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1996年9月〜12月のNEWSです。

1996年12月25日(水)号

●ハンス・ベルガー死去

先ごろ届いた、ウィーンフィル友の会会報掲載の「ウィーン・フィルハーモニー日誌」によると、当団の元ホルン奏者であり、同じく元団員であるホルスト(打楽器)、ローラント(ホルン)兄弟の父親であるハンス・ベルガーが6月9日に死去したとのこと。享年89歳。

◎ニュースのツボ◎

往年の名ホルン奏者G.フライベルクとともに戦争直後の当団ホルンパートを支えた人物。そして何よりも、"天才"ウィンナホルン奏者ローラント・ベルガーをこの世に生み出してくれた人物。自身も優れたホルン奏者であり、戦前のバイロイト音楽祭では常連。ベルリン国立歌劇場に所属していたこともあったらしい(息子たちはベルリン生まれ)。長らく、彼自身が吹いていることがはっきりしている録音がなく、「幻のホルン奏者」的存在であったが、先年、シューベルトの「流れの上で(Auf dem Strom)」の伴奏をしたCDが発売された。その演奏は、まさに"息子を彷彿とさせる"もので(←普通は逆か...)、その歌いこみ方や音の押し方などがソックリ。「この父にしてあの息子だったんだな」との思いを新たにした次第。謹んでご冥福をお祈りする。合掌。



1996年12月7日(土)号

●'97年ザルツブルク音楽祭から深読む'97ウィーンフィルウィーク・ジャパンの演目

先ごろ発表された'97ザルツブルク音楽祭プログラム。例の、"総裁"モルティエとの確執から出演辞退かと危惧された当団だが、発表されたスケジュールでは相変わらずの出演数であり(最盛期よりはだいぶ減ったが)、まずは一安心。しかし、ムーティのボイコット宣言などもあるようだから、予断は許さないかもしれない。お互い、いい加減に歩み寄って上手くやっていってもらいたいものだが、なんか意地の張り合いって感じなんだよね。
当団関連の注目点としては、まずノリントンの登場。しかもベルク(!)のヴァイオリン協奏曲(Vn:Christian Tetzlaff)だって。6月にアーノンクール&クレメルで同じ曲をやるわけだが、それだけでもビックリだったのに、すかさずノリントンともだもの。やってくれるね、当団も。あとは、先年の"舌禍事件"で当団から「出入り禁止」を食らっていたドホナーニの復活(魔笛)。大方、DECCAあたりが"手打ち"の段取りをしたのだろうが、このコンビはなかなかいい演奏をしてきてるので、まぁ、良かったのではないかなと。それから、ハイティンクのマーラー9番。これについては、下の「ニュースのツボ」で詳説。そんなとこ。
なお、下のリンクは英語ページへのものだが、スケジュール等はすべてドイツ語である(曲名とかだからわかるけど)。

SALZBURG FESTIVAL PROGRAM 1997

◎ニュースのツボ◎

私個人としては、ハイティンクの振る"マラ9"に大変注目している。なぜなら、来年のウィーンフィルウィーク・ジャパンの指揮者がハイティンクとの情報があるからで、だとするとこの"マラ9"、日本公演で取り上げる可能性大となるわけだからだ。事実、今年のザルツでもメータがブルックナー8番を演奏し、そのまま日本公演でも演奏されている。近年の当団では、その"多忙さ"からか、なるべく同じ指揮者と同じ演目でいろいろな演奏会をこなそうという傾向が見える。その例に倣えば、この"マラ9"日本公演説、まんざらハズレとは言えないと思うのだ。で、そうなると、この曲は私のFavorite Musicであるからして、私としては今からソワソワしてしまう(爆笑>鬼)。冒頭の大ソロに始まり、全曲に渡って大活躍となる2番ホルンは誰が吹く?アルトマン先生の4番ホルンはあるのか?もう気になって気になって...。なーんて言ってて"マラ9"やらなかったりすると、これがほんとの「獲らぬ狸の皮算用」だけどね。で、ハイティンクが振るということになると、あと考えられるものとしてはブルックナー。CDの録音は4、5、8番と来てるが(3番もあったかな?)、果たしてどうなるか。次の録音予定の曲をやると思うけど、9番あたりかなぁ?個人的には、当団で6番を聴きたいものだけど、マイナーな曲だからなぁ、無理かなぁ...。
以上、まったく確証のない深読み情報でござんした。←しかし、これはNewsなのか?



1996年11月15日(金)号

●遅ればせながら今シーズンのスケジュールをご案内

すでに2ヶ月半が経過している今シーズンであるが、"本家"のホームページ開設を期待できない以上、私がスケジュール一覧を掲載せねばなるまいと。
原則として、当団が7月にザルツブルクで発表した時の資料に掲載されていた内容をそのまま転載している。ただし、ドイツ語で表記されているので、ウムラウトなどは近い文字をあてている。また、スペルミスもあるかと思うが、見直す気力がないので(←投げやりだなぁ)、雰囲気で感じ取っていただきたく。
月毎のインデックスなどもない、ひたすら日付順に並ベただけの素っ気ない一覧であるので、悪しからずご了承のほどを。

