ﾀﾞｲﾋﾞﾝｸﾞというのは記録を競うｽﾎﾟｰﾂではありません､ｽｷﾙを計る尺度が無いため､上手い下手がはっきりしません｡潜っている時の自分が見えないため､自分の欠点に気付きにくいものです｡つまりﾀﾞｲﾋﾞﾝｸﾞは上手くなるのが難しいｽﾎﾟｰﾂだと言えます｡
そのため自分で気をつけて上手くなろうとしなければ､また周りからのｱﾄﾞﾊﾞｲｽが何も無ければ､いつまでたっても上手くなることはできません｡実際､ﾀﾝｸ100本を超えるﾀﾞｲﾊﾞｰでも砂地で盛大に煙幕を上げていたり､浮いたり沈んだりで苦労していたりするのです｡
ｱﾄﾞﾊﾞﾝｽ等の講習ではﾎﾞｰﾄやﾃﾞｨｰﾌﾟを行うために最低限必要な知識､そして安全に潜るための知識を教えてくれます｡しかし｢もっと上手く潜る｣ためのｽｷﾙというのは正式に教わるというよりは見真似や自力で習得するしかないのが現状のようです｡
そこで今回は私が常に気をつけている､もしくは使っているｽｷﾙで､｢初心者｣から脱出するのに役に立ちそうなものを紹介したいと思います｡
水平の姿勢で泳ぎましょう｡
初心者で特徴的なのは､｢ななめの姿勢で泳いでいる｣事です｡ｵｰﾊﾞｰｳｪｲﾄ気味なのと､人間として立つ姿勢が普通だという固定観念にとらわれているのが原因だと思いますが､水中では魚のように体を水平に伸ばして泳ぐのが楽です｡
まずは適正ｳｪｲﾄで潜ること､そして中性浮力をとることが重要ですが､それに加えて｢常に水平の姿勢で泳ぐ｣という事を気をつけて潜るだけでも楽に潜れるようになると思います｡
次に､
手を使わずに泳ぎましょう｡
初心者で姿勢を保つためや方向転換のために手でばたばたしている人をよく見かけますが､これは逆効果で､むやみに手を動かしていると逆にﾊﾞﾗﾝｽを崩してしまいます｡
水中で方向や姿勢をｺﾝﾄﾛｰﾙするには体をひねったり腰の曲げ伸ばしをします｡実際行きたい方向に上半身を向けるようにするだけで方向は変わります｡
水中で腕を振ってばたばたしていると､他のﾀﾞｲﾊﾞｰをたたいてしまったり､ｶﾞﾝｶﾞｾﾞなどの危険な生き物に触ってしまったりします｡
頭から潜降しましょう｡
初心者で｢潜降できない｣､｢浮く｣という人がいます｡でもそれは立った姿勢で足から潜降しようとしているからで､頭から潜降することを憶えてしまえば少しぐらい浮き気味の場合でもﾌｨﾝｷｯｸで問題無く潜降する事ができます｡
またｴｷﾞｼﾞｯﾄ直前に浮いてしまう場合でも､最後の手段としては頭を下にしてﾌｨﾝｷｯｸで浮かないようにすることができます｡
適正ｳｪｲﾄにする､BCのｴｱを抜く､息を吐くなどの基本は当然として､それでもだめな場合に何もできずに浮いてしまう初心者が多い気がします｡特に女性はあきらめが早いのか､なすがままに浮いてしまう場合が多い様です｡
予定外に浮いてしまうと以下のような危険があります｡
安全に関わる問題なので､水底にしがみついてでも浮かないという気持ちで潜る事が必要です｡
また頭から潜降する方法には以下の様な利点があります｡
実際に水面から頭を下にして潜降を開始するためには｢ｼﾞｬｯｸﾅｲﾌ｣というｽｷﾝﾀﾞｲﾋﾞﾝｸﾞの方法を使います｡手順としては､
煙幕を立てないで泳ぎましょう｡
初心者の代名詞と言えば､｢煙幕｣ではないでしょうか｡砂地でﾌｨﾝｷｯｸによって起きる砂煙はﾀﾞｲﾋﾞﾝｸﾞﾎﾟｲﾝﾄの透明度を下げる大きな要因になります｡それはﾌｨｯｼｭｳｫｯﾁﾝｸﾞの妨げになる事は言うまでもありませんし､視界が悪くなればﾀﾞｲﾋﾞﾝｸﾞの楽しみも半減してしまいます｡
煙幕を立ててしまう根本的な原因は中性浮力が取れていない事でしょう｡ｵｰﾊﾞｰｳｪｲﾄで沈み気味なため､下方向へのﾌｨﾝｷｯｸをしながら前進する事になり､水底をあおってしまう事になるのです｡まずは水平の姿勢で泳げるようにならなくてはいけません｡
それでも砂地を移動したり､魚を見たりする場合にどうしても煙幕が立ってしまう場合があります｡
砂地で煙幕を立てて迷惑にならないようにするためには､ﾌｨﾝを縦ではなく横にｷｯｸする｢あおり足｣が役に立ちます｡平泳ぎの足と言われる事がありますが､ﾌｨﾝをつけて平泳ぎの足でｷｯｸするのはやれば分かりますが結構難しいです｡私がいつもやっているのはどちらかというと｢横にﾌｨﾝｷｯｸする｣という方法です｡手順は､
両足の間にある水を後ろに押し出すｲﾒｰｼﾞでやると簡単です｡
この方法なら微妙な速度のｺﾝﾄﾛｰﾙも簡単にできます｡実際私は流れの無いﾎﾟｲﾝﾄではほとんどこの方法で泳いでます｡
どうでしょう､もっと楽に潜れるようになってﾀﾞｲﾋﾞﾝｸﾞを快適に楽しめるようになりましょう｡