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翻訳の最終更新日: 2000 年 2 月 28 日


W3C NOTE-rdfarch

W3C データフォーマット

W3C 覚書 (NOTE) 1997 年 10 月 29 日

この文書 (原文): http://www.w3.org/TR/NOTE-rdfarch

著者: W3C の Tim Berners-Lee  <timbl@w3.org> と W3C チーム。


この文書の位置付け

この文書は、様々なデータ形式の仕様間の関係についてのよく尋ねられる質問に答えたもので、 技術文書というよりは、簡単な説明になっています。 この文書は時間が経っても更新されず、公式仕様自体をなんら保証するものではありません。 現在の開発状況について詳しくは、いつでも、 リンクしてある W3C のウェブの各部を参照してください。

要約

XML は、データの構造を表現する共通の書式としてますます採用が進んでいます。 今では、XML の最上層であるリソース・デスクリプション・フレームワーク (RDF) が 意味表現の共通の基礎を提供しています。プログラムでデータを論理的に結合できるように しているアプリケーションが RDF (そしてそのためには XML) を用いて作られるようになり、 これがウェブのモジュール性と拡張性を高めるでしょう。 RDF は、将来におけるウェブの高速な成長に不可欠であり、 新しく独自に開発されたアプリケーションの機能をも倍加させることでしょう。


データフォーマット・アーキテクチャ

この文書は、W3C のデータフォーマット仕様のいくつかの概要と、それらの間の 関係を示します。

SGML に基づいて HTML が、RDF と XML に基づいて P3 等があります

XML は SGML を置き換えるもので、構造表現を可能にします。 RDF は意味表現を可能にします。

構造表現

 SGML 標準は、様々な文書型が様々な構造を持つ場合でも データの構造を表現することのできる共通の方法を、テキスト処理アプリケーションに与えました。

ハイパーテキストマックアップ言語 (HTML) は SGML に基づいた特定のアプリケーションのひとつです。 他にも、例えば CALS イニシアティブのために定義された、数多くの文書型があります。

W3C の新しい 拡張可能な マークアップ言語 (XML) は、SGML と同等の機能を、 よりシンプルで強力なやり方で提供します。 今後 W3C から出るテキストマークアップは、SGML よりもむしろ XML 上に構築したもの になるでしょう。このことは、後方互換性と移行方法に関する技術作業の結果次第では、 HTML の将来のバージョンにさえあてはまるかもしれません。

メタデータ

ウェブは機械可読なコンテンツのために使われるようになってきています。 これに関して言うと、XML は数多くの新しいデータフォーマットに共通の書式を提供するので、 その到来は非常にタイムリーといえます。

こういったアプリケーション多くは、単純に構造化されるデータというより、 他と共通した構造のデータを持っています。 そのデータは、ウェブ内外のオブジェクトに関する機械可読な内容を表しているのです。 この「メタデータ」を利用すると、 データベースに大量の情報を蓄えたり、既存のアプリケーションを、 ウェブで人間が閲覧するだけでなく機械で読取・検索・判断・分析することも できるようになります。

意味表現

「リソース・デスクリプション・ フレームワーク (RDF)」を使うと、メタデータアプリケーションを結合したり 共有する意味付けの表現を共通の方法で扱えるようになります。 RDF は、XML の最上層のさらに上部にあたります。

現在では、旧来の情報システムの情報をウェブに載せるためのアプリケーションに 巨大産業があるばかりではありません。ウェブを飛び回るためのアプリケーションや、 ウェブページの自動生成法についてのアイデアを基に制作された、 情報の取り寄せや機械処理できるように定義されたデータへの再変換のアプリケーションにも 産業が存在します。 RDF は、このための長い道のりに近道を可能にし、 プログラムがデータを直接に収集できるようにします。

明確な拡張性

経験のおかげで、RDF は HTML や HTTP といった仕様から大きな一歩を踏み出しました。 HTML や HTTP の仕様は、長年の変革の中で大きく拡張されてきました。 その過程は、ある種の新しいタグの実験的な追加でした。新しいタグの意義や重要性は、 実験に関係しないソフトウェアでは決して明らかとはいえず、深刻な非互換性の危険が おこっただけでした。

RDF の目標には、まず、古い標準のボキャブラリと特定の新しい試験的ないし私有の ボキャブラリを混ぜて使って文書を書けるようにすることがあります。 また、その一方で、何が重要で何が無視してよいのか、古いソフトウェアは どうやって推論・ダウンロードし、新しいボキャブラリを解釈すればよいのかといったことを はっきりわかるようにするという目標もあります。 これがうまくいけば、アプリケーションの強力な結合が可能になります。 例えば、預金管理や設計、法律のボキャブラリで作られたインスタンスのコンセプトを、 明確に定義された方法で結び付ける文書が作れるようになるのです。 表現媒体としてのウェブの能力は、個々の開発をかけあわせたもの (足したものではなく) に なることでしょう。

 さらに、標準ボキャブラリのシステムの完全性を乱すことなく、 そのボキャブラリに試験的なボキャブラリを混ぜることもできるようになるため、 RDF は、たくさんの標準を合わせる必要なく、より確実かつ迅速に新しいアイデアを 開発する手段を提供します。

RDF への移行

計画では、XML・RDF 以前に書かれた PICS 1.0 などの、 W3C の既存の仕様を、RDF と XML の規定に従って定義された 2.0 バージョンへ移行することに なっています。 これが実現すると、PICS ラベルを、 P3P プロジェクトで定義され RDF を使っている プライバシー (例えば) に関する情報とミックスすることができるようになります。 多くの新しいアプリケーションが、P3P のように、じかに RDF に沿って作られるでしょう。 この Consortium は、既存のアプリケーションを RDF に移行し、この拡張可能性と アプリケーション結合の力を利用できるようにすることを奨励します。

私たちは、ここで述べた概観でこれらの仕様間の関係が明らかになるようにと考えています。 さらに詳しい情報については、リンクを張っている W3C ウェブサイト、 http://www.w3.org の情報を参照してください。

W3C チーム、1997 年 10 月


参考資料

この文書を紙面で読んでいる方々のために、以下にリンクをテキストで示します。

HTML http://www.w3.org/MarkUp
Metadata http://www.w3.org/Metadata
P3P http://www.w3.org/P3
PICS http://www.w3.org/PICS
RDF http://www.w3.org/Metadata/RDF
SGML http://www.w3.org/MarkUp/SGML
XML http://www.w3.org/XML
W3C http://www.w3.org/


翻訳: ToyFish.Net