ピエール・ブーレーズ/マーラー 交響曲第7番 他

1996年8月15日(木) ザルツブルク祝祭大劇場

ニコニコこういう演奏日本でもやってよ!

今年夏のザルツブルク音楽祭での演奏。11月23日夜にCSで放送されたものを聴いた(←ただし有線放送経由なので音質は今ひとつ)。
スコアを見ながら聴いたのだが、いやはや、よく行き届いた演奏だった。このくらいの精度の演奏をいつもしてくれれば、やいのやいの言う輩はいなくなるはずだが、まぁそれは言っても仕方ないか...。
ブーレーズと当団については、'93年ザルツブルクでの初共演がほんとに素晴らしい演奏で、当団にとっても近年のベストパフォーマンスであったと思う(DGからLDが出ているのでぜひとも見るべし!)。以後、数度の共演を重ねているが、一貫して、ブーレーズは当団から研ぎ澄まされた響きを引き出していて見事としか言い様がない。この3月に、ウィーンで同じコンビのマラ5を聴いてきたが(まもなくCD発売!)、この時も同じ印象だった。とにかく音に凄みがある。オケが一丸となって"うねる"。ブーレーズはいつものように交通整理のような指揮ぶりなのだが、指揮者にオケを惹きつける"何か"があれば、指揮というのはそれで十分のものなのだということを痛感した(←耳が痛いなズビン)。
さて、演奏だが、ブーレーズがクリーブランド管とやったCDと比べると、さすがにヤバい場所は多い。なにせ相手は機能性抜群のアメリカンオケだからね。例えば、大活躍のトランペット。1番(たぶんシュー氏)は見事にハイトーンを決めまくってるが、2番3番奏者あたりはかなりあぶない。この辺クリーブランドは全員完璧(←もっとも、その方がずっと異常なことだけどね)。あと、出が揃わないところも結構あった。半拍くらいズレて弦やハープが飛び出したところが何個所か。スコアに書いてないところでシンバルが鳴ったりしたのもあったな。でも、あれは版の問題かもしれないからチョンボとは決め付けられないけど(←でもチョンボのような気がする...)。そうそう、あと1楽章の"かなめ"であるテナーチューバ。これもヤバい場所あったなぁ...。と、まぁ、これだけ書いてからいうのもナンだが、そういう事故はあっても、でも、この演奏は凄い。オケの精度は高い。当団の現状での能力はフルに発揮されていたと思う。とにかく"いい音"が出てるのがいい。音楽がぐいぐい進んでいくのがいい。マーラーの音楽が整然と表出されているのがいい。聴いていて痛快だし、安心できる。これは現場で聴いてたらきっと鳥肌ものだったろうね。こんな演奏日本でも聴きたいよ、当団諸氏!
ところで、我がホルンパートだが、1番のシュトランスキー(本人確認済)、これは見事。2楽章後半の大ソロも完璧。いやぁ素晴らしい。4番はアルトマン先生が吹いてるようなのだが、これも素晴らしい。ほんとに彼の音には存在感がある。いたるところで彼の"主張"が感じられて、楽しいやら惚れぼれするやら。毎度で恐縮だが、やはりこう言わざるをえない。彼は偉大なる下吹きホルン奏者である(←これで吹いてたのがホルヴァートだったりしたらショックでかいが...)。(11/25)

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