水中デジカメ

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2007/05/24

場所: 伊豆 大瀬崎
ポイント: 湾内
天気: 晴れ
気温: 28度
水温: 19度
スーツ:
カメラ: EOS Kiss Digital X

オス同士の闘い
アオリイカ

ペア
アオリイカ

産卵直前のメス
アオリイカ


アオリイカの卵

「最も美しい生き物は?」と聞かれたら、私はきっと色々と考えた結果、「アオリイカ」と答えると思います。透明感、様々に変わる色、金属光沢を放つ大 きな目、そういった外見の美しさに加え、「一年しか生きられない」という儚さ、そしてその中で産卵、ふ化、捕食と一年を通して懸命に生きる姿が美しいから です。

その生命の集大成、産卵のシーズンが今年も始まりました。再び週末出勤の代休で会社を休む事が出来た私は先週から産卵が始まっているという大瀬崎へ 行ってきました。しかも大瀬崎では伊豆の他のポイントと違い、産卵礁ではない自然の海藻に産んでいると聞き、初めて自然のままの産卵を見られるかもしれな いと楽しみにしていました。

この日は2本の予定でどちらもアオリイカの産卵のみを狙って潜りました。1本目はワイドレンズで潜ったのですが、透明度が悪かったのとアオリイカを 見つけるまでに時間がかかり、寄る事も出来なかったため良い写真は撮れませんでした。これはレンズを換えた方が良いと思った私は以前一回使った切りだった 24mm F1.8 を使う事にしました。ポートレート用のこのレンズ、50cm - 1m の距離の大きめの被写体が見たままの感じで撮れます。マクロにもワイドにもなりませんが、アオリイカを画角いっぱいに撮るには丁度良いのです。

2本目はすぐにアオリイカも見付かり、早速撮影を開始しました。アオリイカは1回産卵する場所を決めると、何度も同じ場所に産むという習性がありま す。そこでアオリイカが産卵していた海藻の真横に座り込み、息をひそめて海藻と同化してみました。暫く待っていると、透明度の悪い白っぽい水の向こうから ゆっくりとアオリイカのペアが現れました。息を止め、カメラを構えて待つとメスがゆっくりと近付いてきましたが、流石に警戒して産卵に入りません。すると 後ろからオスが大きく触手を広げてメスを守る様に後押ししました。「俺がいるから大丈夫だよ。」とでも言う様なオスに元気づけられ、メスが海藻の中に入 り、産卵を始めました。手を伸ばせば届く程の距離で産卵するメスの姿を見守りながら、私はめまいがする程の興奮と感動を感じました。

暫くすると何匹ものアオリイカが入り乱れて産卵を開始、オス同士の闘いも見られました。シーズン後半には闘いの傷でぼろぼろになるオス達、それでも 触手を広げてメスを守る姿にはいつも心を打たれます。たった一年の生を全力で生きる彼等の姿を「美しい」と言う以外に何と表現すればいいのでしょうか。

結局90分を2本、アオリイカのみ、撮った写真は150枚、その中で良く撮れていたのは数える程でしたが、アオリイカの熱い命に触れ、充実した一日でした。

これからシーズン本番、また機会を見つけてチャレンジしたいと思います。


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