●新ホルン奏者はイェブストゥル!
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現地からの連絡によると、去る12月27日に行われたオーディションの結果、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の新しいホルン奏者としてトーマス・イェブストゥル(Thomas Joebstl:現ウィーン・フォルクスオパー管弦楽団首席)の採用が決定したとのこと。2001年1月1日(つまり明日)からその任につく(はず)。
トーマス・イェブストゥル(Thomas Joebstl:"oe"はoウムラウト)
1978年5月1日ヴォルフスベルク(ケルンテン州)生まれ。8歳からホルンを吹き始め、'92年からはウィーン国立音楽大学のローラント・ベルガー教授に師事。'95年、ウィーン楽友協会大ホールにソリストとしてデビュー。'97年、ウィーン高等音楽学校で大学入学資格取得。同年からウィーン・フォルクスオパー管首席奏者。
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◎ニュースのツボ◎
そうかぁ、"勝者"はイェブストゥルだったかぁ。マイヤー、残念だったなぁ...(個人的には今回入団してほしかったので...)
ま、あくまでも私の勝手な推測としては、イェブストゥル、マイヤー、リントナーのうちの誰かが採用されるだろうというところだったので、そういう意味では順当な結果とも言えるのだが、結局のところとしては、中で最年少のイェブストゥルが、まずはその"栄冠"を勝ち取ったということのようだ。当ページでも再三に渡って紹介してきた「ウィンナホルン界期待の星」ですからね、とにかく、その活躍に期待いたしましょう。
が、しかし、ここで一つの疑問も浮かぶ。今回は「下」を採用するのではなかったか? そう、このオーディションは、先に引退したゼルナー氏の後任探しであり、そのゼルナー氏は2番奏者だったのだ。以前もらったラルスからの情報でも、12月のオーディションは「下」を採用するもの、とのことだったし。
では、イェブストゥルに下を吹かせるのかというと、これもちょっと疑問。もちろん、そういう形でスタートを切り、後日パート異動を行うということも十分に考えられることではあるが...。一番"恐い"のは、イェブストゥルを3番に据えて、現3番のヘグナーが下に降りてくるということ。いや、これ、あながちない話とも言えないと思うので。でも、それは「適材適所」ではないもんなぁ。できればそうあってほしくない。これまた私の勝手な希望としては、フラダーに再び2番に戻ってもらい、イェブストゥルが3番に入ることなのだが、果たしてどうするのやら...
★2001年1月22日付補足
イェブストゥルのウィーン国立歌劇場管弦楽団員としての任用開始時期について、3月1日からになる予定、という旨の連絡をラルス氏からもらった。氏が芳名録に書き込んでくれたメッセージを以下に転記する。
メッセージ転載:ここから-----------------------------------------
Some completion to Thomas Joebstl: Probably he will start to play in Wiener Staatsoper and "working-society" of Wiener Philharmoniker from March 1st. Because the military wants to pick him up from April 1st Wiener Volksoper sayd they will discharge him from his contract, because maybe he has a chance not to go to militry, because the members of Wiener Philharmoniker are liberate from military work.
-----------------------------------------ここまで
●ついに登場!宅配シュミ氏!!
北海道のるみ@サウンドポストさんから「こんなのがあるようですよ!」というご通報をいただいた。「こんなの」とは、
ウィーン・フィルハーモニー首席クラリネット奏者ペーター・シュミードル氏と、仲間によるプライベートコンサート
− 伊勢丹音楽の贈り物 Fromウィーン −
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団首席クラリネット奏者ペーター・シュミードル氏と、他1名のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団首席奏者が、お客様宅を訪問しプライベートコンサートを開きます。
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伊勢丹デパートの「新世紀祭り」の中の『「夢」企画』の1つで、演奏時間約2時間、訪問日は2001年5月8日(火)から15日(火)の間で調整、訪問可能地は関東地方(新宿より車で2時間のエリア)、2組限定。
で、気になる価格は200万円! なお、オマケとしてシュミ氏サイン入りCDが2枚付くそうです(笑)
◎ニュースのツボ◎
うひゃぁ、ついに登場!って感じですな、これは。宅配シュミ氏。うーん...(^^;
これまで、いろんなメンバーがいろんな形で行ってきた、日本における当団メンバーの「営業活動」だが、今回の「宅配」で、ついにその頂点(??)を極めたという感もある。しかも、やって来るのは(営業の主は^^;)重鎮シュミードル。いろーんな意味で、これは象徴的な出来事だよねぇ...
