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2004年のNEWSです。少ししかないけど...(苦笑)

2004年4月26日(月)号

●恒例!来シーズンスケジュール速報

今年もまた、さる筋からのご協力を得て来シーズンスケジュールの速報をお伝えする。
数年前までとはすっかり様変わりし、今では多くのオケ・ホール公式サイトでスケジュール発表がされているから、"速報性"は薄れてはきているものの、当団部分だけを日程順にまとめているということで、当ページ読者諸氏には十分に「有用」なものだと思う。どうかご活用いただきたい。
なお、これも毎度のことだが、4月26日付で記載するスケジュールは全てではなく、あくまでも現時点で判明している一部となる。例年同様、今後順次追加(および修正)をしていくので、その旨何卒ご了解のほどを。

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☆[ ]内の会場はMV:ウィーン楽友協会、KH:ウィーン・コンツェルトハウス
☆ジュネス:青少年音楽鑑賞団体
☆「ウィーン宮廷楽団」はWPhメンバーによる宮廷礼拝堂のための楽団

2004年

09月05日(日)[MV]クラングボーゲン
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:ワーグナー:《タンホイザー》序曲、ワーグナー:《ワルキューレ》より「ワルキューレの騎行」、ワーグナー:《神々の黄昏》より「ジークフリートの葬送音楽」、ショスタコーヴィチ:交響曲第11番「1905年」

09月06日(月)[文化会議センター]ルツェルン音楽祭
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:09月05日と同じ

09月07日(火)[文化会議センター]ルツェルン音楽祭
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
独奏:イェフィム・ブロンフマン(Pf)
曲目:ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番、チャイコフスキー:交響曲第5番

09月08日(水)[文化会議センター]ルツェルン音楽祭
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:J.シュトラウス:ワルツ、ポルカなど、ヤング・アーティスト・アワード受賞者による協奏曲、チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

09月23日(木)[MV]
指揮:ニコラウス・アーノンクール
独唱:リュバ・オルゴナソヴァ(S)、イヴァン・クシュニエール(Br)
合唱:ブルーノ・チェコ・フィルハーモニー合唱団
曲目:ドヴォルザーク:テ・デウム、ヤナーチェク:永遠の福音、ドヴォルザーク:交響曲第8番

10月23日(土)/24日(日)[MV]ウィーン宮廷楽団
指揮:リッカルド・ムーティ
独唱:ルート・ツィザーク(S)、アンナ・ラーソン(A)、ヘルベルト・リッペルト(T)、アドリアン・エレード(B)
曲目:カルダーラ、ヴィヴァルディ、フェルディナンド・シューベルト、モーツァルト、シューベルトの宗教作品

10月26日(火)[ウィーン国立歌劇場]オーストリア・コンサート
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:未定

11月11日(木)[富山:オーバード・ホール]
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:J.シュトラウス:ワルツ「戴冠式の歌」「ニコ・ポルカ」「ペルシア行進曲」、チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

11月12日(金)[大阪:フェスティバルホール]
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:J.シュトラウス:ワルツ「戴冠式の歌」「ニコ・ポルカ」「ペルシア行進曲」、チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

11月13日(土)[三重県文化会館大ホール]
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:J.シュトラウス:ワルツ「戴冠式の歌」「ニコ・ポルカ」「ペルシア行進曲」、チャイコフスキー:交響曲第4番

11月15日(月)[福岡シンフォニーホール]
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:チャイコフスキー:交響曲第4番、交響曲第5番

11月16日(火)[サントリーホール]
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:J.シュトラウス:ワルツ「戴冠式の歌」「ニコ・ポルカ」「ペルシア行進曲」、チャイコフスキー:交響曲第5番

11月17日(水)[サントリーホール]
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
独奏:ライナー・キュッヒル(Vn)
曲目:ワーグナー:「タンホイザー」序曲、プフィッツナー:ヴァイオリン協奏曲、チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

