介護保険関係者だけの短編小説(小説じゃあないって!)

第六話  振り向けば「介護支援専門員」
〜被保険者の不満は何処へ?〜

 きわめてリアルな会話・・・・・・・・・・介護保険ノンフィクション即席小説
 介護保険関係者だけが解る楽屋受けだらけ
 日頃のアフターファイブの出来事を小説風におもしろおかしく書き綴った介護保険関係者のためだけの物語です。
 登場する人物、団体は全て架空のものです。

 無断転載を禁止します。

 作:野本史男 
 平成11年11月15日


感想お待ちしております。
小説の題材リクエストもお待ちしております。


fumio@as.airnet.ne.jp


序章

田中 いよいよ要介護認定審査会がスタートしたね。

山田 そうだね。うちの町は人口が1万人だから、さほど申請が来ていないけど、隣の市はけっこう来ている様子だね。

田中 審査会の事前調整なんて結構大変でしょ?

山田 うん。けっこうね。事前に先生方に審査会資料を読んでもらおうとしたけど、忙しいからって、今は審査会席上で初めて読んでもらっているんだ。

田中 へえ〜?けっこう時間かかるでしょ?

山田 そんなでもないよ。だって、論点を箇条書きで読み上げた後、「一次判定では要介護度×に該当すると出ましたけど、ご意見をください」と言うだけだから・・・」 

田中 へえ〜?そんなのでいいの?

山田 けっこう、その場で資料を真剣に読み込んでくれているから、やはり、ドクターはすごいね。即座に問題点をチェックしちゃう。

田中 ところで、判定結果はどう?

山田 うん。そこが苦しいところでさ、けっこう軽めに出ちゃってね。3日前から要介護認定審査結果の通知を出し始めたんだけど、不満が出ないか不安で・・・・・

田中 そう、うちに隣の市で不服申し立てが出そうでさ。明日申し立てに来るって電話があったんだ。

山田 もうそんな話ですか!?

田中 そう、でもね、その電話のやりとりで気になったことがあって・・・・

山田 なんですか?


不服審査っていったい何?

田中 それはねえ、不服審査って、保険料や事業者に対する不服は、国保連合会が受けるでしょ?それで、都道府県が受ける不服審査は、要介護認定に関することだよね。

山田 そうですよねえ

田中 じゃあ、要介護認定とサービスの量との関係については、どうなんだろう?

山田 利用者にとって見れば一緒ですよねえ?

田中 そうだね。でも、今回の不服申し立ての電話で気になったのは、申立人が言う不服って、認定された要介護度が自分の身体状況と比較して、不満かどうか、ということでしょ?
    でもね、申立人にとって、要介護度って何なのか、いったいどの程度なのか理解できているのだろうか?

山田 そうそう、市町村の職員だって、状態像は理解できても、一言で要介護度をグルーピングできないよねえ。

田中 そうなんだ。だからね、要介護度をとって不服といっても、利用できるサービスの量が満足できない、ということに行きつくんだ。

山田 そうか!?じゃあ、サービスの量が市町村毎に決まる時じゃあなければ、実際の不満なんて解らないよねえ。

田中 うん、だから、区分支給限度額や種類支給限度額が決まらなければ、要介護度に対する意識の平準化は図れない。

山田 それじゃあ、今要介護認定決定通知が届いても、不服を申し立てていいのやら解らないということ?

田中 そういうことになるけど、市町村で決定通知を送付するときに、厚生省が示した説明資料の例示を付けているところも多いよねえ。住民はその例示を見て不服かどうかを判断していることになる。

山田 それじゃあ、その例示のサービス量を下回ることになった自治体の住民は、上限を知ったときから不服申し立てをしたくなるかもしれないと言うことなんですか?

田中 そうなるねえ・・・・

山田 ところで、例示していたサービス量を下回った場合、それを告知したときに、住民から詐欺だなんて言われないかなあ?