しかし200万円ですか。もう1人の当団メンバー(って誰やねん?)と来るわけだから、2人で200万円ということになるわけだけど、うーん、正直言ってこの価格の評価は難しいなぁ。もちろん、私にはとても払えない"大金"だけど、家で「コンサート」をやろうと思えるような人にとっては妥当な金額かもしれないし。ねぇ、アナタ、どう思います?
でも、一つだけ言えることは、これだけ払っても、オマケはサイン入りCDが2枚だけだってことで、これはちとセコいと思う(笑)。もうちょっと何かプレゼントしてやりなさいよ、伊勢丹さん!
●2001年ニューイヤーコンサートのプログラム判明
アーノンクールを指揮台に迎えて行われる2000年ジルヴェスターコンサート(12月31日)および2001年ニューイヤーコンサート(1月1日)。その演奏曲目が判明したので以下に記す。
1) ヨハン・シュトラウスT:ラデツキー行進曲(オリジナル版)
2) ヨゼフ・ランナー:ワルツ「シェーンプルンの人々」
3) ヨゼフ・ランナー:ギャロップ「狩人の喜び」
4) ヨハン・シュトラウスU:ワルツ「朝刊」
5) ヨハン・シュトラウスU:電磁気のポルカ
6) ヨハン・シュトラウスU:ポルカ・シュネル「起電盤」
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7) ヨハン・シュトラウスU:喜歌劇「ヴェ二スのー夜」序曲
8) ヨゼフ・シュトラウス:道化師のポル力
9) ヨゼフ・シュトラウス:ワルツ「オーストリアの村つばめ」
10) ヨゼフ・ランナー:レントラー「シュタイヤーの踊り」
11) ヨハン・シュトラウスU:ポルカシュネル「観光列車」
12) ヨハン・シュトラウスU:ワルツ「もろ人手をとり」
13) ヨハン・シュトラウスU:ポルカ・マズルカ「いたずらな妖精」
14) ヨハン・シュトラウスU:ポルカ・シュネル「暁の明星」
アンコール
ヨゼフ・シュ卜ラウス:ポルカ・シュネル「憂いもなく」
ヨハン・シュトラウスU:ワルツ「美しく青きドナウ」
ヨハン・シュトラウスT:ラデツキ一行進曲
◎ニュースのツボ◎
さすがアーノンクール、とでも言うか、やはりちょっと変わったプログラムだ。
なにせ1曲目に「ラデツキー行進曲」を持ってきちゃうってんだからすごい。しかも原典版!(どんなんだ??)。最後の「ラデツキー…」は、所謂"いつものやつ"だろうから、その「相違」を楽しんでくれという趣向なのだろう。
ヨゼフ・ランナーの曲を3曲"も"取り上げるってとこも珍しいし、シュトラウスU世の曲にしても、あまり知られていないものが並んでいるところも興味深い(電磁気だ起電盤だ、なんだかすごいね^^;)
何人かの指揮者で"持ち回り"となっていたニューイヤーだが、それだけに、ややマンネリ気味であったことも事実。そこに久々に登場する"大型新人"は、しかも、相当なクセモノだ(笑)。でも、そのクセモノぶりを遺憾なく発揮して、興味深いプログラムを組んでくれた。
新世紀幕開けのニューイヤーコンサートは、まさに「新世紀」に相応しい、新鮮な音楽が響き渡る場となるはず。実に楽しみ。
★12月18日付補足
12月13日に行われたニューイヤーコンサートに関する記者会見の席上、「ラデツキー行進曲」について、アーノンクールから次のような言及があった由。
・1曲目のオリジナル版では、一緒に手拍子されることを恐れる。「日本語ができないので、どうしよう!」(ここで一同爆笑)
・慣行版では、和音が挿入されていたり、ホルンが倍、トロンボーンが3倍に増強されて"厚塗り"になっている。コンサートの第1曲はあくまで鑑賞用であり、最後のアンコールでは、一緒に手拍子することを前提として慣行版を演奏する。
「ラデツキー行進曲」と言えば"一緒に手拍子"だが、1曲目のオリジナル版については、あくまでも"鑑賞用"として楽しんでほしい。よって、手拍子はなしよと。それが、アーノンクールの意向ということのようだ。が、果たしてそれを聴衆が理解してくれるのか。中でも、"一大勢力"の日本人にわかってもらう方法は? という危惧が、「日本語ができないので、どうしよう!」というジョークにつながっているのだろう。
というわけで、会場に出向く予定の皆さん、1曲目のオリジナル版に関しては手拍子禁止(^^;ですんで、そこんとこひとつヨロシク。で、最後の慣行版の時は、心置きなく、盛大にやっちゃってください!(笑)
●2002年ニューイヤーコンサートの指揮者はオザワ!?