11月20日(土)[静岡:グランシップ大ホール]
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:J.シュトラウス:ワルツ「戴冠式の歌」「ニコ・ポルカ」「ペルシア行進曲」、チャイコフスキー:交響曲第4番

11月21日(日)[サントリーホール]
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
独奏:イェフィム・ブロンフマン(Pf)
曲目:ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番、チャイコフスキー:交響曲第4番

11月28日(日)[KH]
指揮:マイケル・ティルソン・トーマス
独唱:バーバラ・ボニー(S)
曲目:R.シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら、R.シュトラウス:オーケストラ伴奏による歌曲、マーラー:交響曲第1番「巨人」

12月11日(土)[MV]
指揮:ニコラウス・アーノンクール
独唱:エヴァ・メイ(S)、ベルナダ・フィンク(A)、ミヒャエル・シャーデ(T)、イルデブランド・ダルカンジェロ(B)
合唱:アーノルト・シェーンベルク合唱団
曲目:ヴェルディ:レクイエム

12月30日(木)[MV]プレ・ニューイヤー・コンサート
指揮:ロリン・マゼール
曲目:J.シュトラウス一族の音楽など

12月31日(金)[MV]シルヴェスター(大晦日)コンサート
指揮:ロリン・マゼール
曲目:J.シュトラウス一族の音楽など

2005年

01月01日(土)[MV]ニューイヤーズ・コンサート
指揮:ロリン・マゼール
曲目:J.シュトラウス一族の音楽など

01月23日(日)[祝祭大劇場]ザルツブルク・モーツァルト週間
指揮:フィリップ・ジョルダン
独唱:バーバラ・ボニー(S)、アンケ・フォンドゥング(A)、クリストフ・シュトレーレ(T)、ヤン・ヘンドリック・ローテリング(Br)
合唱:バイエルン放送合唱団
曲目:モーツァルト:証聖者の盛儀晩課K339、モーツァルト:エジプト王タモス、モーツァルト:交響曲ニ長調K181

01月26日(水)[祝祭大劇場]ザルツブルク・モーツァルト週間
指揮:ズービン・メータ
独唱:クリスティーネ・シェーファー(S)
曲目:モーツァルト:交響曲イ長調K201、モーツァルト:コンサート・アリア、ハイドン:交響曲第104番ニ長調「サロモン」

01月29日(土)[祝祭大劇場]ザルツブルク・モーツァルト週間
指揮:チャールズ・マッケラス
独奏:イェフィム・ボロンフマン(Pf)
曲目:モーツァルト:交響曲ニ長調K297「パリ」、モーツァルト:ピアノ協奏曲変ホ長調K482、シューベルト:交響曲第3番ニ長調

02月18日(金)[MV]ジュネス
指揮:ダニエーレ・ガッティ
曲目:ワーグナー:《パルシファル》より「聖金曜日の奇蹟」、マーラー:交響曲第5番

02月19日(土)/20日(日)[MV]定期演奏会
指揮:ダニエーレ・ガッティ
曲目:02月18日と同じ

02月21日(月)[MV]
指揮:ダニエーレ・ガッティ
曲目:02月18日と同じ

02月26日(土)/27日(日)[MV]
指揮:マリス・ヤンソンス
曲目:ベートーヴェン:交響曲第2番、ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

03月04日(金)[MV]ジュネス
指揮:マリス・ヤンソンス
曲目:シベリウス:交響曲第1番、ブラームス:交響曲第1番
03月05日(土)/06日(日)[MV]定期演奏会
指揮:マリス・ヤンソンス
曲目:03月04日と同じ

04月11日(月)[MV]
指揮:フランツ・ヴェルザー=メスト
独唱:ゲニア・キューマイヤー(S)、アンゲリカ・キルヒシュラーガー(A)、ジョン・マーク・エィンズリー(T)、トーマス・クワストホフ(B)
合唱:楽友協会合唱団
曲目:メンデルスゾーン:オラトリオ「エリアス」

