神津島採集の風景

採集地:東京都神津島村

2005.3.18-21

◆2005.3.18

この日私は東京へ来ていた。もちろん仕事であるが、その仕事を終えると竹芝桟橋へ向かった。船に乗り伊豆諸島の神津島へ行くためだった。船は幸い前日に予約していたので3連休で満席とのことだったが席は確保できていた。そしていよいよ出港の銅鑼が鳴る。それは、12時間程の船旅の始まりだった。
◆2005.3.19

私が乗船した船は「かめりあ丸」という3,751tのフェリー。決して大型ではないし長時間の乗り心地も良いとはいえない。でも幸い特2等のベットルームが私の席だったのでこれは幸いした。

過去にもフェリーはいろいろ乗ったことはあるが、豪華客船「飛鳥」以外はどれも似たようなものかもしれないと思う。

しかし、船旅というのは非日常的な乗り物で、まさしく旅をさせてくれる気分を味わえる乗り物だという事を改めて感じさせてくれるものである。
大島利島右:新島、左:式根島
神津島 日も昇り、大島、利島、新島、式根島と立ち寄り乗客も減ってきた。そろそろというか、やっと神津島が近づいてきた。

しかし、船内アナウンスでは波の影響で神津島港ではなく、裏の多幸湾へ着くようだ。

地図で確認するとなにもなさそうな港だった。

無事神津島へ着いたのはいいが、なにもない港へ降ろされて途方に暮れてしまった。

宿もとらずに来てしまったので、出迎えもなにもない。村落へは歩いていける距離ではないし・・仕方なくタクシーを呼ぶことにした。その後、観光協会へ連絡し宿を探してもらうことにした。

10分ほどで迎えの車が来た。タクシー会社へ連絡したはずなのに、普通のハイエースだった。運転手もどう見てもタクシードライバーではない兄ちゃんだった。乗り込むとメーターも当然無い。まあ、島なのでこんなものかもしれない。とりあえず村へ連れていってくれるならこの際なんでもありがたかった。

10分程で村に着いた。観光協会で降ろしてもらうと、観光協会が呼んでくれた民宿の女将が車で迎えに来てくれていた。民宿は「文左丸」というところだった。綺麗な部屋だし、2泊するには申し分ない。お茶と茶菓子を持って女将さんが部屋へ来てくれた。ついでにバイクを借りられる所を聞いて、一服の後宿を後にした。村は夏場はいろいろな所でバイクや自転車の貸し出しをしているようだが、オフシーズンは1件しかない様だった。

10分ほど村を歩くとオートサービスがあった。原付を2日間借りたい旨、店主に聞くとこの島では夜間はバイクは貸し出しできないということだった。17:00に必ず返却という条件だった。これは事故などが起きないためとのことでこの島の決まり事の様だった。

既に11:30も回っており、17:00までにというと時間があまりない。早速山道へとバイクを走らせる事にした。

原付に乗るのは何年ぶりだろうか?10年ぶりくらいのはずだが、少し乗るとすぐに感覚は戻ってきた。でも島の道は狭く凸凹や急カーブも多いので注意しなければならない。
多幸湾とかめりあ丸
レンタルバイク
とりあえず、回った感じでは植生はいいところもあるが、思ったより畑なども多く、急峻で入れそうな所が見当たらない。おまけにこの時期は多少南の島とはいえども風も強くバイクでの移動は寒かった。

ようやく入れそうな所をみつけ、入ってみることにした。スダジイなどの植生は南紀を思わせるものだった。しかし、倒木はどれも湿度がありすぎて、虫は何も入っていない。腐葉土を掻き分け穴も掘ってみたが、20cmも掘ると砂になる。当然何も出てこない。暫く歩いて散策するが、駄目だったので場所を変えて海側へ行ってみることにした。

海に近いところで自然林が残っているところがあった。これならマメなどが期待できるかもしれないと思い、入っていったがここでもやはり倒木は湿度がありすぎる。案の定何も出すことが出来ないので、また場所を変えることにした。

海岸線へ出ると遊歩道があったので散策してみる。ここらは湿度もそこそこで良さそうだが、今度はあまり木が少なくまたしても何も見つけられない。いつもは良く見つかるコクワさえも出てこない。個体数は本土の様に多くはないのかもしれないが・・
神津島村の村落全景
島の景色はどこも美しい

その後もバイクを走らせるが、無駄足だった。寒さと何も採れない絶望感で今日の所はもう止めることにして温泉へと向かった。温泉は強塩泉で黄色い色をしたものだったが、体が温まった。バイクも定刻で戻してパン屋でハンバーガーを食べながら宿へ戻った。

なんだか成果はなにもなく、観光で一日が終わってしまったが、こういうのもまああってもいいのではないだろうか。そんなに焦ることもなく、この時間を楽しめばよいと割り切っていた。

晩は食べきれないくらいの料理が出た。女将さんも親切だし、この豪華な食事は幸せだった。腹一杯になり、もう一度風呂へ入り、本を読んで寝ることにした。明日も坊主だったらという不安などは無かった。

民宿「文左丸」

神津島採集2日目ヘ続く