現地筋(^^;からの情報によると、このほど、2002年のニューイヤーコンサートの指揮者が小澤征爾に(ほぼ)決定した、との記事が、ウィーンの日刊紙「クーリア」に掲載されたとのこと。
「クーリア」の文化部主筆フランツ・エントラー氏が、国立歌劇場公演"視察"のために滞在中の日本から書き送った署名記事内で言及しているらしいが、WPhの正式発表ではないものの、小澤のコメントや彼のマネージャーへの取材内容も記載されているとのことなので、信憑性は高いものと思われる。
実現すれば、もちろん日本人指揮者としては初めて。アジア系指揮者としても、メータに続いて2人目の登場ということになる(あんまり意味のない注目の仕方だけど...^^;)。
◎ニュースのツボ◎
この件、芳名緑にもご通報があったので、既に日本国内でも報道されているのかもしれないが、でもやっぱ「びっくり」。確かに、いずれは「ある」かな、と思っていたことではあるけども...
いろいろ思うところもあるけれど、それについてはここでは省略。とにかく、同年秋からウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任する小澤が、それに先だって「ウィーン」を代表する演奏会に登場する。ある意味、非常に象徴的なイベントということになりそうだ。
●2001年来日公演スケジュール(サントリーホール分)発表!とオマケネタ(^^;
読者のKさんから、サントリーホールが発表した来シーズンのスケジュールに、当団公演予定が記載されていた旨のご通報をいただいた>Kさん、ありがとうございます。オマケのネタとともに、Kさんからのメールを以下に転載する。
メール転載:ここから-----------------------------------------
既にご存知のことと思いますが、サントリーホールの来年(2001年)の年間コンサートスケジュールによりますと、
第一生命100周年記念
サイモン・ラトル指揮(正しくはサー・サイモン・ラトルですが)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
10月19日(金)
10月20日(土)
10月21日(日)
10月23日(火)
10月24日(水) の5回にわたって公演が行われるとのことです。
またまた既にご存知かもしれませんが、サントリーホールによりますと、「WIENER PHILHAMONIKER WEEK IN JAPAN 1999-2001」今年のオリジナルグッズは以下のとおりです。
〇トートバック(大) 3500円
〇トートバック(小) 2900円
〇CDケース 2000円
〇Tシャツ(5〜6種類) 各2800円
〇スカーフ(2種類) 各2000円
〇コーヒーカップ 3000円
〇ワイングラス 1800円
〇マグカップ(2種類) 各1000円
〇テレフォンカード(50度数・2種類) 各1000円
〇腕時計(金色・角型) 6000円
〇腕時計(丸型) 5000円
〇携帯ストラップ(2種類) 各 800円
〇ピンバッジ 500円
また、次の「楽団オリジナルグッズ」も発売予定。
〇スカーフ(2種類) 各8000円
〇ネクタイ(3種類) 各7000円
〇ワイングラス(バカラ) 18500円(!)
〇ボールペン(モンブラン) 32000円(!!)
〇万年筆(モンブラン) 65000円(!!!)