04月23日(土)/24日(日)[MV]
指揮&独奏:ダニエル・バレンボイム
曲目:ブーレーズ:ノタシオン、ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

04月29日(金)[MV]ジュネス
指揮:リッカルド・ムーティ
曲目:ハイドン:交響曲第94番「驚愕」、スクリャービン:交響曲第3番「神聖な詩」

04月30日(土)/05月01日(日)[MV]定期演奏会
指揮:リッカルド・ムーティ
曲目:04月29日と同じ

05月06日(金)[MV]
指揮:リッカルド・ムーティ
曲目:04月29日と同じ

05月18日(水)[ウィーン国立歌劇場]マーラー記念演奏会
指揮:小澤征爾
独唱:リカルダ・メルベート(S)、ミヒャエル・シャーデ(T)、トーマス・クワストホフ(B)
合唱:ウィーン国立歌劇場合唱団
曲目:ブリテン:戦争レクイエム

05月21日(土)/22日(日)[MV]
独奏:マウリツィオ・ポリーニ(Pf)
曲目:モーツァルト:ピアノ協奏曲ト長調K453、ストラヴィンスキー:兵士の物語(22日は「管楽器のための八重奏曲」)、モーツァルト:ピアノ協奏曲ハ長調K467

05月31日(火)[KH]
指揮:ピエール・ブーレーズ
独唱:ドロテア・レッシュマン(S)、ミシェル・ドゥヨン(MS)
合唱:楽友協会合唱団
曲目:マーラー:交響曲第2番「復活」

06月04日(土)/05日(日)[KH]
指揮:ピエール・ブーレーズ
独奏:ダニエル・バレンボイム(Pf)
曲目:シェーンベルク:ピアノ協奏曲(作品42)、ブルックナー:交響曲第7番

06月15日(水)[MV]
指揮:ズービン・メータ
独奏:ラン・ラン(Pf)
曲目:チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番、R.シュトラウス:家庭交響曲

06月19日(日)/20日(月)[MV]
指揮:小澤征爾
独奏:ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ(Vc)
曲目:ハイドン:交響曲第60番「うかつ者」、ペンデレツキ:チェロと管弦楽のためのラールゴ(世界初演、楽友協会委嘱作品)、R.シュトラウス:ドン・キホーテ

06月24日(金)[MV]
指揮:クリスティアン・ティーレマン
曲目:R.シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき、R.シュトラウス:ドン・ファン、R.シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら

◇ ニュースのツボ ◇

★4月26日付"初版"
というわけで、今年もまた「速報」の季節(笑)となったわけでありますが、現初版時点では、ガッティの定期初登場ってのが目につくところでしょうかね。私、この指揮者についてはさほど(というか、まったくに近く)情報を持っておりませんが、取り上げる"マラ5"は、当指揮者によるCD(オケはロイヤルフィル)が発売になった際に話題になった曲目とのこと。果たして当団との組み合わせでどんな演奏になるのか、楽しみなところではありますな。
あとは、ベテラン指揮者ではあるけれど、おそらく初登場かそれに近いくらいの登板だと思われるマイケル・ティルソン・トーマス(MTT)にも注目。プログラム的には、"当団寄り"という感じだけれど、これまたどんなことになるか、期待大。MTT、札幌のPMFで当団諸氏(GMのシュミ氏含めて!)と共演しているから、その辺が登板の背景になってるのかしら(??)
というわけで、来シーズンも楽しみな当団演奏会。追加・修正分については随時更新するので、今後ともご期待いただきたく。




<2004年4月5日(月)号

●メストルがウィーンフィル会員に

当団今年度第6回定期演奏会(2月14-15日:小澤指揮)にて配布の公演プログラム冊子に掲載されたヘルスベルク団長による「ウィーンフィル日誌」によると、1月21日に行われた団員総会において、ハープ奏者のクサヴィエ・ドゥ・メストルがウィーンフィルの会員となることが承認されたとのこと。

