阿波高山採集の風景

採集地:徳島県

2005.11.18

11/17(木)

木曜の晩に大阪・伊丹空港へ仙台から清水氏がやって来られた。私は急ぎ帰宅後車を走らせ迎えにあがった。飛行機の着陸時刻と同時に私も空港へ到着した。合流後高速に乗り、徳島を目指して進みます。この日の晩は徳島市内のホテルへ泊まる事にしていた。途中のSAで夕食を済ませ徳島へ入ったのは深夜近くなっていた。




11/18(金)

朝6:00にアラームで目を覚ました。この時期はまだ薄明かりが射してきたくらいで、日ノ出の時刻も遅いものである。身支度も整い宿を後にした。徳島のやや寂しげな繁華街を通り抜け、市内を通過する。この日は徳島の高山が目的地だった。目的地までのアクセスは数カ所で通行止めとなっており、葛籠折れの山道しか選択肢はなく、標高を上げて目的地へとひた走った。

標高も1000Mを越えて来た。この辺りから植生も植林から自然林へと変化してくる。だが、まだブナなどはほとんどなく、高山種ではコルリ位しか狙えない環境だろう。更に進んでゆくと白く雪化粧した山が現れてくる。進んでいる道路の水たまりも氷が張っていた。想像以上に山の上は冬景色となっていた。
ブッシュを掻き分け進んでゆく
クロツヤムシアカアシ幼虫アカアシ成虫♀
この日の目的のポイントへやっと到着して、車から降りるととても寒い。足下には所々雪が積もっている。ウォーミングアップにクロツヤムシでもと倒木を叩いてみると早速現れてくれます。清水氏は初めて見るクロツヤムシにたいして感動はしていなかった様子だが、それでも懸命に材を探して叩いていた。だが、とにかく寒い。時折風も吹き付けてくるので尚更だった。

ウォーミングアップを終えると、本命のブナへ取り付くことにした。山を上へ上へと登り、ブナの立ち枯れに辿り着く。斧を入れると大きな食痕はあるのだが、蛹室は空洞で幼虫も成虫も現れない。どうやら出たあとの様だった。
アカアシ成虫ヒメオオらしき幼虫が・・ヒメオオの幼虫
やっとヒメオオ成虫が現れる 更に割ってゆくと新しい食痕がいくつか現れる。続いて幼虫がやっと現れてくれた。大きく立派な幼虫だった。ヒメオオで間違いないものである。その後は2齢幼虫が数多く獲られたが、どうもこちらはアカアシが大半の様だった。間もなくアカアシの成虫が♂♀いくらか出てきた。ということは最初の大きな幼虫もアカアシなのか?

もう一度確認するが、やはりどう見てもヒメオオである。そう思って更に叩くと今度はようやくヒメオオの♂成虫が現れてくれた。続いてまたヒメオオの幼虫も現れる。どうやらこの木には同じ辺りに混じって入っているようだった。

その頃、清水氏は近くの倒木と挌闘しており、どうやらクロツヤムシばかりな様子だった。真剣に叩いていると体も温まるのだが、少しでも休憩していると震えるくらいの寒さである。清水氏も暖をとりたい様子なので、一旦車まで戻ることとした。

車で一服の後、移動して次を探す事にした。少し走ると大きな立ち枯れと倒木が目に入った。車を止めて叩いてみたが、食痕がでてこない。沢の下へ降りて倒木に取り付くが、こちらもいまいちだった。その頃上では清水氏が何かの幼虫を出していた。どうやらアカアシの様だった。

続いて移動してみると、いい感じの立ち枯れに巡りあった。ここでようやく私も追加を出すことができた。ヒメオオの成虫♂がでてくれた。幼虫もまた少しだけ獲られた。この材はまた来年、再来年と楽しめそうな感じである。

更に移動して標高も益々上がって来ていた。いつの間にか1500Mも越えている。寒さも一段と厳しく、清水氏はもう車から降りようとしない程だ。東北の清水氏が寒いというのだから本当にこの場所は寒いのだろう。私一人で藪の中へ入っていって倒木を叩いてみたが、クロツヤムシしか出てこない。もう私も根気が続かなくなり、早々に車へ退散したのだった。

時間もいつの間にか14:00を回っており、ここでUターンしてエリアの移動を行うことにした。標高を下げてゆくと寒さも幾分和らいでくる。標高1000Mを切った辺りで開けたいい感じの場所があるので少しコルリでもと探してみたが、なかなか見つからない。あまり時間も無いので見切りをつけ、移動することにした。

徳島産ヒメオオクワガタ
クロツヤムシ
山間部の移動には時間がかかるもので、次のポイントへ着いたときには17:00近くになってしまい、辺りもだんだん暗くなってきていた。ここは以前、オニクワが爆採れしたポイントなのだが、倒木も流されてしまったのか、ほとんど無くなり今回はあまり出せなかった。頭の上からは霙が降ってきており、もう諦めて本日の採集は打ち止めにすることとした。

山間部の狭隘な道路を走ってようやく明かりのある町まで降りて来た。この日の晩は香川に宿を取っていた。しかし、まだもう一山越えなければ香川へは入れなかった。香川の街まで来たときには20:00も回ってしまっていた。直線距離でみるのはたいしたこと無いのだが、走ってみると時間のかかるものである。こうしてようやく晩飯にありつく事ができ、その後宿へと辿り着いたのは21:50になっていたのであった。

山の上は予想以上の寒さだった。手足も悴み、採集にも集中力が欠けるほどである。成果の方は貴重な四国のヒメオオが出てくれただけでも良しとしなければならない。
◆本日の採集成果:ヒメオオクワガタ成虫♂2+幼虫5、アカアシクワガタ成虫♂4♀4+幼虫30、オニクワガタ幼虫6、クロツヤムシ20


11月19日 香川採集へ