畜生、『エアコンに予知能力あり』ってのは本当だったのか。つまり、さいごに弦を切るという行為自体は、ジプシーの流儀であるとか、観客に対する礼儀である、等々いくらでも正当化できる。問題はギター仲間たちにどうあやまるかだ。満タンにして返せば無罪放免だぜ、オレはそれで十年間喰って來たぜ、と遅刻魔でもないのに悪友くんは言うのだった。
「かまへんて」
「栄養士がその位のことでくじけてちゃダメよ」
「アイスの良し悪しは一にも二にも玉子の良し悪しだっていうじゃない。」
やはり、おいてかれてでもおみやげは買っておくべきだったのだ。
「あのォ、実につまらないもので恐縮なのですが、といいますのも、凝ってるのはイレモノばかりでして、ねぇ、外見で判断するとほんと痛い目にあいますな、じっさい中身はあきれるほどお粗末なんです、あらかじめ」
「まあまあ、そうおっしゃらずに。何んですって、ヤマトタケルご愛用の?」
「よしてください、テレますよ(あッ、そこさわっちゃダメです!)。それにそんなの決まり文句じゃないですか」
「ナプキンと」
「おまると?」
「フィルムの」
「三点セット?」
「これは何んともありがたい!」