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意図して練り上げられたネタ程面白い物は無い。しかし時に何も考えていない者のちょっとした勘違いがとんでもなく面白かったりするのだ。
今回は私の名前、ローマ字で書くと "Kenshi Doi"、にまつわる勘違いの話である。
あれは私が大学生のときの事だった。私は一応体育会系の弓道部に所属していた。武道系と言う事もあり、道場での作法や練習態度、そして安全について厳しい決まりがあった。そしてそれらを破ったときの罰則は練習前の30分程度の正座と決まっていた。
練習後、道場に忘れ物をした場合にも同じように正座の罰が課されることになっていた。そのため同期の間などでは友達の忘れ物を先輩に気付かれない内に持って帰って知らせてやる事もあった。
その日、私は土曜日の合同練習の後、個人練習を終えて帰ろうとしていた。道場の前で後輩等と談笑していると、一つ下の後輩の女子が真っ直ぐに私の方へやってきた。そして少しためらいながら、聞いてきたのだ。
これ、土井さんのですか?
そして手に持った小洒落たハンカチを差し出してきた。多分道場に忘れられていた物を気を利かせて持って来たのだろう。
私はこんな洒落たハンカチは自分のものではありえないと思いつつ、そのハンカチを検分した。
ほら、ここに名前が、、、
指を指す所を見ると確かに何か刺繍されている。
その刺繍を見た私は思わず苦笑しそうになるのを我慢しつつ、穏やかに諭した。
これはね、ディオール(Dior)だと思うよ。
後輩は一瞬の間の後、「あっ」というと恥ずかしそうな仕草で背を向け、女子更衣室の方へ逃げるように走っていった。
今思えば素晴らしいツッコミのチャンスを逃したと残念に思う。いつもなら、
俺はクリスチャン・土井かよ!!
ぐらいはツッコむ所だ。さらには、
ジョン・万次郎じゃねえんだよ!!
と、とどめを刺すのもいいだろう。
だが後輩の女子、しかも身長にして40cm近くも差のある相手にこのツッコミはきつすぎるかとも思う。何にしても今となっては青春の良い思い出である。
そして最近、会社でまた同じような出来事があった。
その日、私は出勤直後から会社の後輩達と談笑していた。私の膝の上には買ったばかりの新しいカバンがまだ乗ったままだった。それはノートパソコン用のカバンでデザインも良く、私は結構気に入っていた。
その日までそのカバンが話題に登る事は無かったのだが、会話の切れ目でふと後輩がそのカバンを見て言った。
あれ、土井さんカバンに名前入ってるんですか?
私は思わず「はい?」と言ってしまった。まさかそんな。大学生の頃、おかんが弟のと間違えて私のパンツに「ドイ」とマジックで書いた事があり、それ を友達に見つかっていたく恥ずかしい思いをした時の恐ろしい記憶が蘇る。私はすぐに後輩が指している部分を見た。そしてすぐに安心した。
これは Kensington だよ。
私はやんわりと指摘した。社会人らしい大人のツッコミだった。私も成長したものだ。それは私のカバンに入っていたコンピュータ用品メーカーの名前だったのだ。
世の中は不思議なものだ。私はブランド物などとは全く縁のない生活をしている。だがその名前はまるで高級ブランドのようなのだ。
My name is Kensington Dior.
誰がハンカチやカバンに名前入れるかっちゅうの。
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