水中撮影で最も大きな問題と言えばストロボ光による浮遊物のハレーションではないでしょうか。これはまた陸上でもほとんど発生しない、水中独特の問
題でもあります。陸上で試す事が難しいため回避策を検討する事も難しくなります。今回は私のこれまでの経験からハレーションを回避する方法について考えて
みたいと思います。
私はハレーションが起こる要因には以下の要素が関係していると思います。
以下ではこれらの要素に注目しながらハレーションを無くす方法に着いて考えてみたいと思います。
何が効くといってこれ以上効く方法は無いと思います。ストロボを自動調光(TTL等)している場合、遠い被写体に必要な光を当てるためには長い時間 照射する必要があり、ハレーションが増加する事になります。また被写体が遠くなると必然的に被写体とカメラの間の浮遊物も増えて行きます。ワイドでもマクロでも、被写体に可能な限り近付け ばハレーションは減少して行きます。
浮遊物が多い場合や被写体に近付けない場合、ストロボを切るという選択肢もありです。ハレーションで醜い写真にならない限界は私は 2m だと考えています。それ以上の距離では撮らない、もしくはストロボ無しで撮るという見切りをしています。
またストロボの光量が調節できる場合は少し少なめにすると効果があります。被写体に十分な光が当たれば良いのでストロボの照射角を絞ったりストロボの光量を絞ったりすれば効果的です。そうする事でスポットライト的な効果が得られ、印象的な写真にもなります。
私が今まで使って来たデジカメではシャッタースピードを上げる事がカメラの設定の中では最も効果的でした。シャッタースピード優先モードでストロボがシンクロできる限界までシャッタース
ピードを早めると浮遊物は白い点になり、ハレーションを起こさなくなります。機種やメーカーによって絞りやストロボの発光がどうなるかといった違いがある
とは思うので絶対とは言い切れませんが。
私の場合、これはあまり効果がありませんでした。絞り優先ではシャッタースピードが固定になります。そして絞りを絞ると逆にストロボは強く発行する必要があるため、ハレーションは同じように起こるのだと考えられます。
私は実際にやった事がありませんが、感度を上げればシャッタースピードは速くなり、ストロボは少なくて済むはずです。ただデジカメは感度を上げるとノイズが多くなるので私はいつも最低感度で撮っていますが。
雑誌等で必ず紹介されている方法ですが、私は少し疑問があります。ストロボをカメラから遠ざけて浮遊物の反射光を弱める事はできるかもしれません
が、その場合同時に被写体からの反射光も弱まってしまいます。同じ明るさで撮るためにはストロボを強く光らせる必要があるので結局浮遊物のハレーションも
同じように起こる事になってしまうのではないでしょうか。
例えばストロボの方向を調節して手前にある被写体にだけストロボ光が当たるように調節すれば光を反射する浮遊物の数が減り、ハレーションは減ります。また広い
範囲を照らす場合よりもストロボの光量が少なくて済むため、やはりハレーションは減少します。そのためにアームを使うのなら効果はあるかもしれません。
大体コンパクトデジカメに薦められている20cm程度のアームで劇的な効果を期待する方が間違っているのです。1眼レフハウジングと1m, 2m のアームの話ならまだ分かりますが。
必要な場所に必要最低限のストロボを当てる。
よけいな浮遊物にストロボを当てない、必要以上に強くストロボを発光させない、そういう結論に達しました。