クサヴィエ・ドゥ・メストル (Xavier de Maistre:ハープ)
1973年フランス・トゥーロン生まれ。
Jacqueline BorotおよびCatherine Michelからハープを学び、1989年、16歳の時に初めて国際コンクールで優勝。その後、カーディフ、ミュンヘン、エルサレム、ウィーンなどの各コンクールでも入賞を果たした。
1995年からバイエルン放送交響楽団に所属。1999年9月にウィーン国立歌劇場管弦楽団入団。ハンブルク音楽大学の教授も務める。

◇ ニュースのツボ ◇

当団における男性ハープ奏者の系譜にしっかりと名を刻んだメストル。生粋のフランス人であるわけだが、先にWOWOWで放送された2002年5月の定期演奏会(プレヴィン指揮)におけるヒナステラの協奏曲演奏時のインタビューによれば、子どもの頃に当団「ニューイヤー」のテレビ放送を見て、両親に「いつかここに座って演奏する!」と宣言したとのことなので、その「夢」を実現した人物、でもあるわけだ。フランス人にとっての当団というのがどういう位置づけなのかはわからないが、我々的には、見事な"志"を持った少年だったと、そう言って構わないだろう(笑)
上記したヒナステラの協奏曲を聴いてもわかるが、大変な名手。こういう人材が当団のハープ奏者になったという事実を取っても、当団の有り様がやはり「様変わり」しつつあることは明白と言えるだろう。別にそれは悪いことでもなんでもないのだが、腕よりも血、といった感が強かった昔のような有り様は、文字通り「今は昔」の話だということで。

別件だが、1995年からコントラバス奏者を務めたティモシー・ドゥニン(オーストラリア人)が、グラーツ音楽大学オーバーシュッツェン校での教職に専念するために、2003年9月1日付で退職したとのこと。昨年10月の「ウィーンフィル日誌」に記載されていたのだが、見落としておりました。大変失礼。
確か、最初は首席候補として入団したはず。なので、1996年あたりの来日公演なんかでは、トップのプルトで弾いたりもしていたが、結局はトゥッティ奏者として活動。別にそういうあたりのこと(=わだかまり??)は関係ないのだろうけど、まだ若いメンバーだけに、教職専念というのはなんか惜しい気も...>当団では比較的珍しいしね、そういう退団理由は>最近ではゲーデも同様でありましたが。




2004年2月26日(木)号

●2004年ウィーンフィル・ウィーク・ジャパン スケジュール発表

「音楽の友」3月号に、今年のウィーン・フィルハーモニー・ウィーク インジャパンのスケジュールが発表されていたので、以下に転載する。
なお、「曲目、出演者などが変更になる場合もあります」との注釈も付いているので、その点、ご承知おきのほどを。

11月11日(木) 富山:オーバード・ホール
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:J.シュトラウス:ワルツ「戴冠式の歌」「ニコ・ポルカ」「ペルシア行進曲」、チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

11月12日(金) 大阪:フェスティバルホール
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:J.シュトラウス:ワルツ「戴冠式の歌」「ニコ・ポルカ」「ペルシア行進曲」、チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

11月13日(土) 三重県文化会館大ホール
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:J.シュトラウス:ワルツ「戴冠式の歌」「ニコ・ポルカ」「ペルシア行進曲」、チャイコフスキー:交響曲第4番

11月15日(月) 福岡シンフォニーホール
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:チャイコフスキー:交響曲第4番、交響曲第5番

11月16日(火) サントリーホール
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:J.シュトラウス:ワルツ「戴冠式の歌」「ニコ・ポルカ」「ペルシア行進曲」、チャイコフスキー:交響曲第5番

11月17日(水) サントリーホール
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
独奏:ライナー・キュッヒル(Vn)
曲目:ワーグナー:「タンホイザー」序曲、プフィッツナー:ヴァイオリン協奏曲、チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

