まっていないけど、訪問通所サービスの区分支給限度額を短期入所利用への振替や、居宅介護住宅改修費又は居宅支援住宅改修費の支給の申請に係る理由書を作成といったように、具体的な事務処理を行ったことを言うんだろう。

鈴木 カッコイイ!要綱棒読み!

田中 いいんだよ、しっくりくる下りがあればそれを定義に引用すればいいんだから!

山田 それじゃあ、もう一つ教えて!
    もし、事務処理して、間違っていたら?

田中 そりゃあ、ダメでしょうね。作った人も納得するんじゃあないの?

山田 ははは、やっぱり!乱発する輩もいるだろうから、そう思ったんだ
    でも、要綱には「区分支給限度額を短期入所利用に振り替え希望する者」とあるでしょ?だから、利用者から希望するだけでも、相談に当たるし、ダメだよ!って説明したのを援助と言っちゃえば給付が可能と言えるかも・・・・ だれが仕切るのよ!?

山本 ある程度の統一見解が無ければ混乱の極みだよ。だから困っているんだ。
    だけどさあ、だめなことを説明したって、何を挙証資料として支出手続きするの?やはり、何らかの客観的な説明が必要なんだ。税金を使うって、やはり住民への説明が必要なんだ。

鈴木 やはり、ダメだよって説明したのは具体的な援助には当たらないだろうねえ。援助とは、直接的な何かが必要なんだ。ダメだっていうのを説明するのは、紙に書いても口頭でも相談の一環だろうねえ。

山田 それじゃあ、複数の施設に対して振替を実施した場合は、作成は複数となるけど、支払いは一人の利用者に1件となるの?

木村 また難しい話をしてくるね、でもさあ、1件当たり1月・・・って要綱に定められることから考えると・・・作成の都度2,000円を支払えるものではないでしょ?

田中 そうだよねえ、施設をいくつ組み合わせても、相談援助の回数って1回でしょうね。給付対象は限度額の組み替えであって、その後に受領委任の書類作成しても、その組み替えに対して支払うんだからね。

山田 つまり、ケアマネが計画を作るのと、サービス提供機関をコーディネートするのと同じってことか・・・・残念。


〜 支出の条件を整理しよう 〜

田中 まず、支出の対象を考えてみよう。
    実現可能な事例に対してケアマネ等の実施業務が正当に行われたもの。っていうのはいいね。

全員 いいと思う!

田中 それじゃあ、受給者のやむを得ない事情により介護保険制度の利用が行われなかった場合も支払いの対象とするために、「その他、市町村長が認めた場合」を追加したらどうかなあ?

全員 その他、市町村長が認めた場合、って良くある記述だから、問題ないでしょうね。どのような条件かは、田中さんの表現を引用するよ!

木村 それじゃあ、履行確認はどうすればいいの?

鈴木 そうそう、申請とか、請求とかっていうのは、書類が必要でしょ?添付書類は、具体的援助を証明するものが必要。

山本 それじゃあ、短期入所の場合は、これまで市町村が受け取っていた受領委任の書類の写しを添付してもらったら?そして、住宅の場合は、償還払いの時の理由書の写しを添付してもらえばいい。

山田 でもさあ、理由書なんかは利用者から市町村に出されるでしょ?それがあればいいじゃないの?

田中 だから、償還払い手続きを何らかの事情で行わなかったら、いつまでたってもケアマネは2000円貰えないんだよ。

山田 そうかあ、人づたえって、性善説じゃあだめなんだ・・・・

木村 その後正しかったかのチェックは?

山本 レセプトチェックは?

田中 いやあ、レセプトチェックって言ったって、レセプトが返戻されて何ヶ月も滞っている実態から見ると、レセプトありきじゃあ年度繰り越しだって発生するでしょ?

山本 そうか、レセプトの請求時効と予算とは別だものね。

田中 レセプトチェックは、医療と同じようなレベルで考えて、過誤調整するしかないね。翌年度になって発覚したら、過年度誤払い金の戻入をするしかない。

山本 雑入ですか!?

田中 払えないよりいいでしょ?


