会津地方採集の風景

採集地:福島県西部


2005.7.16-18

◆2005.7.15◆

この週末は3連休である。以前から遠征を計画していたが、あることからその計画は流れてしまった・・・。
急遽私は何処か別な計画を立てることになった。候補はいくつかあったが、天候なども踏まえて今回は足掛け5年目となる会津方面への遠征を行うことに決めたのだった。

会社から帰宅した私は、すぐに準備を整え自宅を出発。今回は直前にSOに同行を頼んでいたので彼を迎えに行く。
彼を車に乗せ、名神高速へ乗り込んだのは20:50頃になっていた。


◆2005.7.16◆昼の部
長いトンネル 名神から北陸道をひたすら走り、関越道へようやく入った。
しかし、ここで雨が落ちてきた。目的のIC付近では更に激しく降っている。6時間ほど費やしてようやくというのになんとも辛い仕打ちである。関越道に入ってからずっと片側通行で、この辺りはまだ震災復旧工事をしているのにも驚いた。

目的のICを降り、コンビニで食料を買い込みいよいよ山間部へ向かっていく。途中の街灯で明るいところはチェックしてゆくが、雨の影響か虫は少ない。しかし、そんな中でもノコギリクワガタ♀、ミヤマクワガタ♀、アカアシクワガタなど普通種は数頭見つけることが出来た。

更に車を進め、いよいよ長い銀山湖へのトンネルと周回道路だが、長時間のドライブの最後にこの道は疲れを増大させてくれる。途中で日も登り、朝を迎えた。約9時間を費やしようやく目的地の奥会津へ入ることが出来たのである。

ミヤマクワガタ♀この時期でも雪渓が・・夜明け
到着して早々、林道へ入ってみた。昨晩からの雨も収まりつつあった。我々は昨年の実績ポイントへ急行してみたが、虫はみられない。この日は果実トラップも少し用意してきていた。ヒメオオには効果は無いと思うが、何かしらの虫は付くはずである。ミヤマの♂でも付いてくれると嬉しいのだが、果たしてどうなのか未知数である。一度試してみたいとも思っていた。SO氏にサポートしてもらい、林道ではない、人目に付きにくい場所でしかも私の網が届く範囲に設置していった。

果実トラップをかけながら当然ルッキングも行うが、黒い影はみられない。昨夜からの雨で樹木も濡れており、出て来るには時間がかかるのかもしれない。果実トラップを一通りかけ終わったので、今度は車で流して見ていったが、やはり見つけることは出来ないでいた。
ヨツボシオオキスイ
柳にミヤマ
樹液の回りでは蝶が沢山集まっている。ヨツボシオオキスイも集まっているが、クワガタはまだなのだろうか。車を止めて一息つき、付近を歩いて見に行くとようやくクワガタを見つけることが出来た。

そこそこなサイズのミヤマクワガタの♂だった。車へ網を取りに戻りSO氏を呼ぼうと思ったが熟睡していたので、そのままにしておいた。私はさっきのミヤマを採集して辺りを一回りして車へ戻りSO氏に見せるとようやく目が覚めた様子だった。

その後は車で流しながらルッキングを行った。暫く流してようやく黒い影を見つけた。近寄るとヒメオオだった。難なくネットに納め、ようやくこの辺りでポツポツ採れだした。その後は別の林道へ向かうことにした。
柳にヒメオオ 柳にヒメオオ
ミヤマクワガタ♂ヒメオオクワガタ♂ヒメオオクワガタ♂
アカアシクワガタ♀ウラナミシジミウラナミシジミ
今回は過去に入っていないポイントへ注力して廻るつもりでいた。採れるか採れないかは行ってみないとわからないが、行かないと始まらない。車を止め徒歩で林道を歩いてゆくが、樹皮が苔生していてクワガタの生息環境としては、いまいちである。暫く歩くと開けたところに柳があった。この木はなかなかいい感じである。見上げて探していると黒い影を発見。SO氏も同じ個体を眺めていた。ペアで付いている様子。私が網でネットに落とすとコクワのペアだった。残念!

