鑑定物件 No.12

ウィンナホルンが写っているけど
実際の演奏はフレンチホルンのレコードジャケット

依頼人:広島&静岡県 藤本眞一さん


本人評価額:900円

入手のいきさつ


私は毎週静岡と広島の間を往復しているので、主に関西地区でウィーン・フィルのCDや中古LPをよく探しに立ち寄ります。
このレコードは神戸の中古レコード店にあったもので、通常の12インチ盤ではなく、10インチ盤(直径約25cm)です。
レコードの山の中から、いきなりウィンナホルンの写真が手できたので、びっくり。
私の知らないベルガーのモーツァルトの協奏曲かと、一瞬期待しましたが、よく見ると、英国デッカ・レーベルでペーター・マーク指揮ロンドン交響楽団のもので、ホルンはタックウェルでした!要するに、演奏の中身は、ウィンナホルンと全く関係のないものです!
しかし、この椅子といい、たぶんウィーン・フィルの連中の楽器を、何かにかこつけて撮影したのではないかと推測されます。
とられた人は、一体どのように思ったでしょうね?
個人的には、この演奏は全く興味はないのですが、奇抜なジャケットに惹かれて買ってしまいました。結構高かったんですよ。
よく考えてみると、ギュンター・ヘグナーのモーツァルトの協奏曲のジャケットは、国内盤ではヤマハ製ウィンナホルンの写真でしたが、オリジナルのドイツ盤はダブル・ホルンの絵でした。その逆のパターンなんですねえ。

自己評価額:900円(販売していた値段のジャケット分として)


鑑定結果


鑑定額:1000円

重鎮F氏から、当団関連音源コレクターである氏らしい依頼品を頂戴いたしました。と言っても、今回の音源は当団の物ではなく、タックウェル&マーク&ロンドン響というのが面白いところですが。

しかしほんと、紛らわしいジャケ写ですよねぇ、これ。事情を知らない人だったら、「おっ、タックウェルってこういう楽器使ってるんだ」なんて勘違いしちまいますよ。で、その人が、後にホルトンに『タックウェル・モデル』って楽器があることを知って、「じゃぁ、ウィーンフィルは全員ホルトンのタックウェル・モデルを使ってるんだ」と信じちゃったりして...(笑)。
という冗談はさて置き、一方で真面目に考えると、「ジャケ写にウィンナを」というのは、案外タックウェル自身の意向だった可能性もありますよね。なぜなら、彼はウィンナ好きだったはずだから。何かのインタビューで、そんなことを語っているのを読んだ記憶があります。ですんで、もしかしたら、彼自身が望んでそうさせたのかもしれないと。
いずれにしても大変珍しい品ですし、重鎮がおっしゃるように、金色に塗られている椅子の雰囲気から言っても(DECCAの録音会場だったソフィエンザールで使われていた椅子に酷似!)、これは当団メンバーの楽器であった可能性も高い。当団絡みの「お宝」として評価する価値は大いにあると、斯様に考えます。

で、その鑑定額ですが、1000円(爆)。
「評価する」と言った割りには安いじゃんか!との声も聞こえてきそうですが、まぁ、所詮は「写真だけ」ですからね、こんな金額がいいとこだろうと(おいおい^^;)。
これが中身もウィンナでの演奏で、しかも吹いてるのがベルガー!なんて、まさに「幻の逸品」の発見だったら、こりゃもう軽く100万円と、そのくらいの価値はあったんですがねぇ(ホントかよ!?)。


鑑定団ページ