水中デジカメ
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2007/07/22
場所: 伊豆 大瀬崎
ポイント: 湾内
天気: 晴れ
気温: 30度
水温: 24度
スーツ: ウェット+インナー
カメラ: EOS Kiss Digital X
ネジリンボウ
アオリイカ(オス)
アオリイカ(メス)
遅れて来た梅雨がなかなか明けず、海の日を超えても冴えない天気が続くこの頃ですが、海の中はどうやら着々と夏本番を迎えつつある様です。夏のアイ
ドル、ネジリンボウが現れ、一度終わったと思われたアオリイカの産卵も再び活気を取り戻したと聞き、今回は夏休みシーズンに突入したばかりの大瀬崎に行っ
てきました。
また今回はデジカメを本格的に始めたいというダイビング仲間に1世代前の PowerShot G6 を貸し出す事になり、レクチャーも兼ねてバディで潜りました。
1本目はまずマクロレンズをセットしてネジリンボウ探し、目的の場所はすぐに見付かり、巣穴もバディがすぐに見つけてくれました。魚を驚かせない様
にそっと近付いてみると、名前の由来でもあるストライプ模様のハゼがペアで巣穴から顔を出していました。本来は沖縄など南の海のハゼであるネジリンボウや
ヤシャハゼは黒潮の流れに乗って伊豆に流れ着くのだと言われています。彼等は夏の暖かい時期は何とか伊豆の海に適応しますが、冬になり、水温が低下すると
次第に姿を消していきます。様々な種類の南の海の魚達が伊豆に現れ、少しの間だけ観察され、そして最後には人知れず死んでいく、それがアオリイカの産卵に
続く伊豆の夏の風物詩、
「死滅回遊魚」なのです。
最近、ダイビング雑誌等では「死滅」という言葉のネガティブなイメージを嫌い、「季節来遊魚」と呼ぶ風潮がありますが、私にはその意図が全く理解でき
ません。自ら大自然の中へ飛び込み、自然を知り、全身で受け止める機会を与えられたダイバーが何故「イメージ」の為に事実から目を背ける必要があるので
しょうか。彼等の死すべき運命を知り、故郷を遠く離れた海で懸命に生き続けようとするその姿を慈しむ事こそ、私はダイバーの正しい姿だと思います。ダイ
バーと自然の間に入り込み、「イメージ」をコントロールしようとする業界の態度は残念としか言い様がありません。
1本目の帰り、偶然立ち寄った産卵礁ではアオリイカ達が正に産卵の真っ最中でした。海に沈められた木の枝は枝の密度が低く、メスが卵を産みつけている姿を
初めてはっきりと見る事ができました。とりあえず写真は撮りましたが、マクロレンズだったのであまり上手くいかず、2本目に期待する事にしました。
2本目はレンズを24mmに換えてアオリイカ狙いで行きました。最初に少し深く行ってウミテングのペアを探したのですがそれは見付かりませんでした。ウミ
テングを探している途中、水底でウツボが狂った様に身をくねらせているのを発見、何をしているのかと近付いてみると、そこには死んだアオリイカのオスの体
が丸太の様に横たわっていました。産卵で体力を使い果たし、ウツボに食い荒らされてぼろぼろになったアオリイカの死骸、それを見た時、私はこれこそが自
然、これこそが現実なんだと感じました。一旦海へ入ればダイバーは必ず生と死の両方を目にする事になる、誰にもそれを隠したり、変えたりする事は出来ませ
ん。むしろ自然の残酷さを目にする事で、命の美しさに触れた時の感動はより深まるものなのです。
その後産卵礁にたどり着くと、そこでは一本目と同じくアオリイカ達が集まっていました。オスがメスを産卵礁へと招き入れ、メスが木の枝に卵を産みつける、
産卵に夢中だったアオリイカ達はその全てを手が届く程の距離で見せてくれました。時には銀色に、そして時には金色に色を変えながら産卵を繰り返すその姿に
私は取り憑かれた様にひたすらシャッターを切り続けました。
ダイビング後には水面に上がって流れ藻探索、これも季節物のハナオコゼを探しましたが残念ながら見付かりませんでした。これにて2ダイブ完了、バディにカメラの使い方を教えると言う目的も達成し、充実した1日となりました。
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