WienerPhilharmoniker Saison 1996/1997

◎ニュースのツボ◎

こうして自分の手でスケジュール表を作ってみると、当団が実に多くの演奏会をしていることに改めて驚く。毎晩のオペラの"お勤め"があってのことだから、これは大変だ。他にはレコーディングもあるし、教職についてる人も多い。当団の女性団員拒否の常套文句ではないが、確かに「激務」だね、これは。ご苦労さんです、皆さん。
プログラムとしては、いろいろ面白そうなのがあるが、個人的にはラトルとアーノンクールが気になるところ。当団は「幻想交響曲」とは相性がいいから、ラトルとのコラボレーションで新たな名演を生んでくれることを大いに期待する。一方のアーノンクールはなんとベルク。なんか、ついにここまで来たかニコラウス、てな感じ。演奏がどうのというよりも、こういうプログラムを組んだ当団の心意気を楽しみたい。あとは、シャイーとの「グラゴル・ミサ」。録音もするようだから、期待して待ちたい。当団のヤナーチェクと言えば、一連のマッケラスとのオペラ等々(いずれも快演!)を思い出すところ。指揮者が指揮者だからやや不安もあるが、ここはひとつ"熱い"演奏を望みたい。



1996年10月29日(火)号

●「ウィーンフィルウィーク・ジャパン」の行方

関係筋(←どんな?)からの情報によると、来年で5年目をむかえ一応の区切りとなる同企画は、当団の退職金財源の確保という大きな名目もあり、1年置いて'99年から再び開始される見通しとのこと。ファンの方(←オマエだろって?)良かったネ。

◎ニュースのツボ◎

ウィーンフィルとは、ウィーン国立歌劇場管弦楽団員が自主的に組織・運営する任意団体である。こんなことは今さら言うまでもない周知の事実だが、では、彼らはなぜにそのような形式のオケを運営しているのか。オペラ以外の曲を演奏することでの音楽的欲求の充足。これが第一か。そして、録音や演奏旅行といった"課外活動"がもたらす副収入。これもまた大きな要因であろう。
特に後者については、その分配方法が創立以来明確に定められ、極めて民主的に運用されているという。しかし、それはあくまでも"現役"であることで得られる収入でもある。退職後については、"栄光のフィルハーモニカー"OBであっても、あくまでも国家公務員としての規定に準じるしかない。
でも、国家公務員OBとしての退職金・年金だけでは老後が不安である。そこで、ウィーンフィルとして独自の退職金基金を作り、団員だった人には、退職時(それは"定年"でなくても構わない)に相当額の退職金を支給する制度の創設がかねてから計画されていたのであった。しかしそのためには多額の財源が必要である。計画はなかなか実現には至らなかったのだが、そこに降って湧いたのが野村證券から持ち掛けられた「ウィーンフィルウィーク・ジャパン」の企画なのであった。
このシリーズを始めるにあたって、団員総会では、その収入を「退職金基金の財源とする」ことの賛否が問われたという。これは、言ってしまえば"現役の団員の収入とはならない企画"を実施することを意味するのだ。しかし、結果的には賛成多数で実施が決定された。彼らは、今のウィーンフィルを築いてきた先輩たちと、いずれは退職する自分たちが享受する新たな権利の創出を選択したのである。
最近の当団は、確かに以前と比べれば演奏会の回数が多い。日本の「評論家」と称する輩の中には、「最近のウィーンフィルは商売のしすぎによってレベル低下を招いている」などとしたり顔で言っとるヤツもいる。しかし、それについては彼ら自身が最も危機感を抱いているはず。でも、自分たちの生活のためにやむなく選択せざるを得ない道でもあるのだ。その選択が「正解」かどうかはわからない。でも「それは不正解だよ」と言うことだってできない。彼らもまた、一生活者なのだから。
いずれにしても、このような背景から、彼らとしては金(財源)を出してくれるところには出向くであろう。よって、とりあえず1年のインターバルをおいて、新たなシリーズを始めるだろう、というのが今回のネタの裏付けとなっているという次第。


●2001年のニューイヤーコンサートの指揮はラトルに決定!?

これまた関係筋からの情報によると、21世紀最初のニューイヤーコンサートの指揮はラトルになるらしい。当団が彼に対して相当に入れ込みつつあることは、最近の彼に対する扱いからもよくわかるところであるが、これが事実とすれば、「新しい時代はオマエにまかせるんだからね、ウチは」という恰好の意思表示ともなるであろう。でも、ラトルのJ.シュトラウスって、どんなだろ?



本日の2情報については、いずれも未確認のものであります。将来、事実は別のものとなったとしても、当方としましては一切責任を持てませんので、悪しからずご了解ください。



1996年10月17日(木)号

●ガンシュ退団
か?(←東スポ風)

比較的信頼できる筋からの情報によると、Trp首席(第2席)であったヨハン(ハンス)・ガンシュが退団したとのこと。退団後は、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院の教授職、および、主宰のブラスアンサンブル等での演奏活動を行なっていくものと思われる。
かねてから噂があったとはいえ、これが事実とするとなんとも残念。テクニック・音色いずれも抜きん出たものがあっただけに、当団にとって大きな損失であることは事実。今回の来日公演では、最若手のエダーが1番パートを吹いていたが、現状ではガンシュの抜けた穴をふさぐには至っていない。エダーをそのまま1番吹きとして育てるのか、はたまた新人を採用するのか。首席(第1席)のポンベルガーの動向も絡んで、今後の人事は混迷の模様。

※補足情報:退団は事実とのこと(8月のザルツブルク音楽祭が最後だった由)。来年にはソロでの来日予定もありとか。敢えて"楽しみだ"とは言わないよ。(10/18)



1996年9月29日(日)号

●急なハナシではありますが

本日(9/29)18:30〜目黒区民センターで、ウィーンフィル首席ホルン奏者ラルス・ミヒャエル・シュトランスキー氏が、R.シュトラウスのホルン協奏曲第1番を演奏。伴奏は、アマチュアの「ギュンター・オケ」。入場は無料とのこと。このページを奇跡的に見て、奇跡的に時間のあるという方は、ぜひお出かけを。
なお、氏は、今回の来日公演ではブルックナー8番と「アルプス交響曲」のそれぞれ1番ホルンを吹くとの情報。



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