万年筆とボールペンはウィーン・フィルのロゴ入り化粧箱つき。しかし、欲しくてもこの値段! モンブラン社製だから当然といえば当然なのですがサラリーマンにはそう簡単に出せる金額ではありません。
取り敢えず、コーヒーカップやネクタイなどで我慢といったところでしょうか。
-----------------------------------------ここまで
◎ニュースのツボ◎
というわけで、先に予想した通り(↓当欄10月9日号)、10月上旬に行われるベルリン芸術週間でのプログラムをそのまま日本へ持ってくるということのようだ。ベルリンが終って1週間後に東京公演。一旦ウィーンに戻ってから出直すのか、はたまた、そのまま"ツアー"として移動して来るのか。どっちにしても、当団諸氏にとっては大変なことだろうけど。
しかし、来年は5公演。前にも書いたけど、争奪戦は大変そうだなぁ...(タメ息)
一方の"ウィーンフィル グッズ"の方は、まぁ、あくまでも「ご参考までに」ということで。でも、あれだね、ここにある携帯ストラップやワイングラスなんかが、例の「ウィーン・フィル 世界の名曲」の賞品になっている物なんだろうね(なにせ「企画協力 サントリーホール」ですから)
しかしすごいなぁ。こんなことやってるの、日本だけだよね。「楽団オリジナルグッズ」だって、ウィーンじゃ売ってないのだろうし(だとしたら、本当に「楽団オリジナル」なの?)。
でも、買う人いるのかなぁ? コーヒーカップやマグカップなんかだったら"実用的"とも言えるけど、あとはねぇ...。え?トートバッグっすか? 確かに実用品だけど、ウィーンフィルのロゴが「これでもか!」って感じでデザインされてるんで、ちょっと持って歩くのに勇気がいるかも。なので、私、あまり使ってないですもん...って持っとるんやないかいっ!?(爆)
●腕に覚えのある人はさっそく応募!当団オーディション募集要項発表
ウィーン在住の当ページ相談役から、14日付の「クーリアー」紙に当団オーディションの告知広告があったとのご連絡をいただいた。内容は以下の通りとのこと。腕に覚えのある人は、この機会にぜひともご応募を!!(笑)
記事訳:ここから-----------------------------------------
ウィーン国立歌劇場(ウィーナー・フィルハーモニカー)は下記のポストを募集する:
*2001年1月1日より、ウィーナー・ホルン1名、応募書類送付締め切りは2000年11月10日。
*2001年3月1日より、第1ヴァイオリン1名、応募書類送付締め切りは2000年12月1日。
*2001年9月1日より、ヴィオラ・トュッティ1名、応募書類送付締め切りは2000年12月1日。
オーディション:2000年12月と2001年2月。
年齢制限:35才まで。
オーケストラでの演奏経験(オペラ、コンサート)が期待される。
応募申し込みとともに履歴,写真、これまでの活動の証明する書類を下記に送付すること:
Orchesterinspektion
der Wiener Staatsoper
Postfach 249, A-1010 WIEN
-----------------------------------------ここまで
◎ニュースのツボ◎
ホルン会のオーディションについては、先にお知らせした通り(↓8月29日号の10月20日付続報ご参照)12月27日に行われるということで、これがその"募集要項"ということになるわけだ。「ウィンナホルン」と断っているところがさすがだけども(^^;、"下吹き"という告知は特にないようで、それがちょっと意外ではある。まぁ、どう考えたって「顔見知り」しか応募してこないわけだから、その辺は"織り込み済み"ってことなんだろうけどね。
1stヴァイオリンについては、先になくなったグッゲンベルガーの後任ということでしょう(ゲーデ退団に伴うコンマス募集は"後日"ということか)。
一方のヴィオラは、今のところ空席はないのだけど、トゥッティ1席のパイシュタイナーが引退を先伸ばしにして居残っているので(人材不足につき辞めるに辞められない、という状況とか...)、その後任として、ということになるのだと思う。
いずれにしても、また一歩、世代交代が進むということで...
●ゲーデ退団!いったい何が...?
ウィーン在住の当ページ特別顧問改め「相談役」(^^;からのご連絡によると、この週末(10/14-15)に行われた当団定期演奏会(ヤンソンス指揮)にて配布されたプログラム冊子に、団員および元団員の去就に関する次のような記載があったとのこと。
・ヨーゼフ・シュタール(元ヴィオラ首席):10月7日没(死因の記載等はなし)
