場所: 伊豆 大瀬崎
ポイント: 柵下
天気: 曇り
気温: 23度
水温: 18度
スーツ: ドライ
カメラ: PowerShot G6
マンボウ
マンボウ
仕事をしても、街で遊んでも、映画を見ても、本を読んでも、およそこの世に感動する事などもう残されていないのではないかと思う事があります。そしてそんな私には最早海での感動的な出会いしか残されていないと痛切に感じるのです。
インターネットで最新の海情報をチェックしていた私は今週、大瀬崎で毎日のようにマンボウが出ている事を知りました。ダイバーにとってマンボウは正
に「幻の生き物」、いると分かっていてもなかなか会えるものではありません。狙って行ったとしても会えない確率の方がはるかに高いのです。
でも私が思ったのは「海に入らなければ会う事も無い」、「チャレンジする事に意味がある」という事でした。もし会う事ができなかったとしても文句は言うまい、そういう覚悟で大瀬崎のショップに予約をしました。
いつもの様に金曜日の夜に大瀬入りして土曜日は朝から早朝ダイブ、ワールドカップの影響か朝から潜ろうというダイバーは少なく、ガイドさんとマンツーマンとなりました。
マンボウは結構深めのドロップにいる事が多いという事で真っすぐに30m辺りの棚へ、そしてマンボウを探して平行に流しはじめたその時、前を行くガ
イドさんがゆっくりとベルを鳴らして私を呼びました。まさかと思いながら近付いて行くとガイドさんの向こうに大きな白い影が、、、
これが自然、これが感動か、、、
ダイビングを始めて8年、タンクにして550本、今までのダイビングを超える感動がまだまだある、これ程嬉しい事が他にあるでしょうか。一瞬写真を撮る事さえ忘れてその情景を呆然と見つめてしまいました。
それから15分、水深35mの海底で2mはあろうかという巨大マンボウと一対一で写真を撮らせてもらえました。クリーニング中だったマンボウは全く逃げる様子も無く、シラコダイのクリーニングする様子から体に生えた寄生生物までじっくり見る事ができました。
減圧が出たので後ろ髪をひかれつつも浮上、でもあの様子なら2本目も見られそうでした。
水面休息をして2本目も同じポイントへ、朝から合流したお客さんと4人で向かいました。再びまっすぐ深場へ、同じドロップに到着しましたがマンボウの影はありません、これは移動してしまったかと思って辺りを見ていると、、、
下にいる、、、
そこからさらに下がった所、砂地の方に白い影が見えます。向かってみるとやはりマンボウでした、しかも
3枚、、、
大・中・小の3匹が砂地の上でホバリングしてシラコダイのクリーニングを受けていました。私は迷う事無くマンボウの横へ入り、撮影を開始しました。ただ心配だったのでとりあえずダイコンを見てみると、、、
ここでは言えない様な深度でした。
また人生最大深度を更新してしまいました。そこでなんとか写真を撮り、浅場の方へ移動して行ったのですが、どうも様子が変です。そこには一緒に潜っていたおじさんダイバーが一人で待っていて、ガイドさんがいませんでした。
もう一人のダイバーがはぐれて探しに行ったのでしょう、私はすでに減圧が出ていたのでそのおじさんの上で深度を浅くしていきながら待つことにしまし
た。30m, 25m
とゆっくり深度を上げて行きましたがガイドさんは帰って来ません、これはまずいなと思った私はとりあえずおじさんの所に戻り、一緒に浮上する事にしまし
た。
浅場に向かっておじさんの手を引きつつゆっくりと深度を上げて行き、水底と水面を交互に見ながら何とか浅場に帰って来ることができました。エアが切
れるまで減圧して浮上してみるとガイドさんともう一人のダイバーもいて何とか無事にダイビングは終了できました。しかし私が連れて帰らなかったらあのおじ
さんはどうなっていたのか、考えると今でも恐ろしい気がします。
この日はこれで終了、マンボウ狙いは大成功でマンボウ率100%の称号を得る事ができましたが、感動と同時にダイビングの恐ろしさも感じた一日でした。