鑑定物件 No.3

バリリのサインと当団のポスター

依頼人:神奈川県 飯田克彦さん


物件その1:バリリのサイン入りプログラム

barylli_sign

本人評価額:1,000円

入手のいきさつ

今年の2/21、22のVPO定期演奏会(指揮バレンボイム)のプログラムです。21日のゲネプロの終演後、楽友協会大ホールのロビーの喫茶に現れたヒンク氏にいただいたサイン(銀色のマジックで、表紙を開いた扉ページ)と、22日の定期演奏会の休憩時間中に、貴賓席(2階左バルコニーの中ほど)にいらっしゃたバリリ氏を発見し、いただいたサイン(金色のマジックで、表紙に日付と"zur Herren Handa"と記入の上、直筆サイン。非常に気さくな方です。)です。

プログラムそのものはOS37ですが、2人のコンサートマスターのサイン入りということを高く評価してもらいたいところ。特に一般人は通行できない(と思います。いつも見張りが立っているので)貴賓席に頼んで入れてもらって入手したバリリ氏のサインは、いかに日本にいらっしゃる機会が結構ある方とはいえ、入手経緯を考慮していただければ幸甚です。とはいえ個人のあて名入りなので、一般的価値としてはがた落ちか。1000円くらいでいかがでしょう?



鑑定結果

鑑定額:5,000円

"伝説のコンサートマスター"ワルター・バリリ(左の写真)。1921年生れの彼は、17歳(!)でウィーンフィルに入団し、その翌年にはコンサートマスターに就任するという、まさに「天才」的ヴァイオリン奏者であった。コンマスの傍ら、バリリ弦楽四重奏団を組織して活発に演奏活動を行い、ウェストミンスターレーベルなどに数多くの名演を残した。
そんな彼を、悲劇が襲う。右肘の故障。ヴァイオリン奏者として致命的と言えるこの故障により、'59年、彼はカルテットを解散。その後、オケも退団となった。その時バリリは40代の"働き盛り"。こうして彼は、生きながらにして"伝説"となってしまったのだった。

若くして引退を余儀なくされてしまったバリリだけに、すでに亡くなっているように思っている人も多いのだが、ちゃんとご存命なのである。そんなバリリにムジークフェラインで貰ったサイン。いやぁ、これは価値あるものではないですか。
"本家"「なんでも鑑定団」を見ていると、確かに個人名入りのサインは価値が下がると言ってますね。でも、当鑑定団の判断基準は違いますよ。あくまでも、持ち主の"思い入れ"が大事な要素ですから。
"伝説の人"バリリの顔を承知していたこと。その人を見つけ、そして自分の名前入りでサインを貰ったこと。当団ファンとしての正当な行動をとられた飯田さんに、ここは大いに敬意を表したいと思います。
で、鑑定ですが...。まず、サインは本物です。私もバリリのサイン(ただしコピー)を持ってますので、筆跡は確かです。問題は鑑定額。先般のムーティのサイン入りプログラムが4,000円でした。しかし、あちらはご本人が入手されたものではなかった。それを考えれば、今回の依頼品の価値はさらに高いと判断できます。飯田さんの行動力をプラス評価して、鑑定額5,000円としましょう。はい、これで決まり!



物件その2:当団演奏会ポスター

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本人評価額:300円

入手のいきさつ

今年の2月23日の楽友協会主催チクルス特別演奏会のポスター。(指揮バレンボイム、モーツァルト29番とブルックナー9番)フォルカーさんは見覚えがあるものと思いますが、ウィーンの街頭の広告塔によく貼ってあるあの金色地の大きなポスターです。国立歌劇場の公演ポスターは販売されているので、楽友協会公演のも買えるのではないかと思い、当日券売り場で交渉したところ、新品を無料で入手。(親切な売り場のおばさんが、奥の方から運び出してきてくれました。)
無料で入手したものですし、街頭から引っぱがそうと思えば可能なものなので価値評価は困難ですが、日本ではまず輸入されてはいないでしょうし、歌劇場のポスターと違って売られているものではないですから、日本の方でこの手のものを入手された方はまずいないのではないか?と考えている次第です。(そもそも大きすぎて、巻いたところで持って帰るのが大変!)帰りの飛行機で少々折れたものの、破れたりはしておりません。大きさ、(日本における)希少度を考慮して、歌劇場ポスターなみの300円というところでいかがでしょうか?



鑑定結果

鑑定額:1,000円

はいはい、確かにこのポスター、聖地のいたるところに貼ってあります。ムジークフェライン主催のコンサートは、みんなこのデザインなんですよね。
ポイントは、これを合法的に入手されたってことでしょう。おっしゃる通り、街頭で引っぱがそうとすればできるものですが、そういう形で手に入れたものは、評価するに値しません。きちんと意思表示し、交渉して手に入れられたということ。上記したように、ご本人の"思い入れ"を高く評価する当鑑定団としては、ポイントが高いところです。
ですんで、鑑定額は1,000円!元手がタダですから、飯田さんの"思い入れ"に対する評価額ということで。



※今回使用した写真(バリリの顔写真以外)は、飯田さんが送ってくださったプリントを、私がデジカメで撮影するという、超アナログ手法によって作成したものです。よって、写りが不鮮明ですが、何卒ご容赦いただきたく(飯田さん、すみません)。


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