田中 それが詐欺に当たるか否かは、見解は避けるけど、騙されたと思われることは確実だろうねえ・・・・

山田 なんてこったい!?


悩める田中

山田 それじゃあ、田中さんのところでは今回の不服申し立てに対しては、どう対処するのですか?

田中 それで悩んでいるんだけど

山田 いつもの田中さんらしくないですねえ・・・・

田中 笑わないでよ。でもね、この小説の場合に限らず、当事者は悩まなくっちゃ成長しないって!!

山田 はははっ、自己弁護して!

田中 でね、今回の不服申し立てだって、結局のところ、例示されたサービス量と比較しての不服なんだ。もし、不服審査を正式に出された場合、不服審査では、サービス量が適切かを審査することにならないし、要介護認定調査が適正に行われているかを判断することになる。だから、申立人の抱えている不満を解決することになるか・・・

山田 けっこう考えると難しいですね。でも、僕のところに相談があったら、そのほかの在宅サービスもあるし、って答えちゃおうかな?

田中 それって、問題のすり替えというか、その一言で不服を押さえ込んだら、飴を見せびらかして・・・子供だましそのものじゃないかなあ?

山田 でも、きっと、身体障害者手帳を取れば、不足する分はそちらで・・・なんて言う輩もでるんじゃない?

田中 不服審査がそういう結果を招くなら、仕組み自体考えなおさなくっちゃね。


振り向けばケアマネジャー?

山田 ところで、サービス量は、国が上限を設けるよねえ。でも、それに不足する地域は上乗せ等を考えていい。と言われていたけど、結局のところ、市町村としては65歳以上の人たちだけに負担が嵩む仕組みは望ましくないということで、介護保険法外の制度を考え始めているよねえ。
    それに、国も周辺のサービスを強化すると言っているけど、結果的には、市町村の動き如何っていうことだ・・・。

田中 そうだね、でも、その動きは、メニューが複雑になることになるし、利用者側にとれば、全体で見ちゃうと不服というか、不満の焦点が定まらず、よっぽど勉強していないと申し立てられなくなっちゃうね。

山田 ところで、要介護認定結果を受けた住民が既にサービスを受けていたとしますよねえ。ヘルパーが毎日来ていて、ほかのサービスをほとんど受けていない場合、ヘルパーの量が少なくなるって不満を持つわけですよね。そういう不満はどう受ければいいのでしょうかねえ?

田中 そのときは、サービスは一つじゃなくて、サービスを組み合わせて、全体で支えていくことを説明しなければならない。これは、市町村側で説明する部分になっちゃうんじゃないかなあ?

山田 でも、それは、実際の場面では、ケアマネジャーが行う部分ですよね?

田中 そう・・・

山田 結局のところ、サービス量は、国が一定のところで決めて、都道府県は、市町村に振る。市町村は決められたサービス量で住民が文句を言われないよう努力してサービスを確保して、不足すれば法外のサービスを作らなければならない。でも、ここで解ったのは、結局はケアマネジャーに最後の調整を任せることにならないかなあ?

田中 そうなんだ。今までは、国は制度を作り、都道府県も振り向けば市町村がある。市町村は振り向けば住民だから・・・どん尻だから振り向きようがない・・・・だから市町村が踏ん張っていかなければならない。保険者だから仕方がないのかなあって思っていた。でも、最後の最後は、ケアマネジャーがいた。市町村も振り向けばケアマネジャーがいる。そんな風になっちゃったら、制度自体が無責任になっちゃう。やはり、市町村が保険者として責任を持って最後はがんばる構図が必要なんだ。そのためには、市町村を都道府県、国がどう支えていくか、一緒にがんばっていくかが課題なんじゃないかなあ?

山田 なんだか、こういった話って、思慮深くなりますね。なんだか、秋深し・・・って感じ。でも、もう冬だから枯れちゃいそう・・!?


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