ゲオルグ・ショルティ/コダーイ:「ハーリ・ヤーノシュ」組曲、バルトーク:ルーマニア舞曲、ヴァイネル:歌劇「チョンゴルと悪魔」からスケルツォ、ベルリオーズ:ラコッツィ行進曲、ベートーヴェン:交響曲第7番
目次へ戻る1995年4月1日(土)・2日(日) ムジークフェライン大ホール
カッコ良かった
録画を前提にした演奏会の模様。制作はユニテル(UNITEL)。'97年5月24日にWOWOWで放送。なお、以下の文章は、'97年5月25日および26日付What's New記載のものを一部改訂したものである。悪しからず、ご了承いただきたい。
一番楽しみにしていた「ハーリ・ヤーノシュ」は、期待に違わぬ内容で、ショルティの鋭角的な音楽作りと、当団の特有の音世界がうまくマッチして、いい演奏になってたと思う。カッコ良かった。やりてぇなぁこの曲、ってすごく思った。あとの"ハンガリー物"も良かった。「ラコッツィ行進曲」なんか、よくある金管バリバリというスタイルじゃなくて、あくまでも弦が主体だよ、って感じの作り方。え?ここで弦がこんなことやってたの?なんて音がいっぱい聞こえてきて新鮮だった。そうだよねぇ、ハンガリーといえば「弦の国」だもんね。なるほどなぁ、と改めて感心した次第。それに比べると、後半の"ベト7"は、別にどうってことない感じの演奏。この演奏の半年前に行われた日本での演奏と、基本的には大差なし。ヴラダーの2番ホルンがなかなか良くて、それが唯一の(!?)収穫か。
今回のコンマスはホーネック。ゲーデ、シュトイデを従えての"若手"3人体制だったのだが、このホーネックがすごーく良かった。ソロもあって、それが素晴らしかったことはもちろんなんだけど、"弾き姿"が実に良い。見てて思ったんだけど、ヘッツェルそっくりなんだな、動きが。彼はヘッツェルの弟子というわけではないし、まさか意識してそうしてるわけでもないんだろうが、とにかく良く似ている。で、それが実に頼もしいのだ。"できる人"は自ずと似る、ということかな。オケのコンマスのあるべき姿、という点に関しては、もう1人のライナー氏とはえらい違い。どっちが優秀か、否、"いいコンマス"かは言うまでもない。私と同い年(←だからどうした!だね^^;)のホーネック氏よ、一層精進して名コンマスへの道を突き進んでくれい!
ところで、この映像に"私の楽器"が映っていたのだ>エヘン!前半のハンガリー物で一番ホルンを吹いたラルスの使っていた楽器が、今、私が吹いているヤマハなのだ。いやぁ、嬉しいね、"自分の楽器"が映ってるってのは。ただ、出てる音はだいぶ違うんだな、当たり前だけど(^^;。でも、ああいう音が出るという"可能性"はあるわけだ。頑張ろっと。
[オマケ話]
この番組を制作したユニテルが、またやってくれた。ユニテルといえば「うそカット」。シーンが変わると演奏者が違ってる、なんてのが日常茶飯事なんだが、今回はビデオ収録だから、まさかそれはないだろうと思ってた。でも、あったんですよ、これが。"ベト7"で何度も出てきたティンパニ越しのラッパとホルンっていうカット。本当に吹いていたのは、ヘグナー(1番アシスタント)、トムベック(1番)、ヴラダー(2番)、アルトマン(2番アシスタント)の4人なんだけど、このカットで映るのは、ヘグナー、ラルス、ゼルナー、ホルヴァートの4人。おいおい、3人も違っとるやんけ!でも、うそカットの4人が、ちゃんと"有り得る組み合わせ"になってるところが、律義かつお茶目なんだけどね...(^^;。(ベト7では、よーく見ると、シーンによって客席にいるお客さんも変わります。一度気づいちゃうと、もうダメ...)(06/01)
ピエール・ブーレーズ/ブルックナー:交響曲第8番 他
目次へ戻る1996年9月21日(土) サンクト・フローリアン修道院(リンツ)
調理法定まらず
'97年5月23日にNHKBS2で放送。なお、以下の文章は、'97年5月24日付What's New記載のものを一部改訂したものである。悪しからず、ご了承いただきたい。
私の率直な感想としては、なんつーか、やっぱ慣れないことはしない方が...って感じだった。ところどころブーレーズ「らしい」響きがして面白い部分もあったけど、終始、どうにも落ち着きが悪いっていうか、腰が座らない(←こんな表現あったか?)っていうか...。初めて取り組むブルックナーの長大な交響曲を前にして、さすがの"シェフ"ブーレーズも調理法が定まらず、結局時間切れのまま舞台に乗せちゃったって感じかな。ブーレーズのスコアの読み込み、および、オケとの意思の疎通に、もう少し時間をかけられれば、もっといい結果が出たような気がする。惜しいな...。オマケに、相変わらずの"キュッヒル独り旅"(←ほんと、なんとかしてよ、このおっさん)やら、映像監督ブライアン・ラージの"芸術的カメラワーク"(←ホルンは後列ばっかり映って、4番ホルンのアルトマン先生さっぱり映らず。ったくもう!)やら、興醒め要素も多かったしね。
それにしても、4楽章の終り近く、ブーレーズがアップになったところで、思いっきり振り間違え、というよりも、どう振るのかを一瞬忘れたような感じになったのにはびっくり(559小節。練習番号Llのところ)。ここはホルン4本のファンファーレ風(?)のところで、しかも、途中でテンポが変わるから、指揮者が"きっかけ"をきちんと示さない限り"崩壊"は免れないところなんだけど、4人(ラルス、ヴラダー、プファイファー、アルトマン)は、何事もないように吹ききりましたよ。これはこれでびっくりもの。さすがと言うべきか、はたまた指揮なんてハナから信用しちゃいないのか...(^^;。(06/01)
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