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八丈島採集の風景
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◆2005.6.24 東京へ出張で来ていたこの週末。そのまま船で島へ向かうことにした。当日の予約で船と車を確保した。21:00仕事が片づくとそそくさと竹芝桟橋へ向かった。晩飯には待合所内施設で「あしたばそば」を食べる事が出来た。食事が終わるとすぐに乗船の時間がやってきた。 22:10出港の銅鑼が鳴る。今回の船は「さるびあ丸(4900t)」である。設備的には「かめりあ丸」より多少良いようだ。大きさも一回り大きく新しい。今回で本年は3回目の伊豆諸島遠征である。八丈島には17年前の学生だった頃に一度訪れたことがあるが、船の時間が長かったこと、道が険しかったこと、赤いトタン屋根や民家回りの独特な風景など断片的にしか今は覚えていない。 |
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◆2005.6.25 特2等寝台でぐっすりとはいえないものの多少は寝ていた頃、船は三宅島へ到着。この日は接岸するエリアが危険ガスレベル4(最高レベル)の為、ガスマスク着用で下船していた光景は痛々しかった。甲板、デッキも閉めきられていたので窓から様子を伺うのがやっとだった。目に見える山の木は皆枯れており、火山ガスの目に見えない恐ろしさが伝わる光景だった。 三宅島を後にして次に御蔵島へ寄港。ここは山も青々としており、ミクラミヤマがこの島にいるかと思うと一目見に降りたい気分だった。 |
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その後3時間を経てようやく目的地の八丈島に到着。やはり11時間の船旅は楽ではない。八丈の空はどんよりしており、今にも降り出しそうな天気だった。前線がまだこの上空に居座っているようだ。 港で少し待っていると電話で予約していたレンタカー屋のおやじさんが迎えに来てくれた。親切に島の事を色々教えてくれる。元々は内地の方で、脱サラして八丈に住み着いたとか語ってくれた。 レンタカー屋を後に先ずはAエリアへ車を走らせようと思ったが、道を誤りCエリアへ向かうことになってしまった。引き返すのもなんなのでそのまま峠道へと上がって行くことにした。無情にも雨が落ちてきた。 |
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しかし、道を歩いていないだろうか?側溝に落ちていないだろうか?運転しながら気になって見て行くがなにもいない。 暫くして脇へ逸れた林道へ徒歩で進入する。林床に転がる倒木を見つけたので、早速裏返してみたが、なにもいない。また見つけて裏返してみると、セミの蛹。次はようやく黒い虫が目に入った。だが、かなり小さい。それは、ハチジョウネブトの♂だった。そのままその辺りを徘徊して倒木を見つけては裏返したが、追加は出来ない。そんなとき、ハチジョウノコギリの比較的大きな中歯の亡骸頭部がでてきた。嬉しいやら悲しいやら。もう、ピークは終わってしまったよと言われている様な気分だった。ハチノコに関してはピークは過ぎていてもきっと採れるだろうと高をくくっていたのは誤算だった。天候も思ったより回復が遅れているし、滞在時間が24時間しかない。想像より厳しい状況である事に今更気が付いても仕方がなかった。 |
次はこのCエリアで有望そうな林道を流すことにした。道の両サイドは結構なブッシュと斜面で踏み込めそうな所があまりない。シダなどの下草が生い茂り、ジャングルになっていて倒木の存在など見える筈もなかった。そんなとき、倒木が目に入り斜面を上がって行った。大きな倒木をなんとか裏返すと、ハチジョウネブトがペアでいた。土の中から幼虫も出てくる。この回りの倒木で幼虫、成虫を追加して車へ戻りまた流すことにした。 暫く走ると舗装路は終わり、悪路となる。雰囲気は良い感じなのだが、倒木が見当たらない。サイドは急な斜面のため入り込むことも容易ではない。あまりこの林道だけで時間を費やすのももったいないので先を急ぐことにした。 |
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また周回道路へ戻るとスーパーが丁度あったので、昼と晩の食料を買い込むことにした。その後は反対側の林道へ行ってみることにしたが、こちらもいまいち入り込めそうもない。そのまま流しているとBエリアへと入っていった。このエリアでは倒木の集めてある場所を見つけたが、先にAエリアへ急ぐことにした。日没までに有望な場所を見つけないとならないからである。 |
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場所を変えて林床に斜めに倒れかかったオオバヤシャブシの大木が目に入ったので入って行く。根部分からリュウキュウツヤハナムグリの成虫幼虫が転がり出てきた。更に奥の倒木でもツヤハナの幼虫はいるのだが、クワガタがいない。 また大きな倒木があり退かしてみると今度はようやくハチノコ♂が現れてくれた。その後は数頭のハチノコ♂を追加してこの林床をあとにした。 今度はAエリアとBエリアの境目付近を重点に散策。なかなか絞れずにそのまま先程の倒木ポイントへ来てしまった。期待半分で返してみたら数頭のチビクワガタがいた。チビクワというと材表面にいるものだと思っていた。 |
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なんとかこれで4種目まで来たが、ここからが難関種。しかし、日没も迫っており、Aエリアは散々走ってみたので、Cエリアまで戻ることにした。もう一度林道を散策することにしたが、結果は同じで空回り。 |
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1時間程の仮眠から目を覚ますと辺りは真っ暗闇になっていた。もうこのままずっと朝まで寝ていようかと思ったが、なんとか奮起して車のエンジンを始動して移動を行った。少し走り周回道路へ出ると街灯下に虫が転がっている。 コガネムシ、サツマゴキブリに混じってクワガタらしい物が目に入ったが、牽かれたあとのハチノコ♀だった。しかし、この事が完全に私の目を覚ましてくれた。 少ししてまたクワガタらしき影を見つけた。車を止め近寄ると今度は無事なハチノコ♀を採集。この後私は島の南半分の街灯を隈無くチェックしてゆく事にした。しかし、その後はサツマゴキばかりで、大きなミヤマかと思ったら、サソリモドキだったりと奮わない。サツマゴキが多くいる所はコガネなど様々な虫も多いのでクワガタに出くわす可能性も高いのかもしれないが、八丈のクワガタはあまり飛翔しないようで、やはり街灯へは来ないのだろうか。 |
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昼間に採集できたポイントなどの倒木もチェックしていったが追加は得られず、夜になるにつれ雨足が強まるばかりだった。丑三つ時には登竜峠の駐車スペースに車を止めて、お開きとした。明日の好天を祈るばかりだった。 |