・ラインホルト・シーグル(チェロ):60歳の誕生日の翌日、9月30日付で退職
・ダニエル・ゲーデ(コンサートマスター第4席):9月30日付で退職
なお、ゲーデの退団については、ヘルスベルク団長による以下のようなコメントが添えられているとのことである。
コメント:ここから-----------------------------------------
コンツェルトマイスター・ダニエル・ゲーデは、ニュルンベルク音楽大学の教授に就くという本人の希望により、2000年9月30日をもってウィーン国立歌劇場との雇用関係を終了し、 同日をもって、彼が1997年6月11日より所属していたウィーナー・フィルハーモニカー協会からも退出した。それにより、1995年から国立歌劇場管弦楽団のコンツェルトマイスターであり、1998年2月12日よりウィーナー・フィルハーモニカー団員であるフォルクハルト・シュトイデが、従来の第1ヴァイオリン・シュティムフューラーからコンツェルトマイスターに昇格した。
-----------------------------------------ここまで
◎ニュースのツボ◎
シュタールの死去は事実だったようだ。というわけなので、10月15日付What's New!?に書いたコメントを改めて記載したい。
--- 今春の「トヨタ・ミレニアム・コンサート」の際には、しっかりと"首席奏者"として演奏されていたから、俄かには信じ難いところもあるのだけど、確かに、ここのところ体調が勝れなかったことは事実らしく、"助っ人"としてオケピットで演奏する姿もすっかり見かけなくなっていたとのこと。となると、"本当"である可能性は高そうだ。先には、弟で名教師としても名高かったアルフレート氏(ヴァイオリン)も亡くなっているので、"シュタール三兄弟"が一気に1人ぼっち(2ndVnのルネ氏)になってしまった。「名物兄弟団員」の一角であっただけに、残念ですな(アルフレートはだいぶ前に退団していたのだけど、彼の"弟子"が現役にはたくさんいるので、当団における"シュタール三兄弟"の存在感は、やはり大きかったと...)。
チェロのシーグルというのは、中ほどのプルトで弾いていた眼鏡のおじさん。見た目も存在感も地味な人なんで(笑)、顔と名前がすぐには一致しないのだけど、写真でも見れば、あぁあの人、とすぐにわかるはずだ。60歳で退職ということは、定年まで5年を残してということ。後進に道を譲った、というところか。
そして、ゲーデだ。正直、これには驚いた。当団というのは、途中で"自己都合"により退職するという例が、よそのオケに較べると極端に少ないところで、コンマスにしても、この30年ほどを振り返ると、事故死したヘッツェルと指揮者に転向したビンダー以外辞めた人はいなかったはず。それだけ、多くの人にとっては居心地の良い、あるいは、経済的社会的そしてもちろん音楽的にも見返りの大きいオケなのだと思うのだが、そこを敢えて(?)退団するわけだから、まぁ「よっぽど」の理由があったのだろうとは思う(ニュルンベルク音楽大学教授職というのが、ウィーンフィルコンマスという地位を捨ててまで就くほど魅力的なものとは、個人的には思えないので...)。
じゃぁ、いったい何があったの? という部分については、詮索の域を出ない話にしかならないから、ここでは触れない。いずれにしても、ウィーンで学んだ経験がないにもかかわらず、「この人だ」と思うからこそ敢えて採用したゲーデに去られてしまうことで、当団にとっては、いろいろな意味で「損失」を被ることは間違いないだろう。
9月末に行われたリリング指揮による定期演奏会(例のWOWOW収録演奏会)で、ゲーデがコンマス席に座ったという話を聞いた時、席次第4席の彼が所謂「コンサートマスター」を務めるというのは異例のことゆえ、少々奇異に感じたのだけど、これでカラクリがわかったね。あの演奏会が彼にとっての「お別れコンサート」だったのだと。だから最後の花道を飾らせたのだと。
★11月08日付補足
再び当ページ相談役からのご連絡によると、9月定期でゲーデがコンマスを務めたことについては、本人から「退団云々に関係なく元々決まっていたことだった」との発言があった由。「最後の花道を飾らせた」というのは、あくまでも私の推測であったわけだけれど、それは見事にハズレだったということで>失礼いたしました。
また、ゲーデは、今シーズン一杯(2001年6月まで)エキストラとしてコンマス業務を続けるとのこと。なので、"辞めたはず"の彼がピット内でコンマス席に座っていたとしても驚かないこと(^^;
●2001年来日公演プログラム決定!?!?