11月20日(土) 静岡:グランシップ大ホール
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
曲目:J.シュトラウス:ワルツ「戴冠式の歌」「ニコ・ポルカ」「ペルシア行進曲」、チャイコフスキー:交響曲第4番

11月21日(日) サントリーホール
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
独奏:イェフィム・ブロンフマン(Pf)
曲目:ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番、チャイコフスキー:交響曲第4番

※"シュトラウス物"をやる日については、プログラム欄に「他」の文字も見えるので、あと数曲が演奏されるものと思われます。

◇ ニュースのツボ ◇

以前から情報があったとおり、メインプログラムはチャイコフスキーの「三大交響曲」ということで、これをゲルギエフがどう振るのか、これがなんと言っても一番の興味の対象となりましょう。
ただ、今回は"付け合わせ"もなかなかに興味深く、例えば、シュトラウスのワルツやポルカなんかは、「なんでゲルギエフで?」なんて感じでもある。でもこれにはちゃんとワケがあって、それを同じ「音楽の友」誌掲載の山崎睦氏の解説文から引用すると、「ロシア皇帝がシュトラウスの音楽の愛好家であったことから、作曲家夫妻が招待を受け、サンクトペテルブルクにほど近い避暑地、パブロフスクで数夏を過ごしている。そこで作曲された、いわば"ロシア産"のワルツやポルカ」を演奏すると、そういう次第であるのだ。実際に、このコンビではすでにこれらの音楽を演奏した実績もあるので、果たしてどんなシュトラウスになるのか、これはこれで楽しみですな。
あとは、やはり2曲の協奏曲。特に、キュッヒルが弾くプフィッツナーについては、これはもう当団ゆかりの作曲家ということでもありますので、どんな「音」が紡ぎ出されるのか、非常に楽しみであります(どうでもいいことだが、この日のコンマスは誰が務めるのだろう? いや、常識的に考えればキュ氏は弾かないはずだが、だとすると、他の日の「悲愴」では?ってことにもなって、気になるところ...)。もちろん、ブロンフマンが弾くラフマニノフについても、当団では極めて珍しいプログラムなので、興味津々。
地方公演の数も例年よりやや多めだし、取り上げる曲目もなかなかに面白い。これは相当に「熱い」来日公演になりそうですな。でも、その前に、またしても争奪戦で熱が出そうだけど(笑)





2004年2月14日(土)号

●3人がウィーンフィル会員に"昇格"

当団今年度第5回定期演奏会(1月10-11日:ラトル指揮)にて配布の公演プログラム冊子に掲載されたヘルスベルク団長による「ウィーンフィル日誌」によると、昨年12月11日に行われた団員総会において、第1ヴァイオリン奏者のジュン・ケラー、チェロ奏者のヴォルフガンク・ヘルテル、首席トロンボーン奏者のイアン・ボースフィールドの3名がウィーンフィルの会員となることが承認されたとのこと。

ジュン・ケラー (Jun Keller:ヴァイオリン)
1973年ドイツ・シュトゥットガルト生まれ。父親がドイツ人で、母親が日本人。
1979年からリューベックにてペトル・モンテアヌーに、1986年からはシュトゥットガルトにて永富美和子に師事。1987年からウィーン国立音楽大学でゲアハルト・ヘッツェルおよびウルフ・ヴァリーン両教授に師事し、1993年同大学卒業。その後ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学でも学んだ。
2000年9月にウィーン国立歌劇場管弦楽団入団。2002年からはシュティムフューラー(首席トゥッティ奏者)を務める。
☆ジュン・ケラーのホームページ

