会津地方採集の風景 採集地：福島県西部 2004.8.14
	車の中で朝やけで目を覚ますと、すぐに昨夜の灯火セットの片づけをしなければならなかった。SO氏と二人で早々に撤収を終えると、パンをくわえて車を出した。越後から会津へは結構険しい道を行かねばならない。 所々で道が川となり冠水していたり、先月の豪雨で崩壊したところもみられ雨が降ったらこの道は帰って来られないかもしれないという状況だった。事実降雨時は通行止めという看板も立っていた。とにかく先を急ぐことにしたが、湖沿いの曲がりくねった道はなかなか終わらなかった。 なにはともあれ会津へ入ることは出来た。そして標高を上げてヒメオオのいる林道へと我々は向かった。時間的にはやや早いが、目的どおり来られて良かった。
	時間が少し早い為か、採集者はあまりいないようだった。早速林道のルッキングを開始した。しかし、虫も全然みられない。林道沿いは気配すらなく昨年も苦い経験をしているだけに今年もなのだろうか・・ 虻対策に木酢液を振りかけ、藪こぎを開始した。 暫く進むが昨年より鬱そうとしてきている。 柳のあるポイントへ到着するが、やはり虫はみられない。 ここも駄目か・・この日は曇りがちで気温はさほど上がっていない。ヒメオオ採集には丁度良いくらいの感じなのだが。 諦めずにどんどん上を目指して藪こぎを行う。 この辺りは以前獣の気配があったところ。 かなり上まで来てようやく虫の姿を目にすることが出来た。
	小振りなヒメオオ♂だった。その後も頭上に少し大きな♂を見つける事が出来た。（←の写真個体） 写真に収め慎重にネットインした。 今ぐらいから出てくる時間なのかもしれない。そう思って上で暫く休んで下りることにしたが、下りは全く駄目だった。 林道へ戻ると車が何台も上がってくる。我々も場所を移動するがかなりな数の採集者がいる様子。歩いて流している採集者も多い。 何処の柳をみても蹴っても何も落ちてこない。 そんなとき急に大粒の雨が降ってきたので暫し車で一休み。そして雨も過ぎ去り、また藪こぎを行ったが流石に無理だった。 一旦場所を離れて流していると柳につくヒメオオ♀をSO氏が見つけた。 私も柳を探すが、エゾゼミが柳にとまっていた・・ こうしてヒメオオルッキングを終了して町へとおりることにした。
	山間部から抜け出ると携帯がつながったので早速仙台のＳ氏に連絡を取る。 実はＳ氏もこの日は会津入りする予定とのことなので、何処かでお会いすることにしていた。町で食事を済ませ休憩した後は灯火の場所探しをしなければならない。地形図で予め大体は決めているが、環境は実際に行ってみないとわからない。車で流しながら確認して北上していった。 その頃Ｓ氏は南下してきておられたので丁度すれ違うことになった。立ち話ではあるが、設備をみせて頂いたり、いろいろ話しを伺いお互いの成果を祈ってお別れすることに。 やっと当初の目的だった辺りまで北上してきた。出来そうな場所を探しここならという場所を見つけたのでそこで車を止めて少し待機していると小雨が落ちてきた。夕立ならかまわないが本降りとなってしまった。霧も立ちこめてきたのでここでは灯火は行えない。
	選択肢は３つある。一つ目は無理してでもここで行う。二つ目はエリアを大きく南下して今来た方向へ戻る。三つ目はこのまま新潟県まで抜けてしまいやれる場所があればそこで行う。このとき私は二つ目の選択肢をとることに決めた。 それは北部からどうやら雨雲がやってきているので南下すればまだ少しは状況が良くなる可能性がある。 このまま不戦敗はあまりにも悔しい。そうと決めるとまたひたすら南下した。しかし雨の状況は何ら変わらない。距離にして50km程移動するとようやく霧も雨も無くなった。 急ぎ、来るときにこの辺もと思っていたところへ向かった。 辺りでは他の採集者のライトトラップが煌々と光を放っていた。 そして我々はゴールデンタイムの20:00目前にようやく到着してすぐさまエンジンを始動し、ライトのみで行った。少し出遅れたが、なんとか間に合った。
	早速コクワやアカアシ、ミヤマとポツポツ飛来してきた。 21:00頃には雨雲に追いつかれてしまい雨が落ちてきた。虫の飛来はぱたりと止んだ。 僅かの時間だったが、21:30頃には撤収をしてまた今来た北へと車を走らせる。街灯も所々みるがクワガタはいない。Ｓ氏に電話をするとあちらも苦戦している状況の様子だった。23:00頃には帰路につくことにした。 これから会越の峠を越えなければならない。雨足は強まっていく。道は先日の災害で至る処崩落や落石で車線規制されていた。なんとか無事に中越まで抜け高速乗って帰ることが出来た。 途中２時間仮眠して京都に着いたのは8/15の朝8:00を回っていた。距離にして往復1450km。やはり京都から会津は遠いものだった。
	今回採集した個体 ２名での採集結果です。 福島県 ●ヒメオオクワガタ　成虫　♂２頭　♀１頭 ●アカアシクワガタ　成虫　♀１頭 ●ノコギリクワガタ　成虫　♀１頭 ●ミヤマクワガタ　成虫 ♀１頭 ●スジクワガタ　成虫 ♂３頭　♀１頭 ●オニクワガタ　成虫 ♂１頭 ●コクワガタ　成虫 ６頭 ●カブトムシ　成虫 １頭 今回は予想通りの厳しい結果となってしまった。 でも、獲るものはいろいろありました。こうして最盛期に激戦区へ訪れるのは本意ではないが、他の採集者の方達のやり方や頑張りを見るには絶好の機会だった。 この敗北を次に繋げたい。そう思うこの頃です。