場所: 横浜
ポイント: 帷子川
天気: 晴れ
気温:
水温:
スーツ:
タマちゃん
人だかり
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この日、午後半休を取って横浜へ買い物に行くつもりでした。そして会社を出る直前、インターネットのニュースでタマちゃんの記事を偶然見ました。「タマちゃん久しぶりに登場、横浜駅から南西 1.5km の帷子川」。もしかしたら会えるかもしれない、そう思って冷やかし半分で行ってみることにしました。
横浜駅南口を出て帷子川沿いに南下、時々水面を探しながら歩きましたがなかなか見つかりません。「これは無理かな」と思いながらしばらく行くと川沿いの堤防の上に人だかりが見えました。「まさか」と思って近づいてみると皆手にカメラを持っています。大砲のような一眼レフからコンパクトカメラ、三脚を持っている人もいます。どうやらタマちゃんを見にきた人達のようです。
私も堤防に登って持ってきていたデジカメを準備しました。水面にも川岸にもタマちゃんの姿はありません。タマちゃんに気遣ってか誰も一言も話さず、じっと水面を眺めています。
しばらくして、となりに立っていたおじさんがぼそっと言いました、「あ、出た」。水面を見ると正に私の目の前、5m 程のところにタマちゃんがいました。水面に顔を出して静かに浮かんでいます。息つぎをしているのでしょうか。堤防の上の人達がそっと集まってきます。私もデジカメの電源を入れて写真を撮りました。
水面に出ていたのはほんの数十秒、タマちゃんはまたすぐに沈んでしまいました。そしてまた静かな待ち時間が始まりました。5,6分後、少し上流にタマちゃんが再び姿を現しました。そしてまた数十秒の息継ぎの後、水中に姿を消しました。どうやらこれを繰り返しているようです。
水は汚れて緑色、透明度は 1m もありません。タマちゃんも顔から背中が汚れていました。どうやら潜ってエサを探しているようですが、この汚い川の底に食べるものなどあるのでしょうか。
それからしばらくの間、少しずつ上流へ進んでいくタマちゃんの次の出現地点を予想して、人だかりが移動するというまるでゲームのような展開が続きました。私もそれにしばらく参加しましたが、デジカメの電池が切れてしまったのでそこまでで断念して帰りました。結局まともに撮れたのは最初の1枚だけでした。
家に帰って写真を見て、その汚れ具合がとても気になりました。タマちゃんは北の海からやってきた、いわば死滅回遊魚のようなものです。放っておけば、いつか死んでしまうしかありません。もし人間が保護するとしても、手遅れにならないうちでなければと思いました。