このコクワは腹部が大きく膨らみもあり、頭部は小さく、顎はやや太く変わったコクワガタだった。ヒメオオとの中間雑種ではないが、見慣れたコクワガタとは明らかに違うものだった。更に奥へと進むが益々厳しい状況となり、引き返し車へ戻ることにした。

コクワガタコブヤハズカミキリ

はじめにトラップを仕掛けた場所まで戻り、再度散策することにした。トラップもかなり発酵させて持ち込んだので、そろそろ付いていてもいい頃であるが・・

期待半分で見に行くとブンブン系の虫が付いていた。期待通りというか、案の定どのトラップもブンブンばかりである。ムラサキツヤハナムグリ、アオアシナガハナムグリや蝶は集まっていたが、クワガタはみられない。ミヤマ♂のシルエットを期待していたが、無理のようだ。網が届かないような、もっと高い位置に掛けないと集まらないのかもしれない。

ルッキングでは相変わらず厳しい状況が続く。そんな中、下草の葉に止まるコブヤハズカミキリを発見。派手さはないが面白い造形をした渋いカミキリである。

そんな中、ようやくヒメオオ♂を獲ることが出来た。
この後ブナ原生林も散策したが、方向感覚を失い危うく迷子になるところだった。こういった山歩きはコンパスなどきちんと携行しなければならない。しばらく彷徨い這々の体で車へ戻り、山を下りて町へ向かうことにした。

店が開いているうちに燃料・食糧の補給と汗くらい流したいものであるから。

ムラサキツヤハナムグリ果実トラップにはハナムグリばかり・・アオアシナガハナムグリ

◆2005.7.16◆夜の部
時間もあまりないので、温泉では長居も出来ずにほんと汗を流す程度で移動を開始。街道沿いの有名灯火ポイントは、まだ日没まで2時間程あるというのにセットを展開して準備万端な採集者が多数いた。我々もこの辺りでと思っていたところは尽く先客が陣取っており、やむなく大きくエリアを変えることにした。そこは昨年やろうとして準備していたときに大雨が落ちてきて断念した場所だった。

エリアの移動に車で1時間以上かかり、ようやく展開することが出来た。もう日も暮れてしまっていた。早速アカアシが飛来する。その後ミヤマがポツポツと飛来してきたが、数はそれほどでもない。だんだんガスが濃くなり灯火のメリットも薄れてきた。この状況なら早めに街灯回りをした方が堅いかもしれないと判断し、SO氏にライトの番を任せて私は車で街灯を流すことにした。

案の定街灯の方が希望が持てる。しかし、オオクワはそう簡単に見つけられるものではない。目につく街灯を一回りして灯火ポイントへ戻るとこちらは多少の追加しか獲られなかった様子だった。

0:00には撤収を開始した。荷を車に積み込み片付け終わった時、2台の車が通り過ぎるかと思ったら我々の前で止まった。我々より奥で展開していた採集者の方達だった。彼らも今夜成果はあがってないようだった。しかし、6月にはこの辺りで採集しているという。昨年なんとなくと思った場所だが、あながち外していたわけではなさそうだ。
アカアシクワガタ♂
アカアシクワガタ♀アカアシクワガタ♂ミヤマクワガタ♂
彼らと別れた後は街灯をただひたすら回ってチェックしてゆく。さすがにこの時間からの飛来は望めないし、先行者が採集している為なのかほとんどみられない。そんなとき電柱上部に黒い大きな甲虫を見つけた。お尻しかよく見えないが、大型の甲虫だった。

僅かに期待も膨らむが、なんか丸く見えるのは気のせいか?
いや、気のせいではなく、カブトの♂だった。

その後も3:30過ぎまで街灯を回ったが、たいしたものは採集できなかった。助手席のSO氏は時折睡魔に襲われ落ちている。私の体力も限界を迎え車のエンジンを停止して夜明けまで寝ることにした。
◆本日の採集成果:ヒメオオクワガタ♂3、アカアシクワガタ♂4♀5、ミヤマクワガタ♂5♀3、ノコギリクワガタ♀4、
 スジクワガタ♂1♀1、コクワガタ♂4♀3、カブト♂2、ムラサキツヤハナムグリ10以上、アオアシナガハナムグリ4、
 コブヤハズカミキリ1

※今回の採集では果実トラップを用いましたが、回収は必ず行いましょう。

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