「ぶらあぼ」や「モーストリークラシック」誌上でご活躍中の曽雌裕一さんから、「2001年のベルリン芸術週間のプログラムが発表され、ラトル&ウィーンフィルの一連のベートーヴェン公演が掲載されています」とのご通報をいただいた>曽雌さん、ありがとうございます。
さっそく該当ページを確認したところ、以下のように、ベートーヴェンの交響曲全曲演奏(+α)が行われることがわかった。
10月06日(土) | 交響曲第1番、交響曲第3番 |
10月07日(日) | ピアノ協奏曲第4番(Pf:ブレンデル)、交響曲第6番 |
10月08日(月) | 交響曲第4番、交響曲第7番 |
10月10日(水) | 交響曲第2番、交響曲第5番 |
10月11日(木) | 交響曲第8番、交響曲第9番 |
※指揮はすべてサイモン・ラトル。会場はベルリン・フィルハーモニー・ホール。「第九」のソリスト等は未記載。
なお、来年の来日公演の指揮者として(あくまでも非公式ではあるが)ラトルの名前が挙がっており、かつ、そのプログラムとしてベートーヴェンの交響曲全曲演奏が(これまた非公式なウワサではあるが)聞こえて来ていることを考えると、このベルリン公演の内容は、そのまま、この後に行われるであろう来日公演のプログラムになる可能性が高いものと思われる。
というわけで、誠に勝手ながら、来年の来日公演プログラム発表!と...(^^;
◎ニュースのツボ◎
上記本文に書いた通り、おそらくこれが来年の来日公演プログラムとなることに間違いはないでしょう。ブレンデルも一緒に来るのか?来ても1曲だけなのか?といったあたりの不透明さはあるものの、まぁ、限りなく「本物」に近いだろうということで。
それにしても楽しみですなぁ、ラトル&当団のベートーヴェン。当団のベートーヴェン交響曲全曲演奏と言えば、1987年のサントリーホールオープニング記念公演におけるアバドとのものが、まぁ、あの当時としては画期的であり、また、大変上質な公演として記憶されているところだが、21世紀に入り、その最初の来日公演を、まさに「21世紀の巨匠」となるであろうラトルと共に行ってくれるということに、改めて大きな期待を抱かずにはいられない。ほんと、すんごく楽しみ。
でも... 争奪戦は大変だろうね。全5公演。今年全敗してしまった私に、来年勝機はあるのか... 今から願掛けでもしとくか(鬼大爆笑?)。
●快挙!? WOWOWが当団定期演奏会をテレビ収録・放送!
既に音楽の友社ホームページなどでも発表されているように、この度、WOWOWがウィーンフィルの定期演奏会をテレビ収録・放送することとなった。
当団のウィーン楽友協会ホールでの公演については、これまで、例年恒例のニューイヤー・コンサートや何らかの特別コンサートなどが収録・放送されたことはあったが、いわゆる「定期演奏会」は今回が初めて。そういう意味では、まさに「快挙」と呼ぶに相応しい出来事と言えるかもしれない。
収録される(された)のは以下の5公演で、いずれも、今シーズンから設定された「3日目の定期演奏会」である"Monday Soireen(ソワレ)"と呼ばれる公演となる(一部、日程の都合で「月曜日」ではない日もあるが、演奏会の名称はあくまでも"Monday Soireen")。
2000年09月25日(月)
指揮:ヘルムート・リリング
独唱:ユリアーネ・バンゼ(S)、カタリーン・ハルマイ(Ms)、インゲボルク・ダンツ(A)、ヨナス・カウフマン(T)、クリスティアン・ゲルハーハー(B)
合唱:ゲッヒンガー・カントライ
曲目:バッハ「わが魂、主をたたえよBWV69」、バッハ=ウェーベルン:6声のリチェルカーレ、バッハ「主に向かって歌え、新しき歌をBWV225」、メンデルスゾーン 交響曲第2番「讃歌」
2000年12月18日(月)
指揮:ベルナルト・ハイティンク
曲目:ハイドン 交響曲第101番「時計」、R.シュトラウス「ドン・ファン」、ブラームス セレナード第1番
2001年01月12日(金)
指揮:ヴォルフガング・ザヴァリッシュ
曲目:プフィッツナー 交響曲ハ長調、シュミット「ノートル・ダム」より間奏曲、シューベルト 交響曲第8番「グレート」
2001年02月22日(木)
指揮:ピエール・ブーレーズ
曲目:曲目:バルトーク「4つの管弦楽曲」、ヴェーベルン「管弦楽のための6つの小品」、ドビュッシー「遊戯」、ストラヴィンスキー「3楽章の交響曲」
2001年04月20日(金)
指揮:ズビン・メータ
曲目:シューベルト 交響曲第7番「未完成」、シェーンベルク 室内交響曲第1番、チャイコフスキー 交響曲第4番
ところで、本件についてお知らせくださったのは、他でもない、音楽の友社ホームページで本件を伝えていらっしゃる音楽評論家の奥田佳道さんなのだが(奥田さん、ありがとうございます)、奥田さんは、WOWOWのクラシック番組で解説を担当されている方でもいらっしゃる。
そんなこともあって(?)、先月末の第1回収録にはご同席されたようなのだが、その奥田さんによれば、今回の収録に関しては、これまでのORF/NHK的スタイルとは違った斬新な映像表現が試みられるらしいとのこと。以下に、奥田さんから頂戴したメールの内容を抜粋してみると...