〜 支払い方法は?〜

田中 支払方法は、補助金、手数料、委託料、報償費・・・・いろいろあるね。

山本 ところで扶助費は・・・・国の補助金交付要綱には無いから無理か・・・

鈴木 まあ、補助金が今回の改正で含まれるようになったから、補助金が有力かなあ?

田中 補助金は事務手順が面倒だけど、税金のことを考えなくていいから楽だね。

山本 税金って?

田中 だって、手数料なら消費税課税対象でしょ?報償費なら源泉徴収する???

山本 そうかあ!消費税はどう設定するの?内税?外税?

田中 短期入所は事業者に、住宅はケアマネ等の個人に支払うから、住宅の場合は個人事業者でない限り消費税の問題は少ないけどね。
    消費税の取扱い以前に基準額をどうするかだよ。給付額は補助基準額とは異なり、市町村が決めればいいんだけど、2000円が一人歩きしているから、簡単に内税ですとは言いづらい面があるね。

山本 外税だったら、100円は国庫補助対象外ってこと?

田中 そりゃあそうでしょ。市町村の自腹だね。

鈴木 非課税事業者と2種類基準額を考えないといけないってこと?

田中 その方がいいだろうね。ところで、非課税事業者に課税基準額を支払ったら、支出上そもそも誤払いと言われないの?

鈴木 そりゃあ、個人に支払われる手続きの中で問題になるだろうね。

木村 ところで、補助金の場合、何か問題ある?

田中 う〜ん、やはり、申請と交付決定、精算っていうことがあるでしょ?精算っていうと、レセプトチェックまでしないとダメなんて出納で言われたら、精算できなくなるね。
    だから、精算は、レセプトチェックしない段階。実施件数を確認した段階で行うようにしないと・・・・。2年後に出されたレセプトを確認して支払いする?
    それとも、レセプトが来ないから支払わない?そうしたら、2月3月分は支払いは殆どできないのでは?

木村 う〜ん、それじゃあ、支払い月を12月までってやっちゃったら?

田中 短期入所はそもそも12月までだからいいけど、今年度は?前年度の事業行為に対して翌年度の予算で支払えるの?出納大丈夫かなあ?

木村 ちょっと出納と支出可能か相談しておきますよ。

田中 だから、レセプトチェックありきで考えると無理がある。

木村 相談する前に要綱を慎重に作ろう!

田中 それと、支払先が個人となると、市町村直営事業者の場合、個人に支払うと面倒じゃない?ウチの場合、人事課へ営利事業届けを出して、職務専念免除扱いになるかもしれない。

木村 そりゃあやっかいだね。

山田 なにグチャグチャした話しているの?とにかく出してくれればいいのよ!

田中 そう言っても、ちょっと整理が必要なんだ。

山田 ちょっとどころじゃなさそうじゃないの!?

田中 まあね。でも、税金を使うって、いい加減じゃあできない。それに、確実に執行しなければならないから、それぐらいしょうがないでしょ?

鈴木 そうですよねえ・・・・


〜 おまけ 〜

山本 最後に、月の途中でケアマネが変更した場合、どちらへ支払えばいいの?

田中 .要綱上、「必要な相談・援助を行う・・・・居宅介護支援事業者に助成する」とされていることから、当該業務を実施した事業者に支払うものと解されるでしょ?だから、ケアマネが月途中に変更された場合、月末に給付管理を行う介護報酬の例とは異なり、本事業の場合は、変更されたケアマネが対象業務を行わないことから、業務を実施した者に支出することが適当ではないかなあ。

山本 そうだね。

鈴木 様式、どうしましょうか?

田中 難しい申請書を作らなければいいでしょうね。とにかく、事業者側が混乱せず、簡単な手続きでできるようにしなければ・・・・年間1件の実績しかない事業者もあるだろうからね。

山本 そうそう、個人に支払うってことは、MAXは、ケアマネと福祉住環境コーディネーター、OTの人数分、相手方登録することになるの?

田中 まあ、MAXはそういうことになるね。

鈴木 死にそう!

山田 苦労して振替業務して、手続きに苦労して・・・・こっちが死にそう!



おまけのおまけ!
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