ヴォルフガンク・ヘルテル (Wolfgang Härtel:チェロ)
1975年オーストリア・グラーツ生まれ。
1982年からHerlinde Schwarzに師事してチェロの勉強を開始。1991年グラーツ音楽大学入学。1993年からはウィーン国立音楽大学にてヘルツァー教授に師事。2001年同大学卒業。ミュンヘン、パリ、ニューヨークなどでも学ぶ。
ウィーンフィルおよびウィーン響などの補助団員を務めた後、1995年からオーストリア連邦劇場舞台オーケストラ(現国立歌劇場舞台オケ)団員。1998年からのウィーン・フォルクスオパー管弦楽団首席奏者を経て、2000年9月ウィーン国立歌劇場管弦楽団入団。
2002年からはシュトイデ弦楽四重奏団のメンバーでもある。

イアン・ボースフィールド (Ian Bousfield:トロンボーン)
1964年イギリス・ヨーク生まれ。
トランペット奏者だった父親の手ほどきで7歳からトロンボーンを始め、1979年には最年少でロンドン響の奨学金を獲得。1980年から2年間ヨーロッパ連合ユース・オーケストラに在籍。奨学金を受けて入学したギルドホール音楽学校は、4年のコースをわずか6ヶ月で終了。
1983年にハレ管弦楽団首席奏者に就任。その後、1988年にはロンドン交響楽団首席奏者となり、映画音楽録音などを含めた数々の演奏活動に従事。ソリストとしての活動も盛んで、EMIレーベルからソロCDのリリースなども行った。
2000年9月にウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団。文字通りの「大物奏者」の移籍ということで、大いに話題となった。

◇ ニュースのツボ ◇

ジュン・ケラーの時には「ついに日系人入団!」、ボースフィールドの時には「大物移籍!!」と大いに驚き、そして大騒ぎしたわけであったが、彼らがウィーンフィル会員となることが認められた3年後の今となっては、日系人どころか「日本人」である杉山氏の入団までもが現実のものとなってしまったわけで、なんともはや、この激変ぶりには改めて驚くばかりである。
当団が、新しい世紀を迎えて変貌を遂げていくことの、その象徴的なメンバーであったと言って良いケラーとボースフィールド。特に後者については、ソリストとしても有名な世界的奏者であっただけに、果たして馴染むのか!?との心配もあったわけだが、それは杞憂と終わり、今ではすっかり「フィルハーニカー」の一員として、他のメンバーと共に多忙な演奏活動をこなしている。
彼の入団によって確かに当団の低音金管群(軍?)の音は変わったが(=より力強く、より華やかに)、しかし同時に、ボースフィールドの音と芸風も「変わった」と言えると思う。そう、今のウィーンフィルの"有りよう"に彼がすっかり馴染み、同化したのだと言えるだろう。
誰がやってきても同化させてしまう(しかし、その人の持ち味は消さず、そして何より、それを新たなオケの持ち味として活かす!)ウィーンフィル。この「したたかさ」は、今後も健在なのでありましょうな。っていうか、そうでなくては困るし。


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●元首席フルート奏者トリップ死去

同じく、今年度第5回定期演奏会プログラム冊子に掲載された「ウィーンフィル日誌」によると、昨年12月15日に、元首席フルート奏者であるウェルナー・トリップ(Werner Tripp)が死去したとのこと。享年73歳。
1930年グラーツ生まれ。ウィーン音楽アカデミー(現ウィーン国立音楽大学)にてレズニチェクに師事した後、1955年からウィーン国立歌劇場管弦楽団員。1962年からは首席奏者となり、また母校ウィーン音楽アカデミーの教授にも就任したが、1977年に、教職に専念するため(?)ウィーンフィルを退団した。
ベームとのレコード録音を含め、数多くの指揮者と共演した名ソリストでもあった。

◇ ニュースのツボ ◇

またしても往年の名奏者がこの世を去った。1960年代から70年代半ばまでを代表する名物奏者。この人の演奏では、やはり1975年のベームとの来日公演におけるものが、我々にとっては印象深いものでありましょうな。
個人的にもこの人には思い出深いものがある。その辺の話は、例の「200CD ウィーン・フィルの響き」の中に書いたので、その文章を以下に転載する。
出版からだいぶ時間が経ってるから、ここに載せても平気でしょう(!?)>もしクレームが付いたら改訂しますので...。