転載:ここから-----------------------------------------
WOWOWはプロデューサーとディレクターを公演ごとに派遣し、カメラマン、映像監督は同局と契約を交わした現地スタッフです。
現地うスタッフ、カメラマンはなかなかのつわもの揃いのようで、気心の知れた?メンバーにも結構いろんな注文を出していました。 もちろん、その逆もありました。いい意味で、とてもスリリング?な音楽的な映像が出来上がったようです。
音声ラインは独占権をもっているORFが、結果的に協力していることになるようです。
カメラは6台(16対9のPAL仕様)で、舞台上に軌道式(ポンプ式移動脚)カメラが3台、指揮者正面に固定カメラ(カメラマン付)が1台、パルテレ・ロジェ(右)3のスペースにカメラ塔が1台、立ち見に長軌道式カメラが1台、ほかに舞台を見下ろすバルコン・ロジェ(右)に無人小型カメラが1台(アイソレーション用)、3階席ギャラリー正面の一番上に無人小型カメラが1台、という「陣容」です。立ち見の長軌道カメラや、それぞれの設置の模様は音楽の友でご紹介するつもりです。
いずれにせよ、今回の収録は、現地の敏腕映像演出ディレクター氏の意向に、ウィーン・フィルが全面的に協力する形になっているようです。
繰り返しになりますが、映像はニューイヤーや、これまでの特別演奏会とはかなり違ったものになる予感が致します。
ディレクター氏いわく、音楽作品、演奏者、ウィーン楽友協会、客席の雰囲気を捉えた芸術的映像にしたい、と意欲満々です。これらのアイディアには当然ですが、WOWOWのスタッフも口を突っ込んでいます。曲終わりは指揮者のアップで、ほか云々。
-----------------------------------------転載:ここまで
とのことで、確かにカメラの数だけ見てもハンパではなく、かなり"気合い"が入っていることは間違いなさそうだ(^^;
で、肝心の放送日だが、先に収録されたリリングとの演奏会については、来年1月1日の午前10時からとなる線が濃厚とのこと。BSデジタルと従来のアナログ方式の同時放送となるらしいので、いち早くBSデジタル仕様に切り替えた方にとっても楽しみな放送となるだろう。
いずれにしても、来年の元日は、午前中にWOWOWで定期演奏会、夜にNHKでニューイヤーと、当団の演奏をたっぷりと堪能できるわけで、当団ファンにとっては実に贅沢な新年初日(21世紀初日!)となりそうである。
◎ニュースのツボ◎
かつて、WOWOWやNHKがベルリンフィルの定期公演を放送した際、なんでウィーンフィルはやらんの?との思いを強くした方もいらっしゃったことだろう。もちろん(^^;私もその一人。その思いが通じたというわけでもあるまいが、ついに、当団定期公演の収録・放送が実現することとなったわけで、まさに「ご同慶の至り」と言わざるを得ない。
ただまぁ、有料放送のWOWOWで、というのが残念といえば残念か。個人的には「解約しなくてヨカッタ」(笑)というところだが、多くの方にとっては「なんでWOWOWやねん!? 見れんやないか!」との思いもあるだろう。まぁ、この際だから契約したら、って話にもなるのだろうけど(WOWOWにとっては、そのための「作戦」でもあるんだろうしね^^;)。
それにしてもWOWOWは「良くやった」ものだと思う。奥田さんによれば「WOWOWは別にウィーン・フィルをジャパン・マネーで引っぱたいたわけではなく、(だいたいお金ならば在京キー局の方が数倍!?あるわけでして……)、これまで、たとえばヴィルトゥオーゾをオシアッハで収録したり、東京で何度か公開録画を催したり、という6年間の蓄積のなかで、今回の話に至ったという状況です」とのことで、地道な努力(?)の積み重ねがここに至ったということなのだろう。
また、収録される予定のプログラムも、結構"多彩"なのが嬉しい。当団が演奏してこその曲であるのになぜかCDはなかったという曲、ブラームスのセレナードとかシェーンベルクの室内交響曲(私の大好きな曲!)が予定に入っているのが何とも楽しみデス。
ところで、既に収録されたリリングとの演奏会。会場でお聴きになった奥田さんや「ウィーン・フィルの響き」執筆者の一人である中間さん、リハーサルを見学した盟友T氏らから主な演奏メンバーについての情報も入って来ているのでご紹介しておきたい。
