以前から感じてはいたのですが、やはりデジカメの内蔵フラッシュだけでは不満に感じるようになってしまいました。特にデジカメを原色フィルターのQM-100Vにかえてからはどの写真も「鮮やかな青」になってしまって被写体の色が出なくなってしまいました。バラクーダやギンガメアジの銀色とかチョウチョウウオの黄色とかをもっと鮮やかに出すためにはやはり強力な外部ストロボが必要だということで、今回オーバーホールを兼ねて改造をしてもらいました。
また最近マクロ物にも目が向くようになり、水中で切換えられるようにマクロスイッチも増設してもらいました。
結果、ハウジングは以下の写真のようになりました。
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底面に強化ベースが付き、それにステーをねじ止めします。ステーを外せば以前とほとんど変わらない大きさになります。
ストロボはSEA&SEAのYS-30です。アームも付いて随分本格的になりましたが、逆にコンパクトさは失われてしまいました。重量も以前とは比べ物になりません。
このストロボと本体の同期は完全にコードレスで行なわれます。カメラ本体に付いているフラッシュの発光と発光終了をセンサで感知して、足りない光を補う分だけ発光してくれます。
しかしテストしてみて気付いたのは、被写体からの光を感知して調光するため、被写体にそれなりに光があたっていないと発光終了の感知に失敗してフル発光してしまうということです。これはストロボに比べて内蔵フラッシュの光が弱いために起こると考えられます。この場合、距離などによっては撮影結果は真っ白になってしまいます。
蛍光灯下の室内で白い壁に向かってテストしたところ、以下の表のような結果になりました。
「不可」では真っ白に、「良し」では一部白飛びが出ていました。
このままでは状況によっては真っ白写真ができ上がってしまいます。そこで対策として次のような方法を考えました。
ハウジング内部でのフラッシュ光の散乱を防ぐため、ハウジングには写真のようなゴム製のしきりがあります。これがフラッシュの光量を抑えてしまい、光が届かなくなっていました。
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ゴム製のしきり
そこでアルミ板で下の写真のような反射板を作成し、しきりに当たった光も前方に照射できるようにしてみました。
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アルミ製の反射板
この後ハウジングの中で反射した光がレンズに入ってしまい画像にゴーストが出る現象が発生してしまいましたが、ハウジングのふたや反射板の外側、カメラのフラッシュ周りに黒のビニルテープを貼りつけることで対処しました。
ストロボに付属していた減光フィルターにやすりをかけてより光が散乱するようにしました。
以上2点の対策を行なった後同じテストをした結果、以下の表のようになりました。
色々試してみましたが、ほとんど失敗せずに撮影できるようになりました。
内蔵フラッシュとの並用で光量の問題は解決できました。しかしこれでは雪降り現象(水中の浮遊物にフラッシュの光が反射して起こる)は防げません。
雪降り現象は内蔵フラッシュとレンズの距離が近いために起こりやすく、これを防ぐには内蔵フラッシュを無効にして外部ストロボのみで撮影するのが有効です。
しかしYS-30は内蔵フラッシュの光を感知して調光するため、内蔵フラッシュを完全にオフにすることはできません。
そこで試行錯誤の結果、内蔵フラッシュの前に下の写真のような反射板をとりつけてセンサにだけ内蔵フラッシュの光を届かせるようにしてみました。
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反射板その2
調光を成功させるためにはストロボの位置がかなり限定される事にはなりましたが、外部ストロボのみで調光させる事ができました。この場合のテスト結果は以下の表のようになりました。
しかし今回テストしていてつくづく思ったのは「デジカメって素晴らしい」という事です。陸上でフィルムの事を気にせずテスト。撮影結果はその場で確認。しかもハウジングから出すことなく100枚以上撮影が可能。水中撮影初心者はデジカメ、そういう認識が一般的になるのも遠くないと感じました。
水中デジカメ日記の奄美大島での写真を見ていただければ分かるのですが、結果は内蔵フラッシュのみの場合とあんまり変わりませんでした。
外部ストロボの調光は成功しているはずなのに色が出ないということは、やはりCCDの問題なのでしょうか。
ナイトダイビングの写真や暗がりの写真では内蔵フラッシュのみでも結構色が出ているので、やはりフラッシュの問題ではなくカメラの色の出し方に問題があるみたいです。