◇◇ 「200CD ウィーン・フィルの響き」"ウィーン・フィル第三の男たち 木管楽器編"より ◇ ◇

この人の"ナマ音"を最初に聴いたのは中学生の時だった。曲はモーツァルトのフルート四重奏曲第1番。冒頭の上昇音型を耳にした時、フルートというよりも「笛」と呼ぶに相応しいその澄んだ音色に、クラクラと眩暈を覚えたことを今でも記憶している。それは、純朴な(?)田舎の中学生にとって、初めて聴く「妙なる調べ」そのものだったのだ...。数年前、久しぶり(二十数年ぶり)に彼の演奏を聴く機会があった。さすがに年齢からくる"衰え"は隠せなかったが、音楽の前向きな力強さは健在で、十分に堪能させてもらった。シュルツらがインターナショナルな方向に振り向けた現在のフルートセクションの「音」を思うと、彼が最後の《ウィーンのフルート》だったと言えるかもしれない。定年を前に早々と退団してしまったのが惜しまれる。




2004年1月12日(月)号

●新首席オーボエ奏者は、またしてもウィーン響から!

関係筋からの情報によると、昨年末に行われたオーディションの結果、現ウィーン交響楽団首席オーボエ奏者であるハラルト・ヘルトが、国立歌劇場管弦楽団の新首席オーボエ奏者に選出されたとのこと。本年9月から着任となる。

ハラルト・ヘルト (Harald Hörth:オーボエ)
1969年オーストリアZwettl生まれ。
1984年からウィーン国立音楽大学にてカウツキー教授およびリーンバッハー教授に師事。ガブリエル、ロレンツ、シェレンベルガー、ホリガーらの指導も受ける。
1989年から1991年までウィーン室内管弦楽団の、1991年から1994年までオーストリア放送響(現ウィーン放送響)のそれぞれ首席奏者を務め、その後1994年からウィーン響首席奏者。
オーストリア・ハンガリー・ハイドンフィルハーモニーにも参加するほか、木管五重奏団"クインテット・ウィーン"のメンバーでもある。

◇ ニュースのツボ ◇

というわけで、新しい首席オーボエ奏者には、「またしても」ウィーン響からの移籍という形でヘルトが決まった。先のホラークに続いてまたしても首席奏者が"流出"することになったわけで、ウィーン響としても心中穏やかならざるものがあるだろう(!?)
このヘルト、とにかく上手い。指の"回り"なんかはダントツなのではないだろうか。過去何度か実演(やCD録音)に接してみた印象としては、とにかく「達者」な奏者だというものだ。
一方で、その「音」には、個人的には不満がある。だって、ほとんど"ウィーン式"を感じさせないものなのだもの。昔の奏者に較べればだいぶ"一般的"になっているホラークあたりでも、目を閉じて聴いても、十分に"ウィーン式"とわかる音だと思うのだが、このヘルトの場合、うっかりすると判別がつかない。「一聴してそれとわかる」のが当団の演奏・音の魅力だと思うのだが、そういう意味では、ヘルトの加入は当団の"一般化"が(一段と!?)進むひとつの象徴になるような気がして、少々残念な気がする...。
でもまぁ、人を育てる(=化けさせる)オケである当団のこと、その中に身を置くことで、ヘルトの芸風も次第に変化を見せるかもしれない。とにかく"優秀"な奏者であることは間違いないわけだから、「化けっぷり」に大いに期待いたしましょう。
※上記写真はだいぶ前のもの。最近は短髪にして髭を蓄えるなど、その風貌はだいぶ変わっている模様でありますので、念のため(^^;





「フォルカーの部屋」ホームページ