コンマスはゲーデ(第4席の彼が定期演奏会のコンマスを務めたというのも"異例"なことかも)でトップサイドはザイフェルト。木管はフルーリー(Fl)、ホラーク(Ob)、シュミードル(Cl)、ミュラー?(Fg)。ホルン会は、ラルス、ヤノシュツ父、ヘグナー、ホルヴァート。トランペットは、1曲目でピッコロを吹いたのがポンベルガーで、以下エダー、アンブロス。トロンボーンには大型新人(笑)バウスフィールド@元ロンドン響が登場した模様。ティンパニは御神体兄。
●フランツ・ゼルナー引退!〜いよいよ始まったホルン会の世代交代
2番ホルン奏者(第2席)を務めていたフランツ・ゼルナーが退団した。理由は「唇の故障」とのこと。秋口にはオーディションが行われ、後任が決定する運びとなっている。
◎ニュースのツボ◎
実はこのニュース、6月下旬には現地筋から一報が入っていたのだった。が、きちんと"裏"を取ってから発表した方が良いと思い、直後にラルス結婚式に出席した盟友T氏に"調査"を依頼。そこで「間違いない」との確証を得たが、さらに、今回の草津で、ラルスの口からはっきりと「リタイア」の言葉を確認できたことで、ようやく皆さんにもお知らせすることとした次第。
ゼルナーは1945年生まれの55歳。リンツ・ブルックナー管弦楽団(首席)を経て'72年からウィーン国立歌劇場管弦楽団員。その後'75年からWPhメンバーとなり、以後3番奏者として活躍したが、'93年の「大人事異動」により2番奏者に転じ、そのまま職を終えたことになる。近年、口の調子を崩し、半ば「騙し騙し」吹いていたところもあったそうだが、ここに来てついに限界に達し、引退を余儀なくされたということのようだ。
在籍28年。"十分"な長さとも思えるが、しかし、当団の定年は65歳であり、また、弦楽器奏者に比して"奏者寿命"の短い金管奏者であっても、その多くは60歳くらいまで「現役」を続けることが多いことから、彼の引退は「早過ぎる」ものとも言える。
名3番奏者として、'70年代にはベルガー、'80年代に入ってからはトムベック息子らの首席と「上」を担い、輝かしい功績を残したゼルナー(ポリーニ&アバドのブラームス/ピアノ協奏曲第2番では、1番ホルンのベルガーに負けず劣らずの「名演」が堪能できる)。室内楽奏者としても、ウィーン室内合奏団をはじめ多くの団体で活躍した。私にとっては、個人的に"交流"させていただいた最初の当団員でもあったわけで、引退は誠に残念である。
ところで、これまでにも何度か触れてきたが、当団ホルン会は、これから10年の間に半分のメンバーが入れ替わることになっている。1943年生まれのアルトマン(御神体)とヘグナー。1945年生まれのヤノシュツ父、ゼルナー、ホルヴァート。この5人が、順次退団して行くことになるので、ちょうど半分が交代するというわけだ。"順当"に行けば、御神体かヘグナーから、ということだったのだが、ゼルナー引退という"予定外"の事態となったことで、今後の"退団スケジュール"(?)にも、微妙に影響が出るかもしれない。いずれにしても、「いよいよ世代交代が始まった」ことだけは間違いない。
で、肝心の「後任」なのだが、ラルスに「誰になりそう?」と聞いたところの答えは、「わからん」だった(笑)。しかし、マイヤー、リントナー(以上、国立歌劇場舞台オケ)、イェブストゥル、クルマー(あるいはザウフナウアーだったかも... 以上、フォルクスオパー首席)といった(お馴染みの?)名前が、可能性のある人物として挙がってはいたので、これら当団「常トラ」メンバーの中から「当選者」が現れることは間違いないものと思われる。で、さらに言えば、その"順番"はどうあれ、彼らが未来の当団ホルン会メンバーであることもまた「間違いない」と...
なお、ゼルナーの引退に伴い、10月上旬に来日公演を行う「アンサンブル"11"」のホルンもマイヤーに変更になる由。ラルス+マイヤーという組み合せは、それはそれでなかなかに魅力的ではありますが。
★10月20日付続報
去る10月16日に当団ホルン会の「会議」が行われ、ゼルナー引退に伴う後任オーディションを、本年12月27日に行うことを決定したとのこと。また、同会議の席上で、一応"暫定措置"とされていたフラダーの3番奏者異動を"正式決定"とすることも確認されたので、12月のオーディションについては、「2番奏者」を採用するものとして行われる。
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